島崎藤村

「若菜集」より

  


 
こゝろなきうたのしらべは
 
ひとふさのぶだうのごとし
 
なさけあるてにもつまれて
 
あたゝかきさけとなるらむ
 

 
ぷだうだなふかくかゝれる
 
むらさきのそれにあらねど
 
こゝろあるひとのなさけに
 
かげにおくふさのみつよつ
 

 
そはうたのわかきゆゑなり
 
あぢはひもいろもあさくて
 
おほかたはかみてすつべき
 
うたゝねのゆめのそらごと



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