山村暮鳥
「雲」


 
 ある時


 
雲もまた自分のやうだ
 
自分のやうに
 
すつかり途方にくれてゐるのだ
 
あまりにあまりにひろすぎる
はて
涯のない蒼空なので
 
おう老子よ
 
こんなときだ
 
にこにことして
 
ひよつこりとでてきませんか