山村暮鳥
「雲」


 
 おなじく


 
野良道で
 
農婦と農婦とゆきあつて
 
たちばなししてゐる
 
どつちもまけず凸凹な顔をし
 
でつかい荷物を
 
ひとりのは南京袋
 
もひとりののはあかんぼ
 
そのうへ
 
天気がすばらしくいいので
 
二人ともこのうへもなく幸福さうだ
 
げらげらわらつたりしてゐる