八木重吉
「貧しき信徒」

 
   赤い寝衣


 
 湯あがりの桃子は赤いねまきを着て
 
 おしやべりしながら
 
 ふとんのあたりを跳ねまわつてゐた
 
 まつ赤なからだの上したへ手と足とがとびだして
 
 くるつときりようのいい顔をのせ
 
 ひよこひよこおどつてゐたが
 
 もうしづかな障子のそばへねむつてゐる



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