八木重吉
「秋の瞳」

 
   竜舌蘭


 
 りゆうぜつらん の
 
 あをじろき はだえに 湧く
 
 きわまりも あらぬ
 
 みづ色の 寂びの ひびき
 

 
 かなしみの ほのほのごとく
 
 さぶしさのほのほの ごとく
 
 りゆうぜつらんの しづけさは
  かつぜん             あふ
 豁然たる 大空を 仰ぎたちたり



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