#115 その他>熱帯魚屋経営学               おしけん
おしけん ID:ACE16805
98/5/21,5/23,5/26,6/9  #6597,#6618,#6677,#6929 熱帯魚☆倶楽部

熱帯魚屋経営学その1                        おしけん        

  昨今の書き込み数減少対策のネタ振りも兼ねて、熱帯魚屋バイトで得た経験
  を今回は「経営学」としてアップしていきたいと思いますのでよろしくです。
  m(_ _)m
  
  熱帯魚屋の立地条件
  熱帯魚屋を建てるなら、まったく熱帯魚屋がない所か、おしけんの住んでい
  る松戸のように、熱帯魚屋が多数ある土地に建てると良いようである。前者
  は自動的にシェア100パーセントであるし、後者は秋葉原の電器街のよう
  な共存共立が可能だからである。付近に大型店があるとなおさら良い。店内
  をきれいに保ち、魚の状態をよく保ち、きちんと接客ができる店にお客さん
  は集まる。松戸のような熱帯魚屋過密地帯では、現実にお客さんは全部の店
  をまわって総合的に一番の店で買い物をしている。

  他店との値引き合戦の作戦
  どこの熱帯魚屋でも仕入れ値は基本的にはほとんど変わらない。熱帯魚は花
  屋といっしょでロス(死魚)をどう値段に加味して売るかで値段が決ってく
  る。それならば、早く売ってロスをなるべく出さないようにすれば、値段を
  下げる事ができるし、早く売れる。そこで生体は他店より安ければ安いほう
  が良い。
  器具の場合は、入荷の量である程度仕入れ値の変動が出てくる。そこである
  程度売れる商品は大量入荷でストックしておく。他店との価格競争は値を下
  げれば売れる商品のみ値下げで競争する。値下げしなくてもコンスタントに
  売れる商品、値下げしてもまったく売れない商品は値下げする必要はまった
  くない。この辺を理解していない店は結構多い。

  裏情報FAXネットワークの存在
  この業界にはタイトルのとおりの情報屋が存在して、新しい店ができたりす
  ると、その店の水槽の配置、その中に入る魚の種類、仕入れ先、仕入れ値、
  売り値・・・等、参考となる情報がすべてFAXで店にいながらにして取り
  出せる。おそるべし情報屋である。

  熱帯魚屋を2店経営する事の利点
  まったく違う地域に支店があるのは極めて有利である。2店間で売れない商
  品を入れ換えることで、新たに仕入れ金を必要とせずに新しい商品の入れ換
  えが出来るし、お客さんにも見た目で商品の入れ換わるのが解るのでこの方
  法は、不思議と効果バツグンである。片方では売れない商品でも、もう一方
  ではバカ売れしたりする。生体は地域によって好まれる種類に差があるらし
  く、特に効果がある。

  輸送コストの削減
  器具の店までの配送は業者にまかせずにできれば自分でするべきである。
  これで経費をかなり押さえる事ができる。

  売り上げをあげるには
  熱帯魚ブームが下火となってきた最近では、客自体減っているので客一人あ
  たりに対する客単価を上げることが売り上げに直接つながる。その方法はい
  くつかあり、実践されている。まず、抱き合わせ商法で、水草を買ったら
  「肥料はいかがですか?」、水槽セットを買ったら「砂利やバクテリアは?」
  という感じですすめていく。これは成功の可能性が高いが、やりすぎるとお
  客さんに嫌われてしまうので、その限度が難しい。
  つぎに将来を見越した商法で、アロワナやクララといった大きくなる魚を安
  売りすることで、日常的にメダカや小赤といった生き餌を買ってもらえるし、
  将来大きな水槽を買ってくれることも期待できる。

  第1回はここまでということで。
  毎回50行くらいずつ書いて行きますのでお楽しみに。(^^)


熱帯魚屋経営学その2                   おしけん             

  今回は販売テクニック論です。

  既存商品からショップオリジナル商品を作る
  テトラのアクアセイフ、バイタルといったコンディショナーの類は5リット
  ル入りのものも販売されているが、その量ゆえ、かなり値下げしてもあんま
  り売れない。そこで市販されているプラスチックの試薬ビンに250ml、
  500、1リットルと詰めなおしてバラ売りすると、これが不思議とよく売
  れるのである。もちろん、正規の商品よりは多少は値引きする。この方法は
  メーカーの耳に入ったらちょっとヤバいかもしれない。(^_^;
  エアーホース用のコックなどの小物はメーカーの袋に入ったままの状態より、
  袋から出して山積みしておいたほうが良く売れる。

  よく売れる水槽の存在
  ショップには同じ魚でもなぜか良く売れる水槽の場所というのが必ず存在す
  る。そこに一番売りたい生体を入れる。一般に人の目線と同じもしくは上の
  水槽の方がよく売れる。足元は一番ダメである。

  水草の売り方
  最近では、束の水草よりポット入りのほうが好まれるようである。金魚藻と
  して売られているカボンバ、アナカリスなんかも1束100円でバットに転
  がしておくよりもポットに詰めれば、倍以上の値段をつけてもよく売れる。
  販売用水草水槽のレイアウトは、背の高さで水槽を分け、さらに色の違うも
  の、ボリューム感で違うものを交互に配置していくと良い。細かなテクニッ
  クとしては縦に2列ずつ配置し、後ろから売っていく。少量が売れ残ったら、
  横方向に並べて後ろが見えないように配置してボリューム感を出す。

  10匹980円よりも3匹480円
  最近は、オールインワンの小型水槽でチマチマと飼っているお客さんが多い
  らしく、10匹まとめてというより、3匹、5匹といった売り方の方が良く
  売れる。カラシン、プラティなどは特に有効である。

  日頃のメンテナンス
  まず、一番大切なのは死んでいる魚はすぐに取り除くということである。や
  はり死んでいる魚が水槽にいるというのは、その水槽の魚を買おうとしてい
  るお客さんにとっては一番のマイナス要素である。コケ、水草の切れ端など
  も同様で、すぐに取り除くべきである。
  底砂をひいている水槽は、底砂を後ろに向かって傾斜させる。これで水槽が
  広く見える。

  病気が発生した場合
  販売水槽で病気が発生したとき、その水槽に色のつく薬を入れてしまうと、
  これもまたマイナス要素になってしまう。そこで、病気になった魚は足元の
  ほうの目立たない水槽に移して薬浴させるか、色の着かない薬で治療する。
  こういうとき塩はとても重宝する。
  
  熱湯消毒の励行
  ディスカス、国産グッピーといった魚は魚をすくうネット、ボウルなどから
  病気が感染するおそれが大変高い。そこで、この手の魚のネットはそれ専用
  に別にする。それができなくても最低限、熱湯消毒はするべきである。

  今回も50行で、その3に続きます。


熱帯魚屋経営学その3                        おしけん        

  第3弾であります。(^^)

  宣伝・広告
  雑誌に宣伝として広告を載せる場合、開店初期の段階で、店を知ってもらう
  ために一度載せるのは効果があるが、毎月載せるのはムダである。新聞折り
  込み広告なども他店にセール価格を知らせるようなものなので意味がない。
  同じ金を使って広告を出すくらいなら、同じ金の分、損しても器具なんかを
  激安セールをしたほうが効果がある。広告よりも水槽を100円で売ったと
  かいう口コミのほうが後々効いてくるのである。
  これからは、インターネットのHPを熱帯魚屋が持つのは大変有利であると
  思う。

  ストック
  メダカや小赤、川エビといった生き餌は季節や天候などで採集、生育状況で
  相場が大幅に変動する。相場が安い時に大量仕入れで単価を下げ、店のバッ
  クヤードにストックしておくと良い。相場が上がった時、熱帯魚の卸し問屋
  に逆に卸して利益を得ることもできる。

  営業時間
  営業時間は他店と比べて朝早く開店するよりかは、他店より夜遅くまで営業
  していたほうが、売り上げは伸びる。なぜなら、朝イチで来るお客は他店の
  開店までのヒマ潰しで、後で確実に自分の店にも値段を調べにくるのである。
  逆に、夜はどうしても必要で来るお客さんが多いので、まず確実に目当ての
  物を買ってくれるのである。

  クレーム処理
  客商売に付物なのが、お客のクレームである。特に生き物を扱っているので
  扱いに困るクレームは多い。そこで、必要なのが徹底した説明である。生体
  は飼い方、同居魚の可否など細部にまで渡って説明し、器具はその使い方、
  起こり得る事故、また、水槽は売る前に割れていないか必ず客自身に確認さ
  せる。これで、後で水槽が割れていたと言って来てもまず客の過失である。
  また、メーカーによって故障があってもメーカーに送って検査してから交換。
  という形態の商品もあるのでそういった事も説明が必要である。

  セールのやり方
  セールは不定期に行うべきである。これはセールを定期的に行うと、セールの
  時しかお客さんが来てくれなくなってしまうからである。同様にセールの時に
  新聞折り込み広告を出すのも、次のセールの広告が入るまで客は待ってしまう。
  いつセールをするか解らないようにして、常に客を店に足を運ばせるようにす
  るべきである。

  問屋との付き合い
  熱帯魚の問屋からの入荷というのは、ヘタな通信販売以上に良心的ではない。
  どうみても稚魚にしか見えない魚を入れて来たり、病気の魚が来たり、大量に
  落ちがあったりと、トラブルが多い。そのクレームに対して良心的に対応して
  くれる問屋と付き合うべきである。良心的でない問屋はすぐにでも取り引きか
  ら手を引いてしまって良い。

  その4に続きます。
  今度は業界のウラ事情についてです。お楽しみに。


熱帯魚屋経営学その4                   おしけん        

  御好評の経営学ですが、今回で一応最終回です。
  またネタがありしだい書きたいと思います。

  器具は同じ種類でも違うメーカーのも揃える
  これは、同じ種類の製品でもメーカーにこだわるお客、一番安いのを欲しが
  る客、一番高いのを。という客と様々だからである。客に薦める際は値段的
  に真ん中の物を薦めるのがベスト。「ちょっと高いなぁ」という客には安い
  のを紹介し、高いのを買ってくれそうな客には「こういうのもありますよ」
  という感じで、紹介して、売れれば売り上げも伸ばせる。

  薦めるからにはそれに精通していろ
  お客になにか薦める時は、少なくとも簡単にでも説明できないと説得力がな
  い。店員全員が全てについて網羅していればベストだが、Aは海水関係、B
  はディスカス・・という感じで1つにでも専門があれば十分対応できる。
  
  一度下げた値段は上げられない
  一度付けた値段をセール以外で下げてしまったら、もう上げる事はできない。
  下げた値段を上げたらまずお客さんは買ってくれない。これは最近のディス
  カス専門店で特に言えることで、ディスカスブームの時に付けていた値段を
  最近の不況で半値以下に下げているが、たとえ今後ブームが再来したとして 
  も値を上げて売ることはまずムリである。ディスカスやアロワナの専門店が
  今、一番ヤバい。
  
  定休日は火曜日がベスト
  一般に火曜日が定休日の店は多い。これは、土日の営業は当たり前として、
  月曜日は休み開けで会社に出て来て買いにくるお客さんが多いのと、土日の
  後片付けをすることが多いので、営業すべきである。
  水曜日、木曜日は、週末に備えて器具の補充、生体のメンテナンスにあてる
  べき日である。割とお客さんは少ないので、メンテナンスに当てられる時間
  が多くて良い。また、生き餌を買いに来る人が多い曜日でもある。
  金曜日は生体の仕入れ日。土日に備えて生体を仕入れて、そのトリートメント
  をする日。
  結局、火曜日はお客さんはあまり来ないし、やることも特にないので定休日
  とするのがベストである。

  今まで書いてきた様な店が近所にできたら
  こういううまい商売をする店が近所にできてしまったら、正面から当たること
  はまずムリである。そこで斜めから当たることを考える。つまり、その店で扱っ
  ていない商品、生体、サービスで対抗するしかない。具体的には、ショップオ
  リジナル商品の開発、卵目や珍コリ、プレコなどを揃える、水槽宅配サービス
  といったところである。逆に値段を高目に設定することで、高級指向の客を取
  り込んで生き残っている店も実在する。

  ☆熱帯魚業界のウラ事情
  
  超激安店の秘密
  各エリアに1件はある超激安店。ネオンテトラL50匹で千円とか小赤100
  匹で千円とかどう考えても仕入れ値を割っている値段は驚異である。
  なぜ、ここまで安いのかというと、問屋から仕入れる際、普通の店には売れ
  ない状態の悪い生体まで引き受けることで、安く仕入れているからなのであ
  る。したがって、それなりに安かろう悪かろうの魚なのである。
 
  ホームセンターの激安水槽セットの秘密
  ホームセンターでニッソーの曲面水槽12点セット9800円。なんていう
  激安で売られているものは、ほとんどが仕入れ値と同額あるいは赤字である。
  開店当初を除いて、赤字や儲け0という商売はする必要のない行為である。

  熱帯魚雑誌の特集と有力店のつながり
  熱帯魚雑誌の特集というのは有力なスポンサーの意向で決る。スポンサーが売
  りたい種類の特集を本に組ませる。実際、雑誌の特集とリンクしてセールをす
  る店は多い。

  業界の現状と今後の展望
  現状はブームの末期からそのブームの後始末という段階へ進んだ所である。
  お店には、本当に熱帯魚が好きな人と、ブームの時に買った熱帯魚を維持する
  ためだけの買い物しかしない人で占められている。どんなに水槽を安く売って
  もほとんど売れないのが現実である。従ってこれから熱帯魚店を開店させても
  それだけで食っていくのは、まずムリな話である。いつでも客は消えない生き
  ていくのに必要なスーパーと違って趣味の業界は不況にとことん弱いのである。

  今後、この業界で商売をするとしたら「エサ屋」がいいだろう。生き餌を適正
  価格で全国に発送できる店を作ったら、まず儲かる。
 
  業界では、来年の春あたりにまたブームが来る・・・という希望を持っている
  らしいが、実際は???である。

  以上、熱帯魚屋経営学でした。いつか経済的に余裕があったら熱帯魚屋は経営
  してみたいですね。その時にブームでなく、犬猫なみに熱帯魚が普及している
  ことを願うばかりです。