山村暮鳥「聖三稜玻璃」


 

  太陽は神々の蜜である
 
  天涯は梁木である
 
  空はその梁木にかかる蜂の巣である
 
  輝く空気はその蜂の卵である。
 
       Chandogya Upa. III I. I.


 
  こゝは天上で
 
  粉雪がふつてゐる……
 
  生きてゐる陰影
 
  わたしは雲のなかに跪いて
 
  その銀の手をなめてゐる。