山村暮鳥
「雲」


 
 おなじく


 
ぽつかりと童子は
 
ほんとに花でも咲いたやうだ
 
ねむてえだずら
ひばり
雲雀が四方八方で
 
十六十七
 
十六十七
 
といつてさへづつてゐる
 
野良道である
 
なにゆつてるだあ
 
としよりもにつこりとして
 
たんぽばなんか
 
まぶしいだらう
 
大かい蕗つ葉をかぶつて
 
こつそりとみてゐる