常滑市やきもの散歩道地区 景観計画市民案

 景観法の制定を受け、タウンキーピング会では、「常滑市やきもの散歩道地区 景観計画市民案」を作成し、やきもの散歩道 景観づくり・暮らしづくり会議(2005年3月)で提案しました。今後、市民の方との意見交換等を重ねて、さらによりよい計画とし、いずれは県や市に提案していきたいと考えています。
1.景観計画の区域
○区域の名称
やきもの散歩道地区
○区域の位置
常滑市栄町2・3・4・6・7丁目
○区域の概要
 都市計画道路 (都)北条向山線(4車線・22m)、(都)中央線(2車線・8m)、(都)瀬木線(2車線・12m)、(都)榎戸大高線(2車線・18m)に囲まれ、第1種住居地域、準工業地域に該当する区域。(約20ha)
 但し、将来的には、これら都市計画道路4路線に囲まれ、商業地域、近隣商業地域に該当する区域のうち、丘陵へのアプローチ道路の主要なものについて、その沿道も景観計画区域とする。
2.良好な景観の形成に関する方針
○景観の特性
 煉瓦造の煙突や黒板塀の伝統的窯屋、常滑焼の土管坂などが、常滑焼の生産地としての歴史と伝統を伝えるとともに、見え隠れする緑とあいまって、静かで落ち着いた景観を有している。
 伝統的窯屋に代表される建物は、2階程度の木造建築で、外壁や屋根は黒を中心とした落ち着いた色使いとなっており、景観に統一感をもたせている。
 丘陵地にあり、道は細く曲がり、坂が多いため、歩を進めるごとに移り変わる、変化に富んだ景観となっている。
○景観形成の課題
 煉瓦造の煙突や黒板塀の伝統的窯屋の老朽化に伴い、安全性や景観保全の面から、修理が必要なものも多い。
 近年の観光地化に伴い、商業用途としての建物利用や看板の設置などが増える中で、周囲の景観に不調和なものが見られるようになってきている。
○景観形成の目標
 煉瓦造の煙突や黒板塀の伝統的窯屋、常滑焼の路面や擁壁などによって形成される「やきもの散歩道地区」独特の景観を保全し、生産の場と生活の場が調和した有機的な空間を将来にわたって継承する。
○景観形成の基本方針
 煉瓦造の煙突や黒板塀の伝統的窯屋、常滑焼の土管坂など「やきもの散歩道地区」の景観を特徴づける景観要素の保全を図る。
 建築物、工作物については、「やきもの散歩道地区」の歴史と文化を尊重し、周辺景観との調和に配慮した形態意匠、高さ、壁面位置とする。
 住民、事業者及び行政が、それぞれの立場と役割を認識し、協働して「やきもの散歩道地区」の良好な景観形成を図る。
3.良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項
○届出対象行為
(1) 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(2) 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
(3) 都市計画法第4条第12項に規定する開発行為その他政令で定める行為
 (主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更)
○景観形成基準
 できるだけ守るルールとしての方針(努力事項)と必ず守るルールとしての基準(遵守事項)の2段階構成とする。景観法の行為の制限に係るのは、基準のみ。
表 景観形成基準

※基準に対する判定は、住民、市民団体、学識者、専門家によって構成される景観審議会によっておこなう。
4.景観重要建造物・樹木の指定の方針
○景観重要建造物の指定の方針
(1) 建築物
     伝統的な窯屋や寺社、その他の木造建築のうち、景観形成上、特に重要と認められるもの。
(2) 工作物
     煉瓦造の煙突、窯、擁壁などのうち、景観形成上、特に重要と認められるもの。
     ※指定の判断は、住民、市民団体、学識者、専門家によって構成される景観審議会によっておこなう。
【参考】景観重要建造物の候補物件
○瀧田家住宅
 江戸末期築、市指定重要文化財。瀧田家は常滑焼や味噌、たまり、酒などを江戸に運んでいた廻船問屋。内部が一般公開されており、家財や船道具等、常滑の生活文化や海運の歴史に触れられる観光スポットとなっている。
○煉瓦造の煙突
 やきもの散歩道の景観を特徴づけているのが、煉瓦造の煙突であり、区域内には20件ほどが現存している。中には、補修・補強が必要な煉瓦造の煙突も多いと思われ、早急な対応が望まれている。
○土管坂
 土管坂は、やきもの散歩道の名所のひとつとなっており、観光客の記念写真スポットとなっている。明治時代に薪で焼かれた土管と、昭和に石炭で焼かれた焼酎瓶が左右の壁に使われ、独特の景観を形成している。

5.屋外広告物の規制に関する事項
○屋外広告物の規制に関する方針
 やきもの散歩道地区内における事業若しくは営業の内容を表示するものであること。
 やきもの散歩道地区の景観に調和し、落ち着いた雰囲気を損なわないこと。
 原色は避け、落ち着いた色合いとすること。
 汚染、退色、塗料等のはく離したものでないこと。(広告物の状態が良好に保たれるよう維持管理をおこなうこと)
 電飾設備を有するものにあっては、昼も夜も落ち着いた雰囲気を損なわないこと。
 容易に腐朽、破損、落下、倒壊するおそれのないこと。
 デザイン審査を通過したものであること。
○表示・設置の制限
表 屋外広告物の表示・設置の制限

※デザイン審査は、住民、市民団体、学識者、専門家によって構成される景観審議会によっておこなう。
6.景観重要公共施設の整備、許可基準
○景観重要公共施設
 やきもの散歩道地区内の全道路
○整備方針
 やきもの散歩道地区内の道路は、路地の落ち着いた雰囲気を残すため、現在の幅員を尊重する。
 舗装については、常滑焼に関する部材を活用するなど、散歩道らしさを出す。
 ガードレール、手すりなどは、周辺景観と調和した意匠、素材とし、黒・茶色系の落ち着いた色彩とする。
○許可基準
 祭礼、イベント時に、立看板、広告旗、テーブル、椅子等について、容易に移動可能で あれば、通行の妨げにならない範囲で、一時的に道路の占有を許可する。
7.市民参画手法
○届出行為に対する市民協議制度
 届出行為に対しては、実際に届出をおこなう前に、景観市民会議で協議する。
 その後、協議結果を付議した上で届出をし、景観審議会による基準判定がおこなわれる。
【景観市民会議】
・住民や市民団体によって構成し、市が認定する組織体。
・届出行為に対する市民協議制度、景観重要建造物候補推薦制度を通し、景観審議会に諮る前の段階で、市民が主体的に景観について話し合う。


○景観資源市民認定制度(景観重要建造物候補推薦制度)
 住民、市民団体が景観上重要と考えられる建造物を景観市民会議に推薦すると、景観市民会議に当該建造物の所有者を加えて協議をし、市民認定景観資源として認定される(されない場合もある)。
 市民認定を受けた建造物は、景観重要建造物候補として市に推薦され、景観審議会で景観重要建造物として指定するかどうか判断される。

※市民認定景観資源に対して、優遇措置(税制、改修への補助金交付など)を導入。

この景観計画市民案は、(財)ハウジングアンドコミュニティ財団の助成を受けて、作成・検討しました。