第21回鑑賞ツアー エモーショナル・ドローイング展
 
 


2008年11月30日(日)
場所 京都国立近代美術館
参加者 見えない人・見えにくい人 : 6名
見える人 :13名
ビュースタッフ :3名

── 中山登美子報告 ──

晩秋の日曜日、午後1時半から講堂で受付開始、2時から鑑賞方法の説明。
タイトルがわかりにくかったのはこの展覧会企画のきっかけがある学芸員と作品群との突発的事故のような出会いから生まれた理由もあるのだろう。
近代美術館の学芸員が現代のドローイングは一つだけの手法ではなく同時代を表現するとタイトル説明。
わたしは一度下見をして感じたことは今回の展覧会は先入観言葉を持たずに美術オモチャで遊ぶようなアート・ピクニック気分で鑑賞するのがいいと思ったので、そのことを伝える。
と言っても、陽のあたる明るいピクニックではなく、暗い森の中を彷徨うピクニックになるかもしれないと、心中でささやいたのだが。
タイトルは二次的で現代の抱える刻印された‘弱さと不安’がすべての作品のテーマに共通しているようである。

鑑賞風景1 2時半から4時までグループごとに鑑賞ツアー時間。
落書きのようなスケッチ、子供のような遊び描きアニメアート、ヴィヴァルディの音楽が流れるイメージ映像、奈良美智の思考と想像の断片を集めた子供部屋などとそれぞれのブース展示。
求めて訪ねて彷徨う線での作品群は、観る人たちの身体や心理を開いたり閉じ たりとりついたりと、まるで連想ゲームのように私たちを変奏変容させてくれる。
鑑賞風景2
鑑賞風景3 鑑賞風景4 鑑賞風景5
鑑賞風景6

講堂にて感想会 4時から5時まで参加者たちとの感想会。
意見を順に並列すると、自分の内臓が動くような面白さ、韓国人作家の作品の強さ、大きな樹木に子供の純粋な想い、無意識さの表出、自分の視点ではグロテスクさと エロティックさが説明しにくい、想像してた色がまったく違う(ex.血)、タイトルと絵があまりにも違う、世界観が感じられない、箱作品は障害者が描いたアール・ブリュットに似ている、他人の頭の中をのぞき見る好奇心と罪悪感などと文学的&心理的な言葉が多く、好き嫌いがかなり別れた様子。
わたし個人としての2回目鑑賞はもっとここにいたい,ここから出たくない、逃避する場所としていたいと、まったく予想していなかった衝動が突き上げてくる。
やはり、emotionalな(感情的な、感情に動かされやすい)展覧会だったようである。

最後に一つ、常連参加者たちのハーモニーが合ったサポートに感謝します。
ビュー活動の雰囲気にどんどん馴染んでくださり、スタッフ側も励まされてます。


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