おさる 仲間に会いに行く



高宕山はサルの生息地として、天然記念物に指定されている。仲間を一目見ようと
登ってきた。高宕林道起点の石射太郎山側から登り始めた。しばらくは杉林の中を
歩き、石射太郎山を過ぎてからは、主に日の当たる道を歩ける。道幅は狭いところ
が多く、また滑りやすいので注意が必要だ。けっこう深い山の中にいるような気分
にさせてくれる。まちがってもサンダル履きなんかで来るところではない。  



 しばらくアップダウンの繰返しを歩き続けると、いよいよ高宕山の玄関につく。
そこには一対の狛犬と、その後に仁王さんが立っている。しかしこの仁王像、かな
り風化が進んで、顔半分がなくなってしまっている。どれくらい前から立ち続けて
いるのだろうか。仁王像の後からは石段になっていて、石段の始まりのところ左側
にも狛犬らしき石像がある。やたらと石像の好きな山らしい。そして石段を登りき
ったところ右側にさっきのと対になるであろう狛犬がいる。なぜ石段の上と下に分
かれてしまったか謎だ。                         







 石段をあがると、そこには観音様がいた。そこで一休憩していると「山おやじ」
が頂上の方から降りてきた。このおやじ、もう定年を迎えているのだが、年の三分
の一を山で暮らしているという。冬の間は体力の低下を防ぐために、この近辺の山
を歩くそうだ。おやじから、近辺の山々に関する有益な情報をいくつか手に入れる
ことができた。また、別ルートの帰り道も教えてもらった。         

 観音様を後にして、石のトンネルをくぐり、頂上を目指す。ここからまた普通の
山道に戻る。しかし肝心のおさるがどこにも見えない。おやじも云っていたが、そ
うしょっちゅう見られるものでもないらしい。頂上はかなり狭かったが、眺めはよ
い。富士山も見ることができた。                     

帰り、おやじに聞いた道をいく。「こっちなら早く降りられるし瀧も見られるよ」
と云われた道だ。だが、完全に騙された。確かに早く降りられはしたが、登ったと
ころからかなり離れているじゃねえか。結局バイクを停めたところまで歩くのに降
りる以上の時間かかっちまった。ま、先を急ぐわけじゃないし、大瀧という名の小
さな瀧も見られたからいいか。                      

ついにおさるを見られずに降りてきちまったわけだが、最後の最後に見せてくれま
した。帰ろうとバイクを走らせたとき、4〜5匹道路にたむろっているではありま
せんか。思わずバイクを止め、写真を撮ろうとしたんだけど、あっという間に逃げ
てしまいました。でも会えてよかった。