山村暮鳥
「風は草木にささやいた」



  
 あかんぼ


あらし
暴風はさつた
 
あらし
 
あらし
 
あばれくるつて過ぎさつた
 
そしてそのあとに可愛いいあかんぼを残して
 
わすれていつたのか
                      ねどこ
あかんぼはすやすやと寝床の上
 
そのそばにぐつたりとつかれてその母もねてゐる
 
何といふ麗かな朝だらう
 
わたしは愛する