八木重吉
「秋の瞳」

 
   うつくしいもの


 
 わたしみづからのなかでもいい
 
 わたしの外の せかいでも いい
 
 どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか
 
 それが 敵であつても かまわない
 
 及びがたくても よい
        ヽ ヽ
 ただ 在るといふことが 分りさへすれば、
 
 ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ



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