鋸山 削り取られた山
鋸山といえば日本一の大仏や百尺観音、地獄覗きなどが有名だ。
気軽にこれらを見に行こうとするならば、アクセスは簡単である。ロープーウエイがあるし、車でもだいぶ高いところ
までいける。ちなみに、わしは大きな観音様や大仏様よりも、庭園内のそこかしこにたくさんいる小さい仏像のほうが
好きだ。まじめに座禅を組んで瞑想をしているものだけでなく、足を崩してだらけていたり、呆けていたり、思い思い
の格好をしている。見ていて飽きない。また風化が進んで腕や頭がもげているのも少なくない。首がとれて横において
あり、その顔がこちらを睨んでいるのなんか結構怖い。
だが、これだけを見て鋸山に行ったというのではもったいないし、ここで取り上げる意味がない。
この山にも登山道があり、宗教色の強い頂上付近とはまた違った顔がある。
今回登ったのは車力道というコースで、「石切り山」としての歴史を持つ鋸山を見て歩くことができる。
地獄覗きで上から見下ろすのとはまた違った迫力がある。
距離はさほど長くないが、なかなかおもしろい見所の多い道だ。
登り始めてすぐの写真。頂上付近
で切り出した石を、この道を使って運び出した。そのときの荷台の重さ
で石敷きの道に轍ができている。傾斜も急なところが多くあり、かなり
の重労働だったのだろうことが想像できる。驚くことにこれは女性の仕事で
あったそうだ。
さらに進んでいき、石を切り取ってできた道を通り抜けると迫力のある景色が広がる。
てっぺんまで山が大きく切り取られているのだ。わしの写真じゃ伝えきれないと思われるので
ぜひ自分の目で見てもらいたい。
そしてその先には、石を切り出してできた大きな穴が口をあけている。
切り出した石がどれほど高く売れるのか知らないが、よくもまあここまでやったものだ。
見るとわざわざ石を積んで柱にしているところがあるが、なんで?
まさにノコギリのごとく切り取られた壁面。
ゴール?? 行き着いたところに関所があった。ここからは神様仏様の住むところなので、
先に進むにはお金がかかるそうだ。金を持たずに登ってきたため、これ以上進めず。なんか尻切れトンボだぞ。
おわり