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  秋鯖(鯖)は嫁に食わすな  秋の鮗(コノシロ)嫁に食わすな
 
秋サバは脂が乗って美味いから嫁に食わせるのは もったいない。
反対に秋の鯖は当たりやすいから、大事な嫁には食わせない。
「秋魳(カマス)は嫁に食わすな」や「秋ナスは嫁に食わすな」も同意。
秋茄子は美味しいから、秋茄子は体を冷やすから、秋茄子は種ばかりで実が無い、子沢山になる、などです。
嫁とはネズミのことだと言う説も有る。

  阿漕が浦に引く網
人に隠れてすることも度重なると世間の人に知れ渡ってしまうたとえです。
阿漕が浦は伊勢神宮に奉納する魚を獲る禁漁区です(三重県にあり、茨城県とは別物)。

  鯵(アジ)はタタキに始まってタタキに終わる

「生でよし、干してよし、焼いてよし、漬けてよし」と言われるアジは何時でも味が良いのが名の由来。
新鮮なアジは、何と言おうとその場で手早く調理したタタキが一番美味しいという意味。

  浅みに鯉

 浅瀬の鯉は簡単に捕まえられることから、思いがけない幸運をつかむことのたとえです。
  
  明日食う塩辛に今日から水を飲む

手回しが良すぎて無駄なことです。
  
  鯵(アジ)は棚を釣れ

アジの泳層は一定していて棚が違えば釣れませんし、棚より上に仕掛けがあれば、アジより上にいるサバやイワシが釣れてしまいます。
 
  網、呑舟の魚を漏らす

 魚を獲る網でも舟を飲み込むほどの大きな魚は獲れない。

  網無くして淵を覗くな
 準備を怠ったまま物事にのぞんでも上手くいきません


  網にかかった魚
 逃げようにも逃げられない、どうしようもない状態のことです。

  網の目から手
 網の目それぞれから手が伸びるような引く手あまたの状態のこと。

  網の目に風たまらず
 風を溜めようとして網を張るように、無駄で何の効果もないこと。

  網の目に風とまる
 ありえないことのたとえです。

  鮎鯛のことは鯒知らず
 相対で決めたことはこちらは知りませんよ。

  アラを探す
 魚を三枚に下ろすと、頭と骨が残りますがこれがアラです。このアラの間に付いているわずかな魚肉をほじくって食べることを転じて、他人の欠点や僅かなミスを見つけ出してケチをつけること。

  慌てる蟹は穴に入れぬ
 鳥に襲われて慌てた蟹が自分の穴に逃げ込めずに食われてしまうように、何事も慌てると失敗する。

  鮟鱇(アンコウ)の待ち食い
 アンコウは海底で餌の小魚が目の前に来るのを待ち伏せしていて、大きな口でパクッとやる。

  アンコ型
 腹が突き出ている超肥満型のお相撲さんを「アンコ型」といいます。これは姿かたちが魚のアンコウに似ているからで、言葉がつまって「アンコ型」となった。

  烏賊様 いかさま 如何様
 烏賊は餌木とか烏賊角と呼ばれる道具で釣ります。 餌も付けない擬餌バリで烏賊を騙して釣ることから、ばくちなどで誤魔化すことをイカサマといいます。「甲子夜話」という本には、烏賊の墨で証文を書くと数年後には消えてしまうことから、人を騙す行為をイカサマという。とありますが、実験の結果では10年経つも消えなかったとのことです。

  生簀の鯉
 捕らわれていずれは料理されてしまう鯉のように、やがては死する運命にあること。

  磯際で船を破(わ)る
 上陸寸前で船を壊してしまうように、物事が達成する直前に失敗すること。

  磯の鮑(アワビ)の片想い
 アワビはサザエと同じ巻貝の仲間です。ハマグリなどの二枚貝に見立てて、何時までも片方の貝が現れないことから


  磯のカサゴは口ばっかり
 陸ッぱりでテトラから釣るカサゴは大きい口を持ってます。 口ばかり大きくて食べる部分(身)が少ないことのたとえですが、大口を叩いて実行力のない人を「磯のカサゴ」っていいます。

  一淵には両鮫(りょうこう)ならず
 一つの集団には強力なリーダーは共存できない。鮫(コウ)は想像上の動物で竜の仲間といわれてます。

  一度は罹るカワハギ病
 船釣りをされる釣師には、カワハギ釣りを好む人がけっこう多い。カワハギは餌取り名人で、釣り人に気づかせないように餌のアサリを盗っていきますが、何とか釣り上げようと熱を上げて通いつめる釣師も多いことから「カワハギ病」と揶揄したもの。

  一場所、二餌、三に腕
 好釣果は、第一に場所、第二に餌、最後が釣り人の腕って、釣技を自慢する釣師へのいましめ


  一網打尽
 悪事を働く仲間を一斉に検挙して、一人も逃さないこと。

  一発魳(カマス)
 魳という魚は餌の小魚や小海老に対してたいへん攻撃的です。小さいミノーに果敢に喰らい付いてきますが、そんな習性から相手の機先を制する先制攻撃のたとえ。

  一匹逃げれば皆逃げる
 群れをなしているアジやサバは一匹が逃げると皆一緒に逃げてしまうということわざです。

  一匹の鯨に七浦賑わう
 一匹の鯨は七つの集落を潤おす。大きい獲物は利益を受ける人も多い。捕鯨国日本を象徴しています。

  一本竿にアブレなし
 狭い釣り場に何本も竿を出している釣り人を見かけます。鰈のような待ち釣りでは有効な手段ですが、アジ釣りやメジナ釣りでは仕掛けの絡みなど非効率になります。一本竿でこまめに仕掛けや餌を点検しながら釣ったほうが、効率良く釣れる。

  糸のもつれを解く人はよく釣れる
 仕掛けをこまめに点検して、糸撚れやからみを直している人にはたくさん釣れます。

  イナセ(鯔背)
 気風が良くて粋な若い衆をいいますが、その語源は魚河岸で働く若い衆の間で流行した「鯔背銀杏」という髪型からきています。イナは、オボコ⇒スバシリ⇒イナ⇒ボラ⇒トドと成長にしたがって呼び方が変わる出世魚ですが、イナは少し曲がっている背ビレをピンとたててすばしっこく泳ぎます。イナの背ビレのような銀杏結いの髪型が語源となったようです。

  入船あれば出船あり
 人の行動は様々、この世の中も様々ですね。

  入船に良い風、出船に悪い
 一方に都合の良いことは、他方には都合が悪い。外房港が釣りやすい日は外房東港は風向きが悪く釣りづらいってこと


  命あれば海月(クラゲ)も骨に会う
 長く生きていればめったにない幸運に巡り合えることもあるってたとえですが、クラゲに骨が出来るはずない


  鰯(イワシ)網で鯨捕る
 イワシを獲ろうと仕掛けた網に鯨が入ってしまった様子を想像してください。思いがけない幸運に恵まれることのたとえです。

  鰯(イワシ)で精進落ち
 精進明けのお祝いの席のご馳走がイワシだったのでがっかりすること。

  鰯(イワシ)も七度(ななたび)洗えば鯛(タイ)の味
 昭和30年代までは取れすぎて干しか(肥料)にしていた、マイワシやカタクチイワシですが、脂肪が多く生臭いこのイワシも良く洗えば真鯛のような美味しい味になる。今の魚河岸ではマイワシも真鯛もキロ当たりの値段が同じだとか。

  鰯(イワシ)の頭も信心から
 イワシの頭のようなつまらないものでも、信仰の心が価値を引き出す、価値をもたらすということですね。

  鰯(イワシ)のたとえに鯨
 小さなことを説明するのに大きな例をあげること。不適切なこと。

  魚は餌無きを以って釣るべからず
 事業を起こす時には元手をかけなければ成功しない。

  魚心あれば水心
 相手が自分に対して好意的であれば、自分も相手に対して好意的に接する。

  魚と水
 切っても切れない密接な関係のたとえです。

  魚に泳ぎを教える
 釈迦に説法と同じで、その道の専門家に生齧りの知識を教えること。(爆)

  魚の木に登るが如し
 とうてい不可能なことをやろうとするたとえ。

  魚の水を離れたよう
 唯一の頼みの綱を失って能力が発揮できない様子。

  魚は鯛、人は侍、木は檜
 同類の中で、最も優れているたとえ


  魚は殿様に焼かせろ、餅は乞食に焼かせろ
 魚を焼くときは、片身ずつしっかりじっくり殿様のように焼くと上手に焼けますが、餅はすぐに焦げてしまいますので、せっせとこまめに裏返しながら、お腹をすかした乞食のように焼くと美味く焼けるという焼き方のコツを教えています。

  魚は強火の遠火
 これも魚を焼くコツのたとえです。強火で一気に焼き上げると旨味がそのまま閉じ込められて美味しく焼けますが、火が近いと焦げて炭のようになります。

  魚の目に水見えず人の目に空見えず
 身近にあると当然のごとく馴れてしまい、ありがたさに気が付かないこと。

  魚焼いた網は熱いうちに洗え
 魚を焼いた網は塩分と脂がこびり付いていて冷めるとなかなか取れません。

  魚を争うものは濡れる
 利益を得ようとするにはそれなりの苦労や困難がありますねー!

  魚を得て筌を忘れる
 目的を達してしまうと、恩恵を受けたもののことを忘れてしまうってたとえです。

  内の鯛(タイ)より隣の鰯(イワシ)
 隣の芝生と同じで、他人の持ち物は良く見えるってことです。

  内蛤(ハマグリ)に外蜆(シジミ)
 内弁慶の外地蔵ならわかるかな!

  ウツボと蛸(タコ)
 生まれながらの仇通し。出会えば必ず死闘を繰り返す。

  独活と鰊(ニシン)
 ウドの酢味噌和えにニシンが良くあって一層美味しいことから、お互いの持ち味を活かしあっている仲の良い夫婦のこと


  鰻(ウナギ)の寝床
 うなぎ漁では竹筒や塩ビの水道管を使いますが、そんな場所に住んでいるんです。間口が狭くて奥行きのある土地や住まいをたとえるときに使っています


  鵜の川の小魚
 どんなに逃げても逃れようがないこと。「蛇に睨まれた蛙」に近いかも。

  鵜飲み
 鵜は1尺位の魚を一飲みに飲み込んでしまうことから、信じて疑わないこと。
 ウグイって魚がいますが、これは鵜が食べた魚ってことが語源、漢字で書けば「鵜食い」。

  海魚腹から、川魚背から
 魚の開き方です。アジの開きは関東では腹から開きますが、地方によって異なりますね。

  海背川腹
 海の魚は背のほうから先に焼き、川の魚は腹の方から先に焼くと美味しく焼ける「川背海腹」って正反対のことわざもある


  海千川千  海千山千
 海に千年、山に千年暮らしてきて、良いことも悪いこともいろいろ経験してきたからずる賢い


  ウミタナゴは嫁に食わすな
 メバルや海タナゴは胎生ですから、稚魚で生まれてきます。尾から生まれることから、人に例えて、逆子や難産につながるとして特に妊産婦に食べさせない地方があります。(島根、和歌山)その一方で、子宝とか安産として奨励したことわざもあります。(岩手、宮城)

  ウミタナゴ嫁に食わすと子沢山
 胎生魚であるウミタナゴを子供の出来ない夫婦に食べさせる風習があります。また、安産の象徴として妊婦に食べさせる地方もあります。「たなごこそ懐妊の薬、朝夕に食して其子難産なし」これは、江戸時代の「和歌食物本草」って書物に見いだせます。(関東から東北)

  海のことは漁師に問え
 何事もその道のプロに尋ねるのが一番良いという意。

  江戸っ子は五月の鯉(コイ)の吹流し
 江戸っ子は、口は荒いが腹の中はサッパリしていて含むところがないというイナセな男気。
 「口先ばかりではらわたは無し」って続きます。

  餌の中の鈎
 釣り餌の中には釣り鈎が入っているように、上手い話には気を付けよ!

  蝦(エビ)で鯛を釣る
 昔は、エビはどこにでもいるもので手に入りやすかったのでしょう。そんなものでタイを釣る。ってことで、たいした努力もしないで価値あるものを手に入れることのたとえです。

  海老跳ねれども川を出ず
 川海老がいくら跳躍しても川から出られない。人にはそれぞれ持って生まれた天分があるってたとえです


  江鮒(エブナ)の出世
 江鮒(エブナ)とはボラの幼魚(スバシリとかイナ)のこと。人が見違えるように立身出世すること。

  淵中の魚を知る者は不祥なり
 淵に潜む魚まで見通せる者はそれが仇となって不幸を招く!物事の隅々まで知ることは良くない。

  大潮後の中潮を釣れ
 大潮後の中潮に食いが立つということわざですね。

  大船に乗る
 大きな船は難破の恐れがなく安心して任せられるということから、頼りになる人に全てを任せて安心するってこと。

  沖な物あて
 まだ手に入れていない物をあてにすること。

  沖にも付かず磯にも付かず
 どっち付かずのあいまいな態度。

  沖の魬(ハマチ)
 関東では天然物をイナダ、養殖物をハマチと呼んでいるので、これは西日本系かな。沖を回遊するハマチは獲れない。つまり「あてにならない」ことのたとえですね。

  尾鰭(オヒレ)を付ける
 物や出来事を実際よりも誇張して大げさに表現することのたとえです。

  親をにらむと鰈(カレイ)になる
 親をにらんでると目が片方に寄って、カレイみたいになっちゃうよ〜!(爆)

  及ばぬ鯉の滝登り
 鯉と恋をかけた洒落言葉。叶うはずのない高望みの恋心!

  女連れの釣りに危険なし
 女性と一緒の釣りでは、危険な場所には行きませんし、堤防先端など混んでる釣り場には行かないので危険はないというたとえです。

  貝殻で海を測る
 あさはかな知識しかないのに大きな問題を論じたり、判断したりすること。「大海を耳掻きで測る」も同。

  貝殻で海を干す
 出来もしない不可能なこと。

  櫂(かい)は三年櫓(ろ)は三月
 なにごとも技術を身につけるにはそれなりの期間と努力が必要だってこと。

  貝を以って海を汲む
 なしえない無駄な努力のこと。

  火事の話しに逃げた鰻
 火事の話しと逃げた鰻の話しは時が経つとだんだん大きくなる。

  鰹節と砥石の借り入れはない
 どちらも使えば減る物だから借りるといっても実際は貰う結果になるというたとえです。

  鰹(カツオ)に酔う
 江戸時代のカツオの漁場は、小田原沖や鎌倉沖が主で、漁からの帰り船を三浦三崎で押送船(おしおくりぶね)という高速輸送船が待ちうけ、急いで江戸の魚市場に運び、待ち受けた「棒手振り(ぼてふり)」が天秤棒にカツオを入れた桶を担いで売り歩いたようです。この押送船は、葛飾北斎の富岳三十六景「神奈川沖浪裏」に描かれている八丁の櫓がある船で、房州沖の秋刀魚などの運搬にも活躍したようです。冷蔵庫も氷もありませんから鮮度が落ちるのも早く、刺身で食べると、吐き気や倦怠感、発熱などの軽い食中毒をよく起しました。カツオに中るといわずにカツオに酔うとは何と江戸っ子らしい表現でしょう。鰹のタタキはとても美味しいですが、タタキの起源は、昔四国の漁村で鰹に中った食中毒が蔓延した時、領主から「鰹の刺身食うべからず」との禁令がでました。そこで、麦わらで表面を少し焼いて「焼き魚です」って食べたのが始まりとか!ネギ、しょうが、にんにく、青じそなどは毒消しの薬味です。薬味は毒消し薬からきているようですね。

  蟹(カニ)は食ってもガニ食うな
 ガニはカニのエラです。外房ではフンドシって言ってました。昔の人は、これを食べると中毒を起こすと考えていたようです。実際は、無味で食感も良くありませんが、足が付きやすい戒めとしてたと思います。

  蟹(カニ)は甲羅に似せて穴を掘る
 人間も、分相応に行動し、住居も分相応な物をとの戒め。

  蟹(カニ)の念仏
 カニが口から細かい泡を吹き出す音がブツブツと念仏をあげているように聞こえます。

  蟹(カニ)の横這い
 他人には不自由に見えても本人には一番良い状態のことです。

  鎌倉に鰹も食べず3年居る
 鎌倉の東慶寺は縁切寺、ここで3年過ごせば離縁できたがそれには生ものを食べず精進料理だけで過ごさなければなりませんでした。

  魳(カマス)の焼き食い一升飯
 新鮮なカマスを焼きながら飯を食べると美味しくて限りなく食べちゃうよというたとえです。鰯の焼き食い一升飯とも言います。

  カマトト
 「このかまぼこはオトトで出来てるの?」ごく当たり前のことを知らない振りして聞いたり、私はウブよって振舞う女性のことです。

  川口で船を破(わ)る
 上陸寸前で船を壊してしまうように、物事が達成する直前に失敗すること。

  寒鰤(ブリ)、寒鯔(ボラ)、寒鰈(カレイ)
 寒中に美味しい魚ですが、ヒラメやスズキも寒に美味しいですよ。アジをはじめ5月は多くの魚が産卵期を向かえます!「五月鮃(サツキヒラメ)は猫マタギ」と言われるように産卵期は味が落ちます。

  木に縁りて魚を求む
 木に登って魚を求めるように、見当違いの実らない努力をする行為。

  京の生鱈
 昔、京都では生の鱈が入手できなかったことから、ありえないもの、ありえないことのたとえとして使われました。

  魚腹に葬(ほうふ)らる
 海や川で水死して魚の餌になってしまうことから、水死のことをいう。

  漁夫の利
 当事者が争っている間に第三者が利益を得ること。ドブ貝とシギが争っている時、そっと近づいた漁夫が両方を捕まえた故事。

  腐っても鯛    千切れても錦、腐っても鯛
 もともと良い品質な物は、少々古くなっても価値観は変わらないってたとえです。イワシやサバなどは活き腐れっていうほど鮮度が落ちますが、真鯛は細胞の構造からか鮮度が落ちにくいようです。

  鯨に鯱
 どこまでもつきまとって、害を与えることのたとえです。鯨を鯱が追い回してやがては喰らい付くことから。

  鯨の子獲れて賑わう三里半
 一頭の鯨は七つの集落を潤おすってことわざがあります。子鯨はその半分の集落が賑わうことができたということです。三里半はさんりはんではなく、みさとはんです。千葉県内の捕鯨の歴史も古く、醍醐なにがしという網元が、今の鋸南町あたりで捕鯨をやっていたようです。それから館山、白浜、そして現在の和田浦に移転してきました。

  グチをこぼす
 イシモチやニベは別名「グチ」と呼ばれていますが、釣り上げた時に「ぐっーぐっー」と泣くような音を出します。そこから、不平不満をブツブツ漏らすことを言うようになったようです。

  海月(クラゲ)の風向かい
 海に浮かぶクラゲが風に向かっていくように、強敵や運命に逆らって立ち向かっても無駄。

  海月の行列
 海月が勝手気ままに浮かんでいるように、きちんと並んでいないことをいいます。

  車は海へ舟は山
 物事が逆さまであるってこと。

  君子の交わりは淡きこと水の如し
 大人物の交際は水のように淡白であるが、友情は永久に変わることがないというたとえです。

  鯨飲馬食
 多量の飲食を一度にすること。鯨が水を飲むように酒を飲み、馬が餌を食むようにたくさんの食物を食べる。

  鯉は焼いても食わぬもの
 他人の恋にヤキモチを焼きなさんな!

  鯉が踊れば泥鰌も踊る
 自分をわきまえず他人の真似をすること。

  鯉の滝のぼり
 黄河の上流にある竜門は急流をなす渓谷ですが、ここを遡上しきった鯉は龍となって天に上がったという故事から立身出世を意味する故事です。「登竜門」はこの故事から。

  鯉の一跳ね
 鯉は一跳ねしてまな板の上ではじたばたしないことから、あきらめがよいこと。死に際がいさぎよいこと。往生際がよいこと。

  香餌の下、必ず死魚あり
 良い香りのする餌のそばには、鈎にかかって釣り上げられ死んだ魚がいることから、利益の陰には身を滅ぼす危険が潜んでいるというたとえです。

  枯魚河を過ぎて泣く
 魚の干物が元棲んでいた川を通り過ぎる時、かってはこの川に棲んでたのにって後悔して泣くということから、人は出処進退を慎重にしなければ後悔するといういましめ。

  湖上に魚鬻(ひさ)がず
 魚がたくさん獲れる湖上で魚を売ろうとしても売れないように、たくさん物があれば買う人がいないというたとえです。

  炬燵水練
 炬燵にあたって水泳の練習をするようなもので、実際には役に立たない議論のことです。

  炬燵に河豚汁
 炬燵に入って身体の養生をしながら、その一方で毒に中る危険がある河豚汁を食べるように、やっていることが矛盾しているたとえです。

  鯒の頭には姑の知らぬ身がある
 一見骨ばかりのコチの頭でも、量は少ないけど美味しい身があり、特に頬の肉は特別の美味さ。人が捨てるような物にも、よく探せば価値のあるものが見つかるよって例え。

  鱓(ゴマメ)でも尾頭付き
 小さくとも体裁の整っているものは立派だという意味だそうです。

  鱓(ゴマメ)の魚交じり
 「雑魚の魚交じり」と同じです。

  鱓(ゴマメ)の歯ぎしり
 ゴマメは、カタクチイワシ(セグロイワシ)の幼魚を干したもので、九十九里の特産品ですね。これを煎って、酒、砂糖、味醂、調味料で甘辛く煮付けたものが「田作り」と呼ばれるおせちの一品です。力のないひ弱な人間が、やたらと意気込んで憤慨することのたとえです。

  強飯に蛸
 美味しくて栄養満点の赤飯と美味しい蛸がいっしょに出されたような、そんな旨い話はそうそうあるものではない。

 大海の一滴
 大海の一粒の水滴のように極めて小さく消え行くものから人間の命ははかないものだというときに使います。

  大海は芥(あくた)を選ばず
 大人物になるとどのような相手でも受け入れるってことです。

  大海を手で塞ぐ
 出来もしないことのたとえです。

  大海を耳掻きで測る
 あさはかな知識しかないのに大きな問題を論じたり、判断したりすること。「貝殻で海を測る」も同意味

  大魚は小池に棲まず
 才能のある人はその才能にあった場所を選ぶ。相応しくない場所に留まっては居ないってこと。

  鯛なくば狗母魚(えそ)
 かまぼこの最上食材の真鯛が無ければ味の劣る狗母魚を使って造るしかないでしょう。良いものが無ければ、それに代わるもので我慢するより他にない。

  鯛の尾よりも鰯の頭
 大きな団体の末席にいるより、小さくても頭やってたほうがやりがいがあるってことかな。「寄らば大樹の陰」とは正反対のことわざですね。

  鯛も一人じゃうまからず
 どんなに美味しい鯛でも一人寂しく食べたんでは美味しくない。食事は気の合った家族や仲間と食べた方が美味しい。

  鯛も平目も食うた者が知る
 いくら、見たり聞いたり書物を読んだりしても、実際に経験しなければ物事の本質は見えてこない。

  高い舟借りて安い小魚を釣る
 採算が合わなくても好きなことのためには金を惜しまない道楽者のこと。

  蛸足
 タコの足は8本ですね。1つのコンセントからタコの足のようにたくさんの線を繫ぐことをタコ足配線といいます。

  蛸配
 タコは空腹になると自分の足を食べてしまうといわれています。少ない利潤を多くあったように見せかけて、利益以上に配当をたくさん付けてしまうことをタコ配っていいます。

  蛸部屋
 工事現場の作業員宿舎などの狭い部屋におおぜいの作業員が押し込められることをタコ部屋って呼んでます。

  蛸に骨なし海月(クラゲ)に目なし
わかりきったことのたとえです。

  卵の殻で海を渡る
 非常に危険な行為やとうてい無理なことのたとえです。

  鱈汁(タラチリ)と雪道は後が良い
 鱈汁は後になればなるほど身がほぐれて出汁もでて美味しくなる。雪道も多くの人が歩いた後のほうが雪が踏み固められて歩きやすい。

  鱈腹(たらふく)
 タラは貝でも蟹でもお腹一杯食べてしまうからいつも大きなお腹を抱えています。お腹いっぱい食べることをたら腹食うと言います。

  池魚のわざわい
 盗賊が隠したとされる宝物を探すために、池の水を干されてそこに棲んでいる魚が巻き添えで犠牲になること。巻き添えによって受ける災難のことをいうたとえです。

  池魚を畜う者は必ず猵獺(へんだつ)を去る
 池で魚を飼おうとする者は必ず川獺を近づけないようにする。なにか事業をはじめようとする場合は、妨げとなる障害を取り除いて安全な状態にしなければ成功しないってたとえです。

  長鯨の百川を吸えるが如く
 大きな鯨が多く川の水を次々に飲み干すような大酒飲みのこと。

  沈魚落雁
 見た魚が深みに潜み、見た雁は地上に落ちてしまうほどの絶世の美女を形容する言葉。閉月羞花と続く。

  月夜の蟹
 月夜の蟹には身がないことから、頭が空っぽの人のたとえです。

  釣りすれども綱せず
 魚を一匹ずつ釣っても、はえ縄で一度に根こそぎ獲るようなことはしない。

  釣りは鮒にはじまり鮒に終える
 子供の頃に釣った魚はマブナって人が多いと思います。その頃の鮒釣りは篠竹にテグスを結んで餌はミミズでしたから、誰でも簡単に楽しめました。マブナはどこにもいましたし良く釣れましたが、その後は淡水では鯉、鮎、ウグイ、山女、岩魚、海ならキス、アジ、スズキ、クロダイなどをターゲットに釣りをしますが、人も枯れてくると釣るのが難しく趣の深いヘラブナに変わってきます。

  釣り下手の道具調べ
 釣りの技量がない釣り人に限って道具にうるさく、あれこれと選びたがるって戒めです。(爆)

  釣りをする馬鹿それ見る阿呆
 釣師を馬鹿にしくさって!プンプン怒ったってしゃーねーさ。(爆)

  出鱈目(でたらめ)
 タラは手当たり次第食べてしまうことから、出たとこ勝負で適当な賽の目にハルような、いい加減な行動を出鱈目って言うようになったとか。出鱈目な釣り方ではアジも釣れません。

  轍鮒(てっぷ)の急
 牛車の轍にできた水溜りの鮒のように、危険が目前に迫っている状態こと。

  鉄砲
 関東では河豚のことを鉄砲といいます。河豚の毒は強く中ると死に至りますが、鉄砲も実弾に当れば死傷します。河豚はめったに中りませんが、「たまに中れば死ぬ」から「弾に当れば死ぬ」をかけた諺ですね。

  出船に船頭待たず
 風待ちの船が順風が吹いてきたら陸に上がっている船頭を待たないで出港するように、チャンスが到来したら周りの状況や事情にかまわずにすぐ行動に移しなさいというたとえです。

  出船の纜(ともづな)を引く
 出船のとも綱を引いて止めようとするような、あきらめきれずに未練がましい態度のこと。纜とは、船を係留する主となる綱のこと。

  天を指して魚を射る
 見当違いな間違った方法では、目的を達することは出来ませんってことです。

  とかく目高(メダカ)は群れたがる
 小物はメダカのように群れで行動したがる。一人で行動する度胸も知恵もない。
  泥鰌の地団駄
 自分の非力を省みずに強い者に立ち向かうこと。「ゴマメの歯軋り」と同意義です。

  鯔(トド)のつまり
 ボラは、オボコ、スバシリ、イナ、ボラ、トドって成長するに従って呼び名が変わる。スズキやブリのように出世魚の殆んどが最終の成魚名が最も有名なのが一般的ですが、トドだけが例外です。結局はとか結論は、或いは最後にはというような時に使います。「からすみ」はトドの卵巣です。伊豆半島でも10月頃に漁獲したトドから摘出して天日に干してべっ甲色に仕上げて売ってます。

  土用の蛸は親にも食わすな
 真ダコは真夏の抱卵期が旬といわれ、5月の連休頃から東京湾のタコ釣が始まります。タコテンヤという2本のカケ鈎に蟹を縛り付けて、小突くように蟹を躍らせて釣ります。真夏の旬の真ダコがたいへん美味しいので親に食べさせるのさえ惜しいということです。嫁に食わせないのが秋サバと秋茄子、親に食わせないのが土用のタコ。

  泥に酔うた鮒
 泥水の中でアップアップしてもがいている鮒のような状態。

  呑舟の魚枝流に泳がず
 大物は小事にこだわらないってこと。

  呑舟の魚も水を失えば則ち螻蟻に制せられる
 優れた大人物であっても、その才能を活かす場を与えられなければどうにもならない。

  呑鉤の魚は飢えを忍ばざるを嘆く
 鉤を飲み込んで釣り上げられた魚が、飢えを我慢すればよかったと嘆くように、ことが起きてから、後悔しても手遅れだというたとえです。

 流れる川に大魚なし
 さらさら流れる小川には大魚は棲まない。大人物は活躍できる場があってはじめてその能力が発揮される。

 
  菜種河豚(フグ)は食べるな
菜種が咲く頃はフグが産卵期を迎え、卵巣の毒性が強まるんだそうです。

  夏座敷と鰈(カレイ)は縁側がよい
 ヒラメやカレイの背ビレと腹ビレの付け根を縁側と読んで珍重していますが、ここの部分は絶えず動かしているため、筋肉質でコリコリした美味しいところです。夏の座敷は風通しのよい縁側が涼しくて一番だ。ということですが、ヒラメもカレイも冬場が旬です。

  夏の鯵は痩せっぽ
 やせた人のたとえに使います。初夏(5月頃)のアジは産卵を終えたばかりで脂も落ちて痩せています。

  夏のサザエで口ばかり
 夏のサザエは痩せていて美味しくない。大口をたたく人や口だけで行動が伴わない人のたとえです。「夏のサザエ」って縮めることもあります。

  夏の蛤犬跨ぎ
 夏のハマグリは産卵後でやせ細ってまずい。

  夏の蛤
 商品を見てるだけで買ってくれないお客のこと。「夏のハマグリは身腐っても貝腐らぬ」「夏のハマグリは見くさっても買いくさらぬ」

  夏は鰹に冬鮪
 カツオは、晩春から初夏にかけて、黒潮に乗ってやって来ます。九州鹿児島沖から北上を続け、5月の連休前後に勝浦沖に至りさらに北上します。餌を鱈腹食べて脂肪をつけたカツオは北海道沖でUターンして南に向かいますが、10月頃が房総沖での戻りカツオの漁期でしょうか。勝浦港は土佐の一本釣り漁船が次々に入港してきます。

  七皿食って鮫臭い
 さんざん料理を食べておいてその料理をけなすこと。

  海鼠(ナマコ)に藁
 ナマコを藁で縛ろうとすると身が切れるか、縮んでしまいます。相手がたちまち弱って閉口する様子です。

  海鼠(ナマコ)の化けたよう
 みにくいものの表現です。

  逃がした魚
 もう少しで手に入る寸前で釣り逃がした魚はとても大きく感じるものだ。

  西風と夫婦喧嘩は夕限り
 夫婦喧嘩していても、夜同衾すれば仲直りする。西風も夜になれば治まる。

  二八月に思う子舟に乗すな
 二月と八月は天候が安定せず海が時化て荒れることが多いので、大切な子供は舟に乗せるな。

  二八月は船頭のあぐみ時
 二月と八月は天候が安定せず海が時化て荒れることが多いので、船頭が手こずる。

  ニベもない
 無愛想で取り付く隙を見せないことを「ニベもない」って言う。

  女房を質に入れても初鰹
 江戸っ子の粋と気風を歌ったものです。小田原沖から鎌倉沖が初ガツオの漁場、漁を終えた漁船を三浦三崎で待ち受けた早船にカツオを積み替え、魚河岸まで全速力で運び、その日の夕方には天秤棒で桶に入ったカツオを担いで江戸中を売り歩いたとされています。初ガツオを食べると75日寿命が延びたといわれていましたし、その時期はお金がなくて奥さんを質に入れてでも初物のカツオを食べたかったんでしょう。

  塗り箸で海鼠(ナマコ)を挟む
 塗り箸でヌルヌルしたナマコはなかなかつかみどころがありません。「無駄な努力」のことを言い表わしています。

  猫を追うより魚をどかせ
 いくら猫を追い払ってもそこに魚がある限りまた来るよ!だからが原因の魚をどかした方が良い。

  猫が肥えれば鰹節はやせる
 鰹節を食べて猫が太れば、その一方で鰹節はやせる。

  猫に鰹節
 みすみす猫に食べられてしまうのに鰹節をそのままにしておく。相手にみすみす利益をあげさせてしまうこと。

  猫にサザエ
 手が出ない!

  猫の精進
 好物の魚を目の前にして、食べなさいといわれてるのに、「いいえ結構です」と表面上は辞退する猫のような行為のこと。

 鯊(ハゼ)は飛んでも一代、鰻(ウナギ)はのめっても一代
 人は、どのような生活を送ろうとも、貴賎の差なく一生は一生だ。

  鯊の鈎ではたやは釣れぬ
 鯊を釣る小さな鈎では真鯛は釣れない。(はたや=真鯛)僅かな利益を与えても人を動かすことは出来ないってことです。

  畑に蛤
 ハマグリを探して畑を掘っているように、見当違いで無駄な行動。「畑に蛤を求む」って使うことも。

  鼻糞で鯛を釣る
 つまらない餌で価値ある鯛を釣り上げること。「蝦で鯛を釣る」「雑魚で鯛を釣る」

  花見過ぎたら牡蛎(カキ)食うな
 牡蛎は5〜8月が産卵期、生殖巣が成熟すると毒化しやすく貝毒による食中毒を起すので注意しなさいという教えです。

  鱧(ハモ)も一期海老も一期
 鱧は京都で珍重された夏の魚です。祇園祭のころ、好んで食されるようで、鱧は夏の風物詩、俳句の季語です。鱧と海老は、価値も姿かたちも味も全て異なるけども、どちらも一生は一生である。人も、身分の上下、貧富など様々であるが、同じように一生をおくる。

  干潟の鰯
 手も足も出ません。

  左鮃に右鰈
 ヒラメとカレイの見分け方で、背ビレを上にしてみたとき、頭が左にあるのがヒラメで、右にあるのがカレイです。 しかし、ヌマガレイのように左に顔があるカレイもいます。

  一浦違えば七浦違う
 一つの漁村の漁の良し悪しが、その付近の漁村にも大きな影響を及ぼす。

  比目の魚
 想像上の魚、比目の魚はヒラメに良く似た魚で目が一つしかないため、二匹揃わないと泳げない。と言われている。

  百川海に朝す
 あらゆる川が海に流れ込むように、利益のあるところに人は自然に集まってくる!

  百川海に学んで海に至る
 大人物を目標にして修養を積んでいればついには立派な人格を備えた人物になるってこと。

  百里の海も一夫に飲ましむる能わず
 大海の水も一人の男ののどを潤おすことが出来ない。いくら量が多くても役に立たないことがある。

  ヒラメ社員
 鮃は海底の砂から目だけを出して、獲物が来ないか、危険はないか常にキョロキョロ見ている習性があります。そこで、上司のご機嫌を窺ったり、能力以上の出世ばかりを気にしている社員を平目社員と呼んでいる。

  鮃四十鯒二十
 鮃や鯒釣りは、イワシやメゴチなどの活き餌を使いますはが、餌は一息に飲み込みませんので、早合わせするとすっぽ抜けてしまいます。

  瓢箪で鯰を押さえる
 のらりくらりとしていてとらえどころがないこと。

  貧乏秋刀魚に福鰯
 寒流に乗って来る秋刀魚が獲れる時は冷害で農作物は不作、逆に黒潮とともにやってくる鰯が獲れる時は豊作が期待できる。

  夫婦喧嘩と北風は夜凪がする
 夫婦喧嘩していても、夜同衾すれば仲直りする。北風も夜になれば治まる。

  河豚食う無分別、食わぬ無分別
 死に至る毒があるフグをむやみやたらに食べるのは無分別だ。また、毒に中るのではと美味しいフグを食べないのも無分別だ。

  河豚食った猫の腰
 フグを食べて中毒した猫の腰のようにあっちふらふらこっちふらふらと腰が落ちついてない「腰抜け」ってことですね。

  河豚と間男は食い初むと堪忍ならぬもの
 フグも間男も一命にかかわることであるが、一度味をしめると止められぬもの。

  河豚にも中れば鯛にも中る
 フグはご存知のように毒を持っていて中毒することもあるが、タイでも食中毒起こすこと。

  淵に臨みて魚を羨むは、退いて網を結ぶに如かず
  淵のそばで魚が欲しいと見てるより、家に帰って網を作ったほうが良い。他人の幸せを羨んでるより、自分が幸せになる方策を考えなさい。

  釜中の魚
 危険が目前に差し迫っているにもかかわらず、気づかずにのんびりとしていることのたとえ。

  鮒の仲間には鮒が王
 つまらないものの集団では、やっぱりつまらないものが長になるってこと!

  舟覆りて及ち善く游ぐる見る
 舟がひっくり返って初めて泳ぎが上手いことを知った。

  舟に懲りて輿を忌む
 船酔いに懲りて同じ揺れる乗り物である輿を怖がったってことから、一度の失敗に懲りて必要以上に臆病になること。

  船には水より火を恐る
 船が水に沈むことよりも火事になることの方が怖い!

  船に櫓櫂のないよう
 一番大切なものがなくてどうしようもないたとえです。

  船は船頭にまかせよ
 なにごともその道の専門家に任せた方が上手くいきます。

  船は帆でもつ帆は船でもつ
 世の中は持ちつ持たれつ、お互いが助け合ってうまくいくってことです。

  船は帆まかせ 帆は風まかせ
 あれこれ思い悩まずに成り行きにまかせなさい。

  船を焼く
 乗ってきた船を焼いて退路を断ち、決死の覚悟で合戦に望んだってことから、必死の覚悟で物事にあたるって意味です。「船を沈めて釜を破る。」ともいいます。

  船を陸に押す
 無理を押し通そうとすることです。

  鰤(ブリ)は北風が吹いた後に来る
 富山では11月から12月にかけてふく北風を「ブリ起こし」っていうそうです。この風が吹くと定置網に入るお正月用のブリが豊漁になるからです。昔、大晦日に食べる魚を「歳取り魚」と呼んでいたそうで、今でも東日本ではサケ、西日本はブリが好んで食されています。

  帆掛け舟に櫓を押す
 力や勢いのあるものに更に力を加えて勢いを付けること。

  盆過ぎての鯖商い
 その昔、お盆にサバの干物を贈答品にする習慣があったそうです。お盆が近づくとサバの値段が高騰しますが、盆が終われば値が下がります。チャンスを逃して役に立たないことを言います。

  待てば海路の日和あり
船での旅は、風待ち、凪待ちで計画通りには進まないが、待っていればきっと船旅に最適な日和が来る。

  水広ければ魚大なり
 水が満たされて広いところには大きな魚が棲んでいる。リーダーの度量が広ければ有能な人材が集まってくる。

  水清ければ魚棲まず
 水が澄んでいれば、餌もなく隠れる場所もないから魚が棲まないように、清廉潔癖も度が過ぎれば人に敬遠されて孤立してしまう。

  水積もって魚集まる
 うまい儲け話があるところには自然に人が集まってくるというたとえです。

  水を得た魚
 自分に適した活躍の場を与えられて、活き活きと活躍するようす。

  港口の難船
 成就まで後一歩ってところで失敗することです。

  麦の穂が出たらアサリ食うな
 麦の穂が出る5月はアサリやハマグリの産卵期です。生殖巣が成熟すると毒化する恐れがあり、貝毒による食中毒が心配されます。

  麦飯で鯉を釣る
 僅かな元手で大きな利益を得ることです。「蝦で鯛を釣る」「雑魚で鯛を釣る」も同意語ですね。

  麦わら蛸に祭り鱧
 初夏に獲れるタコと夏祭りの頃のハモは美味しいと旬を言い当てたもの。関東ではハモを食べないから関西のことわざでしょう。明石のタコは有名ですし、夏の祭りは多分京都の祇園祭りでしょう。

  目からウロコ
 よく理解できなかったことが、何かをきっかけにして急に理解できるようになることをいいます。

  目黒の秋刀魚
 場違いな物事を褒めること。徳川三代将軍家光が鷹狩りに出かけ、空腹を覚えて茶店(農家という説も)に立ち寄ります。主が自分の昼食用焼いていた秋刀魚がジュージュー焼けています。殿様に「それが所望じゃ」と言われ、焼きたての秋刀魚を差し出しました。焼きたてのアツアツの秋刀魚に大根おろし、美味いはずです。城内では、毒見役が食べて時間が経過した安全なものしか出されませんから、さんまもすっかり冷えています。そんな秋刀魚しか食べられないのですから。

  飯粒で鯛を釣る
 少ない元手で、大きな利益を掴むこと。

  目高(メダカ)も魚の内
 どんなに小さくつまらないものでも、仲間に違いはないってこと。

  メバルは産婦に食わせろ
 胎生魚であるメバルを安産の象徴として妊婦に食べさせる地方があります。

  薬缶で蛸を茹でたよう
 薬缶は元々薬草を煎じる道具。手八丁のタコを鍋で茹でると手がはみ出る。薬缶で茹でれば手も足もでないことから、転じて「打つ手がない」。

  柳の下の泥鰌(ドジョウ)
 一度良いことがあったからといっていつも同じ方法で旨くいくと思うなという教訓。

  善く游ぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ
 人間は自信があるとつい油断をしてしまい、思わぬ失敗をすることがある。

  櫓櫂の立たぬ海もなし
 どんなに困難な状況でも何らかの方策がある。

  六月の鱚(キス)は絵に書いたものでも食え
 6月に釣れるキスがたいへん美味しいことが語源。

  櫓も櫂も立たぬ
 どうしようもないこと。

  我が船の順風は人の船の逆風
 自分にとって都合がよいことは、他人にとっては都合が悪い。

  渡りに舟
 絶好のタイミングで望んでいたチャンスが到来する。