「つれづれの文車」について
「著作権」に関連してと合わせてお読み下さい



 この「つれづれの文車」は、私のもう一つのヨーロッパ古楽に関するサイト Stock Book のサブサイトとして作りはじめたものです。

 項目名の中にある「文車(ふぐるま)」とは、昔、宮中で書籍を運搬するために室内で使用された屋形付きの板張りの車です。徒然草に「多くて見苦しからぬは文車の文」の記述が見られます。私の本棚からここに持ち出して来ると言うほどの意味でつけました。このページは、私の好きな詩などを中心として載せてみようと思っています。

 ただし、参考にした書籍の内容をすべて載せる、という方法は取っておりません。本を丸ごと、ということになれば会社の権利や編者の権利が侵害されると考えたからです。ただ、本に採用された作品の個々に関しては、著者の著作権の方が優先されるだろうと考えました。従って、テキスト化に使用した底本は、絶版状態で古書店で入手するか、図書館でしか参照できないものもありますし、現在購入可能なものもあります。

 基本的に、「文車」に収めてある作品は、私が入力ボランティアをしている青空文庫にテキストを提供して採用されたものか、青空文庫の考え方に即して、著作権が切れでいると私が判断したものですが、万人に無償で提供されても良い部分だろうと考えています。
 どれも、他の方々にも読んでみて欲しいと思って選んだ作品で、特に詩は、一般的に小説や随筆以上に、読まれない傾向があるので、多少とも知って頂く機会になればと思って載せています。

 また、古典文学以外(明治以降の作品)は、それぞれの目次ページに感想めいたことを少し載せていますが、それ以外は原文のみを載せてあります。なぜなら、解説などをしなくても、日本語としての充分に意味を取れるものですし、まず第一に、作品を読んでみて欲しいと思ったからでもあります。
 作品を読んでどう思うかは、読者一人一人の問題でしょう。新刊本はいざしらず、著者の死去から50年以上たっても残っている作品については、なぜそれが残されたかを、自分で考えることも必要ではないでしょうか。私の考えを押しつけることだけはしたくないと思い、ひとつひとつに感想を書き加えることは考えませんでした。

 ところで、著作権を考える場合、出版社の権利をどう考えるのか、というのは難しい問題です。出版社ごとの見解も微妙に違っているようで、このあたりの明確なルールはよくわかりません。今後、なんらかの公的な見解が出ることを期待しています。
 ただ、著者の著作権が切れたものが出版される場合、当然、そこには出版社によって付加価値が加えられ、人はその付加価値を必要として購入するのではないでしょうか。そして、本当に、その作品をじっくりと味わいたい場合、やはり書籍という形は最高のものですから、書籍を読むことができる人々にとっては、「文車」は通過点にしかならないだろうと考えています。

 以上、一応、青空文庫に準拠して、私立図書館的にページを作成しているつもりですので、ネット図書館の試みが是認、あるいは黙認されるものであるならば、多分このページも、ことさらに著作権を侵害しているものでは無いと判断しています。
 けれど、なにぶん個人の判断で作っておりますので、思い込みの間違いが発生していることは充分考えられます。特に、権利者によって、直接に著作権へのクレームがあった場合は、問題点の削除・訂正について、すみやかに対応したいと思っています。また、権利者以外の方々でも、著作権違反の根拠となる文献やサイトなどを見つけられた場合は、それらを明記の上、お知らせ頂ければ幸いです。

 それから、掲載されている文章が青空文庫のようなTEXT文書ではなくて、HTML文書での掲載になっているのは、私の単なるこだわりです。テキストをそのまままで載せるよりは、どうせネット上で見るのなら、できるだけイメージにあった背景で見られるようにしたかった、というのがその理由です。
 ただ、ディスプレイ上で見やすくするために、JISの第1,第2水準以外の漢字の部分は、ひらがなやカタカナに開いてあることがありますので、きちんとした表記が知りたい場合は、青空文庫や類似のネット上の図書館で参照されるか、実際の書籍でご確認下さい。 

 なお、作品によっては、現在の人権擁護の見地からは、不当、不適切と思われる表現もありますが、作品発表時の時代的背景や文学性、また、著者が故人であることから鑑みて、底本通りの表現にしてありますことをご了承下さい。

 加えて、QTViewの縦書き実験もしてみようと思っています。QTViewというのは、arakenこと新井健二さんによって公開されている、Windowsのみに対応した縦書き表示プラグイン& ActiveX です。いろいろ不満な点もありますが、タダで、簡単に、軽い縦書きページが作れる優れものです。
 QTViewのダウンロードとインストール方法は、制作者のaraken氏のページで、また、くわしい機能や性能については、加藤弘一さんの「ほら貝」の中の“QTViewによる縦書き実験ページ”と西岡勝彦さんの「従吾所好」の中の“QTViewについて”で詳しく紹介されていますので、興味のある方は参考にしてみて下さい。

(2002.08.18改訂)

[文庫目次]