玉井彰の一言 2008年6月 四国の星ホーム一言目次前月翌月

2008/6/30(月) 民主党代表選挙はどうなるか・・仙谷氏が出馬検討

9月に予定されている民主党代表選挙。自民党サイドからは、これで民主党が割れてくれればありがたいという期待感があります。

それが分かっていても、やはり代表選はきちんとやるべきではないかという正論が党内にあります。仙谷由人氏が出馬検討とのニュース。

【<民主>仙谷氏が代表選立候補を検討】(毎日)
民主党の仙谷由人元政調会長は29日、徳島市内で開かれた後援会のパーティーであいさつし、9月に予定される党代表選に関し「あと数週間、時代が仙谷由人を求めるかどうかじっくり判断し、皆さんにさらなるご迷惑をおかけすることも十分ある」と述べ、立候補を検討していることを明らかにした。代表選立候補の可能性に、公に言及したのは仙谷氏が初めて。

仙谷氏は前原誠司副代表を中心とするグループ「凌雲会」の後見人的存在で、若手議員からの人望が厚い。小沢一郎代表の党運営に批判的で、昨秋の大連立騒動の際も面と向かってコミュニケーション不足などを指摘している。【深尾昭寛】

【コメント】
仙谷氏は、私が候補者のときに仙谷氏のチームで指導を受け、お世話になりました。センスのいい政治家だと思います。時代の空気も読める人物です。人望もあるだろうと思われます。

難しいのは、「業界内の人望」で決められるかどうかということです。小泉純一郎氏は、「業界内の人望」はほぼゼロでしたが、国民に直接アピールする術に長け、一時代を築きました。(一時代を築かれたので、国民は大きな被害に遭いました)

小沢一郎氏は、巨大な欠点を持つ政治家ですが、地方での人気は抜群です。小沢氏の地方行脚は馬鹿にしたようなニュアンスで報じられますが、その地域では着実に足跡を残しています。

バラマキと言われようが、なんと言われようが、地方をよくするんだ、暮らしをよくするんだという迫力が伝わります。田名角栄氏の時代に、地方は潤いました。その残像が小沢氏にダブるのでしょう。

仙谷氏の場合、党内では著名人ですが、国民レベルでの浸透度となると一歩及びません。代表選挙に出る資格を持った人物ですが、結果は見えています。小沢氏で戦った方が勝てるという、現実的な要請が上回るでしょう。

ただ、ここは仙谷氏に出ていただき、きっちり議論をする方が、民主党のためにはなるでしょう。「負けを覚悟」ということも、政治家には必要な場面があります。

堂々たる代表選挙を期待しています。


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2008/6/29(日) もっと緩和を・・・中学校・高等学校の入学条件

外国人の中学入学資格について、「小学校卒業」の条件が緩和されることになりました。もっともっと緩和されていいのではないでしょうか。

【「小学校卒業」条件緩和へ 外国人の中学入学資格】(共同) 
文部科学省は28日までに、日本で暮らす外国人の子どもについて、中学校入学資格の条件を緩和し、小学校を卒業していなくても中学校への入学を認める方針を固めた。

日系ブラジル人など日本に長期間滞在する外国人が増えているのに伴い、義務教育の対象となる子どもも増加。将来の進学などを考慮し、外国人学校などから日本の中学校への入学を希望したり、経済的理由で小学校に通えなかったりした子どもらが、中学校で日本の義務教育を受けられる機会を保証するのが狙い。

一方、日本人の子どもについては「学校に行かなくてもいいという意識を助長する恐れがある」として、文科省は「小学校卒業」を中学校入学の条件とする従来の姿勢を崩していない。

日本人の保護者の中には近年「語学が学べる」などの理由で、子どもを外国人学校に通わせる例も増えているが、同じ外国人学校から中学校への入学を望んでも、外国人は認められ、日本人は認められないというケースが生じることになる。

【コメント】
【日本人の子どもについては「学校に行かなくてもいいという意識を助長する恐れがある」として、文科省は「小学校卒業」を中学校入学の条件とする従来の姿勢を崩していない。】

ということですが、むしろ「学校が全世界」という意識を捨てた方が、虐めや自殺防止に役立つのではないでしょうか。

学校の相対化です。学校を絶対化し、規律を学ばせるというのは、工業社会において工場労働者を大量生産する発想です。

知恵の値打ちが評価され、ものの価格に反映される時代になっています。工場労働者的勤勉さだけを基準に考えるのではなく、子供の様々な体験を評価できるシステムに転換すべきときです。

大学検定に準じた緩やかな基準を設定し、中学・高校の入学基準を緩和すべきです。


2008/6/28(土) 懐かしの名画座・・DVDの時代だけど

読売新聞に「なかだえりの さんぽるぽ」というコーナーがあることを知りました。そこに懐かしい映画館の名前を発見したので、読んでみました。

【時代を超えて 名画座健在…早稲田松竹映画劇場】(読売)
1951年(昭和26年)から続いてきた名画座・早稲田松竹は、経営不振により2002年3月に休館。しかし、同12月に経営陣やスタッフが変わり、営業を再開した。

現支配人の菊田眞弓さんは、前職は警察官という変わった経歴の持ち主。全く畑違いのうえ、引き継ぎもない状態での就任だった。くしくも早稲田松竹の閉館と、菊田さんが警察を退職した日は同じ。「運命を感じました」

大切にしているのは、一利用客だったころの視点だ。トイレを洋式に改装したり、観賞席をあえて減らし、ゆったり座れるシートに替えたりした。警察官時代の経験から、地域密着も心がけているそう。スタッフ手づくりの番組表を配るなど細やかなサービスを心掛けている。また、急な欠員などでお客さんに迷惑をかけないよう、全員がもぎりからフィルム編集など一通り何でもできる。

作品は、広い客層に応えるべく新旧ジャンルを問わず、2本立てで上映している。ただし名画座としての誇りは失わないよう、「早稲田松竹クラシックス」と題して月に1回、往年の名画を上映。「本当にいいものは時代を超えて、若い人にも見てほしい」と菊田さん。

努力が実を結び、今では立ち見が出ることも。長く愛される名画座でいてほしい。

早稲田松竹=東京都新宿区高田馬場1の5の16、03-3200-8968。
高田馬場駅から徒歩5分。

【コメント】
私は、映画のビデオやDVDを借りて家で見ようとしても、リラックスしすぎて、すぐ寝てしまいます。やはり、映画は映画館で見るものだなと思います。映画鑑賞には適度な緊張感が必要なのでしょう。

昔、早稲田松竹には何度か足を運びました。高田馬場からあの界隈を歩くのが好きでした。

私が住んでいた東武東上線沿いの上板橋東映という映画館も企画ものが多く、よく行ったものです。池袋の文芸座、文芸地下も名画座として有名で、嬉しい企画があるとワクワクしました。当時北海道から映画を見に来る人がいるという話も聞きました。

そう言えば、地下鉄副都心線が6月14日に開通し、東武東上線から新宿、渋谷まで直通になりました。西早稲田駅というのもあります。この駅から早稲田松竹に行くのが近いようです。でも、私が住んでいた東武東上線常盤台駅は通っていないようです。

学生時代が大昔になってしまいました。


2008/6/27(金) 参議院の改革を・・・政党化のマイナス面を除去する必要

衆議院、参議院間の「ねじれ」ということが、昨年来問題になっています。「ねじれ」それ自体は憲法が予定していることであるし、国民からすれば、衆議院と参議院とが同じであれば、参議院は必要ないということも言えるのですから、「ねじれ」を否定的に理解すべきではありません。

【参院自民会長が内閣改造を要求 参院枠の維持も】(朝日)
【ディリ=関根慎一】東ティモール訪問中の自民党の尾辻秀久参院議員会長は26日、内閣改造について「そろそろやってほしい。リスクを心配したら何もできない」と記者団に語った。閣僚の参院枠について「従来通りお願いしたい」と2人の入閣を求める考えを示したが、人選は「参院自民党は年功序列を重んじている」と語るにとどめた。 

【コメント】
参議院自民党は、年功序列が基本になっています。従来、「ドン」と称される人物が実権を握り、衆議院自民党に相対峙し、物を言う存在でした。この形は変わっていないようです。

「ドン」が実力を保持するためには、閣僚ポストの配分権を有する必要があります。尾辻氏の発言は、そのことを物語っています。

こうした旧態依然を打破しなければ、国民が真に必要とする参議院にはなれないと思います。このことは民主党においても言えることです。野党であるが故に「配分権」がないだけのことです。

参議院においては、(1)閣僚を出さない、(2)原則として党議拘束を外す。この2点を基本にすべきです。それによって、各参議院議員は独自性を持った活動が可能となり、参議院全体が活性化するでしょう。

「政局」は衆議院に任せ、6年間の長い任期を生かし、議案について深く審議する機関となれば、参議院はより国民に近い存在として権威を高めることが可能です。「ねじれ」現象の今こそ改革のチャンスであり、民主党が主導権を握ることが可能な課題です。政党化のマイナス面を除去する努力が必要です。

もし参議院に権威が備わっていれば、首相への問責決議は政権の致命傷になったことでしょう。

閣僚ポストを狙うという、卑しい根性を捨てろ! これが参議院再生の要諦です。


2008/6/26(木) 路面電車は都市を救う・・環境問題と超高齢社会

国内では、富山市に登場した路面電車が注目されています。欧米では、LRT(次世代型路面電車システム)が普及しつつあります。

【[明解要解]路面電車、減るか増えるか 世界では復活傾向】(産経)

■環境・高齢化に配慮

欧米諸国では、それまでのクルマ一辺倒を見直して、路面電車を進化させたLRT(次世代型路面電車システム)の開通が相次いでいる。日本では路面電車としては約50年ぶりに開業した富山市の例があるが、既存路線を廃止した地域もある。「環境」と「高齢化」への配慮を重視する世界の潮流に必ずしも乗り切れていない。(特集部 大家俊夫)

低床でお年寄りに優しく、車体も洗練されているLRT。このLRTを走らせる富山ライトレールは大半の路線をJR富山港線から引き継ぎ、平成18年に誕生した。一地方都市の電車にもかかわらず、全国からの視察ラッシュが続くのは、業績面でも好調を維持しているからだ。

「これまで自治体、民間、学者など団体数で約300、人数で約5500人が視察に訪れました」。富山市路面電車担当の室哲雄参事はこう語る。

人口42万人の富山市にあって1日の平均利用者はその約100分の1の4480人、旧富山港線の利用者と比べるとほぼ倍増した。うち新規利用者は2割を占める。平日日中の高齢者の利用が増えたのは、週末に家族の運転がなければ市街地に出られなかったお年寄りが自分の足で町に出てきたことを意味する。「視察者からは町がどう変わるかについての質問が多い」(室参事)という。

国内でLRTを検討している自治体は約60。その一つ、東京都豊島区は高野之夫区長が区長選公約に掲げ、池袋駅東口の大通りにLRTを新設する計画だ。大阪では堺市の「東西鉄軌道」が具体性を帯びている。シャープ堺工場ができる西の臨海部につなげ、南北を走る既存の路面電車、阪堺線の一部路線も取り込み、先行路線の開業目標を22年度末としている。

ただ、明るいニュースばかりではない。富山ライトレール開通の前年には、明治からの歴史があった岐阜の路面電車が赤字を抱えて廃止された。国内の路線は岐阜でマイナス1、富山でプラス1の現19路線。今後、採算面などの理由で維持できなくなる路線も出るかもしれない。
                  ◇
欧米でもモータリゼーション全盛の時代に路面電車はほとんど消えた。だが、その時代を経て、1980年代に各地で見直され、復活してきている。先進的な例はフランスだろう。パリでは温室効果ガスを削減するために自動車交通量を大幅削減する目標をたて、その延長線上にLRTの復活がある。新しいトラム3号線は地下鉄網とアクセスし、軌道内に天然の芝を植え、緑の多い環境づくりを掲げている。クルマ社会の代名詞、米国でもロサンゼルスなどでLRTが郊外を結び、生活様式に変化が生まれている。

『世界のLRT』(JTBパブリッシング)の共著者の一人、宇都宮浄人(きよひと)氏は「路面電車を欧米が復活させた間に、日本は富山を除けば路線を減らすだけだった。日本は環境重視の社会に向かうのか、LRTはその指針にもなる」と話している。

【コメント】
原油高騰により、これまで通りの車社会が維持できるのかどうか、不安が生じています。

経済面だけではなく、環境問題や超高齢社会への移行を考えても、車に依存する社会のあり方が再検討されなければなりません。

都市経営の観点から見ても、持続可能な都市のあり方を追求すれば、脱車社会という結論が出てきます。超高齢社会対応型の歩いて暮らせるまちづくりが必要です。中心市街地に居住を集約して、インフラ整備に掛ける費用を軽減する努力が求められています。

新たにLRTを建設することが、特に地方都市において真剣に議論されなければなりません。もちろん、費用対効果の検討は必要ですが、観光面を含め多様な効果が期待できるものと思われます。

なお、愛媛県松山市には、伊予鉄道の路面電車が走っています。近年、坊ちゃん列車が新たな形で復活し、観光の目玉として街を走っています。その風景は、松山市の個性を感じさせるものとなっています。


2008/6/25(水) 安さ追求と偽装・・飛騨牛の偽装問題

飛騨牛の偽装問題が発覚して、ミートホープその他の偽装問題を思い浮かべた方も多いだろうと思います。

安さ故に大儲けしたという点で、共通したものがあります。

【変色した肉削り混入の疑い ミンチ用、飛騨牛偽装問題】(共同)
岐阜県養老町の食肉卸販売業「丸明」(吉田明一社長)が等級の低い肉を同県のブランド和牛「飛騨牛」として販売したとされる問題で、同社がミンチ用の肉に消費期限切れの肉を混ぜており、緑色に変色した表面を削り、古い肉であることが分からないようにしていたと元工場長が24日までに証言した。

農林水産省や県も既にこうした証言を得ており、同日も立ち入り調査を続け詳しく調べている。

元工場長の説明によると、同社では小売店などがミンチ肉に加工するため、ホルスタイン種のすね肉を5センチ四方のサイコロ状に加工し、10キロの箱詰にして出荷していた。消費期限ぎりぎりだったり、数日過ぎたりした肉について、吉田社長は「今日のに混ぜておけ」と指示したという。

古い肉は「表面が緑色に変色していた」(元工場長)ため、従業員が表面を削り、1箱に数百グラムほど混入して出荷していたという。

【コメント】
自由競争の下では、コストの積み上げで価格が形成されるのではなく、市場で通用する価格があり、それに対応する原価で生産する(サービスを提供する)ことになります。

コスト削減に成功した者が、市場の勝者になります。商品にブランド価値があり、しかも安いとなれば、消費者に支持され、儲かります。

原価形成(生産)の部分が公明正大であれば問題ありません。しかし、耐震偽装や食品偽装の問題で分かったことは、消費者には原価形成での不正を見抜くことはできず、何らかの事情で問題が発覚してから事情が分かってくるというということです。

製品(商品)の鮮度や安全性を犠牲にした者が市場の勝者になるというのでは、正に「悪貨が良貨を駆逐する」ことになってしまいます。

我が国資本主義の勃興期に、欧米では日本製品を「安かろう悪かろう」と評価していたと言われます。その後の努力で、安くて良質な日本製品という評価が世界で定着しました。

ところが各種偽装問題で、「国産のものは大丈夫」という信頼も揺らいできました。ここ部分での信頼を取り戻すためには、原価を形成する部分での信頼確保(生産の工程での安全性確保)のための規制を、よりしっかりしたものにしていく必要があります。


2008/6/24(火) 「国家公務員制度改革推進本部」の事務局人事が改革の「肝」

中央省庁出身者による政策集団「官僚国家日本を変える元官僚の会(脱藩官僚の会)」の発起人代表・江田憲司衆院議員が、政府の国家公務員制度改革推進本部の事務局人事について、「局長以下の幹部を広く公募すべきだ」と主張しています。

【公務員制度改革:江田衆院議員「事務局幹部は広く公募を」】(毎日) 
「官僚国家日本を変える元官僚の会」の発起人代表、江田憲司衆院議員(無所属)は23日、衛星放送「BS11デジタル」の報道番組「インサイドアウト」で、政府の国家公務員制度改革推進本部の事務局人事について「局長以下の幹部を広く公募すべきだ」と指摘した。「改革が官僚の介在で骨抜きにされる可能性がある」と主張。「各省の思惑を遮断できる体制」を構築する必要性を強調した。

【コメント】
これはお説の通り。ここが改革の「肝」になります。

我が国の政治が、合理的な国家意思形成をできずに、無駄遣いに明け暮れ、財政に穴が開くと「消費税増税」を連呼する体質になっている元凶は、各省の思惑が政治に反映し、族議員を通じて政争となり、結果として妥協的な案しか通らないからです。

公務員改革についても然り。各省の思惑を排除できるシフトを敷かなければ、確実に骨抜きになってしまいます。

省のための公務員から、国家のための公務員へ。それなら、タクシーで家まで送ってあげても辻褄が合います。


2008/6/23(月) 「モンスター市民」をどう扱うか・・救急車は有料化を!

救急車は有料化すべきです。タクシー代より若干割高の設定で充分だと思います。経済的に払えない人の場合は、救急の条件を満たす限り、例外を認めればいいのです。

それ以外の分野でも、市民のモンスター化が進行しています。「モンスター市民」への対抗策を行政が用意しておくべき段階に入っています。

【足代わり119番、救急車「予約」…非常識な要請広がる】(読売)
救急車を病院までのタクシー代わりに利用しようとする119番が、全国各地で相次いでいることが、主要51都市の消防本部を対象にした読売新聞の調査で明らかになった。

急病でないにもかかわらず、「病院での診察の順番を早めたい」という理由で、救急車を呼ぶケースも目立つ。昨年1年間の救急出動件数の5割は軽症者の搬送で、110番に続き119番でも、非常識な要請が広がっている傾向が裏付けられた形だ。

都道府県庁所在地と政令市にある計51の消防本部(東京は東京消防庁)を対象に、最近の119番の内容を尋ねたところ、37消防本部がタクシー代わりの利用など、明らかに緊急性のない要請があると回答。大都市、地方都市とも同じ傾向がみられた。

例えば、「119番でかけつけると、入院用の荷物を持った女性が自ら乗り込んできた」(甲信越地方)ケースや、「119番で『○月○日の○時に来てほしい』と救急車を予約しようとする」(関西地方)事例が多い。症状を偽る人もおり、甲信越地方の60歳代の男性は「具合が悪くて動けない」と救急車を呼びながら、実際は緊急の症状はなく、あらかじめ病院に診察の予約を入れていた。

風邪程度なのに、「救急車で行けば、早く診てもらえる」と思って119番する事例も、28消防本部で確認された。

病院では救急外来の患者の重症度をまず看護師が判断する場合が多い。しかし、山陽地方では、切り傷で搬送された患者と家族が、診察の順番を待つよう告げられ、「救急車で来たのだから、優先的に診察するのが当然だろう」と詰め寄った。

診察待ちをしている人が、病院を抜け出して119番するケースも7消防本部であった。

関東地方では、50歳の男性を病院に搬送すると、先ほどまで待合室にいたことが判明。男性は「順番が来ずにイライラし、救急車で運ばれれば早まると思った」と語った。

51消防本部で昨年1年間に救急車が出動した約232万件のうち、安易な要請も含めた軽症者の搬送は約117万件。厳しい財政事情から救急隊の増員が進まず、重症者への対応が遅れるなど支障も出ている。

【コメント】
権利意識のみの肥大化。これが現在の我が国で進行中の病です。

権利は義務を伴う。この当たり前の感覚が欠如した市民、即ち、「モンスター市民」の跋扈跳梁を許しては、健全な市民社会を形成することはできません。

彼らに対する予防的対策を行政が持っていないと、強制力を伴わない分野で著しい混乱が生じます。

例えば、教育の分野でのモンスターペアレント。医療の分野でも「モンスターペイシェント」=「モンスター患者」の存在が報告されています。自己中心的で、無理無道な要求を掲げ、暴力まで振るう例もあります。学校では、教師が耐えきれず、自殺者まで出ています。

各分野の責任者が行政および警察と連携し、モンスター市民への対抗策をルール化しておく必要があります。

救急車は有料でなければ、真に必要な場合に救急医療が受けられなくなる場合もあり得ます。救急車を必要としている人の大半は、無料だから呼ぶのではなく、危機を脱するために呼ぶのです。行政が、美しい建前に自縄自縛になっていてはいけないと思います。


2008/6/22(日) 官僚のタクシー利用は無駄遣いなのか・・嫉妬で批判すべきではない

官僚のタクシー利用が無駄遣いの典型例として非難されています。もちろん、キックバックだの居酒屋タクシーなどと聞かされると、開いた口がふさがらなくなります。

しかし、移動手段としてのタクシー利用それ自体を悪のように言ってしまうことには、大きな問題があります。

【国交省「無駄遣い」一転、タクシー券利用半減…批判で自粛】(読売)
道路財源の無駄遣いに対する批判が相次いだ国土交通省で、今年4月に支出したタクシー券代(出先機関や外局を含む)が、前年同月に比べ半減していることがわかった。

中でも、関東地方整備局の道路部では1000分の1に激減した。職員が使用を自粛したとみられる。深夜帰宅の際に運転手からビールや商品券などの提供を受ける「居酒屋タクシー」の問題も中央省庁で発覚する中、これまでの支出の適正さが問われることになりそうだ。

国交省によると、全国8か所の地方整備局、海上保安庁などの外局を含めた今年4月のタクシー券代は、国会会期中だったにもかかわらず計約9500万円で、前年同月(約1億8000万円)の52%にとどまった。単純平均では、本省職員1人あたりの月使用額は2万4000円から1万6000円に、本省以外も1300円から450円にそれぞれ減少した。

同省では、全体の職員約6万3000人が06年度に使用したタクシー券代は総額24億3000万円。このうち、本省職員約4100人の使用額はほぼ半分の約12億4000万円だった。

一方、地方整備局で最も大所帯の関東地方整備局の道路部(職員116人)は、昨年度はタクシー券代として道路財源などから計約4200万円を支出。出先機関でタクシー利用額の多い職員上位10人のうち7人を同部が占めた。

しかし今年度は、4月のタクシー券代はゼロ、5月も、8日未明に起きた茨城沖地震で急きょ出勤した職員2人が計7360円を支出しただけ。2か月間で、前年の月平均の支出額約350万円に比べ1000分の1になった計算になる。

タクシーの利用が減った反面、職場のソファなどで朝まで仮眠するなどした同部の職員は2か月で延べ約250人いたという。

同省のタクシー券を巡っては今年3月、一部の地方整備局に使用規定がないなどの実態が国会で判明。02〜06年度の支出総額は約132億円に上り、一般会計から約51億円、道路財源などの七つの特別会計から約81億円が支出されていたことが明らかになった。

同省幹部は「批判を浴びるぐらいなら、終電前に帰宅したり、朝まで仮眠したりして、タクシー券使用を控える空気が強い」と話す。

【コメント】
これまでは、かなりいい加減でした。

しかし、深夜まで仕事をしている官僚諸君への感謝の気持ちを持ちつつ、批判したいものだと思います。私は官僚批判の急先鋒のような男ですが、彼らの努力には敬意を払っているつもりです。好き好んで深夜まで働いているわけではないでしょう。家庭生活も大切にして欲しいと、心配にすらなります。

タクシー利用についても、深夜までの激務を思うと、ドアツードアで送ってあげるべきではないでしょうか。

現在の中央集権システムには問題が多く、地方分権を徹底すべきです。しかし、度を超して、嫉妬感情を煽りながら批判するようなことになってはいけないと思います。

彼らの努力とご苦労については、正当に評価してあげようではありませんか。


2008/6/21(土) 道路より学校・・地域拠点として耐震性確保を

「道路」「道路」と叫び、集票を当て込もうとする政治家が跋扈跳梁しています。

本当に地域や住民の幸せを願うなら、学校校舎の耐震性を確保し、地域拠点として防災に備えることを考えるべきです。

【小中学校4万棟に耐震性なし 震度6強で倒壊の危険】(共同)
全国にある公立小中学校の校舎や体育館など12万7164棟の建物のうち、岩手・宮城内陸地震で記録した震度6強で倒壊の危険がある「耐震性のない」建物は4月1日現在で33・9%の4万3109棟あることが20日、文部科学省の調査で分かった。自治体の財政難などで前年より0・9ポイントの改善にとどまった。

必要な耐震診断をしていない建物も3・8%、4840棟あり、合わせて4万7949棟のうち「倒壊の危険性が高い」として耐震改修などの緊急対策が必要なのは全国で1万656棟と推計、都道府県別内訳も初めて公表した。

低い耐震化率に危機感を持つ文科省は同日、都道府県の担当者を集め学校耐震化加速会議を開き、3年間に限定して自治体の耐震事業の負担を軽減する改正地震防災対策特別措置法に基づいて「危険性が高い」約1万棟の対応を急ぐよう求めた。

一方、「耐震性がある」とされた建物は全体の62・3%、7万9215棟となった。内訳は現行の耐震基準が適用された1982年以降に建設された建物と、適用前の81年以前に建てられ耐震改修した建物を合わせた。

【コメント】
喫緊の課題というべきでしょう。

1億円×4万棟=4兆円という大雑把な計算でいくと、年間の道路建設費と同じ「桁」になります。道路特定財源による収入が年間5兆円から6兆円。道路より学校という政治選択をすれば、速やかに着手できる課題です。

地域拠点としての学校ということを、これからは特に意識しておかなければなりません。災害時の避難場所、通常時のコミュニティ施設、生涯学習の拠点等々。学校校舎は多目的施設としての意義を持たせていかなければなりません。

超高齢社会を前提とすれば、高齢者と子供とが一緒になって活動する拠点と考えてもいいでしょう。

過疎地域の学校は、特に重要です。これまで、安易な学校統合が行われてきました。しかし、学校を失うことは地域を失うことにつながります。

道路より学校。政治が優先順位を間違わないようにすべきです。


2008/6/20(金) 「脱藩官僚」の提言・・霞ヶ関は鉄の鎧を脱げ!

霞ヶ関の官僚機構は、その構成員に忠誠を誓わせる代償として、生涯の保障を与え、外部からの干渉を排除する鉄の鎧をまとってきました。

その鎧に守られることを潔しとしない方々が、どんどん出てきています。

【「脱藩官僚の会」の発起人会が発足】(朝日)
中央省庁出身者による政策集団「官僚国家日本を変える元官僚の会(脱藩官僚の会)」の発起人会(代表・江田憲司衆院議員)が19日、立ち上がった。8月下旬にも召集される臨時国会前の設立に向け、会員の公募を始める。 

発起人会には江田氏をはじめ、規制改革会議委員の福井秀夫政策研究大学院大教授、小泉政権が進めた構造改革にかかわった高橋洋一東洋大教授、大阪府特別顧問を務める上山信一慶大教授ら計8人が参加。無駄遣いや天下りの廃止を求め、官僚の決起を促す緊急アピールを発表した。 

当面は公務員制度改革や地方分権、消費者庁設置などの政策を点検していく。江田氏は記者会見で「改革に抵抗する霞が関に宣戦布告をする。官僚の機先を制して政策提言していく」と語った。 

【コメント】
霞ヶ関の官僚の皆さんが鉄の鎧を脱げば、その能力を生かすことが可能になります。これまでは、鉄の鎧に守られる代償として、能力開花の機会を失ってきたのです。

地方主権型社会の到来により、霞ヶ関の官僚達の出番はむしろ増加します。各地方は、その地方・地域のグランドデザインを自ら描かなければなりません。そのための人材が枯渇しています。

権限、財源、人材のフルセットでの移譲が、地方自立の条件です。そこでの人材として、能力開花の機会が増大するということです。地方主権型社会は、地方公務員にとって手強い競争相手の登場を意味します。

規制や補助金といった、つまらない仕事からの開放です。霞ヶ関の官僚諸君、鎧を脱げ!「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」です。


2008/6/19(木) 「限界集落」に希望ある名称を・・元気を出すために

「後期高齢者」という呼称もそうですが、「もうじき駄目になる」というイメージの言葉には抵抗があります。

さて、どう言えばいいのか。言い方で実態が変わるものではありませんが、住民に元気が出る名称にすべきでしょう。

【「限界集落」って言わないで 宮崎県が新呼称を募集】
高齢化が進み、共同作業を続けるのが困難とされる地域を指す「限界集落」の名称について、宮崎県は「生活している住民の意欲を失わせ、社会に間違った認識を与えかねない」として、新呼称の募集を始めた。 

限界集落とは、65歳以上の高齢者が人口の半数を超え、冠婚葬祭や生活道路の管理など共同体機能の維持が難しくなった地域。大野晃・長野大教授が90年代初めに提唱した概念で、当初は学術用語として使われたが、近年、行政やマスコミなどでも盛んに使われるようになった。国土交通省九州地方整備局の調査によると、宮崎県内では151集落が該当する。 

ただ同県は、定義があいまいなどとして、この名称を用いてこなかった。東国原英夫知事も「学説上の言葉でマイナスのイメージ。宮崎ではポジティブで元気の出る呼称にしたい」と話す。 

同県中山間・地域対策室は「『限界』の文字は、地域に残って活性化に取り組む住民のやる気を奪うだけでなく、都市住民らに誤った認識を与える」と説明。負のイメージを払拭(ふっしょく)し、集落を元気づけるような新名称を、と呼びかけている。 

募集は8月末まで。だれでも応募可。自作で未発表のものに限る。問い合わせは県中山間・地域対策室(0985・26・7036)へ。(菊池文隆) 

【コメント】
確かに、「限界集落」と聞くと、自力再生は不可能というイメージです。

「これから頑張るぞ」という形で、住民が希望を持ち、外部の人もそこに立ち寄ってみよう、あるいは、住んでみようという気持ちになるような名称の方がいいでしょう。

もちろん、名称が変わっても、実態が変わるものではありません。

実態を変えるための努力はどうすればいいのでしょうか。地位拠点をつくるべきです。その候補としては、役場の支所、郵便局、JA、学校、医療機関などが考えられます。でも、それすらないから「限界集落」なのだろうと言われそうです。

それでは、NPOの設立。地域の内外を問わず、希望を持って集まれる受け皿が必要です。

ところで、名称。「再出発集落」、「希望集落」、「リフレッシュ・コミュニティー」・・


2008/6/18(水) 児童虐待の予防を!・・カウンセリング重視の社会を

児童虐待の相談件数が4万件突破のニュース。実態はもっと深刻だろうと推測します。認知件数を上げる努力が必要です。

【児童虐待相談は全国で4万件超、対応難しいケースも】(読売)
全国の児童相談所が受け付けた児童虐待の相談対応件数が2007年度、調査を始めた1990年度以来初めて4万件を超えたことが17日、厚生労働省のまとめでわかった。過去最高だった前年度を3000件余り上回った。厚労省は「社会的な意識の高まりなども増加の一因だが、実際の虐待件数自体も増えている」と警鐘を鳴らしている。

調査結果によると、相談対応件数は07年度、4万618件で、前年度の3万7323件より3295件増加した。調査が始まった90年度の1101件に比べると約37倍に当たる。

都道府県・政令指定都市別に見ると、前年度との比較で増加の幅が大きかったのは、山形県の1・74倍、鹿児島県1・67倍、札幌市1・54倍、堺市1・47倍、北海道1・46倍の順。

最も急激に増加した山形県は「前年度から対応を持ち越したケースが多かったのが一因」という。同県児童家庭課は「子どもを児童福祉施設へ入れるよう勧めても親が応じないなど対応に時間がかかる難しいケースが増え、年度内に手が回らなかった」とし、虐待の深刻化を示唆している。 

【コメント】
調査が始まったのは1990年。そのときの相談件数が1101件ですから、単純に考えると17年間で40倍近い増加率になっています。

これについては、相談件数と児童虐待の実態との乖離を認識する必要があります。1990年の数字は実態よりもかなり少ないでしょう。相談態勢が不十分であったでしょうから、認知件数は実態よりも大幅に少なくなるはずです。2007年の数字は実態に近くなっているのでしょうが、これも、さらに実態に近づく努力が必要です。

まず、児童虐待を認知しなければなりません。相談態勢の充実はもとより、情報収集を積極的に行うべきです。そのための態勢が整備されなければなりません。児童相談所と警察との連携を強化すべきです。

さらに、児童相談の義務化を立法措置として検討する必要があります。年1回は必ず保護者の義務として児童相談所に赴くことにします。このことにより、認知される機会ないし可能性は増大します。

疑問視される家庭には、警察と連携して家庭訪問を実施する。疑惑が高まれば、裁判所の許可を得て児童を保護する。ここまで徹底する必要があります。

児童保護施設で預かった児童については、第三者機関が妥当と判断するまでは、保護者との面接による接触までに止め、児童の健全な発育が担保される環境が確保されるまで保護を継続すべきです。

保護者のカウンセリングも必須要件になってきます。保護者サイドから見れば、子育てのストレスによる心の病というとらえ方も可能です。そうした側面からの対策ないしは治療が必要です。

心の病への対応ということになれば、児童虐待への対策に止まらず、カウンセリング重視の社会を実現するという視野を持つ必要があります。行政だけでなく、地域社会との関わり合いも問題になってきます。

膨大な予算が必要になります。しかし、最優先事項のひとつとして位置付けるべきです。子供は社会の宝。そして、なにより抵抗できない子供の人権を守るという観点から、児童虐待を家庭内の問題ではなく社会の問題、国や自治体の問題として光を当てるべきです。


2008/6/17(火) コンビニの深夜営業・・「ニーズ」からの発想でいいか

コンビニは便利だと思います。社会のインフラと言ってもいいような役割を果たしています。しかし、24時間営業というのは、はた目にもかなりの電気を消費しているだろうなという推測ができるし、これが全国至るところで展開されているとなると、環境問題についても考えざるを得ません。

【<埼玉県>コンビニなどに深夜営業の自粛要請へ】(毎日)
埼玉県は、二酸化炭素(CO2)排出削減のため、コンビニエンスストアやスーパーなどに深夜営業の自粛を要請する方針を固めた。年度内にまとめる地球温暖化対策地域推進計画(改訂版)に盛り込む。県によると、同様の自粛要請は「都道府県では例がない」という。

県によると、農村部にあるコンビニのフランチャイズ店で客が来ないのに本社の指示で店を開けているケースが多い。県は「CO2削減の効果は大きくないが、夜型ライフスタイルを変革する象徴的な位置づけになる。何らかの形で自粛を要請する」としている。

県が設置している有識者による地球温暖化対策地域推進計画に関する専門委員会では、委員から、深夜営業自粛の義務化を求める声が出ている。だが、「消灯しても冷蔵庫が稼働していては効果が薄い」「深夜営業は雇用の受け皿になっている」など慎重論もある。

県は、要請対象を不採算店に絞るかや、閉店せずに照明を暗くしてもらうだけにするかなど、具体的な要請内容を検討している。【和田憲二】

埼玉県の方針に各社は「地域住民の合意があれば従う」(大手コンビニ関係者)との声がある一方、▽深夜の納品も多く、日中は物流コストがかかる(ローソン)▽「深夜営業のコンビニは交番代わり、防犯の役割もある」(セブン−イレブン・ジャパン)−−などの反発もある。

【コメント】
環境問題を真摯に考えていくならば、埼玉県の考え方は十分理解できます。深夜の需要がないのに、「全国一律」のサービスにコンビニ自らが縛られている面もあるので、無駄を切り詰めるという意味での対応は可能なのだろうと思います。

医療と同じように、「地域当番制」でコンビニが回り持ちで深夜営業をするという方法もあり得るでしょう。

問題はそれ以上に規制できるかです。

深夜のライフスタイルが存在し、また深夜のトラック便などの道路利用が存在することで、ニーズがあるから深夜営業が成り立っているのですから、「ニーズ」から出発する限り、それ以上の規制は無理ということになります。

「ニーズ」そのものに切り込まない限り、本格的な環境問題への取り組みは難しいでしょう。何の必然性があって深夜起きて外出するのか、何の必然性があって深夜の道路輸送があるのか・・

「便利な社会」から「不便な社会」へ。ここまで舵を切らないと、地球環境を維持できないということなら、国民を説得し、また、納得を得て、政治が道を切り開いていくべきだと思います。

仕事と生活の両立・調和(ワーク・ライフ・バランス)の観点から、深夜労働の見直しも必要です。


2008/6/16(月) 逆転の発想で小規模学校を残そう・・「教える」から「学ぶ」への転換

教育リストラが進行中です。愛媛県では、高等学校の整理統合が俎上に上っています。

ここで踏み止まっていただきたい。「学校」とは何なのか。「教育」とは何なのか。本質に遡って考えてみるべきです。

【小中校統廃合を促進 35年ぶり基準改定、検討要請へ】(朝日)
少子化が進み、公立小中学校がこれ以上小規模化するのを防ぐため、文部科学省は統廃合を促進する方針を固めた。16日に開かれる中央教育審議会(文科相の諮問機関)の分科会に、具体的な検討を要請する。中教審で異論が出なければ、公立校の規模に関する国の基準が35年ぶりに見直されることになる。 

文科省は教育上、学校にはある程度の人数が必要と判断。中教審には(1)具体的な規模の目安(2)地域が受け入れやすい統廃合のやり方(3)隣の学校が遠く統廃合が困難な地域では、一部の授業や学校行事を共同で行う方策――などの検討を求める。 

学校統廃合をめぐっては、1956(昭和31)年に当時の文部省が1校12〜18学級、通学距離は小学校4キロ、中学校6キロ以内との基準を示し、地方自治体に推進を求めた。しかし、無理な統廃合で地域間の対立や通学に困る子どもが生まれたため、小規模校も容認する通知を73年に出し、立場を事実上修正した。 

小中学生の数は80年代以降、減り続けている。公立校に通う小学生は81年(1182万人)から07年(701万人)、中学生は86年(589万人)から07年(333万人)でそれぞれ4割減。一方、公立学校数は同じ期間で小学校9%減、中学校3%減にとどまる。 

このため、1校あたりの学級数は減少気味だ。07年現在で12学級未満なのは、中学校で10年前より7ポイント増の55%。少人数学級が広がる小学校でも10年前とほぼ同じ50%。少子化により、小規模校は今後も増える見通しだ。 

統廃合の取り組みは、人口の社会的な増減もあるため地域差が大きい。積極的に進める地域がある一方、この四半世紀で、小学校では神奈川、沖縄、千葉、埼玉、愛知、大阪などで、中学校では滋賀、千葉、埼玉、茨城、広島などで学校数がむしろ増えた。(中井大助) 

【コメント】
校舎があって、校長・教頭がいて、先生がいる。これが「学校」だと考えるならば、生徒数との関係で一定以上のコストが掛かればリストラということになります。

個々の生徒の「学ぶ」が主体ではないか。そう考えると、それ以外の要素は本質的な要素ではないということにならないでしょうか。それらは全て、学ぶための手段と位置付けるべきです。

小規模学校において(あるいは全ての学校で)、資格を有する先生の存在は必須要件なのでしょうか。ボランティアが先生を務めてはいけないのでしょうか。コストの掛かる資格要件を全廃し、校舎等の物的設備の存在も要件から外し、学ぶために必要な条件はなにかということから出発して考えるべきです。(校舎の耐震性は別論)

小中学校および高等学校までの卒業資格要件を定め、それを充たせば卒業ということにし、過疎地では「地域立学校」を認め、都市部では予備校で履修して卒業することを大幅に認める。学ぶ主体から考える発想に転換すべきです。

「教える」という19世紀、20世紀型の発想を脱し、中央集権的、団体的発想からの「教育」ではなく、「学ぶ」ための環境整備ということを主眼におき、また、地域拠点としての「学校」という観点から、「教育」を見直すべきではないでしょうか。

逆転の発想で、小規模学校を残し、地域の拠点として人口減少と限界集落化の予防をすべき段階だと思います。これが、「教育」の地方分権に通じる道だと考えます。


2008/6/15(日) テレビ政治における「傾向と対策」・・瞬時に打ち返すには

日曜日は政治家出演の番組が目白押しです。

ここでキャスターにやり込められると、その政治家だけでなく、所属政党にとっても、大きなダメージになります。逆に、瞬時に切り返せば、茶の間の拍手喝采が期待できます。そういう意味合いにおいて、テレビ政治が政治の「重要科目」になっています。

その「科目」への対策は万全なのでしょうか。この点の情報がありませんので、推測するのみですが、どうも個々の政治家に委ねられているのではないでしょうか。

政権交代前夜のせめぎ合いの中で、個々の政治家が無防備にテレビ出演することの危険性を、各政党はもっとしっかり認識すべきです。テレビ対策チームを政党内につくる必要があります。

先日の「朝まで生テレビ」で、司会の田原総一郎氏が、後期高齢者医療制度について、こう切り込みました。

「医療費全体で33兆円。後期高齢者に掛かる医療費は11兆円。この11兆円を税金で5兆円、現役世代が4兆円負担する。1兆円は窓口負担。残り1兆円を後期高齢者に負担してもらおうとする制度だ。この、どこがおかしいのか。何故、姥捨て山なのか。」

負担割合で説明されていたものが、こうやって「饅頭が1個・・」 という形で説明されると、腑に落ちたような気がします。これに対する切り返しを瞬時に行うことが求められています。

その番組には、民主党のホープ・細野豪志氏が出演。能力ある政治家なので、そつなくこなした感はありましたが、田原氏の「変化球」をクリーンヒットしたという印象はありませんでした。

今、楽天の野村監督の本が売れています。私も「野村の目」と、野中広務氏との共著「憎まれ役」を読みました。テスト生から這い上がり、三冠王、名捕手、名監督となった野村氏の観察眼には恐れ入ります。野球だけでなく、各職域においても通ずる教訓に充ちています。特に、情報に対する姿勢には見習うべきものがあります。

テレビ政治が重要であるという前提に立つならば、各キャスターの性格、政治信条、政治姿勢、ディベートにおける「配球」、「配球」の意図、「決め球」を投じる際の「投球動作」等々の情報を、予め収拾して分析しておく必要があります。「先乗りスコアラー」に相当するチームを党内に作る必要があります。

各政治家の努力や勉強だけでは、今のテレビ政治は乗り切れません。党が情報を収拾・分析するとしても、瞬時の判断力に欠ける政治家をテレビに出しては効果がありません。むしろ、ダメージを蒙ります。

瞬時の切り返しができない政治家は党の役職から外し、テレビ政治の枠外に置くという決断が必要な時代になっています。

ちなみに、先程の田原氏の「変化球」をどう打つか、考えてみます。

「現状はその通り。官僚的合理性がある。しかし、それが年齢による線引きで高齢者のプライドをズタズタに傷つけたことが大問題。しかも、制度的に切り離されたことで、将来不安が増大した。また、将来的に医療費増大が予想される中で、保険料負担が1兆円という金額で固定されるかのように説明するのはミスリードである。」(回答例)


死刑が役に立たない場合・・秋葉原大量殺人

死刑という刑罰は、残酷な犯罪に対して被害者側の無念を晴らすためにも、犯罪を抑止するためにも必要だと思います。

しかし、自分を殺してもらいたいために死刑になるような犯罪が実行される場合には、死刑に抑止力が全くないことになります。人生を精算するために死刑制度を活用しようという犯罪者には、死刑は無力です。

そういう犯罪者には、長い長い人生を刑務所で全うしてもらい、被害者の冥福を祈る日々を過ごしてもらう方が、「罰」として重いのではないか。秋葉原の大量殺人事件について、犯人の続報を知り、そんな感想を持ちました。


2008/6/14(土) 「千円たばこ」を考える・・朝日新聞社説を読んで

たばこを千円にしようという超党派の議員連盟が発足しました。禁煙しなければならない場所が増え、タクシーも各地で禁煙になってきています。

愛煙家から見ると、「禁煙ファシズム」とでもいうべき事態が進行しています。

その中で、朝日新聞の社説が「千円たばこ大賛成」の論陣を張りました。

【千円たばこ―動機はともあれ大賛成】(朝日・社説)
「たばこ1箱千円」。あなたが喫煙者だったら、それでもなお吸い続けるだろうか。それとも禁煙に踏ん切りをつける絶好の機会にするだろうか。 

たとえば1箱20本入り300円のマイルドセブンを、たばこ税の値上げで千円にする。そんな健康政策を推進する超党派の議員連盟が発足した。 

「1箱千円」は、たばこに別れを告げる人を増やすために、大いに歓迎である。 

たばこは本人ばかりか、周りで煙を吸わされる人の健康も損なう。寝たばこなどは火災の原因にもなるし、少年の非行の温床にもなっている。 

2兆2千億円の税収を稼ぎ出し、葉タバコ農家や販売者の生活を支えているが、社会全体で見れば、負の部分が多い。21世紀の日本は脱たばこ社会をめざすべきだ。 

政治家らが脱たばこに向けて本格的に取り組むのは初めてである。一度に千円に引き上げることはむずかしいかもしれないが、粘り強く活動してもらいたい。 

日本のたばこは他の先進諸国と比べて安すぎる。代表的な銘柄の場合、英国は1300円近くするし、ドイツやフランスでも日本の倍以上だ。米国は地域で違いがあるが、ニューヨーク市の場合、やはり倍以上も高い。 

日本の男性の喫煙率は40.2%と英米よりも突出して高い。女性は12.7%だが、若い世代で喫煙が増えている。赤ちゃんへの影響を考えれば、見過ごせない状況だ。 

「千円たばこ」は、こうした現状を大きく変えるきっかけになる。研究者の試算や世論調査では、この水準まで価格が上がれば、8〜9割が禁煙を考えるという結果が出ているからだ。 

ただ、めざすべきは、あくまでも国民の健康や安全の基盤づくりであることを改めて確認しておきたい。 

議連には、税収を増やすために、たばこ税を上げようと考えている議員も少なくない。早くも約9兆円も税収が増えるという皮算用が出ている。 

しかし、これは消費量がいまと同じという前提だ。価格を上げれば、当然、買う人は減る。 
消費量を減らすのがそもそもの目的だから、税収も大きく減ることを覚悟しておいた方がいい。税収が減ることを嫌って、大幅な引き上げをためらうようなことがあってはならない。 

「財政収入の安定的確保」を目的にしているたばこ事業法は、根本から改めなければならない。 

議連には、たばこ税に代わる安定的な財源の確保に知恵を絞ってもらいたい。国が巨額の債務残高を抱え、高齢化で医療や介護の費用が増える中で、消費増税などで補う必要がある。 

「千円たばこ」は、税制改革を本気で考える契機にもなる。 

【コメント】
「税」というより「ペナルティー」と言った方が分かりやすいような気がします。たばこを吸うことは、実質的には犯罪である。ここまで言い切って、禁煙社会の実現を目指すべきだと思います。

後期高齢者医療制度が問題になっている折から、医療費増大を抑止する観点からも、病気の原因となるたばこの問題を真剣に考えるべきです。

取り分け、受動喫煙の問題は深刻です。喫煙者が病気になるのは自業自得としても、受動喫煙の被害者には罪はありません。

現行のたばこ料金では、たばこの需要を減らすことはできません。たばこ購入を抑制できるだけの値上げにより、受動喫煙の機会を減少させる必要があります。

問題は、たばこ以外の薬物が相対的に安くなり、そちらの需要が増えるのではないかということです。たばこも薬物の一種と考え、薬物対策の一環として捉えておかないと、思わぬ事態が起きる可能性も否定できません。

私の場合、学生時代の一時期しかたばこを吸わなかったので、検査をしてみると、血管が極めてきれいだと言われます。血圧も低め。喫煙者の苦難は、個人的には「対岸の火事(煙?)」ではあります。 

ただ、申し上げておきたいのは、人生100年時代において、後半の人生の質(クオリティ)を確保するための努力を惜しんではいけないということです。そのための禁煙。

附言すれば、喫煙者の禁煙に向けた努力を支援するための予算確保を前提とした議論にしないと、あまりにも一方的な話になってしまいます。


2008/6/13(金) 前原氏に「退場勧告」・・前原発言は反党的行為なのか

このところ、前原・民主党副代表の言動が報道機関を賑わしています。民主党の施策を「バラマキ」と評するに至っては、党内で反発が出てくるのは必然というべきでしょう。

【民主内紛?党政策批判の前原氏に身内から「退場勧告」】(朝日)
民主党の前原誠司副代表が月刊誌の対談で同党の政策批判を展開したことに対して、筒井信隆「次の内閣」農水相らが12日、「前原副代表の妄言を糾弾し、その『退場』を勧告する」とした文書を党所属議員にメールで送った。 

前原氏は10日発売の中央公論で自民党の与謝野馨・前官房長官と対談。農家の戸別所得補償や子ども手当など昨年の参院選のマニフェストについて「行革だけで財源を捻出(ねんしゅつ)するのは絶対無理」と指摘し、「このまま民主党が政権を取っても、まともな政権運営はできない」と批判した。 

京都市で7日開いたパーティーでは、ばらまき批判に対し、「そう思う。もう少し前向きな農業政策を築き上げないといけない」と語った。 

これに対し、民主党の農業政策を担当する筒井氏らが猛反発。農家の戸別所得補償は前原氏が代表のときからの政策で、「批判するなら、まず自己批判し政治家としての不明を恥じるべきだ」。ばらまき批判には「十分な政策効果が期待されるにもかかわらず、交付金の対象者が多いというだけで批判するのは言いがかりだ」と反論した。 

さらに、前原氏の代表辞任のきっかけがメール問題だったことにも触れ、「危機管理能力、問題対応能力のなさをさらけ出して民主党に多大の損失をこうむらせて辞任したことを思えば、謹慎蟄居(ちっきょ)こそ必要であって、マスコミにこのような言動を公表する資格もない」とも指摘した。 

【コメント】
国会議員も、地位が安定してくると(選挙で負けなくなると)、同じ党より他党に友人ができやすい環境になってきます。

同じ政党内だと、議論していても党の建前から離れにくいのです。それが、他党の議員と議論する場合には、オフレコで本音の議論が交わしやすくなります。

そうした交流が進行していくと、自分の政党の主張が陳腐なものに見えてきます。だからといって、他党の議論をそのまま受け入れているのではないので、反党的行為であるという認識はありません。

「正」→「反」→「合」の弁証法的過程であると言えばいいのでしょうか。

この内、「反」の段階で不用意に意見を表明してしまうと、これは反党的な行為であると糾弾されても仕方がありません。

今回の騒動は、そうした経緯の中で理解されるべきではないでしょうか。

政界内部では、「本音のマグマ」とでもいうべきものが滞留しており、それが政界再編の原動力になる可能性も秘めています。政党の建前と政治家の本音とが交錯する一場面として眺めてみると、ひと味違ったものの見方ができるのではないでしょうか。


2008/6/12(木) 参院の総理問責決議は「竹光」か・・その効果

小泉元総理は、参議院の問責決議を「いじめのようなもの」と評し、その意味合いを薄めようとしています。与党も無視すればすむとでも言いたげな反応を示しています。

本当にそうなのでしょうか。問責決議は「真剣」ではなく、「竹光」なのでしょうか。

【福田首相の問責決議、参院で初可決】(読売)
民主、社民、国民新3党が参院に共同提出した福田首相に対する問責決議案は、11日夕の参院本会議で、野党の賛成多数で可決された。

参院での首相問責決議の可決は初めて。

決議に法的拘束力はなく、首相は同日、野党が求める内閣総辞職や衆院解散・総選挙には応じない考えを表明した。自民、公明両党は、野党に対抗し、衆院に内閣信任決議案を提出した。12日の衆院本会議で可決する方針。政府・与党は条約承認の期間確保のため、国会会期を21日まで6日間延長する予定だが、民主党など野党3党は12日以降、衆参で審議を拒否する方針で、国会は事実上閉会となる。

決議は、首相の責任を問う理由として、〈1〉後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の廃止を拒否している〈2〉ガソリン税の暫定税率を復活させるため、税制関連法を衆院で再可決した――ことなどを挙げた。

その上で、「首相はもはや国民に見放されている。即刻内閣総辞職するか、解散・総選挙で国民の信を問うか、いずれかを選ぶべきだ」とした。

参院本会議での記名投票の結果、賛成は131、反対は105だった。共産党は共同提出には加わらなかったが、賛成に回った。

政府・与党は今回、衆院で3分の2の多数を保持していることなどから、政権運営への影響は当面、小さいと見ている。

福田首相は11日夕、首相官邸で記者団に「(衆院解散は)今、考えていない。与えられた条件で最善を尽くす」と述べ、問責決議にとらわれずに政権運営を進める考えを示した。

問責決議の可決後、自民、公明両党は同日夕、政権の正当性を示すため、「福田内閣は真摯(しんし)に諸課題に取り組み、責務を誠実に果たしている」とする内閣信任決議案を衆院に提出した。信任決議案が可決されれば、1992年の宮沢内閣当時に可決されて以来、16年ぶり2回目となる。

一方、民主党の小沢代表は可決後の記者会見で、「(衆院が任期満了となる)来年9月まで国民の意思を無視して、選挙をせずに政権を維持することは、たぶん国民が許さない」と述べ、早期に衆院解散に追い込む考えを強調した。

【コメント】
「伝家の宝刀」とはいうものの、その効果を疑問視する声がある、参議院での総理大臣への問責決議。昨日参議院の本会議で可決されました。

福田内閣はこれを無視して、総辞職をせず、衆議院の解散によって民意を問うこともしない方針です。

そうだとすると、参議院の問責決議というのは、首相の首を取る「宝刀」ではなく、切れない「竹光」なのでしょうか。 

しかし、無視すればいいというものではありません。徐々に効果が出てくるのではないでしょうか。参議院が内閣の正当性を否定したということの意味は大きいと思います。しかも、参議院が代表する民意は直近のものです。内閣の正当性を回復するには、衆議院の解散・総選挙しかありません。

正当性の欠ける内閣が引き続き政権運営をしても、参議院で好意的な対応が期待できないのですから、極めて苦しい状態になってきます。

再度の問責決議もあり得ます。福田政権は、総辞職への道を歩むことになるでしょう。

問責決議は、即効性はなくても、「竹光」ではありません。


2008/6/11(水) 会話なき社会における犯罪・・秋葉原大量殺人

秋葉原で起きた大量殺人は、平和に暮らす我々がある日突然、何の理由もなく襲われ命を失う危険があることを、改めて認識させました。

この事件に関する報道であふれています。私が注目したのは、犯人が残した携帯サイトへの書き込みと、ナイフを買ったお店での会話と笑顔です。

利口な青年なのでしょう。小中学校時代は優秀だったと言われています。その栄光と高校進学以降の挫折。確かに落差があります。しかし、多くの青年が経験する過程です。理解力のあるはずの彼が、何故極端な犯行に走ったのでしょうか。

コミュニケーションの問題が大きいように思えました。会話なき社会。表面的な会話はあっても、心を開くことができるような会話がなくなってしまった社会。

携帯サイトへ一方的な書き込みをし、犯罪を予告した犯人。たわいない会話で笑顔を見せる普通の青年。「そんなことやめろよ」と言ってくれる人がいたら、と思います。誰か彼の愚痴を真剣に聞いてあげられる環境があれば、極端な行動を起こすことはなかったのではないでしょうか。

予備軍は数百万人。その認識を持つべきです。カウンセリングの態勢を充実させるとともに、人が人として生きていける地域社会をつくっていかなければなりません。

会話のある社会。会話の中から笑みがこぼれる社会。その輪の中に入れない人への配慮がある社会でありたいものです。まだ25歳の若者。「いくらでもやりなおせるじゃないか」と言ってあげられる隣人と、やり直し可能なシステムを持った社会とが必要です。


「失うものは鉄鎖のみ」・・秋葉原の大量殺人事件

マルクスが、「失うものは鉄鎖のみ」という言葉を残しています。資本主義が労働者を人間として扱っていなかった時代の労働者を指したものです。

秋葉原での大量殺人事件の報道を見て、この言葉を思い出しました。彼は派遣社員でした。資本が牙を剥いているような時代が背景にあります。

犯人の青年は、少なくとも主観的には、失うものがなにもないと判断したのではないでしょうか。

失うものが多ければ、人間は自暴自棄には陥りません。それぞれの人が失ってはならないものを多く自覚できる社会、やさしい地域社会をつくりたいものだと思います。


2008/6/10(火) 幸田シャーミンさんへのパワハラ問題を考える・・職場内権力の強さ

若い人は知らないでしょうが、幸田シャーミンさんと言えばニュースキャスターとして有名でした。彼女がテレビから離れてかなり経ちました。今回の問題で、幸田さんが国連の機関にいたのだということ知りました。

【幸田シャーミンさん 「国連上司がパワハラ」と申し立て】(毎日)
元ニュースキャスターで、東京の国連広報センター所長だった幸田シャーミンさん(52)が在職中「本部の広報局(ニューヨーク)の上司からパワーハラスメント(権力や地位を利用した嫌がらせ)を受けた」と、国連の人事管理室に申し立てを行ったことが7日分かった。幸田さん自身が明らかにした。幸田さんは任期満了に伴い2日に辞職している。

申し立てなどによると、幸田さんは06年4月に所長に就任。同年9月にセンター内の不適切な経理に気付き上司に報告、監査を要求した。内部監査は07年8月に入ったが、上司は幸田さんが監査を求めた翌月に「監査が必要とは思われない」と上層部に報告していたという。

一方、同年1月には幸田さんの管理能力を問う告発状がスタッフらから本部広報局に届き、8月にこれを受けた審査委員会が幸田さんを調査。その際、調査内容や目的が告げられず、また審査委の結果が不正経理の監査報告書案に引用され、幸田さんの配置転換を求める内容が含まれていたという。

経理問題は監査の結果、約313万円の不適切な会計処理があったと確認された。幸田さんは「追及がきっかけで、私を辞めさせようとする圧力が高まった。臭い物にふたをする姿勢は許し難い」と訴えている。

国連広報局の赤阪清隆局長は「申し立ての内容は承知しておらず、調査して検討したい」と述べたうえで「この上司は信頼が厚くパワーハラスメントはあり得ず、むしろ我々は幸田さんを支えようとしていただけに残念だ」と話している。【足立旬子】

【コメント】
この話だけではなんとも言えないのが、こうした問題の特徴です。

事実がどうなのか。一方当事者の意見だけでは確認ができません。公平な第三者が双方から事情を聞き、しかも客観的な資料を踏まえて判断するしかありません。

不正経理について監査を求めたことが発端であることからすると、幸田さんの主張に説得力があるように思われます。ただし、これも予断であって、公平な判断が必要です。

職場内のパワハラについて言えば、職場内権力が一般社会では想像できないくらい強いということを念頭に置く必要があります。

女性にとって屈辱的なセクハラが後を絶ちません。逆らうことがイコール職を失うという状況下で、個人の意志をどれだけ貫けるのか。極めて難しい問題です。

幸田さんの部下が、幸田さんの管理能力を問う告発状を国連本部広報局に送ったということです。これは幸田さんに人望がなく、職場内で専制的な態度であったことの証明に利用されるのでしょうが、逆に幸田さん以外の指揮命令系統が強力であって、幸田さんの部下も逆らうことが極めて困難であったということを暗示するものでもあります。

職場内権力の前では憲法上の権利など絵空事にすぎないという現実を、なんとかしなければなりません。


2008/6/9(月) 沖縄で政権交代の狼煙(のろし)・・高齢者の反乱

沖縄県議会議員選挙で、自公が過半数割れ。各紙は後期高齢者医療制度への反発が原因と指摘しています。

【沖縄県議選:与党、過半数割れ…高齢者医療で反発か】(毎日) 
後期高齢者医療制度の是非などが争点となり、注目された沖縄県議選(定数48)は8日投開票された。焦点の与野党勢力は、与党側の自民、公明、保守系無所属の当選が計22人にとどまったのに対し、社民、共産など野党側は中立1人を含め26人が当選し、与野党逆転となった。投票率は57.82%で、前回04年県議選の58.72%を0.9ポイント下回り、過去最低となった。

米軍普天間飛行場の移設問題で、仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事は条件付きでキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設を容認している。これに対し、野党側は県内移設に反対しており、選挙結果は移設の進ちょくにも影響しそうだ。

今回の県議選は、国政の問題である後期高齢者医療制度の是非や、仲井真県政への評価、米軍普天間飛行場移設問題が争点になった。与野党が党幹部を相次いで沖縄入りさせ激しい選挙戦が展開されたが、野党側は後期高齢者医療制度への反発を追い風に議席を伸ばした。

政党別の当選者数は、与党側が自民16▽公明3▽無所属3人。野党側は共産5▽社民5▽民主4▽沖縄社会大衆2▽そうぞう1▽諸派3▽無所属6人。

選挙前は、与党側が27議席で、過半数を占めていた。【三森輝久】

【コメント】
沖縄県議会で与党が過半数割れしたことは、沖縄における政治的な諸問題を考慮に入れたとしても、自公政権にとって政権交代の悪夢を見る思いに駆られるものではないでしょうか。

投票率が上がったわけではありません。高齢者の投票行動の変化が実証されているわけではありませんが、高齢者医療への反発があったことは、報道機関が述べる通りであろうと思われます。

これで、総選挙はますます遠ざかることになります。参議院での問責決議が可決されても、自公政権としてはこのまま凌ぐしかありません。

後期高齢者医療制度の問題を改良・改善で乗り切ったとしても、年金問題や医療制度の崩壊、格差の問題など、様々な問題が次から次へと出てくる状況は、長期政権の膿が吹き出していることの証左ですので、1年間で挽回できるのかどうか疑問です。

新たなビジョンと政策を国民に提示できた方が勝つ。そういう総選挙になることを期待します。そうは言っても、地力では与党に一日の長があります。この1年余は、民主党が地力を付ける猶予期間であると位置付けるべきでしょう。狼煙は上がった。政権交代近し、と行きたいところです。


2008/6/8(日) テレ朝vs自民党・・権力監視に対する報復

テレビ朝日の報道ステーション・古館キャスターのコメントに対して自民党が猛反発。取材締めだしという事態に発展しています。

【テレ朝古舘コメントで自民党取材締め出し】(日刊スポーツ)
自民党は6日までに、テレビ朝日系「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスターが後期高齢者医療制度に絡み「国民に誤解を与える発言をした」として、同局側に抗議するとともに、党役員会などの撮影の無期限禁止を通知した。
 
さらに、自民党山崎正昭参院幹事長はこの日、古舘キャスターの発言を理由に定例の記者会見を欠席、鈴木政二参院国対委員長だけが対応した。山崎氏はテレ朝への撮影禁止だけでなく、記者クラブでのテレ朝の会見取材を禁止したい考えを伝えた。クラブ側は「会見は記者クラブの主催であり、応じられない」などと説明したが、山崎氏は欠席。テレ朝は鈴木氏の会見を取材した。
 
自民党によると、同番組は3日の党役員連絡会前に出席者が談笑する映像を使用し、古舘キャスターが「よく笑っていられますね。偉い政治家の人たちは」とコメントした。
 
細田博之幹事長代理は「後期高齢者医療制度で国民に過重な負担を強いているにもかかわらず、あたかも自民党役員が笑っているとの誤解を与えた」と批判。古舘キャスターはこの日の放送で、自民党の対応に直接的な表現は避けたが「孫や次の世代のことを、見ていない感じがする」と語った。テレビ朝日広報部は「通知を受けたことは事実だが、対応についてはまだ協議中」とした。 

【コメント】
マスコミの驕り体質や、取材や報道の行き過ぎに悩む関係者は多いだろうと推測されます。

古館発言は不用意だったと思います。これに類するものとして、政治家が居眠りしたり談笑したりする場面が、当該政治家にとって極めて不利な推測を招くような形で放映される場合が往々にしてあります。

何時間にも渡る言葉による説明よりも、一瞬の映像とそれに対するコメントの方が決定的な影響を与えるということを認識していないと、「報道側の暴力」とでもいうべき事態を避けることができません。

自民党側の怒りはもっともだと思います。問題は抗議の仕方。

取材拒否などという子供のような態度を取るのではなく、この問題を掘り下げ、報道機関と政治家あるいは政府や政党に対する、(映像+コメント)による暴力の問題性を指摘して改善する場を設けるべきではないでしょうか。

ここで指摘しておきたいのは、テレビ朝日がターゲットであるということ。この放送局が、権力監視を最もよくやっている国民目線の放送局であるということが背景にあります。権力側からすると、一番憎々しい放送局です。

古館氏のコメントも、前任者の久米さん同様、権力者が嫌がる部分を適切に付いている場合が多いのでしょう。日頃の不満が爆発したのではないかとも受け取れます。

テレ朝や古館氏に対しては、「向こう傷」だと弁護してあげたい気もしますが、相手が権力だけに、より注意深い姿勢は必要です。政権交代が現実問題となっている折から。


2008/6/7(土) 「1.5車線道路」の知恵を生かせ!・・低コストの国家・自治体経営を

我が国の国家経営・自治体経営は高コスト体質が骨の髄まで染みついており、この改革は容易ではありません。「1.5車線」の取り組みは、その点でのヒントになります。

【「1.5車線道」25道府県が整備 工費1〜3割】(朝日)
2車線と1車線を組み合わせた「1.5車線道路」の整備に25の道府県が取り組んでいることが分かった。高知県が独自に始め、国が補助対象にした03年度から一気に拡大。工費は2車線道の1〜3割で、道路特定財源の一般財源化で焦点の「必要な道路」を考える材料になりそうだ。 

国土交通省の調べ。1.5車線道は、市街地を2車線(片側1車線)で整備し、通行量が少ない山間地は1車線にして車がすれ違うことができる待避所を設ける。 

都道府県道について、国は道路構造令で「原則2車線(幅員5.5メートル以上)」だとする全国一律の基準を定めている。国税の揮発油税収をもとに地方の道路整備費の55%を補助する「地方道路整備臨時交付金」の補助対象も、この基準が原則となっていた。 

このため、山間部の県道も2車線に整備・改良されてきた。山間部は工事が難しく建設費がかさむうえ、通行量が少ないことから、無駄だとの批判が根強かった。 

地方負担も重く、高知県が97年度から1.5車線道の整備に単独事業として取り組み始めた。2車線に比べ、土砂崩れ防止や整地などのコストが大幅に抑えられ、建設費が8分の1、工期は3分の1ですむという。県管理の2200キロのうち660キロを1.5車線で整備する計画で、07年度までに94キロを造った。 

高知県などの要望で、国交省が03年度から1.5車線道を交付金対象にすると導入が全国に拡大。07年度までに北海道、福島、愛知、京都、奈良、福岡、宮崎など25道府県に補助した。 

国交省は「道路構造令には地域の状況に応じて地方の裁量で規格を決められるとの規定もあり、補助金も出る」とするが、自治体のなかには「地域の状況」の基準があいまいだとして補助申請に二の足を踏むところもある。 

道路構造令は、高速道路や地方が管理する国道などにも全国一律の整備基準を設けている。このため、地域の実情に合わない過大な道路整備につながっているとの批判がある。(座小田英史) 

【コメント】
高知県の例では、2車線との比較で、建設費8分の1、工期3分の1というのですから、自ずと結論が出ています。国道その他についても、地域の実情に応じたやり方を採用すれば、コストの掛からない道路造りは可能です。

道路以外の公共事業についても、自治体の考え方や地域の実情を尊重して基準を決めれば、かなりコストを抑えることが可能です。

要するに、地方が決めればいいのです。

霞ヶ関基準から地方基準へ。ということは、地方主権型社会に移行することで、国家・自治体経営が低コスト化するということです。高コストを前提としてはびこる様々な利権や腐敗の構造を除去すれば、賢いインフラ整備が可能です。


2008/6/6(金) 大阪府の改革・・橋下知事の再建案をどう見るか

1100億円の財政再建案。665億円の歳出削減と435億円の歳入確保。府の財政規模は一般会計で3兆2千億円です。都道府県唯一の赤字自治体で、9年連続の赤字決算。

【橋下知事、人件費など665億円削減 財政再建案を発表】(朝日)
大阪府の橋下徹知事は5日、1100億円の財政再建案を発表した。今年度予算で事業費と人件費計665億円の歳出削減に踏み切り、財源不足の185億円は府債発行で補う計画だ。府議会各会派は歳出削減の圧縮を求めており、予算案を審議する7月臨時議会に向け、内容の修正を求めていく構えだ。 

9年連続の赤字決算という全国最悪レベルの財政構造からの脱却をめざす橋下知事は、今年度の財源不足額1080億円を補う収支改善目標を1100億円に設定。一般施策経費と建設事業で320億円、人件費で345億円の計665億円を削減。府有施設の売却などで435億円の歳入を確保するとした。 

一般施策の削減では、主に他府県と比べた助成水準の高さや市町村や民間との適切な役割分担の観点から事業を精査。私学助成に切り込んだほか、建設事業も原則2割削減の目標を打ち出した。職員の人件費は基本給を3年間カットし、削減幅は知事30%、管理職16〜12%、非管理職10〜4%としている。都道府県で初めて退職手当も部長級以下で5%削る。基本給は都道府県で最下位になる見込みだ。 

大幅な歳出削減にもかかわらず185億円の財源不足が生じるため、退職手当債185億円も発行する。ただ、景気減速のあおりで今年度の法人2税は見込みより300億円以上下回る可能性があり、今後も厳しい財政運営を迫られるのは必至だ。 

【コメント】
生活規模が年間320万円の家庭で、年間6万6500円の支出を減らし、家財道具を売って4万3500円の臨時収入を得るという計画。1万8500円は新たに借金。

一般家庭に置き換えると、なんだこの程度かという話ですが、自治体経営、しかも大阪府という巨大自治体になるとセンセーショナルな報道になります。

大阪府の場合、倒産企業であるという認識が必要です。労組の立場は分かりますが、リストラなしであるという点で民間企業より遙かに恵まれているということは言えます。一歩後退して二歩前進するという考え方で、府の財政再建に労組が協力する姿勢を見せていただきたいと思います。

問題は景気との関係。不景気の中での財政再建策。府の財政支出の削減が景気にどのような影響を与えるのかということを、客観的に測定する必要があります。ここが一般企業の再出発と違う点です。

下手をすると橋下知事は、「不景気大魔王」ということになる可能性もあります。


2008/6/5(木) 書籍購入パターンの変化と出版不況・・「クローズアップ現代」を見て

昨日、NHK「クローズアップ現代」を見ました。「ランキング依存が止まらない〜出版不況の裏側〜」というタイトルで、近年の出版不況の背景で、読者の本の選び方が劇的に変化したことが報じられていました。

出版社の倒産件数が15年ぶりの高水準を記録しました。じっくり本を育てることで定評のあった草思社も経営破綻。そうした出版不況にもかかわらず、出版数は激増するという矛盾した状況があります。

読者の本の選び方が劇的に変化しているのです。売り上げランキングを基準に本を選ぶ人が増加。売れる本への一極集中が顕著となり、書店ではランキングに入らない本は即座に返品しています。

POSシステムを導入し、売れ筋でない本はブザーが3回鳴り、即退場。短期決戦を強いられる出版者側は出版数を増やして対抗します。出版業界では、出版者側が事前に取次業者から代金の一部を受け取る商慣習があります。

本が売れずに返品されると、その代金の返済を迫られます。そこで新たな本を出版して、その代金と返還すべき代金と相殺することになります。正に自転車操業。出版点数が急激に増え、本の寿命が短くなります。 

このままで出版文化が守れるのだろうかと不安になります。

ランキング依存症については、私自身も自らの胸に手を当てると思い当たる節があります。世間で売れている本については無関心ではいられません。立ち読み程度ですませたいのですが、つい買ってしまいます。

私の場合、それ以外の本も結構買っているので、出版文化には貢献しているという自負があります。問題は、年に2、3冊しか買わない人にランキング依存が多いということです。限られた読書なのに、選択を実質的に放棄した形になっています。残念な気持ちと、怖い気持ちとを抱きます。

「売上ランキング」の正確性に問題があることも指摘されていました。これまでのランキングは、出版社の印刷部数の発表に依存しており、実際の書店での売り上げと結びついていない面があるようです。そこで、最近オリコンが書店の協力を得て書籍のランキングを発表していることが紹介されていました。

おびただしい出版物の中で、良書に巡り会うことが難しくなっています。悪貨が良貨を駆逐することがあってはなりません。ITの時代にあっても、書籍はコストパフォーマンスの高い媒体であり、これからも市場規模が拡大して欲しいメディアです。

あと1冊、2冊余分に本を買おうよ。現時点では、このくらいのメッセージしか送れませんが、考えさせられる番組でした。


ヤマキのめんつゆ

町家では、野菜、果物、花木などについて地産地消を旗印に地元産品を揃え、魚も伊予漁協などに陸揚げされる近海のものを並べています。

伊予市には、ヤマキ、マルトモといった全国ブランドの食品加工業の本社があります。そうした企業の製品も取り揃え、「町家に来れば伊予市が見える」を合い言葉に、お客様に喜んでいただける特産品売場づくりに励んでいます。

これから順次、町家の商品を紹介していきます。夏→素麺→めんつゆ、ということで、トップバッターはヤマキのめんつゆです。


2008/6/4(水) これからは50歳代、60歳代が美しい

週刊AERA6月9日号に「50代女性は美しく目覚める」という記事がありました。

これまで無視されてきた50歳代女性のモデルになる方々が現れており、50歳代を提案する雑誌も登場してきていることが紹介されていました。

現在の50歳代は、演歌世代とはひと味違う感性を持っており、ユーミンやサザンがずっと若い世代から支持されてきたことが物語るように、40歳代以下の世代を引っ張るエネルギーを内包しています。

人生100年時代。現在の50歳代はあと20年は美しくエネルギッシュに生きていくことが可能だろうと思います。そこから先は、どれだけ知的でいられるかの勝負です。本当に勉強が必要になるのは、子供ではなく、若い時代でもなく、50歳以降です。

この「四国の星」ブログとは別に、音楽を中心としたブログを開発中です。試行錯誤の段階ですが、その方も参考に願います。

◎楽天ブログ【人生100年・ずーっと輝こうライブ・管理人ブログ】(写真付き、「四国の星」の再構成も試みます)


2008/6/3(火) 任期満了型解散か・・どん詰まり自民

落ち目の平家。昨今の自民党には、そういう表現が妥当します。富士川の戦いにおいて、平家の武士達が鳥の羽音に驚いて敗走した話は有名です。内閣支持率が低迷し政党支持率でも民主党に抜かれた状態では、解散など以ての外ということでしょう。

【自民党:衆院解散時期「任期満了直前に」…古賀選対委員長】(毎日) 
自民党の古賀誠選対委員長は2日、新潟市内で開かれた同党の会合であいさつし、衆院解散の時期について「任期満了に可能な限り近づいた方が選挙態勢は整う」と述べ、来年9月の任期満了直前が望ましいとの認識を示した。理由として「自民党の国造りの形を明らかにしていかなければ、次の選挙を勝ち抜くことは不可能だ。きっちりとした議論のできる時間が必要だ」と説明した。ただ「いずれにせよ危険水域に入っている」とも述べた。【渡辺暢】

【コメント】
公明党(創価学会)の都合で選挙日程が決まるというのが、今や常識です。

東京都議選に最も力を入れる公明党としては、来夏の都議選前後3ヶ月は総選挙をやって欲しくないという事情があります。組織が疲れて稼働しにくくなるからです。

9月10日の任期満了では都議選からの期間が短いので、もう少し遅らせたいのです。任期満了時点より遅い総選挙を実施するため、任期満了直前に解散に打って出るという秘策が練られているようです。

これが法的に可能なのかどうか。解散が必要な情勢になったとしても、内閣不信任案が可決されない限り(現在の議席配分からするとあり得ません)、任期満了による選挙が可能なのだから、そのまま任期満了による選挙を行うべきです。民意を確認するための選挙が任期満了よりも遅くなることは、憲法に規定される衆議院4年の任期の趣旨に反するのではないでしょうか。

こんな「裏技」を考えなければならないくらい、政府・与党が追い詰められているということです。


よしだよしこライブin町家

昨日町家中庭で、よしだよしこさんのライブ演奏がありました。よしださんは、東京中心にライブ活動をされているシンガーソングライターです。70年代に活躍され、その後演奏を中断。1999年に活動を再開されました。


2008/6/2(月) 人生100年時代・・「賢さ」を追求しよう

昨日の東京新聞コラムに興味深いことが書いてありました。人生100年時代を生き抜く指針を考えるのがこのブログのテーマのひとつですので、取り上げてみます。

【筆洗(6月1日)】(東京新聞コラム)
電話番号が思い出せない。人の名前が、どうしても出てこない。齢(よわい)を重ねるほどに、こういう経験は増えてくる▼「やれやれ、年をとると脳の方も…」と考えがちだが、さほど悲観することもないようだ。最近の研究で高齢者の脳の方が若者の脳より「賢い」ことが分かってきたと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が伝えている▼記事によると、高齢になると注意力散漫になる分、名前のような一つの事実を覚えておくことは苦手になるが、逆に、より幅広い情報を頭に入れておけるようになる▼たとえば、わざと「場違いな言葉」を潜ませた文章を読む実験では、若者は、それを無視して読むため速度では高齢者に勝る。だが、後で「場違いな言葉」に関する問題を出されると、正答率は高齢者にかなわない▼ただ読む時につまずいているのではなく、高齢者の脳は、「場違いな言葉」という余分な情報でも吸収、整理してしまう。これが、全体状況の把握や現象の背後を読む時に威力を発揮する。つまり、現実社会で必要な「賢さ」で“若い脳”に勝るというわけだ▼運動能力の方はそうもいかず、高齢ドライバーの操作ミスによる交通事故が目立つという。七十五歳以上の人は、きょうから「もみじマーク」の表示も義務付けられる。“危ない車”のレッテルでなく、敬意を払うべき“賢者の車”の印だと思いたい。

【コメント】
情報処理のやり方が、年齢とともに変化するということなのでしょう。

注意散漫なのではなく、全体状況把握力が増してくる。表面的な事象をなぞるのではなく、背景を読む力が増してくる。

年々衰えていくという固定観念から解放される必要があります。記憶力に代わる洞察力を身に付けていく過程。そう考えていこうではありませんか。人生後半は、「賢さ」を追求すべきです。

「もみじマーク」について、コラムは「賢者の車」の印だと思いたいと述べています。それは自らが積極的に発信した場合の話であって、義務化は高齢者差別であり、高齢者の自由の侵害です。このことは昨日述べました。

高齢社会を積極評価するコンセンサスづくりが必要です。


町家でフラダンス

今日は、町家中庭でフラダンスのイベントがありました。結構人気があります。フラダンスサークルも多いようです。


2008/6/1(日) 改正道交法施行・・シートベルト○、もみじマーク×

今日から、後部座席のシートベルトを締めなければなりません。死亡事故の減少につながるのですから、面倒ですが、やむを得ません。

【後部座席のベルト義務化 改正道交法1日施行】(共同)
後部座席のシートベルトや75歳以上のドライバーに高齢者マーク(もみじマーク)の表示などを義務付ける改正道交法が6月1日、施行された。ともに違反者に行政処分などが科されるが、着用率や表示率が低いことなどから、警察庁は当面摘発を見送るよう全国の警察本部に指示している。

後部座席のシートベルトは、高速道路での違反者に対し行政処分の1点を科す。観光バスやタクシーで乗客が未装着の場合、運転者が処分対象になる。一般道での違反者には処分はなく、妊婦なども免除される。今秋の全国交通安全運動終了時までは、悪質なケースを除いて摘発されない。

75歳以上の普通自動車の運転者に義務付けるもみじマークは、表示をしていない違反者に行政処分の1点と反則金4000円が科されるが、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)と同様の批判を与党が懸念した影響などで、1年間は指導だけにとどめた。

【コメント】
厳しくなってきます。しばらくは猶予期間のようですが、今から守っていきたいものです。

しかし、75歳以上にもみじマークの表示を義務づけるということに関しては、反対です。個人情報の強制開示でもありますが、高齢者差別ということを強調したいと思います。

運転能力に限らず、人の能力には個人差があります。それを無視して、75歳以上は運転能力に疑問があるかのように印象づけるもみじマークの義務化は、高齢者差別に他なりません。

統計上、一定年齢以上の事故率が高いということであれば、その年代については、免許更新の期間を短縮し、安全講習を徹底することが必要です。しかしながら、個人の尊厳を傷つけ、営業の自由を奪うことには反対です。特に、タクシードライバなどは75歳以上でも就労可能な職種であり、彼らの営業の自由を実質的に奪うことになる表示の義務化は憲法違反の可能性すらあります。

もみじマークの普及を図り、個々の高齢者が、自らの安全確保と周辺へのマナーとしてもみじマークを表示するということでいいのではないでしょうか。

人生100年。もっと高齢者の能力を評価すべきです。そして、高齢者の誇りを傷つけない配慮が必要です。


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玉井彰の一言 2008年6月 四国の星ホーム一言目次前月翌月