読者のぶりぶり通信〔MAIL&FORMDECORD篇〕【No.030】

◆ はじめまして。 - A・前田 BACK

1998/04/28/16:05(proxy1.shonan.bunkyo.ac.jp)
今年7月に、教員採用試験を受けようとしています。あと3ヶ月もないという状況なのに、今更になって中学と高校で迷い出してしまいました。
と、言うよりも、もう将来いったいどうなるんだろう、という漠然とした不安で夜も眠れない毎日です。

そんなモラトリアムな毎日に早く終止符を打ちたい私ではありますが、今回は卒論で山田詠美を扱おう、と思い、インターネットでいろいろと情報を探しているところで、このページに出会いました。
テーマとしてはまだ形になっていないんですが、作品は「トラッシュ」を取り上げたいと思っています。大人と子ども、また他者の存在について、などという面から考えてみようかな、といった感じです。

それにしても、試験は受けなくちゃ教員にはなれないし、でも受けたくないし。教師になったら、生徒といっしょにいろんな本を読みたいな。できる限りの努力をしてから、悩めばいいのにねえ。
自分のパソコンは持っていないので、学校から送ります。また、時間を見つけて覗きにきますね。



★ たまぶり ★

前田さん、はじめまして。少子化のあおりを受けての採用減のため、教員採用試験はここのところずっと難関化したままですね。

子供たちの個性とか生きる力の育成を謳い文句としつつも、旧来とほとんど変わらぬスタイルで採用試験が行われ、所謂「受験」を勝ち抜いた者が教師になれるといった状況に私は疑問を感じてしまいます。いま現場に必要なのは、受験エリート的な発想の持ち主ではなく、自身をも相対化しうるような複数の視点や柔軟な発想を有する人材だと思うのですが…。つまり、競争的発想の世界における「勝者」ではダメなんですよね。それでも現行の採用形態が続く以上、当面は受験勉強も教員になるための便宜だという程度に割り切るしかないのかも知れません。それで自分が「優秀」だと勘違いしてしまう輩(やから)にならないことが大切なわけで…。

ただ、マスコミのセンセーショナルな形での情報垂れ流しのせいで、多くの人々が「十代の子供全般」を捉えがたいもの、理解不能の得体の知れない存在のごとくイメージしてしまっているようです。現場で接する子供たちは、得体の知れないイメージとしての「子供全般」ではなく、一人一人具体を伴った存在ですし、十代の素直な感性や優しさが全ての子供たちの中から失われているわけでは決してありません。マスコミ報道によって与えられたイメージや幻想に恐怖するよりも迷わず現場に飛び込んだ方が見えてくることだって沢山あります。型通りのお役人教師になりさえしなければ…でしょうが。

もちろん、全面的に理解可能な他者なんていませんよね。だいたい自分のことだって全面的には捉え得ないのが人間なんですから。

文学系の卒論を書く作業は、ある作品なり作家と時間をかけて対話する機会でもあると思います。じっくりと作品(という他者)と対話し、新しい自分の発見へとつながるといいですね。これって直ちに実践へと繋がるものではありませんが、作品と徹底的に対話して新たな自分を発見したり、自分が変わっていくという体験は、教室における生徒たちとの対話というものを根幹の部分で支えてくれることになると思います。

誤解を恐れずに目茶苦茶に端折(はしょ)って言えば、作品という「他者」が生徒という「他者」に入れ替わるだけだと私は思います。子供たちというのは、ある意味では先の読めない小説に似ていると言えるかも知れません。卒論執筆の合間の息抜きにでも、是非またお越しください。



◆ 【No.030-2】お返事ありがとうございます。 - A・前田
1998/05/07/16:51

連休に教育実習校へ行ってきました。私の作った指導案は、「文章を解釈する」ことがテーマです。

大学の授業では、「生きる力」や、「心の教育」を中心に指導案を作る、と言われてきましたが、すべてをそこへ結び付けるより先に、読む力をつけさせたいと考えたからです。

実習先の先生も賛成して下さいましたが、実際の現場って、どうなんだろう、と思います。まあ、やってみなくちゃわかんないですね。
それよりも、卒論の題目申請が4日後です。何をテーマにしようか、ほんと悩みます。とにかく、悩んで大きくなっていこうと思います。



★ たまぶり ★

教育実習、懐かしいですねえ。これって、以後、教員を目指すかどうかの分かれ道になったりします。

教員になる気なんてほとんどなかった私がふとその気になったのも、実習に行って生徒たちと過ごした時間が楽しかったからです。逆に嫌な思いをして帰って来た連中の中には、もともと教員志望であっても諦めてしまった者もいたりしました。

まあ、実習生はガキんちょどもにとっては「突如来訪した人寄せパンダ」ですから、現場での苦労と努力はやはり「いつもいる熊五郎」になってから始まります。
おそらく実習期間中は睡眠時間も大幅に減るでしょうが、頑張ってきて下さい。しんどくても、楽しい経験になるといいですね。



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