竹久夢二
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日本図書センター 「竹久夢二文学館2 詩集U」(1993年12月15日 初版第1刷発行)より
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『たそやあんど』より(「新版浮世ぶし」)QTView版
『青い小径』QTView版

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ひとりごと
 竹久夢二は画家としての方が有名ですが、多くの詩も残しています。そうは言っても、わたしも長い間「宵待草」の作詞者としての夢二を、かろうじて認識しているだけでしたが。
 ところで、夢二の詩を一つ一つ読んでいると、あちらこちらに北原白秋が顔を出しているような気がします。童謡的なものが多かったり、マザーグースの訳だとはっきりわかるものが幾つかあるのも、やはり白秋の影響でしょうか。そう思って読んでいくと、夢二の独創性はあるのかないのか、だんだんわからなくなってくるのですが、夢二の絵とよく似た、哀しいような憂うような雰囲気が、そこはかとなく立ちのぼって来る雰囲気というのは、やはり、夢二独特ものでしょう。
 夢二自身は、自分の詩を「小唄」と称していたようです。七五調の口ずさみやすい詩形は、確かに、三味線に合わせて口ずさむ小さな俗謡の雰囲気がなくもありません。何より平明で口ずさみやすいのが、夢二の詩の特徴でしょうか。七五調を追求するあまり、詩の意味が通じなくなっていったのか、ほとんどナンセンスかブラック・ユーモアのようになっている詩や句もありますが、とにかく声に出して読んでみると、当時の人々に愛読されたというのも、わかるような気がして来ます。



竹久夢二(たけひさ・ゆめじ)について

『夢のふるさと』について
1919(大正8)年8月、新潮社刊。
139篇の詩が収められており、そのうち詩集『どんたく』(大正2年、実業之日本社)の詩52篇が再録されている。「ドンタク」以下の14篇の詩は、『どんたく』では「断章」として14章にまとめられていたもので、『夢のふるさと』ではそれぞれの章に題名が付けられ、独立した詩として扱われている。ちなみに「どんたく(zondag)」とは、オランダ語で日曜日の意味。
『たそやあんど』について
1919(大正8)年10月、玄文社刊。
『たそやあんど』は、「古代錦絵張交ぜ帖」「新版浮世ぶし」「なげぶし」の三部で構成されている。底本には夢二の作品とは考えにくいということで、「古代錦絵張交ぜ帖」「なげぶし」は省略され、「新版浮世ぶし」の詩15篇のみが載せられている。「浮世ぶし」とは、流行歌を意味する江戸時代のことばで、「新版」としたことで夢二の創作であることを意味しているのであろう思われる。
『青い小径』について
1921(大正10)年7月、尚文堂刊。
序詩1篇、詩45篇からなる詩集。底本には序詩と詩44篇が収録されている。なお、『青い小径』は関東大震災後に版を組み直し、震災の詩などを7篇増補した後版が大正14年4月に出ているとのこと。「あいさつ」に楽譜や「待宵草」の詩について言及されているが、楽譜は最初から付されていなかったし、詩も入ってはいなかった。

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