第23弾創作ワークショップ
『コラージュしよう〜2012年宇宙の旅〜』

 
 


2012年5月20日(日)
場所 京都市山科区身体障害者福祉会館
参加者 見えない人・見えにくい人 : 4名
見える人 : 5名
ビュースタッフ : 4名
オブザーバー : 1名 講師 : 鈴木ともこ

── 鈴木ともこ ──

今回のワークショップは「コラージュ」という技法で制作をしてみるのが一つの目的でした。 ビューの鑑賞ツアーでコラージュ作品を鑑賞してはいるものの、実際のところよく分からない… どんなものか実感できるようにして欲しいとの声もあり、ならばまずは制作体験してみることで 変わる事があるだろうと取り入れました。

作品制作のテーマは『2012年宇宙の旅』と題して、宇宙のどこかにあるかも知れない 「とある星」を想像しコラージュしてみようというもの。
このテーマは、ワークショップの次の日が"金環日食"の日だったので、 宇宙をキーワードにしたいと思ったことと、コラージュは意外なもの同士を 組み合わせると面白く、現実ではあり得ない「野菜から手足が生えてる!」 なんて世界も、宇宙の「とある星」なら考えやすいと思ったからでした。

そうした技法テーマと作品テーマを引っさげて「いざ出発!」と行きたいところでしたが、 ワークショップの準備段階で「コラージュの事をどんな風に伝えるかが大切」という ご意見を頂きました。コラージュという言葉は知っていても、どんな意味があるのか? どんなことができるのか?を知らないとイメージは広がりにくいものです。
そこで、まずはコラージュ技法を使った作品を鑑賞することから始めることにしました。
作品は、 マン・レイ/『糊の時代』
ジョセフ・コーネル/『衛星の観察1』
草間彌生/『戦争の津波』
(カラーコピーにて準備)
また、私自身もコラージュでの作品を作っている為、作品写真を用意。 それぞれ、コラージュしてある物や使い方ができるだけ違う作品を 選びました。

さて当日、ワークショップの始まりはコラージュについて簡単に説明し、 上記の作品写真を各チーム(3人一組)に渡して鑑賞です。 カラーコピーであったため、細かなところは分かりにくかったかも知れ ませんが、どのチームも話しは弾んでいるようでした。 後に感想を頂いた中に、「コラージュの中でもいろんな表現の仕方が あることが分かった」との言葉があり、コラージュに対する距離感が 縮まり、少しは身近に感じてもらえたかな?と思います。
コラージュ作品鑑賞1 コラージュ作品鑑賞2
コラージュ作品鑑賞3 コラージュ作品鑑賞4
鑑賞をした後は、いよいよ制作にかかります。
テーマは『2012年宇宙の旅』の先にある「とある星」です。
地球がある太陽系は天の川銀河の中にあります。天の川銀河には 約1000億個の星があるといわれ、更に同じような銀河が宇宙の中には 約1000億個あるといわれています。そんな広大な宇宙なら、 きっといろんな星があるに違いない!!ということで各チームごとに どんな星があると思うかの話し合いが始まりました。
「人間に近い」「地球人より頭が良い生き物、動物」「料理いっぱい」 「スイーツの星!」「小さい人間」「星に留学。仲良くしたら…?」などなどの 意見が出てきます。どんな星でもOKな上に3人の想像をまとめていくのは 大変かな?と思いきや、一人の意見から次の想像が膨らみ、その想像から また新たに話しが盛り上がっている様子でした。

制作に使う画材料は、黒画用紙と円形の白い厚紙。クレパス、油性ペン、 アクリル絵の具など。そして、参加者に持参してもらったコラージュ用の 雑誌や写真、様々なパッケージなどです。

話し合いで決まったワードを軸に実際の制作に進んでいくわけですが、 その途中でも会話が弾みます。雑誌のページを繰りながら「これを使ったら おもしろいのでは?」と意見が出れば、そこから新たに加わるものも出てきます。
「写真をどのように組み合あわせるといいかな?」と迷えば、画面上を行ったり 来たりさせて意見を交わします。今回もチーム3人でのコラボレーションで作品を 作ることにしていましたので、テーマについて話し合ったり、制作の時間でも 会話がより一層弾んでいるようでした。
ワークショップの本来の定義は「ともに学び合うもの」。ですから、作品制作を 通して、こうしたやりとりがあることは何より大切だとあらためて感じました。
制作風景1 制作風景2
制作風景3 制作風景4
完成した作品は、音楽が聞こえてきそうなもの、ブラックホールが描かれているもの、 食べ物より小さい人がいたり、どんべい柄の星とそのまわりに沢山の星。
また、写真やパッケージ、網のような素材など、作品イメージに合うものを 選び貼り込まれています。どれも大胆な色使いで「とある星」はかなり楽しそうな 場所のようです。

山川チーム/「エレクトリックスペース」
山川チーム 作品

白坂チーム/「たんぽぽの星」
白坂チーム 作品

尾田チーム/「Welcome to the wonderful food star」
尾田チーム 作品

光島チーム(2点)/「地球動物園」  「草間どんべい」
光島チーム 作品
作品

ここにある星は、その日その時にしかお目にかかれない貴重な星の ように思えます。
「とある星」、みなさんならどんな星をイメージしますか?


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