Amber

〜琥珀についての序文〜

初めての琥珀

琥珀のリング

 自分が琥珀のリング(¥380くらいだったかな〜)を購入したのは1993年の夏。

 以前から、最新材料化学としての鉱物は興味津々だった。 でも、宝飾品としての鉱物にはまるで興味なかった。 芸術性の高いモノや歴史的文化遺産級のもので、史実と絡めてみるとなかなか趣のあるようなものなら、それを鑑賞したり学術的な認識を持ちたいとは思ってたけど、 その辺で売ってるようなものを自分が身に着けたいとは、つまり欲しいという気持ちは全くなかった。 身に着けなくても財産として欲しがる人がいるけど、世間で思われてるほどの財産的価値がないって知ってから、 そういう意味でも欲しいとまでには考えが及ばずにいた。

 そんな自分が琥珀を、しかも虫入りのものが欲しいと熱望するようになったのは、ある映画。

琥珀との出会い

Jurassic Park

 マイケル・クライトンのSF小説『ジュラシック・パーク』が、スティーヴン・スピルバーグによって映画化されたのを観て、 突然、琥珀に興味が湧いて、実物が欲しくなった。 この映画を知らない人の為に、ストーリーとは別に琥珀に纏わる設定だけを解説すると、以下のようなカンジ・・・。

 サファリ・パークは動物を、動物園みたいに檻に入れて飼ってるんじゃなくて、実際に生息してるサファリと似た環境で放し飼いしてるのを見られる。 その恐竜Ver.がジュラシック・パーク。 恐竜が6500万年前に絶滅してしまったのは誰もが知るところだけど、その現存しない恐竜を現代に甦らせて、 コスタリカの孤島にジュラシック・パークを建設するという、一大アミューズメント・パーク計画が、極秘のうちに進行してたって設定。 そして、映画の中で恐竜を蘇らせるバイオテクノロジーに用いられてるのが、ドミニカ産の虫(蚊)入り琥珀。 ちなみに、恐竜は中生代の三畳紀〜ジュラ紀〜白亜紀に生息してた大型爬虫類なんで、 そのジュラ紀からジュラシックと命名されてる。

 この映画に対する興味は、単に恐竜が好きなんで、その姿を見たかったってのもあったけど、琥珀によって恐竜が復元されるプロセスが、 どのくらいリアルに描かれてるかという部分が大きかった。 そこに集中してて、前半は恐竜も出てこないせいもあって、ストーリーを追わずにそのことばっかり考えてた。 でも、少年ティム役のジョセフ・マゼロがもろに好みの美少年だったんで、後半はティムを見つめる目が、すっかりハート型でしたが・・・って、 美少年に対する好奇心と科学的探求心では、美少年に対する好奇心の方が勝ってたと!

 『ジュラシック・パーク』以来、琥珀に関していろいろ調べたら、これが本ト深くて、掘り下げてったらキリがなかった。 それで、メモ帳代わりにこのページを作成してみた(笑) なので、このページは『ジュラシック・パーク』の琥珀による恐竜復元の謎解きがメインだったりするけど、 かなり学術的な分子生物学の解説になってるんで、科学苦手な人はメインこそをテキトーに読み飛ばしてください。 熟睡確実だから(爆)

琥珀の正体

樹皮

 琥珀って何かって、一言で言えば化石で、何の化石かって、これが樹脂の化石。 樹脂は、樹木から滲み出る粘性の樹液。 粘るっても、琥珀は酸化して硬くなってるから、実感湧きにくいけど、松脂:マツヤニなんかは、 松の枝に触れて嫌なカンジの粘り気が手にひっつく体験をした人も多いでしょうか?

 今から数千万〜数億年位前の恐竜が生息してた時代に、ヨーロッパ大陸の豊かな森林地帯に繁茂した、 主に松柏科の樹木(古代のカエデやマツ)の樹脂が、長い年月をかけて化石化したものが琥珀。 樹木は石炭に、樹脂が琥珀になると。

 化石化したとはいえ、主成分はコハク酸であるコトには変わりなく、有機鉱物の一種。 正確には、他の宝石ほど無機的ではないから、完璧なではなかったりして。

琥珀と歴史

最も古い琥珀

琥珀玉

 琥珀はかなり古くから世界各地にあった宝石で、世界最古としては3万年前のものと推定される琥珀が発掘されてるし、 日本でも2万年前の遺跡から琥珀が出土してる(久慈琥珀博物館参照)。 しかも、この日本最古の琥珀には、紐を通す穴が開いてた(自作イメージ→)。

 比較的軟らかいから、他の鉱物に比べて加工し易かったわけだ。 用途は、装飾用ではあっただろうけど、護府として用いられてたと推測できる。

 今から2〜3万年前と言えば、ホモ・サピエンスが出現したばかりの、旧石器時代に当たる。 洞穴などの自然の形態を利用した住居に住み、打製石器や骨角器を用いて狩猟・漁撈・採集による不安定な生活をしてた頃。 それでも、生活必需品でない宝石というものが存在してたのは、護府としてなど呪術的な意味合いも強いだろうけど、 やっぱりその美しさに魅了されるような感性を、我々の先祖は既に十分に持ち得てたんだと思う。 それは、アルタミラ、ラスコー、フォン・ド・コームなどに残されたクロマニヨン人による洞穴壁画にも、その感性の片鱗を垣間見ることができる。 鑑賞するために描かれたんじゃないけど、芸術性の高い作品に仕上がってて、創作したクロマニヨン人の優れた感性が伺える。

琥珀の発見

Sea Amber

 太古の昔に人類はどうやって琥珀を発見したのか? 琥珀には、鉱山の採掘によるPit Amberと海岸に漂着するSea Amberがあるけど、琥珀が発見された頃は旧石器時代で、 まだ採掘が行われてなかったのは明らか。 なので、人類に初めて齎された琥珀がSea Amberだってことも明白。

 最古の宝石は琥珀か、もしくは真珠であると推測できる。 旧石器時代の人類が、海辺で琥珀を拾うのと同じくらいの確率で、貝を食べようとしたら中から真珠が出てきたというのは有り得る。 実際、琥珀と真珠のどちらが先だったかは、真珠なんですが。 いずれにしろ、琥珀と真珠は、生物が誕生した海から齎されて、石とは呼びつつも生物由来で純然たる鉱物ではない・・・琥珀と真珠に惹かれる所以は、 そんな壮大な歴史とロマンを持ってて、しかも生命の鼓動を感じられるからかもしれない。

古代ギリシア・ローマの琥珀

 時を経て、琥珀が歴史に登場してくるのは、紀元前12世紀頃。 地中海交易に従事してた商業民族フェニキア人は、 Amber Roadを通ってはるばるやってきた琥珀を東地中海沿岸全域に齎した。 Amber Roadは、Silk Roadの琥珀版で、琥珀の交易によってバルト海から東地中海を結ぶルート。 Amber Roadには、琥珀以外にも様々な品物が流通してたと思われるけど、その中で琥珀は珍重されてて、 後に通貨の役割を果たすようになったらしいね。

 フェニキア人に代わって、琥珀に新たな価値を与えたのはエトルリア人。 エトルリア人は、現イタリアのトスカナを中心に定住してた系統不明の民族で、交易によって栄えてた。 高度な文化を持ち、琥珀文化もエトルリア人からローマ人に受け継がれて、香として用いたり、装飾品に加工された。

ローマ帝国〜中世の琥珀

rosary

 ローマ帝国は、当初キリスト教を迫害してたけど、380年には国教化する。 その後、キリスト教の礼拝用数珠であるロザリオの材料としての琥珀が、布教と共に広まってった。

 中世に入ると、貴族階級の装飾品や装身具、宮廷の調度品に琥珀が使われるようになって、バロック期には、 バロック様式と琥珀工芸の髄を尽くした琥珀の部屋が造られた。 琥珀の部屋は、壁面が琥珀のモザイクで敷き詰められてて、琥珀の珠のシャンデリアが吊るされ、琥珀の彫刻・彫像が飾られてた・・・らしい。 らしいとゆーのは、元々プロイセンの国王がベルリン王宮に造らせたのをロシア皇帝への贈り物として、プーシキンの夏の宮に移送、 これが第2次大戦中にナチスに没収されて、その後行方不明になってるんだね。 通説ではバルト海に沈められたとされてるんだけど・・・定かではない。

日本の琥珀

 日本では、古墳から琥珀製の勾玉、棗玉などの珠が多く発掘されてるけど、それは北方で採取された琥珀が大和朝廷に献上されてたってコトだよね。 以来、琥珀交易は続き、琥珀の産地は採掘事業が確立。

 江戸時代になると、元よりの細工物の工芸品以外にお香や薬にも使用されるようになり、 需要が高まって琥珀採掘は南部藩(岩手県久慈市)の一大事業になった。

〜琥珀による恐竜復元〜

序章

 映画『ジュラシック・パーク』での恐竜の復元方法を解説するに当たって、 映画を観てない人に映画の内容が丸わかりにならない程度に披露しよう・・・ってのも微妙な事態ですが。

 この映画は、琥珀の中に封じ込められた恐竜のDNAを使って、恐竜を復元したというのが前提にある。 DNAは、生物の設計図であり、また生物を設計図通りに作り上げる工房でもあるので、DNAの完全体が1つあれば、 それからバイオテクノロジーによってクローンができる。 このクローン技術は、21世紀の今日では誰でも納得してるだろうけど、その素になるDNAを得るのに使われたのが琥珀ってのは、 ちょっと突拍子もない気がするかもしれない。

 なぜ琥珀に恐竜のDNAが入ってたのか?

 実はこれこそが、恐竜という爬虫類ならではのエピソードで、同じ状況があっても、ヒトや他の哺乳類ではこうはいかなかったんである。

 概要を先に述べると、琥珀にはが入ってた。 虫入り琥珀は希少だけど、無い事もない。 そして、蚊が恐竜の血を吸ってたと仮定すると、蚊の腹の中には恐竜の赤血球細胞があるはずだというのだ。 そう言われてみたら、琥珀に封じ込められる直前の蚊が恐竜の血を吸ってた確率も、無い事もない。 そこから導き出された結論は、細胞があれば、そこからDNAが抽出できる=そのDNAを使って、 クローン技術で生物個体が復元できる・・・はず?!

 これが、ヒトや他の哺乳類になると、赤血球細胞には核が無い。 核は、生物の設計図であるDNAのありかだけど、そのありかも無いんだからDNAも存在しようがない。 ところが、鳥類や爬虫類の赤血球細胞には核があって、そこにDNAが存在する・・・となると、 理論上は恐竜の復元は可能なんである!

恐竜復元方法の概要

 実際に、『ジュラシック・パーク』での恐竜復元は、どんな風に行われたのかをまず説明しよう。

 使用したのは、先述の琥珀から抽出した恐竜のDNA。 でもDNAは、それだけで存在してる限りは単なる化学物質で、生物の設計図ではあっても、工房がなければ何も作れない。 工房として生物を作り上げるには、DNAが細胞中の核に位置する必要がある。 そのために、近い種の細胞が必要で、ワニの未受精卵が選抜された。

 以下、手順を追ってみよう。
ワニの未受精卵から核を抜き→換わりに恐竜のDNAを入れ→中生代ジュラ紀の気候にした孵卵室に置いて待つ →そこから恐竜が孵る・・・これが、『ジュラシック・パーク』に登場する遺伝学者の発案した方法。

 一見なるほどとは思うけど、待ってください。 化石化してできた琥珀に封じ込められて、一緒に化石化してしまった昆虫である蚊の、しかもその腹の中の未消化な恐竜の血の、 更にその構成成分の1つである赤血球細胞中のDNAが、上記のような実験に耐えうるべく、保存状態がいいはずはない。 予想としては、むしろずたずたの状態に違いない。

 ところが、これを塩基配列の解析装置(コンピューター制御されたシークエンサー)にかけて、何億か何十億だかある配列総てを読み取って、 読み出されたら今度はそれを修復して、完全な恐竜のDNAを再生することができたって、この部分がマユツバ。

 100歩譲って、恐竜のDNAが修復されて完璧な形で得られたとしても、それがどんな恐竜になるのかはここまでの時点では謎。 これについて、遺伝学者は最初、「第一の方法は系統発生マッピングです。」と、 恐竜の種類を断定する手段として、気の遠くなるような時間のかかる作業を提示してる。 系統発生マッピングは、DNAの塩基配列の変化の段階を調べて、その結果から、進化の段階のどの辺に当たる種のDNAかを推定する方法で、 膨大な数ある配列の部分的な変化を調べるだけでも、物理的にかなり無理があると思う。 また、その調べ上げたものを比較分析するのがコンピューターにしたって、その果てしない量のデータから種を特定するまでに、果たして至るんだろうか?

 DNAの塩基配列は、代を経る度に何らかの原因で部分的に変化して、それが形質として発現してるとその種に変異が起こったとなり、 その変異の積み重ねが種間に拡大して、元の種と違う種に至るまでになると新たな種に進化したとなる。 でも、変異と新たな形質との因果関係が、恐竜のような多岐に渡る絶滅種では、断定しようがないと思うのは素人だからか?

 ・・・とここまで驚愕と混乱を齎しておきながら、遺伝学者がとった行動が予想以上に凄かった! 「そのまま成長させて、どんな恐竜になるか見守る。」・・・って、遺伝学者が大博打に打って出た(笑) 物語だから、この勝負が当たって、旨い具合に10種類以上の有名な恐竜ばかりが蘇るんだよね(爆) だけど、現実問題として考えたら、そうは旨くいかないはず!!

本トに恐竜は復元できるのか?

 1番基本的な部分なんだけど、蚊が血を吸ってたのは恐竜に限定されてないから、恐竜のDNAだけ巧妙に取り出すのがすでに不可能では? 仮に、それが可能だったとしても、DNAさえ揃ってれば、即、恐竜誕生とは成し難い。 遺伝情報がそこにあっても、それが発現しなければ生物には成り得ないからだ。 また、遺伝情報が発現したとしても、順序良く発現しなければ、ちゃんとした生物として成り立たない。 よって、話としては面白いけど、実現には奇跡の積み重ねが必要で、そんな稀有な事態を起こすのは到底無理。

 ちびの時から恐竜が大好きだったんで、自分なりにその復元方法を考えてた。 映画にしたら必然的過ぎて面白くないけど、琥珀にまで遠回りをしないで、自分のDNAから恐竜のDNAを抽出するって方法。 それこそ系統発生マッピングだから時間はかかるけど。 つまり、ヒトに進化するまでの過程で、近縁ではサルの類のDNAも、遠縁では恐竜の類のDNAも、 遺伝情報として持ってるはずなんで、そこから完璧な恐竜のDNAを抽出すると。 そして、それからどうやって遺伝情報を発現させるかは、ホメオティック遺伝子! ホメオティック遺伝子は、遺伝情報を発現させるか否かのONとOFFの切り替えスイッチのような役割をするDNAを持ってて、 これをホメオボックスと言うのだけど、この辺りの解明がクリアーになれば、恐竜再生は夢物語ではなくなるのだ!!

〜琥珀の薀蓄〜

語源:琥珀/Amber

 琥珀は漢語で、古代中国では琥珀を虎魄と書いて、虎の魂が死後に石となったとゆー伝説が由来のよう。 実は漢方薬の一種・・・何でも食べる中国人、食べられないモノは煎じて薬にする(笑) 琥珀の粉末をそのままや他の漢方薬と混ぜて飲用や塗布用に用いてるとか。 効能については諸説紛々・・・気長な中国人、即効性がなくても副作用がなければいいかってノリ(爆)

 英語ではAmberだけど、燃やした時に龍涎香(りゅうぜんこう)のような香りがするから、 アラビア語で龍涎香を意味するAnbarが由来で、ラテン語〜フランス語と経由してAmberになった・・・ってのに一票(笑) 雄のマッコウクジラの腸から取れる主食であるイカの嘴を沢山含んだ黒褐色の脂肪分の多い塊(要するに結石?)をアンバーグリスって言って、 これがお香即ち龍涎香ってヤツなんだけど、焚くと抹香に似た香りがするらしい。 んで、マッコウクジラもとい抹香鯨なワケ。更に抹香ってのは、樒(シキミ)の葉や皮を原料にしたお香。 つまり、抹香→マッコウクジラ→アンバーグリス(龍涎香)って順序? ・・・なんか語源のパラドックスに突入した模様(爆) 他には軽くて海に漂うって意味のアラビア語からきたって説もあるんだけど、アラビア語なんて知らないよ〜(-_-;)

 ギリシャ語ではエレクトロンと呼ばれてて、これは輝く太陽の石の意。 琥珀の棒を布で擦ると静電気が起こるコトから、電気の語源になったワケだ。

 ドイツ語ではバーンシュタインと呼ばれてて、燃える石の意。なるほど。

 一般的に琥珀は英語でAmberだけど、世界最古の琥珀(の素の樹木)は、古生代石炭紀(約3億年前)のモノだけど、 ほとんどは中生代ジュラ紀〜白亜紀の地層から産出してて、これをAmberと呼んで、新生代第三紀以降のモノは、これとは別にCopalとしてる。

 と、ここまで引っ張っといてなんだけど、Amberは俗名で、学名はSucciniteと言って、コハク酸を含有するモノに限定されてるんだね。 コハク酸を含有していない樹脂石:CopalはRetinite。 赤外吸収スペクトルで分類できるんだよね。

 ちなみにSucciniteと呼ばれるのはバルト海産の琥珀に限定されてるんだけど、・・・ってコトは琥珀の総称は俗称のAmberなのか、やっぱ(・_・?)

成分:炭素78%・水素11%・酸素10%・硫黄・その他

主成分:succinoabietinolic acid C40H60O5 ・ succinogiluinic acid C24H36O2 ・ succinoresinol C12H20O ・ succinoabietinol C40H60O などを含む樹脂精油。

比重:1.05〜1.10

 樹脂なんで軽い。 その上、たいていは気泡を含有してるんで、間違いなく濃い塩水には浮くね。

 プラスチック製のイミテーション琥珀の比重は、通常1.20〜1.30なんで、比重:1.13の飽和食塩水に沈むんだよ。 宝石鑑定において、軽い方が本物とゆーのもなんか変な話だけど(笑)

 太古の昔から人類に愛されてた琥珀だけど、18世紀になるまで海岸に漂着したモノが採取されてて、これはSea Amberって呼ばれてるくらいで、 ずっと海の産物と考えられてたんだよね。 ヨーロッパでは人魚の涙なんて呼ばれてたんだってね。 海を漂流可能な比重の琥珀ならではの逸話だね。 Sea Amberは、バルト海の海底から流出して、潮流にのってデンマークやノルウェー、スウェーデン、果てはイギリス東海岸まで運ばれてるらしい。

モース硬度:2〜2.5

 モース硬度はダイヤモンドを10として、サファイアやルビーが9、エメラルドが8、水晶が7、トルコ石が6・・・真珠が3.5〜4なんで、 どれだけ軟らかいかってモノ。

 細工モノは特に角を欠いたり割ったりするコトがあるんで、置物だったらガラスケースに入れとくのが賢明だね。 擦り傷にも要注意。

ケア:時々柔らかい布で埃を払う

 なんせ軟らかいんだから、ごしごし磨いたりしたら傷だらけになってしまうんだね。

 装身具は、特に香水やへアスプレーなんかがつかないように注意しないと、表面が侵食されて光沢が失われてしまうんだよね。 でも、汗には非常に強くて、酸化による変色は極めて弱いんで、使用後に柔らかい布で簡単に拭く程度でOK。

 湿気のある時は柔らかい布で拭っとく。 かなり汚れのひどい時だけぬるめの石けん水で洗っても差し支えないけど、乾燥後にオリーブ油を少量塗布して、光沢を元に戻しとく。

 保管する時は、表面に擦り傷なんかがつきやすいから、柔らかい布に包んどく。 風化や乾燥によるひび割れが生じるのを防ぐ為にもね。

特徴:内包物

 内包物として一般によく見られるのは、樹脂が硬化する時に取り込んだガスが圧縮されて、それが破裂した際にできた結晶風の美しい模様。

 まだ樹脂が粘着性を持ってる時、たまたま樹脂に包み込まれて取り込まれたモノが、苔や各種の植物や蝿、蜂、蝶、蟻、蚊、 蜘妹なんかの原始昆虫類ってのも稀だけど、極稀にカエルやトカゲなんかの両生類までもが、気の遠くなるような時間をかけて硬化して化石化、 保存状態が極めていいんで、地質学・生物学、古生物学・遺伝子工学と学術的にも貴重な化石だったりする。

 『Jurassic Park』では、ドミニカ産の琥珀の中に蚊が閉じこめられてて、これが恐竜の血を吸ってたんで、 その血液の中の遺伝子から恐竜を再生するって設定だったんだけど、設定の実現が可能か否かはおいといても、 タイムカプセルとして現代に伝えられたってだけでも十分夢があると思うよ。

 でも、虫入り琥珀は学術的だけではなく、その神秘的な美しさから装飾品や宝飾用として珍重されてるんだね。

融点:150 ℃で軟化、250 〜 300 ℃で溶解、更に高温になると燃焼

 プラスティック製の模造品とは異なる、粒が小さくてそのままでは加工製品には向かない原石の小片を加熱圧縮成形したモノは、 Ambroidと呼ばれて再生品として多く出回ってるけど、これは本モノと言えば本モノではあるんで、代用品として普及してるようだね。 再生品の特徴は、結晶が均一で濁りに斑(ムラ)が無いコト。 でも、近年の発達した技術では、より原石らしい濃淡のある再生品もできるようになったみたいで、原石か再生品か模造品か、かなり紛らわしいね〜。

 気泡が入ってると曇って見えるんだけど、油の中で熱するとこの曇りは消失して、代わりにグリッター(キラキラ)が生じるんだよね。 だから、宝石としての品質は無傷で透明度の高いモノがいいとされてるんで、原石でも透明度を上げる為に熱処理を施す場合があるんだよね。

屈折率:1.54

 屈折率は、・・・って、自分も物理は苦手なんで説明しづらい・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

 ちょ〜簡単に説明すると、物質がどれほど光を跳ね返すか率ってなカンジ。 例えば、空気は1、水は1.33、ガラスは1.5、ダイアモンドが2.42で最強。 ダイアモンドに類似のホワイト・ジルコンも1.95〜2.0と高く、サファイアやルビーは1.7、エメラルドで1.57、水晶で1.55と低くなってくんだね。 光が通らない物質は、屈折率がないから、トルコ石や真珠はあえて言えば屈折率0!

色:琥珀色(笑)

 琥珀色ってウイスキーの色を表現するのによく使われてるけど、琥珀を見てウイスキー色だと表現する人はいないよね。 例えに使われてるってコトは、使われてるモノの方が歴史が古いってコトなんだよね。 それにしても、ウイスキーの芳醇な香りとコクのある味を思い描くには、琥珀色ってのがピッタリ来るよね。 鉱物ではないからか、食するモノに対して例えに使われてても、違和感がないから不思議。 違和感どころか、かえって味の深みやビミョーな体感温度までを想像させてしまうね。

 代表的なのは琥珀色だけど、透明から半透明で、色は乳白色、淡い黄色、黄褐色、蜂蜜色なんかが一般的で、 珍しいトコでは、蛍光性を持ったブルー、赤、紫、黒なんてのもある。 大概、黄色のモノを思い浮かべるかもしれないけど、意外とカラーバリエーションの多い石なんだね。 ブルー・シシリアンと呼ばれる目の醒めるようなブルー(シチリア産)、金色の斑点を持つ黒い琥珀(ルーマニア産)なんてのもあって、 これらは当然の如くコレクターの注目を集めてるワケだよ。

 琥珀に紫外線を当てると、美しい蛍光を発するモノがあるんだけど、例えばビルマ産のは蛍光性の強い赤色とか、 世界有数の琥珀産地であるバルト海の琥珀は赤く暗い蛍光とか、産地によって異なってるんだよ。 でも蛍光性を持った珍しい琥珀は、現在はほとんど産出してないらしいね。

 古い年代ほど光沢があって宝飾に向いてるんだけど、そこへいくとバルト海沿岸産の琥珀は年代が古くて、 磨くと艶が出て宝飾に適してると言われてるんだよね。 一方『Jurassic Park』に出てきたドミニカ産の琥珀は年代が浅くて、色艶は劣るけど、 植物や昆虫などを取り込んだ学術的に意義のありそうなモノが多いんだよ。

 透明度に優れてて色が濃いほど良質で化石年齢も上とされてるんだけど、不透明でも乳白色調でレモンイエロー色のも、実際、人気があるようだね。

主要産地:ドミニカやロシアのバルト海沿岸が世界有数の産出地

 ミャンマー、インド、ルーマニアでも産出。 日本では、久慈地方が最も有名な産出地。

 バルト海の海底から流出して海水で運ばれて、デンマークのユトランド半島、スウェーデン、 ノルウェーやイギリスの海岸にまで打ち上げられたモノはSea Amberと呼ばれてるのに対して、 バルト海沿岸のロシア及びバルト3国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の鉱山で採掘されたモノは Pit Amberと呼ばれてて、産出のされ方での種別があるワケなんだけど、よく考えると元は同じだね・・・ヾ(・_・;)ぉぃぉぃ

琥珀にまつわる話

 ミック・ジャガーの娘はジェイド・ジャガー、そしてその娘(ミックの初孫)はアンバーっつーのよ! ジェイドからしてJade:翡翠って鉱物の名前なんだけど、更にその娘がAmber:琥珀なワケ。 でもたぶん、日本人の思うトコロの翡翠とイギリス人の思うトコロのJadeにはズレがあると思うんだよね。 自分らが翡翠と認識してるJadaite:硬玉と組成は異なるけど、 見た目が似てる通常玉(ぎょく)と称されてるNephrite:軟玉とひっくるめて、緑色のモノをJadeって総称で呼んでるんじゃないかな? ま、これについての詳しい解説もここでは控えておこうか(笑)

 Amber Ale:英語でAmber琥珀(色)Ale上面発酵ビール。 フルーティーな香りと程よい苦味が特長のビールで、レッドエールとも呼ばれてるそうな。 アルコール度数は4.5%前後。 自分はビール呑めないからなんとも・・・(-_-;)

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