#43 熱帯魚辞典>(03) 《あ、い、う、え》       可良時寿子
可良時寿子 ID:KBB53931

【アロワナ】
      骨で出来た、堅い舌を持つ熱帯性淡水魚のグループ。
      **アロワナと呼ばれる、OsteoGlossum目の魚は、現在
            a、南米の2種(シルバー、ブラック)。
            b、オーストラリアの2種(スポッテド、ノーザン)。
            c、アジアの1種(グリーン)。
            d、アフリカの1種(ナイル)。
    が、知られている。
      この魚の分類上の位置を示す、OsteoGlossum 目と言うのは、骨(Ost)の
    舌(Gloss)と言う意味で、広くは、モルミルスやピラルクもこの仲間に含ま
    れている。
      この内、a〜cの5種は、Osteoglossum 科に属して居り、魚食性である
    が、ナイル・アロワナ=ヘテロティスは、Arapaima 科に属しており、どち
    らかと言えば、ピラルク=Arapaima Gigas CUVIER に近い仲間で、食性はプ
    ランクトン・フィーダーである。
      この仲間の特徴は、顎の骨の形が極めて原始的な形状を止めている事で、
    『古代魚』とも呼ばれている。
      しかし、顎の骨の特徴は、他にも似た物があり、アロワナと他の硬骨魚を
    分ける最大の特徴点は、胃と腸の関係である。
      普通、硬骨魚類の腸の前部は、食道や胃の右側を走るが、アロワナは、左
    側を走るという、際だった特徴があり、これは、幼魚にやっとの思いで飲み
    込めるような大きな餌を食わせると、右側の腹が膨れることで、解剖しなく
    とも、観察することが出来る。
      繁殖は難しく、パチンコの玉より少し小さなサイズの卵を生み、孵化する
    迄親が口に銜(くわ)えて保護する、マウス・ブルーダである。
      アジア・アロワナは、サイテスで、Red-Book (全面的に取引禁止の、
    第一級の保護対象生物のリスト)に記載されているが、1991 年より、イン
    ドネシア産のアロワナは、数量を限定して、第2種(許可が有れば取引可)
    に記載されると言う、変則的な扱いになり、これを隠れ蓑に、密輸の魚も一
    緒に販売されている。

【アワジヤ】
      関西で、一般の人にアワジヤと言うと、駅弁屋さんを連想するが、ここで
    は、駅弁は無関係である。
      大阪の、地下鉄九条駅前に在る、熱帯魚ショップ。
      ディスカスの繁殖技術は、抜群で、質の良い自家繁殖ディスカスを販売し
    ているが、アヤジヤのオリジナルな系統と言うものはなく、ターコイス・
    ディスカスと原種グリーン・ディスカスとのハイブリッド作りをしている。
      兎に角、繁殖の難しい原種グリーン・ディスカスを扱わせたら、右に出る
    者は居ない。
      原種の輸入ディスカスも、質の良い物を沢山仕入れている。
      ディスカスの病気に対しては、極めて神経質に気を配っており、販売用の
    魚をすくうとき、一回毎に肘まで石鹸で洗い、病気の予防に努めていると言
    うショップはここくらい。
      兎に角、病気の魚は、絶対に売らないと言うのは、安心できる。
      オーナーは誠実ではあるが、ヘソ曲がりで、絶対に値引き販売をしないと
    言う、大阪には珍しい店。
      何でも、値切って買わなければ気が済まないと言う人が、買いに行けば、
    喧嘩になって、腹を立てるだけの結果を招く。
      1991年4月に、店舗を改築、増床した後は、金魚、海水魚の水槽も増え、
    総合ショップの雰囲気に変わった。

【アンモニア】
      NH3 = 魚の排泄物の主成分で、蓄積すると、魚に対して、強度の毒性を示
    す。
      アンモニア水溶液は、アルカリ性を示す。
      また、魚に対する毒性は、pHが高いとき、すなわちアルカリ性の水質の
    時に強く出る。
     魚から排泄されたアンモニアは、水のpHが低いときは、比較的毒性の弱
    いアンモニゥム・イオンに変化する。
      熱帯魚を飼育する水槽の中では、アンモニアは、一部がコケ、水草などに
    肥料として利用され、更に、生物濾過が行われて居れば、硝化バクテリアの
    ニトロ・ソモナスに依って、亜硝酸に変えられる。
      ここで出来た亜硝酸も、魚には強い毒性を示す。
      この亜硝酸は、更に、ニトロ・バクターと言うバクテリアによって、毒性
    の低い硝酸に変えられる。
        ★参照  →  生物濾過。

【アンモニゥム・イオン】
     魚の排泄物の主成分は、アンモニアで有るが、飼育水のpHが低いと、ア
    ンモニアはアンモニゥム・イオンに変化する。
     イオン状態になると、魚に対する毒性は弱くなる。
     アンモニゥム・イオンもまた、濾過バクテリアの処理の対象となる。


【イエロー・カボンバ】
      カボンバの一変種 = Cabomba australia。
      現物を知らない人は、名前からすると、黄色い葉をしたカボンバを連想し
    そうであるが、見たところ、どこも黄色くない。
      イエローと言う名前の由来は、花の色に基づく。
      普通、カボンバの花は、白色であるが、本種の花弁は黄色い。
      カボンバは、水中でも良く開花するので、容易に観察できる。
      また、カボンバの仲間は、就眠運動を行い、夜間は、茎の先端部の葉を閉
    じるが、かなり正確な生物時計を持っており、いつもの消灯時間がくると、
    例え蛍光灯をつけておいても、眠ってしまう。
      本種は弱酸性の軟水を好み、フィルターや底砂に貝殻とかサンゴ砂が混
    じっていると育たない。
      また、強い照明を要求し、照度が低いと上手く育たない。
        ★参照  →  カボンバ。

【イカリムシ】
      頭の形が、船の碇のような形に成っており、その為に「イカリムシ」と呼
    ばれる、太さ1mm、長さ8mm位のガラス細工のような、半透明の、吸血
    性の寄生虫。
      水田で養殖される金魚に寄生しており、餌金に混じって、水槽内に浸入す
    る。
      魚の体表に寄生し、鱗を貫通して、碇のような頭を魚体に打ち込み、血を
    吸う。
      頭が碇の様になっているので、自然に抜ける事はない。
      寄生する数が少ないと、致命的にはならないが、寄生された魚は、体が痒
    いために、物に擦り付けるような動作をして、皮膚に傷が着くと、他の病気
    を併発する原因になる。
      放置すると、繁殖力が強く、魚の口の中まで寄生し、その為に魚は餌を食
    えないと言う事態を招く。
      寄生している数が少なければ、魚をすくって、湿ったタオルの上に乗せ、
    ピンセットで虫を抜くのが良いが、数が多い時には、リフィッシュを使って
    殺すのが一番確実である。
      リフィッシュを使うと、すぐに死ぬが、虫の体が固いため、死んだままで
    暫く魚体にぶら下がっているが、これを見て、「薬の効きが悪いから、濃度
    を上げよう」等という間違いを犯しては、ならない。
      死んだイカリムシは、3日くらいで、腐って落ちる。
      リフィッシュは、イカリムシの生体には効くが、卵には効かないので、底
    砂の中に潜っている卵が、孵化する時を狙って、1週間くらい後で、もう一
    度投薬すると、完全に駆除できる。
        ★参照  →  リフィッシュ。

【生き餌】
      文字通り、生きている餌。
      魚食魚に与える「餌金」と呼ばれる和金も生きているが、普通、生き餌と
    いうと、ミジンコ、ボウフラ、アカムシ、イト・ミミズ等を指す。
      このリストを見ても解るとおり、汚い、ドブの様な処に棲んでいる、虫ば
    かり。
      生き餌は、動くので、魚の興味を引き、よく食べ、人工飼料よりは栄養の
    片寄りが少ないので安心できるが、汚いところに棲んでいるので、雑菌に汚
    染されており、病気を引き起こす原因になるだけでなく、ヒドラとか、ヒル
    の様な寄生虫を、水槽の中に持ち込む原因となる。
      これらの生き餌は、下水道の完備していない、別の言い方をすれば、衛生
    状態の悪い地方ほど、豊富にあり、下水が整備されると、採れなくなる。
      趣味で魚を飼育するのであれば、本人だけでなく、周りの人に与える印象
    も大切であるから、清潔な人工飼料の研究をするのが望ましい。
        ★参照  →  イト・ミミズ。

【イクチォ・フチリゥス】
     原虫類の繊毛虫と言う種のイクチォ・フチリゥス = Ichthyophthirius
    multifiliis。
     最もポピュラーで誰でも一度は悩まされた事のある熱帯魚の病気、白点病
    の病原菌。
     0.5〜0.8mmの卵形をしており 回りに繊毛と呼ばれる毛が生えて
    いる。
     最適繁殖水温は10〜15℃で25℃以上になると繁殖できない。
     対策は、メチレン・ブルー、食塩、または28℃以上の水温。
        ★参照  →  白点病、メチレン・ブルー。

【一時硬水】
     水の硬度を上げる成分が主として炭酸塩から成る場合、この水を煮沸
    すると、カルシゥム、マグネシゥムなどの塩は沈澱し、軟水になる。
     このように煮沸する事で容易に軟水化出来る硬水は、一時硬水と呼ばれ
    る。
     逆に煮沸しても軟水化出来ない水は、永久硬水と呼ぶ。
        ★参照  →  永久硬水、硬度、硬水。

【一次淡水魚】
      海水魚に起源を持たず、淡水中に発生した種を、一次淡水魚という。
      海水魚に起源を持ち、進化の過程で、淡水域に進出した種を、二次淡水魚
    という。
      一次淡水魚はコイ、ナマズ等で少なく、多くの淡水魚は、二次淡水魚であ
    る。
        ★参照  →  二次淡水魚。

【遺伝】
      昔から「瓜の蔓に、ナスビは成らぬ」とか、「蛙の子は、蛙」と言われる
    様に、子供は親と同じ形質のものが生まれる。
      最初は、たった一つの卵細胞が、授精後、分裂を繰り返し、単に数が増え
    るのではなく、目や、心臓や、その他、個体を形成するために必用な、各部
    の器官が、間違いなく形成されて行く。
      これらの器官を、正確に作り上げる設計図は、卵子と精子の核酸の中にあ
    る染色体の上に乗った情報であり、伝わる情報を遺伝と言い、これを伝える
    物質を遺伝子と呼ぶ。
      つまり、蛙の子は、初めは尻尾があり、親と似ていないが、最終的に親と
    同じ形態に育つのは、遺伝の為である。
      勿論、遺伝子の情報の中には、個体の表現形を決める時に、使われなかっ
    たり、他の遺伝情報の陰に隠れて、表面に見えないものもあり、外見上、判
    別出来るだけの内容よりも、遥かに多くの情報を伝えている。
      なお、これは大切な事であるが、親から子に伝わる形質は、その親が、生
    まれつき持っていた、「遺伝情報」であり、成長の途中で、怪我をしたと
    か、病気になった事による、後天的な体型の変化などは、「獲得形質」と
    いって、遺伝子には書き込まれていないので、子供には伝わらない。

【イト・ミミズ】
      貧毛類に属する、ミミズを小型にしたような虫で、栄養分の豊かな淡水の
    泥の中(解り易く、平たく言えば、メタンガスが沸き上がってくる様な不潔
    なドブの中)に集団で棲んでおり、泥を飲み込み、その中の有機物だけを吸
    収し、泥は糞と一緒に吐き出すという生活をしている。
      このため、イト・ミミズの中には、汚い泥と一緒に、雑菌がぎっしりと詰
    まっており、魚は喜んで食べるが、病気が発生する基になると言う、始末の
    悪い餌である。
      そのほか、イト・ミミズの塊の中には、ヒルとかヒドラの様な、寄生虫が
    沢山混じっており、余り質の良い餌とは言えない。
      底の浅い容器にイト・ミミズの塊を入れ、水をチョロチョロと流しておく
    と、保存が利き、そのうちに体内の泥を吐き出すので、多少清潔になる。
      イト・ミミズは見た目にも、気持ちが悪く、アクアリストが、家族や世間
    から、白い目で見られるのに一役買っている。
      別名、イトメとも呼ばれている。

【イトメ】
      イト・ミミズのこと。
        ★参照  →  イト・ミミズ。

【イネス=Innes】
      魚類学の大家。
      熱帯魚の解説書を、沢山出版して、欧米での熱帯魚趣味の普及に、多大な
    貢献をした。
      1950年代に、牧野信司さんが、わが国で得意になって出版した、熱帯
    魚の解説書は、殆どこの、イネスの本を真似て、引き写した物。
      処で、外国の人名とか、地名のような固有名詞をどう読み、カナでどう表
    記するかというのは、いつでも難しい。
      何しろ、昔から『ギョエテとは、俺の事かとゲーテ言い』と言う、川柳が
    有るくらいである。
      で、このInnesも、牧野信司さんに依ると、「インネス」と書かれて
    いるが、これはとんでもない間違い。
      Innesは「イネス」と読むのが、最も元音に近い読み方になる。
      「nが二つ有るから、インネスが正しい」と主張する人もいるが、その人
    が、Tennisの事を、常日頃から「テンニス」と発音しても、恥を掻か
    ずに済んでいるので有れば、「それも一理有るでしょう」と言って置く。

【イモ】
      ファッションの世界で「イモ」と言えば、あか抜けしない田舎者を指す、
    軽蔑した言葉であるが、ここでは、雪に埋もれて、冬眠している「サンショ
    ウオ」を指す。
      サンショウオは昔から、山間部に住む人たちの大切な動物性タンパク源で
    あり、「イモ掘りに行こうか」と言うと、サンショウオ捕りのことになる。
      なお、わが国では、オオサンショウオだけは、天然記念物として保護され
    て居り、捕獲することが禁じられているが、他のサンショウオは自由に捕獲
    できる。
        ★参照  →  サンショウオ。

【色揚げ】
     餌の成分その他に工夫を凝らし、魚の体色を美しく発現させる操作を色揚
    げという。
     現在、色揚げの手段としては、
        a、ビタミンAやB12を餌に混ぜて、体色をきれいにする。
        b、ホルモンでドーピングして、幼魚に対し成魚のような色を出す。
        c、ペンキを塗ったり、色素を注射する、子供騙しの色揚げ。
    と言う方法が有る。
     aの方法が本来の色揚げであり、コストが高く付く割に体色の変化はごく
    僅かである。
     主にディスカスとか、錦鯉に対して行われている。
     bの方法は、ディスカスとアフリカン・シクリッドで行われているが、個
    体本来の色とは異なる強力な青色を発現させ、ユーザを騙す方法であり、繁
    殖障害にとどまらず、成長障害を引き起こした物さえ販売されている。
     cの方法は、透明な体のグラス・フィッシュに赤や緑の鮮やかな蛍光塗料
    を注射したカラー・グラスが有名。
     このcの方法など、魚のイレズミの様な物であるが、これを注射による色
    揚げと知らずに買う客が多く、グラス・フィッシュの輸入量の70%位は、
    蛍光塗料で着色された物という、嘆かわしい現象が起きている。
        ★参照  →  カラー・グラス、ドーピング。。

【咽頭歯】
      鯉科の魚は、顎に歯が無い代わりに、口の奥、喉の入り口の処に、小さな
    歯を持っている。
      この歯を、咽頭歯と言う。
     時には、「鯉が鳴いた」と言う話しを聞くが、これは咽頭歯を擦り合わせ
    る音である。

【インフゾリア】
      有機物の多い淡水に発生する、微小な原生動物の総称。
      特に一般的なのはゾウリムシ。
      これが集まったところを見ると、水が白く濁っている様に見えるだけで、
    個々の個体を、肉眼で識別することは困難である。
      サイズが小さいので、ベタとか、ドワーフ・グーラミィの様な、稚魚のサ
    イズが小さすぎ、ブラインシュリンプを食べることが出来ない魚を繁殖させ
    たときに、稚魚の餌として与える。
      台所の排水が流れるような処に、沢山居るが、魚に与える場合は、清潔な
    ものを養殖する。
      インフゾリア自身は、どこにでも居るので、特に種になる物を集めてくる
    必要はない。
      古い本を読むと、水を入れた容器に、レタスの葉を浮かべ、粉ミルクを振
    りかけておくと書いてあるが、最近の、温室育ちのレタスは清潔すぎ、余り
    インフゾリアが着いていない。
      適当な容器に、水を入れ、農薬の掛かっていない、クローバかレンゲの葉
    を数枚摘んで来て、水洗いせず、これを汁が出るくらい強く揉み潰して、水
    に浮かべておくと、インフゾリアが繁殖し、3〜4日で水面の近くが白く
    濁ってくる。
      この白い濁りが、インフゾリアであるから、スポイトで集めて、稚魚に与
    える。

【イン・ブリード】
      品種改良の過程で、純系を作り出すために、目的とした形質を持った、同
    胎の子同士、或いは、親と子等の近親交配を繰り返し、余分な遺伝子をふる
    い落とす操作をいう。
      口で言うと簡単だが、実際には、結構難しい問題をはらんで居る。
      近親交配を繰り返すと、5〜8代目くらいから、『内婚弱性』と呼ばれる
    現象で、奇形や虚弱な個体の比率が、極端に増え、所謂「血が濃くなり過ぎ
    た」と言う弊害が現れる。
      ここを乗り切って、更に近親交配を続ける事によって、生まれる子どもは
    全て親と同一の形質を示す、純系というものが出来上がる。
      内婚弱性を克服するためには、出発点を同じくする、2系統のイン・ブ
    リードを行い、適当なところで、この二つの系統の血を混ぜ合わせる、とい
    う「ライン・ブリード」、と呼ばれるテクニックを使う場合もある。
      国産グッピーが、比較的純系に近いものが出来上がっているのに対し、
    ディスカス等が、系統として不安定なのは、世代を重ねるに必要な期間の、
    長さの違いである。
        ★参照  →  ラインブリード、内婚弱性。

【ウィロー・モス】
      わが国の湿地帯にも自生している、苔 = Fontinalis antipyretica。
      水上で、絶えず水シブキがかかる様な、湿度の高い処で育てると、厚みの
    あるマットになり、観賞価値が高い。
      アクア・テラリゥムの水上部に繁殖させると、短時間で、年期の入った雰
    囲気の苔が育つ。
      水中では、流木や石等に薄く張り付け、ゴムバンドなどで縛って置くと、
    活着させる事が出来るが、水上と違って節間が伸びて、剥がれ易くなる。
      流木に付けた場合は、余り茂りすぎて、流木と接している部分に光が当た
    らなくなると、この部分が枯れて、流木から剥がれて仕舞うので、厚く茂り
    過ぎないように、定期的にハサミで刈り込む必要がある。
      繁殖は容易で、すぐに水槽一杯に茂る。
      ゼブラ・ダニオ等、卵を水中にバラ撒くタイプの鯉科の魚の産卵床に利用
    できる。

【ウインプル・ピラニア】
      獰猛な、アマゾンの魚食魚として、良く知られている、ピラニアの仲間で
    あるが、本種は、歯が前向きに付いた、所謂「ソッパ」で有り、これで他の
    大型魚の体側に体当たりし、剥がれ落ちた鱗を専門に食べる、スケィル・
    イータで有る。
      世の中には、珍しい餌を食べる魚もある物だが、うっかりと他の魚と一緒
    に飼育すると、殺しはしないが、鱗をはぎ取って、ボロボロにして仕舞うと
    いう、困った魚。
        ★参照  →  スケィル・イーター。

【ウオ・ジラミ】
      漢字で書けば、『魚虱』。
      餌金に寄生して、水槽内に浸入する、吸血性の寄生虫で、『チョウ』の別
    名。
        ★参照  →  チョウ。

【ウォーター・スプライト】
      蓬(ヨモギ)の葉のような形に切れ込みのある、明るい色の水草で、シダ
    の仲間。
     学名は Ceratopteris cornuta。
      成長力が強く、植え替えにも良く耐えるので、パイロット・プランツとし
    て、最適。
      植え替えに耐えるところから、定期的に水槽の丸洗いをする、グッピーの
    水槽にも適している。
      葉の切れ込みの処から子株を発生するので、容易に増やす事が出来る。
      この水草は、中性の水を好み、元気良く成長して居れば、水のpHは、お
    よそ7近辺である事が解るという、水質のバロメータにも使える、便利な水
    草。
      良く似た物に、アメリカン・スプライト = Ceratopteris thalictroides
    が有るが、こちらの方は、コスモスの様に細い葉になる。
        ★参照  →  パイロット・プランツ。

【ウォレス線】
      アルフレッド.R.ウォレスと言うのは、ダーウインを援助した博物学者
    で、ダーウイン依りも先に、自然淘汰による進化論を発想した。
      彼の研究によると、地理的に非常に近いところで、生物の分布が大きく変
    わるところがあり、この境界線をウォレス線という。
      代表的なウォレス線は、ボルネオ島と、セレベス島の間を通る線が有名で
    ある。

【浮き袋】
      魚に特有の内臓器官で、空気を溜めて、浮力を調節する為の物。
      これがうまく働いていると、水中で、静かに停止することが出来る。
      金魚などが体調を崩して、逆さまになってしまったり、ディスカスが頭を
    下に、垂直に泳いだりするのを、時々見かけるのは、調節機能が壊れたので
    あり、こうなった個体の回復は期待出来ない。
      肺魚やピラルクの様に、浮き袋の中に多数の毛細血管が走り、呼吸活動の
    補助に利用している種もある。
      昔は(ヨーロッパにゴムが紹介されるよりも、もっと大昔)、魚の浮き袋
    は、薄くて丈夫なので、コンドームとして利用された歴史がある。

【エア・ストン】
      エアレーションの時に使うディフューザの一つで、細かい砂を接着剤で固
    めて、多孔体とした物。
      ディフューザの材質は、木、プラスチックス等、各種有るが、この砂を固
    めた物が、最も普及している。
        ★参照  →  エアレーション。

【エア・チューブ】
      エアレーションする時、エアポンプとエアストーンの間をつなぐ、送気
    チューブで、ビニル製の物は、初めは柔らかいが、水に浸かった部分は、可
    塑材が流出して、弾力を失ってしまう。
      最近は、従来の透明なビニル製ではなく、緑色した、硬くなり難いチュー
    ブも売られている。
      しかし、これも程度の差であって、そのうち硬くなるが、この緑色の
    チューブの良いところは、曲がったところを引き回しても、潰れないことで
    ある。

【エア・ディヒューザ】
      エアレーションをする時、水中に細かい泡にして放出する、多孔体の物体
    で、砂を固めたエア・ストン、プラスチックスの粉末を固めた物、ライム・
    ウッド(菩提樹)の木目を利用した物などがある。
      ライム・ウッドは特に目が細かく、海水魚水槽に使用すると、まるで煙の
    様な細かい泡を出すが、淡水で使用する場合は、水の表面張力の違いで、も
    う少し粒の大きな泡となる。
        ★参照  →  エアレーション。

【エア・ポンプ】
      水槽にエアレーションするときに使う、道具。
      送気量が多いときは、ピストン式のコンプレッサを使うが、一般の家庭で
    は、ゴムのダイヤフラムを、マグネットで振動させる物が、値段も廉い。
      ダイヤフラム式の原理は古く、30年くらい前に牧野信司さんが発明した
    物で、これ以来、基本的な構造は変わって居いない、彼の傑作。
     ピストン式と違ってエアの中に潤滑油が混入してくる恐れがないので、安
    心して使える。
      マグネットの振動を利用するので、唸り音が気になるが、置き場と共振し
    ている場合が多いので、ポンプをヒモで縛り天井からブラ下げて置くのが、
    手軽で、かつ、効果的な騒音対策となる。
      ポンプは水面より高いところに設置しないと、停電などでエアが止まった
    とき、水が逆流して、漏電事故の元になる。

【エアレーション】
      水槽の中のでは、自然界とは桁違いの高密度な飼育がされているので、そ
    のままでは、水中の溶存酸素が不足し、魚が呼吸困難になる。
      アナバス科の仲間のように、補助呼吸器で空気中から直接呼吸できる物は
    よいが、普通の魚は、酸欠を起こし、鼻上げ状態になる。
      この鼻上げ状態と言うのは、魚に取っては、非常に苦しい状態であり、ま
    た、酸素が不足すると、濾過バクテリアも不活発になるので、フィルターの
    効果が落ち、水質悪化の原因となる。
      この対策として、強制的に水中に泡を吹き出し、溶存酸素の量を高める動
    作をエアレーションと言う。
      エア・ポンプで空気を圧縮し、これを細かい穴の開いたエア・ディフュー
    ザを通して、泡を吹き出す事に依って、主たる目的の溶存酸素量を増やすこ
    との他、エアの流れで、水が撹伴されるので、水槽の中の温度を均一化させ
    る。
     夏にあっては、水の蒸発作用によって、水温の上昇を抑えるなどの効果が
    ある。
        ★参照  →  鼻上げ。

【エイ・エル=A.L】
      アクア・ライフ誌の略。
        ★参照  →  アクア・ライフ誌。

【永久硬水】
     水の硬度成分が硫酸塩を主とする時、この水は煮沸しても硬度成分が沈澱
    しないために、煮沸で軟水化出来ない。
     この様な水を、永久硬水と呼ぶ。
     わが国には少ない。
     逆に、煮沸で軟水化出来る水を、一時硬水と呼ぶ。
        ★参照  →  一時硬水、硬度、硬水。

【餌金】
      世の中に、餌金という種類の魚は居ない。
      周年入手可能な魚食魚の餌として、鮒尾の和金が使われており、この和金
    を熱帯魚ショップでは、『餌金』と称している。
      正体は、夏の風物詩である、金魚スクイに使われる物と同じ和金であり、
    金魚スクイが、夏の短期間の商売であるのに対し、餌金の需要は一年中コン
    スタントに有るため、売上は、金魚スクイ用よりも、遥かに多く、金魚生産
    者の経済を潤している。
     20年ほど前、一時、金魚生産業者によって、金魚を餌にするのはケシカ
    ランと言う事で、餌金の販売を停止する決定がなされた事があるが、売上の
    落ち込みには勝てず、なし崩しに決議が骨抜きになった。

【エッグ・スポット】
      アフリカの湖産シクリッド各種の、雄の尻鰭に、入っている直径
    2〜3mmの黄色、または白色の、スポット状の模様。
      これらのアフリカン・シクリッドはマウス・ブルーダと言って、卵を雌が
    口に咥え、孵化するまで、絶食して保護する習性があるが、この習性と密接
    に結びついている。
      即ち、雌は、放卵した自分の卵を次々に口に咥えるが、この時、雄のエッ
    グ・スポットを卵と間違え、未だ卵が残っていると勘違いして、これを咥え
    ようとする。
      こうして、雄の尻鰭のあたりに口を持って行った時に、雄が放精すると、
    精子が雌の口に飲み込まれ、先に咥えられていた卵は、雌の口の中で受精す
    ると言う、巧妙な仕掛になっている。
        ★参照  →  アフリカン・シクリッド。

【エド・ニシキ】
     比較的歴史の新しい(と言っても発表されて20年になる)金魚。
     ランチュウと三色出目金の交配によって作出された。
     体型はランチュウ型で背鰭がなく、体色は三色出目金と同じアサギ色。
     金魚の歴史としては新しく、まだ選別淘汰が不十分で、背中のカーブのき
    れいな物は少なく、販売されているのは、体型の悪い物ばかりであるが、ラ
    ンチュウ型の体型にアサギを乗せた物は他にないので、値段は高い。
        ★参照  →  アサギ色、三色出目金。

【エフ・アクア=FAQUA】
      商業ネットNifty−Serveの中の熱帯魚、水草を話題とするSI
    Gにアクセスする時のコマンド、Forum-AQUAに由来し、ニフティの中
    で、水生動植物と、園芸に関心を持つ人のシグを指す。。
      ここはフォーラム会員制という、もったい振った制度があり、ニフティの
    会員になっても、各SIGに入会を申請し、承認されなければ、フォーラム
    には参加出来ないので、SIGOPの権力が強い。
   以前は、商業誌と、メディアミックスを行った関係で、業界批判を行うこ
  とは全く許されず、それにとらわれて、ユーザーの発言を削除し、又、場合
  によっては会員削除も行われた。
   そのような恣意的な支配体制は当然長続きせず、92年9月より、正常化
  がはかられて、現在では、自由な発言が保証されている。

【エフ・エム=F.M】
      放送の世界で、F.M.と言えば、Frequency Moduration = 周波数変調
    方式の略で、到達距離は短いが、雑音を受けにくい、音質の良い放送方式を
    指すが、熱帯魚の世界では全く意味が異なり、フィッシュ・マガジン誌の略
    称となる。
        ★参照  →  フィッシュ・マガジン誌