#44 熱帯魚辞典>(04) 《え、お、か、き》       可良時寿子
可良時寿子 ID:KBB53931

【FFS】
     Free Fish Service の略。
     要するに、アマチュアが自分で繁殖した魚を、同好の人たちに無料で配っ
    て、仲間を増やそうと言う活動で、可良時寿子によって、提唱され、パソコ
    ン通信の世界で広がった活動。
      パソコン通信の世界には、フリー・ソフトと言って、腕に覚えのあるアマ
      チュアが自作した、便利なコンピュータ・ソフトを無料で配布する制度が
    あるが、こちらは、その熱帯魚版である。
      FFSと言うのは、要するに、会員が自分で繁殖させた魚を、希望者に無
    料で配布する活動を意味する。
      この、無料で配る魚がくせ者。
      殖えすぎたからと言って、何処にも引き取って貰えず、オスカーの餌にで
    もしようか、と言うようなレベルの魚ではなく、ショップに取っては、稼ぎ
    頭とも言う様な、ターコイス・ディスカスを、一人あたり1ダース単位で提
    供するなどと言って、ショップの神経を逆なでしている。
      その上、FFSで配られるディスカスは、ドーピングしていないので、ダ
    ウン・ロードした人が、自分で繁殖できるという楽しみと、何時かはFFS
    の提供者側に廻れるという、楽しみがある。
      ただ、コンピュータのフリー・ソフトは、提供者側が一つ用意すれば、同
    じ物を、何人がダウン・ロードしようと、一向に困らないが、FFSの場合
    は、提供する物が、実体のある生きた魚であるから、提供数に限りがあり、
    誰でも無制限にダウン・ロード出来る訳でなく、ROM会員は利用する権利
    がない。
      また、ダウン・ロードの手段も、NTT経由でと言う訳には行かず、欲し
    い人が、提供者の自宅まで足を運ぶのが、原則となっている。
     91年7月以前は、PDF(Public Domain Fishの略)と称されていた
    が、パソコン通信の世界で、PDSと言う用語が死語になった事に伴い、
    FFSと改称された。
        ★参照  →  可良時寿子。

【エレファント・ノーズ・フィッシュ】
      流石はアフリカの魚で、下顎が長く延び、名前の通り、象の鼻のように見
    える。
      学名は Gnathonemas petersii。
      この延びた鼻のような顎で、底土を掘り、虫を探し出す。
      外見は全く似ていないが、これでもピラルクや、アロワナと同じ、
    Osteoglossum 目に属する。
      この魚の特徴は発電器官を持っていることで、そのエネルギは極めて小さ
    く、デンキナマズの様に、他の魚を痺れさせる事が出来ないが、レーダの様
    に使う。
      夜行性で、視力が弱いが、レーダの為に、暗闇の中でも、狭いところを自
    由に泳ぐ事が出来る。
      縄張り意識が強く、よく喧嘩をする。

【エンゼル・フィッシュ】
      南米アマゾン川を代表する、シクリッド科の魚。
      素人に、「熱帯魚の絵を描け」と言うと、大概エンゼル・フィッシュを描
    くくらい、上下に鰭を延ばした、特徴のある体型が有名である。
      基質産卵で、一回に250粒くらいの粘着性のある卵を、水草とか、木の
    根等の平面に産みつけ、ペアで世話をする。
      縄張り意識が強く、数が少ないと喧嘩が絶えないが、多数をまとめて飼育
    すると、喧嘩しない。
      成熟すると、気に入った相手を選び、恋愛結婚でペアを組む。
      気に入らない相手と、無理にペアを組ませると相手を殺すと言われている
    が、これは、業者が作りだした神話で、実際には、ペアの組み替えは可能で
    ある。
      野生種は、
        Pterophyllum scalare scalare = スカラレ種と
        Pterophyllum scalare altum   = アルタム種
    の2種類居り、このうちスカラレ種は、繁殖も簡単で、人工繁殖の歴史が古
    いために、各種の改良種が作られ、ショップでも、殆ど改良種ばかりが販売
    されている。
      アルタム種は、アマゾンの支流、ネグロ川だけに棲んでおり、水槽内で繁
    殖に成功したと言う報告は、殆ど聞かない。
        ★参照  →  ネグロ川。

【追い星】
      魚の中には、婚姻色と言って、発情した時に、普段は見られない様な鮮や
    かな体色になるものが多く、特にこの変化は、雄に顕著であるが、金魚の場
    合は、頭から胸鰭にかけて、ニキビの様な白い点々が出てくる。
      これを追い星と呼んでいる。
        ★参照  →  婚姻色。

【大磯砂】
      熱帯魚を飼育するとき、底砂に使う、黒っぽい角の取れた砂である。
      サイズは、直径3〜5mm位。
      昔は、大磯の海岸で採取されたので、この名前があるが、現在の大磯の海
    岸は、砂利採取が禁止されており、他所で採取した物である。
      海岸で採取した砂であるから、塩分と貝殻を含んでおり、使用前に、良く
    洗って、塩分を除去して置く必要がある。

【オオカナダモ】
      わが国にも帰化して、河川や湖に沢山繁っている、トチカガミ科の水草。
     特に琵琶湖北部のオオカナダモの群落は有名。
      英名は、アナカリス。
        ★参照  →  アナカリス。

【奥山熱帯魚】
      京都の熱帯魚ショップ。
      自分の処で、ディスカスを繁殖させたら、さぞ儲かるだろうと、自称ディ
    スカス・ブリーダという、触れ込みの男を雇ったが、二年間頑張っても、一
    度も採れなかった。
      自家繁殖も出来ていないのに、A.L.誌に、沢山広告料を払った見返り
    に、ブリーダ特集号では、ブリーダと紹介してもらう。
      ホルモンの過剰投与で、ツバメウオの様に醜く鰭が延びたディスカスを大
    量に売り出して、いかにも素晴らしい個体に育ちそうな名前を沢山考え、自
    分が、出たら目に付けた名前も思い出せなくなって、同じ個体の写真に、
    次々と新しい名前を付けた広告をして、地方発送を頼りにしている読者を惑
    わせた。
      この、商人としてのモラルの低さは、A.L.誌89年の2月号から7月
    号の、同ショップの広告を見れば、同じ写真に別の名前を付けて広告してい
    る例がドッサリと有り、誰でも確認できる。
     例えば、1例だけを挙げて置くと、89年2月号でハイフィンハイフォー
    ムレッドターキスとして広告したのと『同じ写真』が89年5月号では、
    ハイフィンコバルトブルーターキスと言う名前で登場しすると言う具合であ
    る。レッドとコバルトでは大違いのはずであろう。
      なお、遂にディスカスを繁殖させる能力が無いことを悟った、自称ディス
    カス・ブリーダの飯○氏は、余りの恥ずかしさの為に逃げ出し、今は、静岡
    の某ショップで、ご飯を食べさせてもらっている。

【オスカー】
      アストロノータス・オセレィタスの俗称。
        ★参照  →  アストロノータス・オセレィタス。

【オトシンクルス】
     スマートな体型をした小型南米産ナマス、Otocinclus affinis。
     小さいときは、アルジー・イータと良く似ているが、こちらの方は、体長
    8cm以上には成らず、大きくならない。
     また、主食はコケで、水槽内のコケをきれいに掃除をしてくれて、他の魚
    に悪さもせず、期待通りに働いてくれる。
     ただ、少し虚弱なところがあり、死なせ易い。

【オニ・テナガエビ】
      東南アジア産の、大型淡水海老で、体長25cmに成る。
      学名は Macrobrachium rosenbergii。
      体色は暗緑色で、最近はわが国でも養殖され、ブルー・ロブスターの名前
    で、観賞の対象にもなっている。
      このエビがわが国で有名になったのは、観賞用としてではなく、タイ国で
    大量に繁殖している、レッド・ロイヤル・ブルー・ディスカスが、この海老
    の体内卵を与えられ、本来ブラウンの地肌の部分が、鮮やかなオレンジ色に
    色揚げされる事が、知られてからである。

【尾鰭】
      体の一番後ろ、脊椎の後端に付いた鰭で、遊泳するとき、最大の推進力を
    生み出す鰭であるが、中には、エイの様にヒモ状になり、推進力に役立たな
    い物も居る。
      グッピー等は、尾鰭の形の変異が多く、様々な形の尾鰭を持たせる事が、
    新品種作出の目標になる。
      ヒモ状の種類を除くと、大体、ウチワの様な形をしているが、金魚は横方
    向に広がり、三っ尾、桜尾、四つ尾、等があり、極端な場合、トサキンの様
    に、先端が前に反り返り、全く遊泳に使えないと言うか、流れのあるところ
    で泳がすと、観賞価値が無くなる、形の物も居る。

【温度合わせ】
      魚は、変温動物であり、自身の固定した体温という物を持たず、環境の水
    温に応じて、変動しており、自然界の季節変動に耐えて進化した物であるか
    ら、生存できる水温に多少の幅がある。
      しかし、幅を持った水温に耐える事が出来るのは、温度変化が緩やかな場
    合であって、急激な水温の変化を与えると、体調を崩したり、場合に依って
    は死んだりする。
      ショップから新しい魚を買ってきた時など、飼育環境を変えるときは、水
    温の変化がなければ理想的であるが、実際には、輸送中に温度が下がったり
    するので、自分の水槽に収容するとき、パッケージの袋の中の水温と、新し
    い水槽の温度を合わせてやる必要があり、この作業を、温度合わせという。
      具体的な作業は、簡単で、輸送中の温度低下を防ぐためにパッケージに巻
    いて在る断熱シートとか、新聞紙を取り去った後、袋の封をしたまま、30
    分位水槽の中に浮かべて置けば、パッケージの中の水温は、ゆっくりと、水
    槽の水温になり、魚にダメージを与えず、新しい水槽の温度に順応させる事
    が出来る。
      一般に、水温を急変させたとき、温度が高くなる方は、比較的耐える事が
    出来、水温が低下する方が、ダメージが大きい。
      大体、5℃の急激な低下が、生存の限界だと考えて置けば間違いない。

【怪魚】
      見た目に、可愛いとか、綺麗とかではなく、どちらかと言えば、グロテス
    クな印象を与える魚で、普通は「珍魚、怪魚」と一まとめにして、コレク
    ションの対象となる。
      要するに、他人が飼育していないような変わった魚のことで、次々に新種
    が紹介される、ナマズの仲間などが、興味の対象となる。
      これらの魚を飼育するのは、魚それ自体の魅力よりも、他人に自慢するの
    が目的であるから、沢山出回って値段が下がれば、興味がなくなると言う、
    成金趣味の人が、飛びつく魚である。
      ただ、珍しいというだけで、新しい魚に飛びつくと、86年の、ロイヤ
    ル・ナイフの様に、初め40万円もして、鼻高々と自慢していた物が、1年
    もしないうちに5000円と、1/100迄暴落し、飼育していると言う
    と、人に軽蔑される事態が発生したように、商売の上手なショップのカモに
    なり易い。
      魚自体に魅力を感じておれば、何も問題はないが、「値段の高い、珍しい
    魚」を自慢するのが目的で、コレクションする人が多いので、値段が下がる
    と、見捨てられる運命にあるのが、珍魚とか、怪魚と呼ばれる魚の、宿命で
    ある。
        ★参照  →  ロイヤル・ナイフ。

【化学濾過】
      化学的濾過と言うのは、アンモニア(魚の排泄物)に強力な酸化作用を有
    するオゾン = O3 等を作用させ、一気に窒素ガスと水に分解したり、カル
    シゥムやその他の金属イオンを、イオン交換樹脂を使って無害なナトリゥム
    に置き換えるなど、化学反応を利用して、水を浄化する方法である。
      この化学的濾過は、経費が高く付くことの他、性能を維持するメンテナン
    スが難しく、化学の知識に乏しい素人には使いきれないので、趣味の世界で
    は、殆ど利用されていない。
        ★参照  →  濾過装置。

【学名】
      ハマチ、ヨコワ、ヒッサゲ、ブリ、これは実は同じ魚の、大きさが異なる
    物に、成長段階を区別して、与えられた名前である。
      動植物の名前は、同じ国の中であっても、地方に依って異なり、また、同
    じ種類であっても、先に挙げたように、成長とともに、違う名前が使われる
    事が珍しくない。
      しかし、学問の世界では、万国共通の名前で呼ばないと、話が通じないと
    言う事で、学名で呼ぶことになっている。
      ヨーロッパでは、学術論文は、ラテン語で表記する事に依って、国語の違
    いを超えて、学問の交流が行われていたので、動植物の名前も、初めはラテ
    ン語で表記していた。
      処が、多くの新種が発見されると、後から付けられる名前がだんだん長っ
    たらしくなり、不便になったので、C.Von.Linneの提唱により、
    属名(人間の名前に例えると、姓に相当する)と小種名(同じく名に相当)
    の2命名法を採用し、亜種が有る場合は、小種名の後ろにもう一つつけると
    言う命名規則に統一した。
      現在の、世界中全ての動植物の学名は、この方法で統一されているので、
    学名で表現する限り、誰もが同じ生物を理解する事が出来る。
      学名は、ラテン語、或いは、ラテン語化されたギリシャ語が使われる。

【顎歯】
      顎に生えている歯の事。
      陸上、の哺乳類を見慣れた目には、全く当たり前の姿であるが、魚の中に
    は、歯を持たない物とか、咽頭歯と言って、喉の奥に歯を持っている物とか
    があり、必ずしも、顎歯を持つのが当たり前とは、限らない。
      カラシン科の魚は、体の大きさに比べ、鋭く大きな顎歯を持っているのが
    特徴である。

【獲得形質】
      親から遺伝に依って伝わったものでなく、成長の途中で、外部から獲得し
    た形質。
      例えば、怪我をして、体の一部が欠けたり、骨が曲がった等という、後天
    的な、事故による奇形などを言う。
      獲得形質は、遺伝しないので、怪我をして、観賞価値が落ちた魚であって
    も、繁殖の種親に使うのは、何等差し支えなく、子供は、正常な姿のものが
    得られる。
        ★参照  →  遺伝。

【活性炭】
      多孔質の炭で、水中の不順物を吸着するのに使用する。
      活性炭も、原料と、製法によって吸着能力は大幅に変わるが、熱帯魚用と
    して販売されている活性炭は、石炭を原料にしたもので、多孔度も低く、活
    性炭としては、最も低級なものである。
      水槽に薬を使った後で、薬の効き目を止めたり、着色しているのを取りた
    いとか、バクテリアが完全に湧いて無くて、水が白く濁ったときなどに、
    ネットに入れてフィルターの中などの、水が流通するところへセットして置
    くと、水中の不純物を吸着し、綺麗な、澄んだ水をつくる事ができる。
      即効的な効果はあるが、効き目は長続きせず、3〜5日くらいで、効果が
    無くなるので、これを濾過の中心に据えると失敗する。
      あくまでも、応急処置的に澄んだ水を作りたい時に、使えるだけのもの。
        ★参照  →  濾過装置。

【桂水族館】
      京都の、物集女(もずめ)五条に在る、熱帯魚ショップ。
      質の良いディスカスの販売では定評があり、ワットレィとか、シラセを、
    新幹線に乗って、ヒロセ迄仕入れに行き、血統証明書付きの物を中心に販売
    している。
      品物はよいが、値段は近所のショップよりも、1桁高い。
      海水魚も扱っており、状態の良い物だけを販売するという姿勢は、値段が
    高くとも、信頼でき、しっかりとした固定客を掴んでいる。
     何処で買っても変わらない用品類は、全て定価販売であるから、こんな物
    は他の安売り店で購入し、質の良い魚だけを買うようにつき合うのが良いの
    かも知れない。

【カージナル・テトラ】
      アマゾンの支流、ネグロ川に棲む、体長2.5cmの小型カラシン。
      学名は Cheirodon axelrodi。
      一見、ネオン・テトラに似ているが、ネオン・テトラは腹部が白く、赤い
    ラインが体の後ろ1/3位までしか入らないのに対し、カージナルは頭の後
    ろから、尾鰭の付け根までが赤くなる。
        ★参照  →  ネグロ川。

【梶鰭】
      金魚の場合、尻鰭の事をカジ鰭と呼ぶ事がある。
        ★参照  →  尻鰭。

【河川産シクリッド】
      河川と言えば、アマゾン川も河川であるが、熱帯魚マニアが河川産シク
    リッドという場合の「河川」はアフリカ大陸、西海岸各地の河川を指す。
      これらの河川の流れるところは、一年の気候が乾期と雨期にはっきりと分
    かれ、乾期と雨期では、河川の水位が極端に変動する。
      熱帯雨林の中を流れる河川であるから、厚く積もった落ち葉の層を潜って
    来た水は、硬度が低く、pHは弱酸性である。
      詰まり、同じアフリカン・シクリッドと謂えども、湖産シクリッドとは、
    正反対の水質であり、ここに産するシクリッドは温和しく、色彩もパステ
    ル・カラーの渋い物が多い。
        ★参照  →  アフリカン・シクリッド。

【金沢ディスカス研究所】
      ディスカス・ブリーダー、筆秀一氏の根拠地。
      ディスカス繁殖場、兼、小売りショップ。
     まだ、わが国のディスカス繁殖例が少ないとき、いち早く安定繁殖に成功
    した筆氏の根拠地として、一躍脚光を浴び、通信販売を通じてディスカスの
    普及に貢献したが、残念ながら、魚の質はお世辞にも良いと言えなかった。
     現在、同名のショップはなく、現在は金沢ペットと改称し、最近は、ディ
    スカスの他に、エンゼル・フィッシュも、繁殖させて居るらしい。
        ★参照  →  筆秀一。

【カボンバ】
      フサフサとした、細かく枝分かれした葉を広げる、有茎植物。
      ビニル・ハウスで大量に生産されているので、値段が廉く、数10本をま
    とめて植えると、美しい水中風景が実現するが、強い光線を要求し、水槽の
    照明が暗いとうまく育たず、先の方から溶けてくる。
      照明が強く、調子がよいと、地下茎を延ばして繁殖する。
      また、カボンバの仲間は、就眠運動を行い、夜間は、茎の先端部の葉を閉
    じるが、かなり正確な生物時計を持っており、いつもの消灯時間がくると、
    例え蛍光灯をつけておいても、眠ってしまう。
      本種は弱酸性の軟水を好み、フィルターや底砂に貝殻とかサンゴ砂が混
    じっていると育たない。
      イエロー・カボンバ、レッド・カボンバなどの変種があるが、カボンバに
    限らず、赤い葉の水草は、強光線を要求し、育てるのが難しい。

【カラー・グラス】
      トランス・ルーセント・グラスキャットや、ラージ・グラス・フィッシュ
    の体側に、赤とか緑の、毒々しい蛍光塗料で人工着色した物。
      かつては、体表にラッカーの様な塗料を塗っていたので、暫く飼育する
    と、塗料がポロポロと落ちて、タダのグラスキャットになってし舞った。
     最近は、蛍光塗料を注射しているので、簡単に色が落ちない。
      熱帯魚マニアが、こんな物を買うとは思えないが、何故か店頭で良く見か
    ける。
     輸入量も、普通のグラス・フィッシュより、着色された方が遥かに多い。
        ★参照  →  色揚げ。

【可良時寿子】
      カラジスコと読む。
      ターコイス・ディスカスFFSの元祖、家元、兼ディスカス教の宣教師。
      ディスカスの繁殖をさせると、上手。
      熱帯魚に興味を持った人には、FFSと称して、ターコイスの仔魚を1
    ダース単位で配り、ディスカス教に入信させ、ディスカス愛好家は増える物
    の、ショップの営業妨害になるので、業者には嫌われている。
      口が悪く、ショップや評論家のデタラメとか、不良商品を、公然と名指し
    で批判する為、スネに傷を持つ人からは、嫌われている。
     89年3月には、NIFTYのFAQUAで、入会の挨拶にFFSの宣伝
    をして、当時のSYSOPの逆鱗に触れ、わずか2時間で追放処分を受けた
    という経歴を持つ。
      かつては、「とろぴかる・ねっと」に住み着いていたが、92年、3月よ
    り、住処が無くなってからは、商業NETをうろついている。
      初心者は、可良時・寿子と分けて読み、変わった名前の♀と間違える人も
    居るようだが、正真正銘の♂。
      最近は、新しいFFSの材料として、アジア・アロワナの繁殖も狙ってい
    るようだが、未だ成功していない。
    注:FFS(Free fish Service)は91年7月以前はPDFと称していた。

【カラシン】
      小は2.5cmのネオン・テトラから、大は1m近いドラード・フィッシュ
    迄を含み、主に、アマゾン水系で、大きく分化を遂げたグループ。
      形態上の特徴は、鋭い歯を持ち、アブラ鰭(背鰭と尾鰭の間に在る、小さ
    な第二の背鰭)を持ち、雄はカラシンフックを有する。
      体型はスマートな紡錘型が多いが、メティニスの様な、円盤型も居る。
      体色は、メタリックな輝きを持った者が多い。
      鋭い歯を持った肉食(魚食)魚が多く、その代表はピラニアで有るが、例
    外として、歯を持たない代わりに、口先が石臼の様に固くなっており、水草
    や、場合に依っては、ドングリをバリバリと噛み砕く、コロソマ等も含む。

【カラシン科の雌雄判別法】
      カラシン科の魚の雄は、尻鰭にカラシン・フックを持っていることが、雌
    雄判別の根拠になる。
        ★参照  →  カラシン・フック。

【カラシン・フック】
      魚の種類によっては、雄と雌の外観が全く異なり、一目で雌雄の判別が就
    くものがあるが、カラシン科の魚は雌雄に外見上の違いがなく、判別が難し
    い。
      しかし、カラシン科の場合、雄は尻鰭の一番前の棘に、カラシン・フック
    と呼ばれる、顕微鏡でみなければ解らない様な、小さな鈎状の突起が沢山並
    んでおり、これが雌雄判別の手がかりとなる。
      カラシン・フックは目で確認するのは難しいが、目の細かいアミで魚をす
    くうと、フックがアミに引っかかるので、判別できる。

【カラー・ラージ】
     ラージ・グラスに蛍光塗料を注射した、不自然な魚であるが、見た目にき
    れいなので、初心者が喜んで買う。
        ★参照  →  カラー・グラス。

【カルキ】
      本来は、次亜塩素酸ナトリゥムのこと。
      水道の水は、私たちが飲んでも病気にならない様に、塩素ガスを溶かし込
    んで殺菌しているが、昔は、塩素ガスの発生源として、次亜塩素酸ナトリゥ
    ムを使っていたので、現在でも、水道水に残留している塩素ガスのことを
    「カルキ」と呼んでいる。
      魚にとっては死に至る毒となるので、注意が必要。
        ★参照  →  カルキ抜き。

【カルキ抜き】
      上水道の水には、殺菌の為に、塩素ガス(カルキ)が残留しており、魚を
    飼育するためには、これを取り除く必要があり、塩素ガスを除去する作業を
    カルキ抜きという。
      塩素ガスを抜く方法は、
        a、エアレーションして、空気と置き換えて、塩素を追い出す。
        b、紫外線(太陽の直射光線)に曝す。
        c、薬品と反応させて、無害な物質に変化させる。
    等の方法があるが、チオ硫酸ナトリゥム(ハイポ)と反応させて、食塩にす
    るのが、手間もかからず、手軽である。
      反応は早く、チオ硫酸ナトリゥムが溶けるとすぐさま反応し、魚の飼育で
    きる水になる。
      使用量は、水道水1トンに3grあれば十分で、75cm水槽であれば、ハイ
    ポの結晶が1粒あれば良い。
      従来の、バケツ一杯に1粒と言う、無知な業界の常識は、必要量の5倍に
    もなり、明らかに使い過ぎ。
      チオ硫酸ナトリゥムは値段が廉く、これでは儲からないと言うので、テト
    ラ・コントラ・コロラインを初めとする成分も濃度も明示していない正体不
    明の薬が、高い値段で売られているが、成分が解らないから、安心して使え
    ず、こんな物を使うのは、広告だけを鵜呑みにするお人好しだけ。
        ★参照  →  ハイポ。

【カンディル】
      体長2cmの小さな吸血魚。
     学名は Vandellia corrhosa CUVIER。
      普段は、大型のナマズの鰓腔に潜り込み、血を吸って生活している。
      鰓蓋に鋭い刺があり、一度潜り込みに成功すると、後ろから引っ張っても
    抜く事が出来ない。
      アンモニアの臭いに敏感に反応し、人間を含む大型動物の、肛門、腟、尿
    道等に潜り込み、一度潜り込まれると、外科的な切開手術に依らなければ、
    取り去る事が出来ない。
      アマゾン原住民の女性は、腰まで川に浸かって、放尿する習慣が有る為に
    結構被害が多いが、裾をきつく締めたパンツを履いて居れば被害は防げる。
      カンディル自身には毒がないが、出血とか感染症により、手当が遅いと、
    死に至る被害を受ける。
     実際にアマゾンで、魚のために人命を奪われた事があると言えば、正確な
    記録があるのは、このカンディル位で、他の魚は、作り上げられた伝説であ
    る。
      『ぎゃおーーッ!!、カンディルが、咬んディル』なんて、下らない洒落
    を言ってる中に、確実にあの世に送ってくれると言う、恐い魚。

【基質産卵】
      魚の卵には、実に様々な形態があり、粘着性のある卵を、平たく堅い、水
    草とか、石の表面(基質)に産みつけるのを基質産卵と言う。
      基質産卵の場合、大体に置いて、一回の産卵で産み出される卵の数は、数
    100個以下と少なく、また、孵化するまで、親が卵を守る物が多い。

【汽水域】
      大きな川が海に流れ込む、川口の近辺で、塩水と淡水が混じり合うところ
    で、塩分濃度の薄い処。
      川の流れに乗って、豊富な栄養塩類が供給されるので、プランクトン等が
    豊富に湧き、ここに汽水魚と呼ばれる一群の魚が集まる。
        ★参照  →  汽水魚

【汽水魚】
      塩水と淡水が混じり合う、塩分濃度の薄いところに棲む魚の総称で、アー
    チャー・フィッシュが有名であるが、その他に、スキャット、緑フグ、コー
    ム・スケィル・レインボー、等がその代表。
      これらの汽水魚は純淡水にも耐えることが出来るので、ショップでは淡水
    魚として販売しているが、汽水魚を純淡水で飼育すると、本来の美しい体色
    も出ず、調子を崩し易いので、0.5〜1.0%の食塩を溶かして置くと良
    い。
        ★参照  →  汽水域

【キスゴム】
      水槽の中で、温度計、エア・チュープ等を固定するために使う、ゴムまた
    はプラスチックス製の吸盤。
      目的に依って、色々なサイズの物がある。
      ガラスの様な、平滑な面に吸着させるだけで、水槽に何等の加工もする必
    要がないので、便利であるが、水の中では、ゴムの劣化が激しく、余り長持
    ちしない。
      値段が廉いので、使い捨てにする、消耗品のような物。

【気中葉】
      ビニル・ハウス等で育成された水草の、水上葉のこと。
        ★参照  →  水上葉。

【キッシング・グーラミィ】
      中型のアナバス科 = Helostoma temminckii。
      魚同士で、キッスをするので有名になり、30年ほど前の、第一次熱帯魚
    ブームの時は、何処へ行ってもこれを飼育していた。
      ザラザラとした唇で、何でも嘗め回し、コケも取ってくれる代わり、泳ぎ
    の遅い魚の体表まで嘗めるという困り者。
      キッスをしている様な行動は、愛情の表現と言うのは、人間の勝手な思い
    こみであって、実は、縄張りを巡る喧嘩である。
      全身が、肌色をした白っぽい色をしており、何の模様もない。
      本種の繁殖行動は、他のグーラミィの様に、泡巣を作らず、浮遊卵を水中
    にバラ撒く。
        ★参照  →  アナバス科。

【キメラ】
      ギリシャ神話にでてくる、異種の動物の、体の一部を集めて合成したよう
    な想像上の動物。
      そこから、異種の動物を合成したものを、一般にキメラと言う。
      例えば、ナマズの髭と、鹿の角と、蛇の胴体と、鷹の足を持っている中国
    の「龍」はキメラである。
      これは、あくまでも想像上の生物であるが、実際にも存在する。
      植物の世界では、斑入り植物の、斑が出現するメカニズムが、一部、キメ
    ラに因るものがある、と言われている。
      動物では、ヒマラヤの高地で使われている、『ラバ』が、ロバとウマを交
    配した、キメラである。
      1950年代、わが国の動物園で、キメラ作りが流行した事があり、ライ
    オンとヒョウでライポンとか、トラとライオンでタイゴン等というキメラが
    沢山作られたが、不自然だという批判があり、いつしか行われなくなった。
      これらのキメラの特徴は、繁殖能力が無い事である。
      『種』の定義に依れば、二つの個体の間に生まれた子の個体が、繁殖能力
    を有しておれば、「同種」となるのであるから、異種間の交配の結果、繁殖
    能力の無い子どもが生まれるのは、当然の事である。
      これが、熱帯魚の世界にくると、ちょっとばかり、ややこしくなる。
      レッド・ソード・テールと言うのは、自然界には存在せず、野生に存在す
    る、ソード・テール  = Xiphophorus helleri の黄化種と、
    プラティ = xiphophorus maculatus を選抜、改良した、レッド・プラティ
    を交配して、ソード・テールの体型に、レッド・プラティの赤い体色を実現
    させたキメラであるが、これは立派に繁殖能力を持っている。
      この事実から言えば、体型は大幅に違うが、ソード・テールとプラティの
    分類学上の位置を、良く考え直す必要があるのかも知れない。
        ★参照  →  レッド・ソード・テール。