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北原白秋
「思ひ出」より 春のめざめ JOHN,JOHN,TONKA JOHN, ふつどひや 油屋のJOHN,酒屋のJOHN,古問屋のJOHN, は で 我儘で派美好きなYOKARAKA JOHN. "SORI-BATTEN!" は え 南風が吹けば菜の花畑のあかるい空に、 まつか しゆ 真赤な真赤な朱のやうなMENが たこ う ち 大きな朱の凧が自家から揚る。 "SORI-BATTEN!" かうじむろ 麹室の長い冬のむしあつさ、 そのなかに黒い小猫を抱いて忍び込み、 みんな トランプ クイン 皆して骨牌をひく、黄色い女王の感じ "SORI-BATTEN!" は 女の子とも、飛んだり跳ねたり、遊びまはり、 こんど ふけ 今度は熱病のやうに読み耽る、 はんぐわ ざは ああ、ああ、舶来のリイダアの新らしい版画の手触り。 "SORI-BATTEN!" つめ 夏の日が酒倉の冷たい白壁に照りつけ、 ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ びらうどあふひ ちゆうまえんだに天鵞絨葵の咲く ほり 六月が来た、くちなはが堀をはしる。 "SORI-BATTEN!" 秋のお祭がすみ、立つてゆく博多二〇加のあとから いくさ 戦のやうな酒づくりがはじまる、 きんいろ につぽんしゆ 金色の口あたりのよい日本酒。 "SORI-BATTEN!" TONKA JOHN の不思議な本能の世界が オ ラ ン ダ 魔法と、長崎と、和蘭陀の風車に 思ふさま張りつめる…………食慾が躍る。 "SORI-BATTEN!" 父上、母上、さうして小さいJOHN とGONSHAN. いた にほ おそれ 痛いほど香ひだす皮膚から、霊魂の恐怖から、 まつか 真赤に光つて暮れるTONKA JOHN の十三歳。 "SORI-BATTEN!""SORI-BATTEN!"
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