館山・地下要塞


 館山市、房総の南端。戦跡が数多く残されている街だ。 そしてここには戦時中に造られた地下壕がいくつもある。 最大のものは松代大本営より広いそうだ。館山にいく度 に気になっていたのだが、今回地元の方に案内いただいて、 その一つに潜入した。

 入ったところは、小山を一つまるまるくりぬいて造られた ものだそうで、まさに地下要塞といったところだ。その入り 口は山をちょっと登ったあたりに、めだたなくぽかっと口をあ けていた。秘密基地なのだから入り口は目立たないのもあたりまえだ。 わしが一人で探しても見つけられないわけである。



 中に入るといきなり真っ暗になる。見世物として公開してい るわけでもなく、忘れ去られたように存在しているだけなのだ から、当然電気もない。懐中電灯だけが頼りだ。ちょっと奥に はいると、「作戦室」があった。しかし今は何もなく、ただ広 い部屋である。



 さらに奥へ進む。通路はひたすら続いているよ うに感じる。ある部屋にはいる、すると天井に龍が彫ってある。 写真ではなんだかよくわからなくなってしまったが、光の加減で岩肌が 龍に見えるなどというものではない。はっきりと彫ってあるのだ。 どうやらここは偉い人の部屋らしい。



 下に進む通路もあった。しかしここにはすでに水がたまり、 それ以上先に進めない。きっと下にも同じように部屋がい くつもあるのだろう。とにかくどこまでも続く暗闇に、 「これ以上進んだら出てこられないかも」と思わさせられ てしまう。出そうだし・・・。かなり恐ろしいところであった。