楽しいアラビア語(1〜5巻)合本版
本多孝一
1991年6月30日 縮刷版第2刷発行 税込価格 \10,290
B5判 並製 500頁 ISBN4-88636-013-0 C0387
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まえがき
アラビア語はイスラム教の聖典クルアーン(コーラン)の言葉であり、また、国連の公用語にも指定されている、中近東22ヵ国の言語です。
最近、日本でも石油部門をはじめさまざまな分野で中近東諸国との接触が多くなり、アラブの国の人々を理解するには、まず彼らの言葉であるアラビア語を知らなければならないということが痛感され、それに伴ない、アラビア語に興味をもち勉強をはじめる人がかなり増えてきました。しかし、アラビア語は日本人にはまだまだ馴染みがうすく、難しいものだと思われ、またそれと同時に教材もじゅうぶん整っておらず、たとえ学習しはじめた人でも、途中で学習を断念せざるを得ないのが一般的な実情でした。
この本はこのような点を考慮し、初めてアラビア語を学習してみようと思っている一般の人々を対象に、独学でアラビア語の初歩をできるだけわかりやすく、かつたのしく学ぶことができるようにとの目的で作ってみたものです。その目的に沿わせるため、このテキストでは細かい文法的説明よりも、基本事項を着実に理解できるように簡単でかつ実際的な用例や応用を多くとりいれました。それらに関連した現地の写真、情報などをできるかぎり盛リこみ、単に文法的学習だけではなく、学習者がたのしく学習を続けられ、かつ自然にアラブの事情に強くなるように工夫してみました。
さて、アラビア語は22ヵ国にも及ぶ広い地域で使われている言語ですから、国によりまた地方により方言がかなり存在しています。そのおもなものは、アルジェリア方言、エジプト方言、イラク方言、サウジ方言等で、それらは用語、発音などにおいて少しづつ異なっています。しかし、ここで学習するのは方言ではなく、アラブ諸国すべて共通して使うことのできる「フスハー」と呼ばれる、書き言葉中心の「標準語」(正則語〕です。
現代アラビア語は、決して特別に難しいものではありません。基本事項を一歩一歩確実に勉強すれば誰でも十分にマスターでき、近い将米、アラブ人とアラビア語で話し合え、アラビア語で読み書きできるようになるものと信じます。
さて、本書をまとめるにあたり、数多くの人々のご援助をいただきました。特に、本書のアラビア語の文章をはじめとする内容をチェックしてくださった、私の親しいエジプト人の友人、ハーリド・アリー・ザイド氏、東京外国語大学客貝教授のシャラフ教授、そしてアジア・アフリカ語学院の専任講師、アシュラフ・安井氏の3氏は、長期にわたり綿密に1つ1つ文章をチェックされ、貴重な教示・助言をいただきました。ここに深く感謝いたします。
また、本書の中に載せてある写真は、私が中近東滞在中に撮ったものと、その他多くの人々よりお借りしたものです。特に、東海大学講師の阿部政雄氏からは、アラブ諸国全域にわたって貴重な写真を数多く拝借し、紙面を飾ることができたことを、こころから感謝する次第です。
また、本書のような特殊な本の出版をこころよく引きうけていただき、私に原稿をまとめるに十分な時間を与えて<ださった「たまいらぼ」の玉井禮一郎氏、また実際に本書の組版にあたられた「アイドマ・スタジオ」の大堀明博氏をはじめとする社員の皆さまにも厚く謝意を表します。
本書は、前述のごとくよりやさしく、たのしくアラビア語を学べるようにとの意図から、従来の文法書にはのっていない新しいことがらを多方面からとりいれてみました。また、先輩諸氏のご指導、ご教示をこころから仰ぐものです。
最後に、本書がアラビア語学習の新機軸となり、ひとりでも多くの人がアラビア語を通じて日本とアラブとの友好のため、ひいては世界の平和のため働かれんことを希ってやみません。
1981年5月
本田孝一
第1巻【PART 1】 総目次
Lesson 1 (アルファベット)
T アラビア語のアルファベットと数字
1.アルファベットの基本形の書き方とその発音
2. 数字の井き方 ■練習(1)
II アルファヘントの連結
1.連結の意味
2.各アルファベットの語頭の形・語中の形・語尾の形・実際のアルファベットの連結方法■練習(2)
V 応用
その1 その2
W 自己診断
X 参考
その1=子音の発音
その2=アラビア語について
(1.その起源 2.アラビア語の発達 3.アラビア語の正則語と方言)
Lesson 2(発音符号)
T 短母音符号
1.発音練習 2.子音(スクーン)の発音のしかた ■練習(1)
U 長母音の表わしかた
発音練習 ■練習(2)
V シャッダ(二重子音記号)■練習(3) ■練習(4)
W タンウィーン ■練習(5) ■練習(6) ■練習(7)
X 応用
Y 自己診断
Z 参考
1.アラブ人の名前の構成
2.p.49で示したアラブ諸国の正式名とその首都名
Lesson 3(名詞と形容詞)
T 不定名詞形容詞
1.アラビア研のアクセントの規則
2.アラビア語基本単語1〜100(No.1)
U 定冠詞
1.定冠詞のつけ方 ■練習(1)
2.「太陽文字」
3.「月文字」 ■練習(2)
4.ワスラ記号 ■練習(3)
V 形容詞
1.非限定名詞につく形容詞
2.限定名詞につく形容詞 ■練習(4) ■練習(5)
W応用(アラビア語の挨拶 [1])
X 自己診断
Y 参考
Lesson 4(名詞〔形容詞〕の性)
T 名詞の性
1.名詞の性を判断する基準 ■練習(1) ■練習(2)
2.男女両性の単語
U 形容詞の女性形
1.形容詞の女性形の作リ方
2.形容の用法 ■練習(3)
3.1.固有名詞につく形容詞
V 応用(アラビア語の挨拶[2])
X 自己診断
Y 参考
その1. (人体の各部の名称)その2.(集合名詞)
Lesson 5(名詞文1)
T 名詞・形容詞の語尾変化
1.3段変化の名詞(形容詞)
2.2段変化の名詞(形容詞)
3.無変化の名詞(形容詞)
U 名詞文
基本文型 ■練習(1) ■練習(2) (集合名詞)
V 文の展開
■練習(3)
W 人称代名詞(主格)
■練習(4)
X 疑問文
■練習(5) ■練習(6)
Y 否定文
Z 応用
その1(アラビア語の挨拶[3])
その2(アラビア語の挨拶[4])
[ 自己診断
\ 参考
Lesson 6(名詞文2)
T 前置詞その1
U 「存在」を表わす文
1.基本文 ■練習(1)
2.「ここに」、「そこに」を使って
3.「どこに」を使って ■練習(2)
4.「〜から」を使って ■練習(3)
V There is(are)の表現方法
2.1.基本文型
2.2. "There is(are)〜"の構文の疑問・否定形 ■練習(4)
W 応用(アラビア語の挨拶[5]) ■練習(5)
X 自己診断(総合復習)
Y 参考
その1=アラビア語基本単語101〜200
(No.2)その2=(ハムザ)の置き方
Lesson 7(指示代名詞・指示形容詞・関係形容詞)
T 指示代名詞
1.指示代名詞の使い方 ■練習(1)
2. 「これは何ですか」の表現 ■練習(2)
3.「この人は誰ですか」の表現 ■練習(3) ■練習(4)
4. Mr. Mrs. Missの表現
U 指示形容詞
■練習(5) ■練習(6)
V関係形容詞
1.その作り方
2.関係形容詞の女性形 ■練習(7)
W 応用
X 自己診断
Y 参考
Lesson 8(双数)
T 双数の形
■練習(1)
U 双数と形容詞
■練習(2)
V 双数のはいった文
W 指示代名詞(指示形容詞)の双数形
X 人称代名詞の双数形
■練習(3) ■練習(4)
X 応用
Y 自己診断
Z 参考
その1. その2.(数詞その1)
Lesson 9(複数)
T 複数形の種類
U 規則複数形
1.男性名詞の規則複数形 ■練習(1) ■練習(2)
2.女性名詞の規則複数形 ■練習(3) ■練習(4)
V 不規則複数
W 形容詞の複数形
1.形容詞が人間を表わす複数名詞と共に使われる場合 ■練習(5)
2.形容詞が人間以外のもの(動物を含む)を表わす複数名詞と共に使われる場合 ■練習(6)
X 応用
Y 自己診断
Z 参考
その1(数詞その2)
その2(形容詞を名詞として使うこと)
その3(冠詞の用法)
Lesson 10(人称代名詞)
T 人称代名詞の主格・属格・対格
U 人称代名詞の主格(復習)
V 人称代名詞の属格(
■練習(1)
W 文例
■練習(2) ■練習(3)
X 「これ(あれ)は誰の〜ですか。」の表現
■練習(4)
Y 応用
その1(アラビア語の挨拶[6])
その2(アラビア語の挨拶[7])
その3(アラビア語の挨拶[8])
Z 自己診断
[ 参考
アラビア語基本単語201〜300(No.3)
Lesson 11(属格)
T 名詞(形容詞)の属格の形
U 属格表現のしかた
■練習(1) ■練習(2)
V 属格名詞のはいった文
■練習(3)
W 属格名詞(代名詞)が後ろについた場合、注意を要する名詞
1.双数名詞に属格名詞(代名詞)がつく場合 ■練習(4)
2.男性規則複数形に属格名詞(代名詞)がつく場合 ■練習(5)
3.被所有名詞に形容詞がつく場合 ■練習(6)
4.(父)(兄弟)(しゅうと)に属格名詞(代名詞)がつく場合 ■練習(7)
5.指示形容詞がつく場合
X その他の「属格」の用法
Y 応用
その1(アラビア語の挨拶9)
その2(アラビア語の挨拶10)■練習(8)
その3(総複習)
Z 自己診断
[ 参考(数詞その4) ■練習(9)
Lesson 12(前置詞、Haveの表現方法、数の表わし方)
T 前置詞その2
1.基本前置詞
2.名詞より作られた前置詞
3.時間を表わす単語と兵に使われる前置詞、または前置詞プラス名詞
■練習(1)
U 前置詞プラス人称代名詞(属格)
1. 2. 3.
V 「〜を持っている」Haveの表現方法
1.基本文型 ■練習(5)
2.▼(または▼)と▼と▼との使い方の違い ■練習(6) ■練習(7)
3.複合名詞文の形を使って
4.「何を持っていますか」の表現 ■練習(8)
5.被所有名詞が限定的な場合 ■練習(9)
W 人物の数の表わし方
1.表現規則
2.表現例 ■練習(10)
3. 「どのくらいありますか」「どのくらい持っていますか」の表現 ■練習(11) ■練習(12)
X応用
1.次の絵についている小文の意味を解釈して下さい
2.会話文その1
3.会話文その2 ■練習(13)
Y 自己診断
Z 参考(アラブ諸国の通貨)
アラビア語基本単語301〜400(No.4)
Lesson 13(動詞〔完了形〕)
T 動詞の完了形・未完了形
U 動詞の原形
V 基本動詞100
W 動詞の「完了形」の活用
■練習(1) ■練習(2)
X 動詞のはいった文の形
1.基本文型
2.主語が代名詞の場合
3.疑問文・否定文 ■練習(3)
4.名詞文 ■練習(4)
5.「完了」の意味を強める接頭辞
6.動詞の目的語として人称代名詞がくる場合 ■練習(5)
7.主語が人間以外(動物を含む)の複数の場合 ■練習(6)
X 動詞のはいった文と共に使われるおもな疑問詞
1.(いつ)
2.(どこで)
3.(誰が、誰を)
4.(どの)
5.(何が、何を)
6.(どのように)
7.(何故、何の目的で、なぜならば〜、〜なので) ■練習(7)
Z 熟語(動詞プラス前置詞の文例)
[ 接続詞「〜した(する)時」:when〜を使った複文 ■練習(8)
\ 副詞(句)の例
1.形容詞を対格にする
2.名詞を対格にする(これは時や場所を表わす名詞に多い)
3.「前置詞ブラス名詞」の形で副詞句を作る
] 応用 ■練習(9)
XI 自己診断
XII 参考
1.動詞の派生
2.アラビア語の辞書の引き方
3.不規則動詞
4.動詞の派生形
5.数詞その5 ■練習(10)
Lesson 14(動詞〔未完了形〕)
T 「未完了形」の形 ■練習(1)
U 動詞(未完了形)の活用 ■練習(2) ■練習(3)
V 未完了形の用法
1.「現在進行形」の例文 ■練習(4)
2.「現在」(事実、習慣、反復行為)の例文 ■練習(5) ■練習(6)
3.「未来」の例文 ■練習(7)
W その他「未完了形」で注意する点
1.未来の否定
2.▼ブラス「未完了形」
3.第1語恨ワーウ(▼)動詞の「未完了形」 ■練習(8)
4.「完了形」ブラス「未完了形」の文
X 応用 その1 その2
Y 自己診断
Z 参考1.(数詞その6)■練習(9)
参考2.アラビア民族音楽に使われる楽器
Lesson 15(命令形)
T 「命令形」の作り方 ■練習(1)
U 「命令形」の例文 ■練習(2)
V 「禁止」の表わし方
1.禁止形の作り方 ■練習(3)
2.禁止の例文 ■練習(4)
W 特殊な形の命令形
1.第1語根ワーウ動詞、第1語根ハムザ動詞 ■練習(5)
2.第1語根ワーウ動詞、第1語恨ハムザ動詞の命令形の例文
3.▼と▼(特殊な命令形) ■練習(6)
X 応用
1.小文その1
2.小文その2
3.会話文その1
4.会話文その2 ■練習(7)
Y 自己診断
Z 参考アラビア語のタイプライターの文字の配置
日本語――アラビア語単語集500words
索引(文法事項中心)
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