お絵かきワークショップ



2003年6月29日(日)
場所 山科身体障害者福祉会館
参加者数
視覚障害者10名
晴眼者(サポーター・世話係など)10余名

めずらしく晴れた気持ちのいい日。日頃の行いがよかったんだねーと、都合のいいことを言いながら、この日、山科身体障害者福祉会館にて、「視覚障害の人も平面アートにチャレンジ! お絵かきワークショップ」を開催しました。
視覚に障害のある参加者は、10名。ペアになる晴眼者のサポートさんは10余名。
それから、光島貴之さんには講師として登場していただきました。

今回のワークショップは・・・
自分でも絵を描いてみたい、見えなくなるまでは絵が好きだった、粘土で立体を作ったことはあるけれど絵は描いたことがない・・・などという声から生まれたワークショップでした。
光島貴之さんは、さまざまな道具や方法で、絵を描かれています。その技法をちょっぴり紹介していただくことにしました。このワークショップはなかなかめずらしい、おもしろいワークショップとなりました!
始まりの挨拶風景
始めの挨拶と説明、何が始まるのかな?、皆さん神妙な様子
◆光島氏が記された当日のワークショップの内容
ワークショップ1 「巻くもの巻かれるもの」(導入)

サンフランシスコのクリエーティブ・グロースでみた、ジュディ・スコットのまねをします。彼女が毛糸で巻いていたのは、靴だったり、バットだったりするのですが、ぼくは、それらを触ってとても感動しました。エネルギーを感じました。そして、ぼくもやってみたいと思いました。
そして、先週、やってみました。とてもおもしろいです。
そんなに大きなものをやっている時間はないので、手のひらに入るぐらいのものを用意してぐるぐる巻きにして遊びたいと思います。
(指先のトレーニングにもなると思うのです)

ワークショップ2 「立体コピーを使って描く」 モチーフを触って、マーカーを使って何度か立体コピー機を通しながら描く。

   *休憩

ワークショップ3 「様々な素材を試す」
(カッティングシート・ラインテープ・蜜蝋・ホットボンド)
ここでなにか一つの作品を仕上げてもらえればと思います。
技法は、1.2.も含め、自由に選んで自分のやりやすい方法を選択します。

◆ワークショップ1
参加者の自己紹介が終わると、さっそくワークショップに移りました。
まず、すでに準備をしてあった、巻く対象になるモチーフを選び、それから巻くものも選びました。
モチーフとなったものは、じょうろ、小瓶、貯金箱 などなど。巻くものは、毛糸、蔓、コード、ベルト・・・
サポーターと毛糸の色や巻き方を相談しながら、グルグルとモチーフに巻き付けていきました。
巻くというのはとても単純な行為ですが、やりはじめると夢中になります。
巻くもの巻かれるもの制作風景1 巻くもの巻かれるもの制作風景2 いろんな材料を広げて、
サポーターと共に選びながら
制作していきます

巻くもの巻かれるもの完成1 巻くもの巻かれるもの完成2 巻くもの巻かれるもの完成2
モチーフが見えなくなるまでグルグルになったもの、モチーフとモチーフを組み合わせて巻き付けられたもの、などなど、できあがった作品は、それぞれの性格や個性がみごとに出ている不思議なオブジェとなりました。

◆ワークショップ2
ワークショップ2制作風景 モチーフを選び、それをじっくり触りながら、マーカーでカプセル用紙(立体コピーのための特殊用紙)に描いていきました。
一通り描いたら、それを立体コピー機に通すと、マーカーで描かれた部分が盛り上がったコピーが出てします。それを触って確認し、また上から書き足して、再び立体コピーに通すという手順で進みました。
ワークショップ2制作風景 できた作品はいろいろありましたが、描くことに慣れていた人は、大胆にスルスルと生きた線がうかびあがりました。
初めて描く人は、サポートさんと、紙の大きさ、描き始め、描き終わりを慎重に確認しながら、はじめての作品が誕生しました!
ペンを持って描き、それを確認できるという事に、新鮮な感動を覚えられたようです。

◆ワークショップ3

ワークショップ3制作風景1
ワークショップ3制作風景2
ワークショップ3制作風景3
今度はモチーフがありません。
レトラライン(製図用の細いテープ)や、カッティングシート(好きな形に切ってシールみたいに貼れる)や蜜蝋粘土(にぎると体温でやらかくなり、形が作りやすい、それを薄くのばして紙にはりつける)など使って、好きなものを描きました。
レトララインの使い方やカッティングシートを貼り付けることがむずかしく苦労もしましたが、自分に合った素材を探して、作品を作りました。
こうしてできた作品は・・・
音が飛び出しているギター、さまざまな素材のカッティングシートを使った手触りのおもしろい岩石、しっぽをなびかせて走り抜ける馬、さざ波のむこうにある夫婦岩(?)などなど、考えていた以上にすばらしい作品が次々に描かれたのでした!
紙が小さすぎると言って、元気イッパイいろいろなモノをはみ出して描かれていた方、申し訳なかったです!

ワークショップ3完成作品
ワークショップ3完成作品
ワークショップ3完成作品
ワークショップ3完成作品
最後に作品の紹介をペアになったサポートさんと一緒に発表してもらいました。
参加者からは、苦労した所や、作品の説明が話され、サポートさんからは、作品を通して参加者の思いや、様子が伝えられました。

もしかして世界初のワークショップかな? 
参加者からは、時間が足りない、また参加したい、素材を売っているところを教えて欲しい、という声があがっていました。
参加者もサポートさんも真剣に集中して、そして楽しみながら、創作されている姿が印象的でした。意義のあるワークショップとなったことは間違いないです。
みなさま、お疲れさまでした。また、機会があれば実施しましょう!

※今回のワークショップには、伏見工芸様より材料などのご協力を頂きました。
平野絹子さん作

久々の 友の笑顔に 接しつつ
    ワークショップに 無心のひと日(ひ)
                


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