山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 朝あけ


 
朝だ
 
朝靄の中の畑だ
とうもろこし  ヽ ヽ ヽ ヽ
萄 黍とかぼちや、豆、芋
 
――そして
 
わたしは神を信ずる――
 
まだ誰も通らないのか
             こみち
此の畑なかの径を
 
わたしの顔にひつかかり
 
ひつかかる蜘蛛の巣
 
その巣をうつくしく飾る朝霧
 
此のさはやかさはどうだ
 

 
――いまこそ
 
わたしは神を信ずる