#70 水草>初めての水草水槽(立ち上げ編)その1〜4  ヒロちゃん
ヒロちゃん ID:CABOMBA  95/5/6 #273〜#276 水草水槽

 久々に何かを書いてみようと思い、キーボードを叩いていま
す。
 今回は、以前から考えていた水草水槽の初級編です。

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「初めての水草水槽1」 立ち上げ編
                                   PC-VAN 熱帯魚☆倶楽部
                  CABOMBA ヒロちゃん
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1.はじめに

 綺麗な水草水槽を見て、貴方はどう考えますか?
 それを見て、だだ「綺麗!」の一言で終わってしまうのか、
それともそれを「自分の身近に置いてみよう」と考えますか?
 水草は難しいかも知れない、やってもうまく行かなかった、
手間を掛けたくない、貴方は、たったそれだけの事で素晴らし
い世界とのめぐり合いを見逃してはいないでしょうか。
 子供の頃を思い出してみてください。
 町に来たサーカスを見て味わった感動、動物園で大きなゾウ
を見た時の興奮、そして池で採って来たカエルの卵からおたま
じゃくしが出てきた時、そう言った時の感動を貴方は忘れてい
ないでしょうか?

 水槽と言う小さな自然の中に生きる動植物は、それを観察す
る人の心を休ませ、そして物事に対する感動という素晴らしい
物を与えてくれます。
 春の野の小川の様な自然を作り、その中に小さな魚を入れ、
それが生活する様は、なんとも深い味わいがあります。
 貴方もそんな小さな自然を部屋の中に置いてみませんか。

 ただ仕事をするだけで何もせず、感動と言うものを忘れ去っ
てしまった貴方に、それを今思い出して欲しいとキーボードを
叩いています。


2.用意するもの

 今回は初級者編として最も作りやすく、そして水質を維持し
易く、価格も手頃な60センチ水槽を使います。
 また、初級とはいっても水草の密植した水槽を狙いたいので
CO2添加を行います。

2.1.水槽

 前述の通り60センチでガラスの物を用意してください。
 アクリル製は、ガラスに着く苔を取る際に小さなキズが付き
易く、水槽内部の透明感が失われてしまいます。
 折角奇麗に水草を植えても、その部分が障害物となり満足の
行く鑑賞ができません。

2.2.フィルター

 CO2を添加する水槽は、CO2の拡散を防ぐために水槽内
に設置する水中モータ式の内部フィルターか外部式のパワーフ
ィルターを使用します。
 一般的に使い易いのが、内部フィルターでは水作のスペース
パワー2、外部式ではエーハイムの2213が最近安価で手頃
です。
 スペースパワー2は、大体5千円前後で、2213は最近ス
ターターキットとというのがあり、必要なものが全てセットさ
れ価格は1万3千円前後で購入できる筈です。
 濾材は、それぞれのセットのものを用います。

 また、エーハイムに付いている濾材は、竹輪状のエーハイメ
ックとサブストラットのみを使用してください。
 下にメックを敷き、上の部分にサブストラットを載せてくだ
さい。
 もし、メンテナンス性を考えるなら、メックとサブストラッ
トの間に、流しで使うネットを手頃な大きさに切って、その間
に挟むようにすると使い易いと思います。

 スペースパワー2の方は、そのまま使用できると思います。

2.3.ガラスの蓋

 60センチの水槽に合うものを使用します。
 夏場は、蓋の無いほうが良いのですが、冬場には必用です。

2.4.蛍光燈

 蛍光燈は、2燈式の物を用意します。(ペアライト)
 蛍光管については、いずれこだわる事になるかも知れません
が、今回はその添付されている蛍光管で良しとします。
 ただ、ライトを点けてみると赤っぽいランプと白っぽいラン
プがありますから、手前のランプを赤っぽい方にするようにし
ます。
 この方が、後で魚を入れたときに奇麗に見えます。

2.5.砂

 砂は水草用のものや一般的なものがありますが、その性質が
色々とあり、その性質には注意して購入してください。

 特に注意したいのは、pHを弱酸性に落とすタイプの砂と、
逆にpHを上げる作用の有る砂で、これらは避けるようにして
ください。

 pHを下げるタイプというのは、一般に水草用に作られたも
ので、ある程度落ち着いてくれればpHが適当なところへ安定
するのですが、最初の内は極端にpH降下がおこったり、中に
は肥料不要と書かれているものは、逆に水槽水が肥料過多にな
ってしまいます。(最初のコントロールが難しいので、ある程
度知識をもってから使うと良いのですが。)

 pHを上げるタイプというのは、硅砂と呼ばれる砂や貝殻や
珊瑚の混ざっている砂です。

 一般にお奨めなのは、純度の高い大磯砂(黒っぽい)か白っ
ぽい川砂です。

 60センチ水槽では、15Kグラムくらいが適当でしょうか、
水槽の全面が5センチ、奥の方が7センチくらいの深さになる
量を用意してください。

2.6.CO2添加セット

 カップを逆さにして、中にスプレー管でCO2を充填するタ
イプのものと、高圧ボンベから連続的にCO2を添加するタイ
プのものがあります。
 前者の方が安価ではあるのですが、どうしても密植水槽を狙
うのには、どうしてもCO2の添加不足になりがちですし、長
い目で見ると意外にランニングコストは高いので、なるべくな
ら高圧ボンベのものを用意してください。

 高圧ボンベは、中のCO2が液化されて72グラム程添加さ
れ使い捨てのタイプです。
 これに、減圧の為のレギュレータを使うのですが、その機種
によって取り付けられるボンベが違うので注意してください。

 私が日頃、奨めているのは、テトラのCO2システムですが
これは、作りが良く高圧ボンベのCO2を最後まで奇麗に使え、
そしてCO2の添加には、微調整大変細かく、そして安定性の
高いものです。

 また、高圧ボンベは立てて使う様にした方がより安定するの
でなるべくならスタンド等を用意すると良いです。

2.7.CO2拡散器

 前述した、カップを逆さにしたようなタイプから、階段状に
下から上がっていくタイプやスパイラルチューブタイプのまで
様々です。
 一般に安価なのは、カップを逆さにしたような形ので、これ
はカップを沈める深さによって得られる圧力で自然にCO2が
溶け込んでいくタイプです。(自然添加タイプ)
 同じ、自然添加タイプでは、階段状のものも同じといえます。
 ただ、階段状のものは、水とCO2との接触面積を上げる事
で添加能力を上げているものです。
 また、小さいCO2の気泡を出すタイプの拡散器もあります
が、これはCO2の無駄使いが多く、これで添加していると高
圧ボンベを使っていてもランニングコストが低いとは言えませ
ん。(かっこいいんですが、CO2を捨ててる見たいな物です)

 これに対し、水流をかけて強制的に添加する方法もあります。
 パワーフィルター等の水流を拡散器に呼び込んで、その水の
勢いで強制的にCO2を添加する方法です。
 これは、専用の拡散器も出ていますが高価です。
 色々、自分で工夫して普通の拡散器に水流を流すようにして
いる人が多くいます。
 貴方も、そういった工夫をして使われると、CO2を無駄な
く、そして高効率でCO2の添加ができます。
(自然添加では、ほんの若干の話しですが、密植では少し添加
 量が足りないのです。)

 その中でスパイラル式のは、無水流でもかなり効率良く溶か
し強制添加なみの能力を持っています。

 予算に合せて、自分なりに工夫してみてください。

2.8.肥料

 この話しは、「しなくても良いのでは?」と思ったくらい後
の話しなのですが、中には肥料が無ければ育たない水草もある
ので、一応ここでも話しておきます。(つまり使用時には、そ
れだけ神経を使うものだからです。)

 肥料には、固形のものと液体のものがあります。
 個体のものは、最初から底床に入れるものと、水槽をレイア
ウトしてからピンセットで水草の脇に植え込むタイプと2通り
あります。
 私は、最初から肥料を底床に入れるというのに、抵抗がある
ので使っていません。(ただ、その水草によっては、どうして
も肥料が必要なものもあるので、その場合は仕方なく使います。)
 なるべくなら水槽のセット後、水質が安定し水草が根を伸ば
し始めてからの方が苔を出さずに済みます。

 私が良く使う底床肥料はイニシャルDなのですが、これをそ
のままでは使用しません。
 そのままの状態では、ピンセットでつまむ事は出来ないので
アクアセイフを使って粘土状に良く練ってから、小指の先ほど
の大きさに丸めて、天日でカチンカチンになるまで乾します。
 それを後で使うようにしています。
 イニシャルDには、ペレット状のものもありますが、これは
硬さが足りないので、自分で練って作った方が使い易いと思い
ます。

 液肥の使用は、もっと神経質に使わねばなりません。
 チョット気を抜いて入れすぎてしまうと、スグに肥料過多に
陥って苔だらけの水槽に変貌してしまうので特に注意が必用で
す。
 一般に売られているものには、最初からある程度薄まってい
る肥料と、濃い状態で売られている肥料があります。
 テトラのフローラプライド等は、濃い状態で売られている肥
料なので、使う際には10倍以上に薄めて使うほうが無難です。
 逆にADA等の肥料はそのまま使える筈です。

2.9.水質浄化バクテリアの素

 これから水槽を始めから作ろうとする人には特に必用です。
 濾過システムには、最初の時点で水を浄化してくれるバクテ
リアが存在しませんから、バクテリアが自然に涌いて来るのを
待つ必要がありますが、もっと早い時点で濾過を完成させたい
場合にはバクテリアの素を是非用意してください。
 私が良く使っているのは、スーパーバイオというバクテリア
の素ですが、手頃なものを用意してください。
 ただし、PSBは違うものです。
 購入の際には、必ず好気性バクテリアの素を購入してくださ
い。

2.10.保温用のセット

 一般に、サーモスタットとヒーター、水温計の3点です。
 水草には、サーモとヒーターが一緒になったものが使い易い
と思います。
 水草を重視している水槽では、水温が余程下がらない限り、
保温の必要がないので、私の水槽では殆どセットしていません。
 むしろ、夏場の高水温をさける方が重要です。
 夏場は蓋を外したり、小型ファンを付けたり、そっちの方が
大変ですネ。

3.セッテイング

 セッティングに先立って、水槽、砂、フィルターを良く水洗
いしてください。
 砂は、細かい粉のような粒が沢山出ますから、特に念を入れ
て洗ってください。

3.1.水槽のセッティング

 水槽の設置には、先ず、水槽の台に平らに置けるよう気配り
が必要です。
 水槽を設置場所に置いてみて、ガタつきがあるようでは、水
槽を載せた際その重量で、水槽その物が徐々に歪んで変形し、
場合によっては割れてしまうことがあります。
 また、水槽を置く台そのものが水槽の重みで変形してしまう
ようでも問題あります。

 水槽の台には出来るだけシッカリしたものを選ぶようにして
ください。
 60センチの水槽の場合、比較的一般家具にも載せられるの
ですが、頑丈そうに見えても長い期間でみると変形してしまい
ますから、もし、そう言った不安が残るような台の場合、その
家具の天板のサイズに、厚い板(20ミリくらい)を切って載
せ、その上に水槽を置くようにすると良いとおもいます。

3.2.砂を敷く

 予め洗っておいた砂を水槽の中へ敷いてください。
 砂は三角定規等で平らに広げて、手前から奥へ徐々に厚く敷
く様にすると水槽自体に奥行きが出ます。

3.3.フィルターのセッティング

 フィルターには、前述の様に内部、外部と2通りあります。
 それぞれに、若干セッティング方法に違いがあるので、ここ
では別々にお話しします。

3.3.1.内部フィルター

 内部フィルターは、水槽内部に吸盤で取り付けます。
 濾材は、一般的に添付されているので、それをそのまま用い
て下さい。
 また、ものによっては、空気を取り入れできるタイプの物が
あります。
 その部分も、最初の内は利用すると良い結果が出るので、そ
のままセットしてください。

3.3.2.外部フィルター

 外部フィルターには、内部に色々な濾材をセットできるのと、
体積もあるので内部フィルターに比べ強力な濾過能力を得るこ
とが出来ます。
 勿論、それはサイズにもよるのですが、あまり大きなサイズ
では水流が強すぎて難い場合があります。
 ここでは、エーハイムの2213スターターキットを例にと
ってお話します。

 最初の時点では、濾材のうち、エーハイメックを全部、サブ
ストラットを添付量の半分を用いるので、それらを予め水洗い
してください。
 まず、フィルターの蓋をあけ、一番下に竹輪状のエーハイメ
ックを敷きつめます。(全体の体積の3分の1くらい)
 この上にエーハイサブストラットをそのまま載せても良いの
ですが、将来それを水洗いする時に濾材どうしが混ざってしま
っては面倒な事になるので、台所でつかう水切りネットを適当
な大きさに切ってメックとサブストの間に挟むようにすると良
いです。

 スターターキットには、サブストが1.4リットル分入って
いるのですが、とりあえず最初に入れておくのは、その半分で
す。
 そして、残りのスペースには、活性炭を最初の時点で入れて
おくと良いです。
 エーハイムに添付されている活性炭は、かなり沢山の量がネ
ットに入って添付されていますが、そのねっとのままでは入り
きれないので、適量を残すように取り出しビニール袋へ入れ保
管してください。
 そしてネットに入った状態で、サブストの上に置いてみてエ
ーハイムの蓋が閉まるか試してみて下さい。
(勿論、濾材の上にスペーサーを載せて蓋が閉まる状態です。)
 活性炭の量が決まったところで、ネットに詰めたままの状態
で軽く水洗いします。
 あまり、強く水洗いすると、エーハイムの活性炭は粉々にな
ってしまうので軽くです。
 全ての濾材をセットしたら、図に従いセッティングして下さ
い。(給水ホースと排水ホースにダブルタップを忘れずに)
 また、外部フィルターの置き場所ですが、なるべくなら水槽
の水面より下になる様にします。

3.4.保温器具のセッティング

 水草水槽のセッティングというと、一般には3ー6ヵ月毎に
行なうと良いので、これから夏場に向かう季節であれば、保温
器具は不要です。
 逆に、これから冬場に向かう季節であれば必要になります。
 保温器具は、それぞれの設置方法に従いセットします。
 そこで、一点注意があるのですが、ヒーターや温度センサー
部分は、絶対、砂に埋めないようにしてください。

3.5.水を入れる

 一通りの器具をセットしたところで、水を水槽にいれます。
(CO2セットは、また後でネ。)
 水道から水を適度なところまで注水してください。
 私の場合、水槽の上の縁ギリギリまで注水しています。
 何となく、ガラス面に水面が見えるのが私は好きでないので、
そこまで水を入れています。

 ここで、ポンプにスイッチをONにしますが、パワーフィル
ターの場合、フィルター内に水が満杯に入っていないと空回し
状態になり水が流れません。
 先ずは、ダブルタップの入排水全てを通水状態にしてからシ
ャワーパイプを外して、ホースをくわえ口でチュウチュウとフ
ィルター内の空気を吸出すようにしてください。
 フィルターが水槽の水面下にある場合、最初の一息で後は勝
手に水がフィルター内を満たしてくれます。
 フィルター内に水が一杯になったところで、シャワーパイプ
を元に戻し電源をいれます。
 この状態で、水を半日程循環させた後、バクテリアの素を水
槽に添加します。

3.6.その他器具

 蓋や蛍光燈等は、作業の適当なところでセットしてください。
 蛍光燈には、コンセントも付いていますから、フィルターや
保温器具の電源はここから取ると良いでしょう。

                                           PC-VAN CABOBA
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