山村暮鳥
「雲」


 
 お爺さん


 
満開の桃の小枝を
 
とろりとした目で眺めながら
 
うれしさうにもつてとほつた
 
あのお爺さん
 
にこにこするたんびに
 
花のはうでもうれしいのか
              はなびら
ひらひらとその花弁をちらした
 
あのお爺さん
 
どこかでみたやうな