八木重吉
「秋の瞳」

                ひ や
   哀しみの 火矢


 
 はつあきの よるを つらぬく
 
 かなしみの 火矢こそするどく
 
 わづかに 銀色にひらめいてつんざいてゆく
 
 それにいくらのせようと あせつたとて
 
 この わたしのおもたいこころだもの
 
 ああ どうして
 
 そんな うれしいことが できるだらうか



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