読者のぶりぶり通信〔MAIL&FORMDECORD篇〕【No.023】

◆ はじめまして。 - K・藤沢 BACK

1998/02/06/12:47
高校の国語教育に関する情報というタイトルにひかれて初めてこのページを訪れました。
生徒たちの感想が自由で豊かで、授業が充実したものであったことが窺えます。

なかなか、自由な発想へと生徒を飛ばせてやることができません。
私の場合、無理強いとしているところがあるのか、生徒は正解を求め、なかなか自分の思ったことを口にしません。間違えるのが恐いからです。 発問のし方に問題があるのかもしれません。

この授業をした時に、どのような発問で生徒に読解をさせたのでしょう。よろしかったら教えてください。

私は、現在米国ケンタッキー州にある日本人補習校で高校2年生の国語を担当しています。使っている教科書は、明治書院の国語です。私は、国文科卒業でもなく、たまぶりさんたちのような日本の先生には、読書量では全然かないません。
このホームページは、とても参考になります。



★ たまぶり ★

藤沢さん、はじめまして。『たまぶりぶり通信』をご覧いただき、有り難うございました。
授業時の発問のことですが、特に変わった問いかけはしていないと思います。

ここでは、文学教材の授業に限っていくつか書いておきますね。あくまでも私のいた現場に即したやり方ですから、何処でも同じようにいくかどうかはわかりません。(うちの生徒たちは「小憎ら可愛い」やつらでしたが、50分間の授業時、放っとくと寝るか騒ぐかで、叱ると表面的には静かになるものの心は授業に向いてきません。)

*毎回50分の授業では、1つだけ絶対に押さえておきたいポイントを決めます。極端な言い方をすれば、あとは生徒たちに自由に発言・発想する作業に馴れてもらうための雑談・遊びのようなものだと位置づけてきました。
*作品中の描写や登場人物の言動、その背後にある心理などについて問いかける場合も作品中の因果の連鎖みたいなものに注意は払いますが、こちらの発問に対する生徒たちの発言は、正解・不正解にかかわらずすべて板書します。列挙してみると、突飛な答えも含めて生徒たちの発言には意外に共通点を見出すことができるものです。しかし、この段階ではこちらでまとめることはせずに改めて彼らへの問いかけとして返していきます。
*作品の主題に関してはいろいろな「読み」が成り立ち、それを楽しむことが出来るということに気付いてもらうことがまず最初に必要だと思います。複数の教材で何度か繰り返していくしかないでしょうね。ただし、主題に関して「いろいろな説(読み)がある」で毎回終わっていたのでは収拾がつかなくなりますね。いろんな意見が出たら、それぞれの整合性について生徒たちに判断させつつ、時にこちらから整理しつつ、教室における作品の「読み」や「主題」を紡ぎ出していきます。
*こうすると、「40名の教室」という読者の「読み」や「主題」はほぼ1つにまとまっていきます。(ある程度納得した上でみんなで生み出した「正解」となるわけです。)
*指導書の解説も絶対的なものだとは考えないほうがいいと思います。それは授業を司る「神の声」などではなく、あくまでも教師が独善に陥らないための「参考書」程度のものだと思いましょう。
*教室での発問の例としては「会いたい」の授業実践記録などをご参照下さい。

まあ、ごちゃごちゃ言うよりも、基本的には生徒たちの「年とったツレ」になることと、「読むことや書く(表現する)ことは楽しいぞっ!」ということに気付かせることがポイントではないですかねえ。

ともあれ、国文科出てるから国語の教師が務まるというものでもないと私は思っています。国語の嫌いな国語教師も随分見てきましたので…。それに12年間も大学の国文科にいて作品の「読み」には自信のあった私が、17歳の読書嫌いのガキんちょどもにまんまとしてやられた(トンネルの授業)わけですから、たかが知れてますよねえ。

お尋ねいただいたことのまっとうな答えになっていないようで申し訳ありません。
私は現在、現場を離れていますが、いろんな現場で国語教育に携わっておられる方々の実践を心より応援いたしております。藤沢さん、今後とも頑張って下さい。



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