#45 熱帯魚辞典>(05) 《き、く、け、こ》       可良時寿子
可良時寿子 ID:KBB53931

【キャット・フィッシュ】
      直訳すれば、『猫魚』。
      分かり易く言えば、ナマズ類の総称。
      ナマズには、味覚を感ずる事の出来る長い髭が有り、これを猫の髭に見立
    てて、Cat−Fishと言う。
      餌を口に入れ無くとも、長い髭でチョンチョンと触っただけで味が分かる
    という、特殊な能力を持った魚。
      また、ナマズは地震を予知すると言うが、水中では、振動が伝わり易いの
    で、ナマズでなくとも、人間が感じないような微少な振動を感じ、地震の前
    には、落ちつきを無くす魚は多い。

【キュビエ=Cuvier】
      フランスの、ナポレオン皇帝お気に入りの、博物学者。
      ナポレオンのアフリカ遠征にも従軍し、各地の動物を調べ、沢山の新種を
    登録した。
      学名に、彼の名前が残っている熱帯魚は多い。

【棘条】
      鰭を構成する、ウチワの骨のような部分には、棘条と軟条があり、枝分か
    れせず、骨の様に硬い条を棘条という。
        ★参照  →  軟条。

【グッピー】
      中米原産の、卵胎生目高 Poecilia reticulata。
      餌は、雑食性で、何でも食べる。
      原種は、地味な魚であるが、良く繁殖し、体型や体色が様々に変化し易い
    ので、品種改良が容易で、昔から、アマチュアの品種改良の対象になってき
    た。
      現在は、原種のグッピーは殆ど輸入されず、主にシンガポールで大量に繁
    殖した物が、輸入されている。
      シンガポールの改良種は、体が大きく、色彩が鮮やかな物が、廉い価格で
    販売されており、初心者の入門魚に適している。
      これとは別に、少し体が小さく、渋い色彩の、国産グッピと称する物が、
    1桁以上高い値段で売られているが、これは血統に付けられた値段であり、
    自分で新種を作り出す場合は、この様な純系も必要になるが、単なる観賞目
    的で有れば、値段相応の美しさの差が有るわけではないので、手を出さない
    方がよい。
      グッピを飼育する水は、少し食塩を溶かして置いた方が、良い。
      生後4カ月もすれば成熟し、次々と子を産むが、親は、今産んだばかりの
    稚魚を食べる癖がある。
      食べられるのを防ぐために、産卵ケースという物が販売されているが、特
    別に産卵ケース等で保護し無くとも、水草を植えて置けば、しげみに逃げ込
    んだ子どもが助かり、良く殖える。
      うまく飼育すると、すぐに水槽一杯に殖えるが、漫然と飼育していると、
    1年もすれば、生まれる子どもの体格が悪くなり、サイズが小さくなるだけ
    でなく、背骨の曲がった個体が沢山発生する。
      背骨の曲がった個体を残して置くと、これが更に背骨の曲がった奇形魚ば
    かりを産むので、遠慮無く、捨てる必要がある。
      丈夫で、良く殖えると言っても、初心者が美しさを維持できるのは1年が
    限度で、長期に美しさを維持するためには、正確な選別眼でもって、大幅な
    選別淘汰を継続する必要があり、初心者の手に負えないところがある。
      また、グッピは各地に愛好者のクラブがあり、コンテスト等も頻繁に行わ
    れているが、これは全て国産グッピを対象とした物である。
        ★参照  →  国産グッピ。

【グラス・エンゼル】
      グラス・フィッシュの仲間で、東南アジアを中心に、生息範囲が広く、種
    類も沢山居る。
      背鰭、尻鰭の先端が、イトヒキ・アジの様に長く延びる。
      これも汽水魚で、食塩を混ぜた、弱アルカリ性の水で飼育するのがよい。
     これも、蛍光塗料を注射したものが良く輸入される。

【グラス・フィッシュ】
      東南アジアの汽水魚で、水田にも棲んでいる Chanda ranga。
      体の筋肉が、透き通っており、ホネが見える魚。
     蛍光塗料を注射した物は、カラー・グラスと言う名前で売られる。
        ★参照  →  カラー・グラス。

【グーラミィ】
      **グーラミィと呼ばれる一群の仲間は、ラビリンス呼吸器官を持ったア
    ナバス科の仲間である。
      空気呼吸をするので、溶存酸素の少ない、小さな容器でも飼育でき、水の
    汚れにも強い。
      タイの闘魚として有名なベタも同じ仲間であるが、ベタ以外の種は、喧嘩
    をしない。
      キッシング・グーラミィは、泳ぎの遅い魚の体表を嘗め回すが、それ以外
    の種は、多種に被害を与えないので、多種との混泳も可能。
      チョコレート・グーラミィ以外は、飼育が容易。
        ★参照  →  アナバス。

【クリプトコリネ = Cryptocoryne】
      東南アジアを代表するサトイモ科に属する水草。
      川底が粘土質の処に自生しており、種類が多いが、育てるのは難しい部類
    に属する物が多い。
      ヨーロッパ、特にドイツ、オランダでは、本種の仲間が高い評価を受け、
    高度な技術を駆使して、インテリア水槽の中に植え込まれている。
      本種は、移植をすると、古い葉が一度枯れて、改めて新しい葉を伸ばす物
    が多いが、調子が悪いと、溶けるようにして、無くなって仕舞う物が多い。

【クリプトコリネ・バランサイ】
      サトイモ科水草 = Cryptocoryne balansae。
      栽培が難しいクリプトの仲間の中では、比較的栽培が楽で、丈夫な部類に
    属する
      クリプトの仲間は、ちょっと長めのスプーンの様な形の葉を持つ物が多い
    中にあって、本種は、アポノゲトンと間違えるような、細長い葉を伸ばす。
      葉の周辺部は、チヂレて波打っている。
      成長は遅い。
      地下茎を延ばし、子株が殖えるが、増殖は早くない。

【グリーン・アロワナ】
      アジア・アロワナの、基本種。
      学名は Scleropages Formosua。
      体長は70cm。
      原産地は、タイ、インドネシアなど。
      シルバー・アロワナと違って、稚魚は臍嚢を体外にぶら下げない。
      サイテスに依って、保護対象魚に指定されている。
        ★参照  →  アジア・アロワナ、アロワナ。

【グリーン・ディスカス】
      アマゾンのシクリッド、ディスカスの一亜種。
      学名は、Symphysodon aequifaciata aequifaciata。
      名前はグリーンでも、実際はブルーに近いが、体色の基調色が、黄色みを
    帯びた明るいブラウンで、この為、体の周辺部とか鰭にはいるブルーのライ
    ンが、緑かかって見える。
      もう一つ、背鰭後端から、尾鰭の付け根を通り、尻鰭後端に掛けて、「ブ
    ラック・アーチ」と呼ばれる、濃紺の半円型の帯状の模様が入るところが、
    ブルー・ディスカスと異なるので、区別できる。
      この系統の中、全身にグリーンの模様が入る物は、ロイヤル・グリーン・
    ディスカスと呼ばれ、ターコイス・ディスカスを作出する元になった。
        ★参照  →  ターコイス・ディスカス。

【グリーン・ロイヤル・ディスカス】
      ディスカスの個体変異、ロイヤル・グリーン・ディスカスの事を何故か、
    前後をひっくり返して、グリーン・ロイヤルと呼ぶ事もある。
        ★参照  →  ロイヤル・グリーン・ディスカス。

【蛍光灯】
      魚を飼育するだけで有れば、水槽専用の照明は点灯し無くとも、生きてい
    るが、観賞という事を考えると、人間が起きている間は、照明器を点灯して
    置きたい。
      また、暗いところで飼育すると、魚の体色が白っぽく褪せて来るので、魚
    本来の美しい体色を維持するためにも、水槽の照明は必要である。
      照明器としては、発熱の少ない、蛍光灯が便利である。
      60cm水槽の場合、ちょうど水槽の上に乗せる事の出来る、横幅一杯の2
    0W灯具が、ショップで販売されている。
      管球は、植物成長ランプと呼ばれるPG−2タイプの球が、発光効率が低
    く、少し暗いが、熱帯魚の色を綺麗にみせるので、良く使われる。
      魚を観賞するだけで有れば、これで十分であるが、水草を育てようとする
    と、これでは照度不足になり易いので、本当は、2倍くらいの明るさが欲し
    いが、何故か、管球を2本付けるような灯具は余り販売されていない。
      もし、一つの水槽に2本以上の蛍光灯を付けるので有れば、同じワット数
    でも、明るさがPG−2に比べて2倍くらい有る、家庭用の「高演色性ラン
    プ」と、照度は低いが、赤色の成分が多いPG−2を混ぜて使うのが良い。
      蛍光灯は、使用時間とともに、明るさが落ち、毎日見ていると気がつかな
    いが、1年で初期の明るさの50%以下になり、気がつかない中に照度不足
    で、水草が育たなくなったりするので、管球は切れるまで使うのではなく、
    使い初めの日付をサインペン等で書いて置き、遅くとも1年以内に新しい物
    と、定期的に交換するような習慣を付けて置くのがよい。
      水銀灯で有れば、照度が50%に低下するまで4年くらい使えるので、初
    期投資が大きいが、水草を育てるときは、安定した照度を確保できる。
        ★参照  →  植物成長ランプ。

【硅砂】
      湖産アフリカンシクリッド等を飼育するときに使う、目の細かい底砂。
      色が白っぽく、明るいので、うっかり使うと、魚の色が飛んで、白っぽく
    なる他、水の硬度を上昇させるので、これを使える魚種は限定される。

【硅藻】
      水槽のガラス面などに付着する、茶色のコケ。
      苔では無く、実は藻類。
      魚には、無害である。
      光線が弱いと、この硅藻が発生し、強いいと、緑色の緑藻が発生する。
      水草の葉に着くと、光合成を妨げ、水草を枯らす。
      アルジ・イータまたは、プレコを入れて置くと綺麗に食べてくれるので、
    対策は簡単である。
        ★参照  →  コケ。

【限性遺伝】
      特定の性別を決定する、遺伝情報とセットで遺伝する情報。
      伴性遺伝とも言う。
        ★参照  →  伴性遺伝。

【小赤】
      魚食魚の餌に使われる、餌金の、サイズの小さな物を指す。
      普通、熱帯魚ショップで、サイズを指定せずに「餌金」と言えば、この小
    赤を指す場合が多い。
        ★参照  →  餌金。

【光合成】
      植物が、根から吸収した窒素と、水と、葉から吸収した炭酸ガスを元に、
    光のエネルギを利用して、殿粉、糖等を合成する作用を、光合成という。
      この時、葉は炭酸ガスを吸収し、酸素を放出するという、呼吸とは、逆の
    ガス収支が行われる。
      この活動は『光合成作用』とか『(炭素)同化作用』と呼ばれ、動物とは
    お互いの排出物を利用し合うという、共存関係にあって、水や空気の浄化に
    役立ち、環境の保全に働いている。
      植物は、太陽などの自然光線に含まれているスペクトル(成分)の中、波
    長の短い紫外線から青までと、波長の長い赤の光線を、光合成に利用し、中
    間の波長の、緑色の光と、波長の長い赤外線は、利用せずに、葉の表面で反
    射している。
      植物の葉が、緑色に見えるのは、緑の光だけを利用せずに、反射している
    からで、また赤外線を利用せずに反射している事は、赤外線フィルムを使っ
    て、日光の当たっているところの、生きた葉を撮影する事で、調べる事が出
    来る。
        ★参照  →  植物成長ランプ、PG−2。

【硬度】
      水質を論ずるとき、硬度という物が問題になるときがある。
      水の硬度とは、溶け込んでいる無機質の濃度で表され、表現方法も沢山有
    る。
      わが国の場合、水1リッター当たり、酸化カルシゥム、または酸化マグネ
    シゥムが10mg溶け込んでいる物を1dGHの硬度という。
     ただし、マグネシゥムの場合は、
            1.4MgO=1.0CaO
    の比率でカルシゥムに換算する。
      軟水と言うのは、これらの無機物が少ない物をいい、わが国の上水道は、
    大体軟水が多いが、水源にも依り、地下水を水源とする水道は硬度が高くな
    る傾向がある。
      魚に依って、好む硬度が異なるが、多くの魚は、わが国の上水道の水で飼
    育できる。
      特殊な魚は、無機物を沈澱させて、硬度を下げたり、逆に、強制的に添加
    して硬度を上げる必要があるが、硬度の高い水を軟水化するよりも、硬度の
    低い水を硬水化する方が、楽である。

【抗酸菌】
      魚の筋肉中に感染し、シスト(菌の群体で出来る瘤状の腫れ物)を作る細
    菌のグループ。
      最も一般的に見られるのは、ミコバクテリゥムが有名。
        ★参照  →  ミコバクテリゥム。

【硬水】
      カルシゥムとか、マグネシゥムが20dGH以上溶け込んだ水の事。
     なお、硬度10dGH以下のものを軟水と呼ぶ。
      わが国の上水道は、これらの無機質の溶解量が少ない、軟水が多いが、水
    源に依っても変動し、井戸水は硬度が高くなる傾向がある。
      大部分の淡水魚は、軟水を好むが、湖産アフリカン・シクリッドの様に、
    硬度の高い水を要求する魚種を飼育するときは、炭酸カルシゥムとか、炭酸
    マグネシゥムを溶かし込んで、硬度を調整すれば良い。
    ある。
     なお、硬水には、硬度成分が炭酸塩が主で、煮沸する事で容易に沈澱して
    軟水となる「一時硬水」と、硫酸塩が主で、煮沸しても軟水に成らない永久
    硬水とが有る。
        ★参照  →  永久硬水、一時硬水、硬度。

【コウホネ】
      わが国にも自生する水蓮科の水草 = Nuphar japonivum。
      漢字で書けば『河骨』。
      ワサビの根のような太い根茎を持ち、柔らかいハート型の葉を茂らせる、
    美しい水草であるが、高温に弱く、23℃を超えると、育たない。
      水温の高い水槽に植え込むと、温度ショックに依り、根茎が溶けるように
    腐り、水槽内の栽培は、意外と難しい。
      栽培変種として、葉が赤味を帯びる、ベニコウホネも有る。

【国産グッピー】
      ショップで販売しているグッピは、殆どがシンガポールで養殖した物であ
    るが、中には『国産グッピ』と称して、1桁以上高い値段で販売されている
    物がある。
      グッピと言うのは、3カ月も飼育していると、どんどんと子供を産んでく
    れるが、例え輸入グッピが国内の水槽で繁殖しても、これらは国産グッピと
    は呼ばない。
      国産グッピと言うのは、何代にも渡って選別と淘汰を繰り返した純系、
    或いは、純系に近い物を指す。
      自分で新しい改良種作りに挑戦するときには、これらの、余分な遺伝子を
    持っていない、系が役に立つので、値段が高くとも、購入する価値がある。
      国産と言っても、ピンからキリ迄有り、子供を産ませてみると、全ての子
    供の形質の揃った、質の良い純系から、様々な色の子供を産む、固定率の低
    い、名前ばかりの、詐欺の様な国産グッピまで有る。
      新しい品種作りが目的でなく、単に観賞するだけであっても、これらの国
    産グッピを何代にも渡って美しさを維持するのは難しく、本来の形質を維持
    する為には、生まれた子供の90%以上を処分するような、厳しい選別と淘
    汰が必要である。
      雄を選別するのは容易であるが、雌ははっきりと色が出ないので、どれが
    本来の遺伝子を受け継いだ物であるかと言う判断が難しく、グッピの遺伝
    と、各系統の特徴を十分にわきまえていないと、正しい選別が出来ない。
      これらの知識もなく、単に観賞する目的で初心者が飼育するので有れば、
    国産グッピと言うのは、『豚に真珠』と成る。
        ★参照  →  グッピ。

【コケ】
      水槽で暫く魚を飼育していると、茶色や緑のコケの発生に悩まされる。
      処で、本項の表題は、『コケ』であって、『苔』では無い。
      植物学の方で、コケと言えば、「蘚苔 = センタイ類」と言って、『蘚』
    と『苔』の2種類があり、観賞用に育てるウィローモスとか、リシアは正真
    正銘の『苔』で有るが、水槽の中にはびこり、私たちが悩まされる、
    『コケ』と言うのは、実は『藻類』で有り、極めて不正確な言葉が使われて
    いるので、誤解を招き易い。
      これらのコケは、水中の窒素化合物(アンモニアとか、硝酸等)と、炭酸
    ガスを利用して、光合成を営んでおり、水の浄化に役だっているのであり、
    観賞という立場を離れて評価すると、魚には害がないだけでなく、水質の維
    持に役だっている。
      光が弱いと、茶色の硅藻が発生し、光が強いと、緑色をした緑藻が発生し
    易い傾向がある。
      フィルターの能力が不足して、亜硝酸の濃度が高いときは、青黒い色をし
    た藍藻が発生する。
      藍藻は、見た目に不愉快なだけでなく、これが、ベッタリと水草などを覆
    うと、水草は枯れて仕舞うので、水草の大敵と嫌われ、更に、藍藻が発生す
    ると、水槽の水から、独特の嫌な臭いがするので、この藍藻だけは水槽の中
    から追放して置きたい。
      この藍藻が沢山発生している水槽を見ると、管理技術のレベルの低さか、
    管理の手抜きを実証している様で、アクアリストにとっては、恥ずかしいコ
    ケで有る。
      硅藻や緑藻は、プレコストムを入れて置くと、綺麗に食べてくれるが、藍
    藻を食べる魚は居ないので、発生を抑える工夫が必要である。
        ★参照  →  コケ対策。

【コケ対策】
      水槽内に発生する様々なコケ(と言っても蘚苔類ではなく、実は藻類)は
    魚には害にならないが、観賞価値を損ねるので、対策を迫られる。
      水槽のガラス面とか、水草の葉の表面に着く、緑藻と硅藻は、プレコの様
    な、コケ食の魚を入れて置けば、綺麗に食べてくれる。
      プレコと言っても、沢山の種類がいるが、最も積極的にコケを食べるのは
    余り大きくならない「ブロンズ・プレコ」で、値段が最も廉い「トリニダー
    ト・プレコ = ショップでは並プレコとも呼ばれている」も、比較的良く食
    べる。
      その他のプレコは、幼魚のうちはコケを食べるが、成長とともにコケを食
    わなくなる。
      水草の葉の外周部に着く、暗緑食の短い髭のようなコケは、プレコでは手
    に負えないが、水草の成長が旺盛で有れば、コケが広がる前に古い葉はトリ
    ミングに依って捨てられるので、問題にならない。
      アヌビアス類のように、成長の遅い水草に、髭状のコケが着くと、対策が
    必要となるが、この時は「ヤマトヌマエビ」等、淡水海老を入れて置けば、
    綺麗に食べてくれる。
      水草を枯らせたり、臭いニオイを発生し、最も嫌われる「藍藻」を食べる
    魚は居ない。
      これだけは、発生してから対策を講じるのは、有効な手段が少なく、発生
    を抑える事が、大切である。
      藻類は、私たちが積極的に植える、観賞用の水草と同じく、水槽の中の窒
    素化合物と、炭酸ガスを利用して、光合成を営んでおり、水草とは、競合関
    係にある。
      従って、水草が旺盛に成長している水槽では、藍藻が発生しない。
      水槽を設置した初期には、水草が十分に根着く前に藍藻が発生し、折角綺
    麗に植え込んだ水草を、枯らせる事がある。
      この対策としては、初めから、栽培が難しかったり、成長の遅い水草を植
    えず、ウォーター・スプライトの様な、丈夫で成長の早い水草を、パイロッ
    ト・プランツとして、大量に植え込み、先ず、これらの力に依って水中の窒
    素化合物を吸収して、藍藻の発生と成長を抑えて置いてから、少しずつ、目
    的とする水草に植え替えるのがよい。
        ★参照  →  コケ、パイロット・プランツ。

【湖産シクリッド】
      言葉の意味を素直に解釈すると、湖に棲んでいるシクリッド科の魚という
    事になり、産地は特定されないが、熱帯魚愛好家が、湖産シクリッドと言え
    ば、アフリカ大陸東部を、南北に走る大地溝帯 = Great Rift Valley に在
    る湖、マラウィ湖、タンガニィカ湖、ビクトリア湖等に棲むシクリッドを指
    す。
      これらの湖は、地球の地殻変動で引き裂かれた、石灰岩地に出来た巨大な
    水溜まりのような物で、湖岸を構成する石灰岩、苦灰岩等の成分であるカル
    シゥム、マグネシゥム等が高濃度に溶け込み、硬度が高く、アルカリ性が強
    いという、特殊な水質である。
      ここのシクリッドは、分化が激しく、昆虫食、魚食、コケ食魚と、豊富な
    種類がおり、他の地方の淡水性熱帯魚では見られない様な、一見海水魚と見
    紛う様な、メタリックな派手な体色の物が多い。
      苔や、苔の間に棲んでいる水性昆虫を餌にすると言う性格上、縄張り意識
    が強く、雄は縄張りを主張して喧嘩をし易いので、石灰岩の板を積み上げた
    ようなディスプレィを作り、隠れ家を用意して置かないと、複数飼育が困難
    になる。
      繁殖形態は、殆どの種が、雌が卵を口に銜えて保護する、所謂「マウス・
    ブルーダ」が多いが、中には、巻貝の抜け殻の中に産卵するという、変わっ
    た物もいる。
      この仲間を飼育するときは、硬度の高い水を作る必要があり、濾材にサン
    ゴ砂を使ったり、ディスプレイに大理石を使ったりする必要があるだけでな
    く、更に、炭酸マグネシゥムを水に溶かし込んだりして、特別な水作りをす
    る必要がある。
      湖産シクリッドの繁殖は、一部の特殊な物を除いては、簡単で、良く殖え
    るが、注意しないと、ハイブリット=異種間の混血が簡単に出来てしまう事
    である。
      雄は、それぞれの種に依って、特徴在る体色を示すので、間違える事は無
    いが、雌は白っぽい体に黒いマダラ模様という、地味な体色の物が多く、何
    れも良く似ているので、複数の種類を混泳させていると、どれがどの種類の
    雌か解らなくなり易い。
        ★参照  →  アフリカン・シクリッド。

【コバルト】
      コバルトと言えば、単に明るい青色を指すが、ここで言うコバルトは京都
    にあった、ディスカス専門のショップの名前。
      原田哲男と言う医者が、金に飽かし、質の良いディスカスを買い集め、繁
    殖に成功したので、本業の傍ら、開業した。
      自家繁殖の質の良い物を販売し、特に綺麗な物を、「モルフォ・フラッ
    シュ」と言う名前で売り出した。
      オーナーが、悪どくお金を稼ぐ必要がないので、質の良い物を、高姿勢で
    売り、他者を攻撃するような、広告をしていた。
      安物の、香港ディスカスを売っている業者には、嫌われていた。
     雑誌の広告を使って、言いたい放題を言った後、92年に閉店した。
        ★参照  →  原田哲男。

【コペナ・アーノルディ】
      世の中には、随分と変わった繁殖習性を示す物がいるが、このカラシン科
    の魚も、変わっている。
      どう変わっているかと言うと、川の上などにせり出した木の葉にジャンプ
    して、水上に産卵するのである。
      木の葉にジャンプすると、葉の裏に暫く貼り突き、この時に産卵し、卵は
    水上の葉の、裏に着く事になる。
      何回か、ジャンプを繰り返し、全部で100個位の卵を産む。
      産卵後、卵は雄が守り、下から鰭で水を掛けて、卵が乾燥するのを防ぎ、
    3日すると、ゼリー状の卵塊から孵化した稚魚が、水面に落ちる。
      随分と、面倒で難しい産卵方法であるが、少なくとも他の魚に卵を盗まれ
    る事は防げる。
      生まれた子供は、小さく、ブラインシュリンプの様な物は食べる事が出来
    ず、もっと小さな、インフゾリアの様な物を食べて育つ。

【五味商事】
      東大阪市に本社を置き、熱帯魚用の餌とか、水質調整材等を販売している
    メーカーで、商品のブランドは、「ファイブプラン」と言う。
      いかにも素人が思いついた様な、アイデア商品が多く、本当に魚を飼育し
    て、テストしたことが有るのかどうか、疑わしい商品を沢山売り出すメー
    カーである。
            ★参照  →  ファイブプラン。

【コームスケィル・レインボゥ】
      淡水魚の中で、右に出る物が居ない、最も鮮やかな深紅の鱗に覆われた汽
    水魚 = Glossolepis incisus。
      **レインボーと呼ばれ、レインボー・フィッシュの仲間は、トウゴロ・
    イワシ科に属する汽水魚で、東南アジアから、オーストラリア沿岸の汽水域
    に分布している。
      細かい鱗が、虹の様に光り、婚姻色は特に美しく、見る角度に依って様々
    な色合いに輝くが、本種だけは、全身が鮮やかな深紅に輝く。
      汽水魚であるから、水槽には少し食塩を入れてやらないと、クスんだ黒っ
    ぽい赤色になり、本来の美しさを発揮しない。
      雄の婚姻色は、特に鮮やかである。
      雌は、白っぽい赤で、地味な色になる。

【コリドラス】
      南米のアマゾン川を含め、それより北の水系で、爆発的な分化を遂げた、
    小型ナマズの一種 = Corydoras。
      学名の由来は、korrys = ヘルメットの様に固い、dora = 皮膚を持ってい
    ると言う意味。
      何時も、底を這い回って砂の中の餌を探しており、他の魚には危害を加え
    ない、平和な魚。
      底の残飯を漁るので、「掃除屋」等と呼ばれて、誰でも1匹や2匹は、水
    槽に入れて居るが、実際の掃除効果は余り期待できないし、意外と水の汚れ
    を嫌う。
      コリドラスを飼育していると、突然水面まで駆け登り、空気を吸って、ま
    た底に戻るという行動を見せるが、これは、空気呼吸の為の行動である。
      吻端が長い、ロングノーズ・タイプと呼ばれるグループは高水温に弱く、
    わが国の夏は過ごせない物が多い。
      コリドラスは遊泳力が弱く、現地でも、一カ所にとどまって生活している
    為か、地域変異が多い。
      その僅かな体表の模様の違いを、アレコレと分類し、コレクションの対象
    にしているマニアも多い。
      コリドラスの繁殖時の行動は、他の魚には決してみられない、特異な物が
    ある。
      産卵するとき、雄が横になり、これに近寄った雌が、雄の腹を吸って、精
    子を口に含み、産卵した卵を腹鰭で挟むように抱えて、ガラス面などに粘着
    卵を張り付けた後、先ほど口に含んだ精子を吹き付けて、受精させる。
      コリドラスの卵殻は固く、ガラス面に張り付けた卵をはぎ取っても、壊れ
    ない。

【コリドラス・パンダ】
      白っぽい体に、パンダの様な黒い模様の入った、コリドラス。
      ただ、模様が少し変わっている、と言うだけであるが、コリドラスマニア
    は、僅かな模様の違いを求めて、コレクションに熱中し、種類の多さを誇り
    たい人が多いので、初めて紹介されたときは、人気が加熱した。
      最初は、あの小さなコリドラス1匹が5万円位したが、人気があれば、現
    地の採取業者も力を入れるということで、沢山入荷するようになり、珍魚に
    御定まりの、価格暴落路線を進み、現在は数千円の値段に落ちついた。
      まあ、ロイヤル・ナイフの様に、1年間に1/100にも暴落した物と比
    較すれば、多少はまし。
        ★参照  →  コリドラス、ロイヤル・ナイフ。

【ゴールデン・タイプ】
      熱帯魚の世界では、『金色』を意味する、ゴールデン・タイプと言う言葉
    が、実に様々な使い方をされており、対象とする魚の種類に依って、全く意
    味が異なるので、誤解を招き易い。
      アロワナを語る時に、ゴールデン・タイプと言えば、単に「金色をした」
    アジア・アロワナの事で、外見上の鱗の色彩を示しているだけである。
      グッピーの話をする時は、『体はアルビノの色彩であるが、目が黒い』と
    いう、不完全アルビノの系統を指し、品種改良とか、新系統作出の一つの方
    向を示し、遺伝子まで立ち入った意味を持ってくる。す。
      これが、カラシン科の魚になると、もっとややこしい。
      カラシン科の魚には、何故か、表皮の粘膜に、金色に発光するバクテリア
    が寄生し、魚の健康を損なわず、観賞価値の高い珍しい、野生の個体が採取
    される事がある。
      この、発光バクテリアが表皮に寄生した魚を、ゴールデン・タイプと呼ん
    で、珍重される。
      要するに、観賞価値の高い、一種の病気のような物であり、グッピーの様
    に、遺伝的な意味は持たない。
      この発光バクテリアは、人為的に感染させる事が出来ないので、野生の個
    体の中に、たまたま見つかるのを期待するだけであるが、これが生きたバク
    テリアの効果である事は、魚が病気になったとき、不用意に、殺菌性の薬を
    与えると、バクテリアが死に「タダのカラシン」に成って仕舞う事で解る。
      なお、そのものズバリ、ゴールデン・テトラ = Hemigrammus rodwayi と
    言う魚もいるが、これは、ここで言うゴールデン・タイプとは、何の関係も
    ない。
        ★参照  →  アルビノ。

【婚姻色】
      魚に限った事ではないが、繁殖期になると体内のホルモンのバランスが変
    化する為に、外見上一目で解るような変化を示す動物が多く、特に雄の変化
    が著しい。
      例えば、産卵のために川を遡上するサケの雄は、顎の骨が曲がるので、
    『ハナ曲がり』と呼ばれる。
      これほどで無くとも、色彩が変化したり、同じ色彩であっても、濃く、鮮
    やかになったりする例が多く、この様に、繁殖期に現れる体色を婚姻色と呼
    ぶ。
      この婚姻色が出たときが、その魚の最も美しい時であるから、大型魚の幼
    魚を小さな水槽で飼育し、大きくなったところで持て余して、ショップに引
    き取って貰うような飼育をしていると、その種の本当の美しさを見る事が出
    来ないままに終わるという、不幸な事になる。
      金魚などは、体色は変化しないが、頭から胸鰭に掛けて、ニキビの様な白
    点が現れ、これは「追い星」と呼ばれている。