八木重吉
「秋の瞳」

 
   おもたい かなしみ


 
 おもたい かなしみが さえわたるとき
 
 さやかにも かなしみは ちから
 

 
 みよ、かなしみの つらぬくちから
 
 かなしみは よろこびを
 
 怒り、なげきをも つらぬいて もえさかる
 

 
 かなしみこそ
                   ヽ ヽ ヽ
 すみわたりたる すだまとも 生くるか



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