八木重吉
「貧しき信徒」

 
   水や草は いい方方である


 
 はつ夏の
 
 さむいひかげに田圃がある
 
 そのまわりに
 
 ちさい ながれがある
 
 草が 水のそばにはえてゐる
 
 みいんな いいかたがたばかりだ
 
 わたしみたいなものは
 
 顔がなくなるようなきがした



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