山村暮鳥
「雲」


 
 おなじく


 
芭蕉はともかくも
 
火をこしらへて
 
茶をいれた
 
それからおもひだしたやうに
 
かたはらのお櫃を覗いてみて
 
さぴしくほほゑみ
 
その茶をざぶりぶつかけて
 
さらさらと
 
冷飯を食べた
 
朝顔よ
 
そうだつたらう
かれ
渠には、妻も子もなかつた