京都独り旅 平成19年12月8日


  さて、夕闇迫る中、宿に向かう。しばらく歩くと土産屋が。麩饅頭というものが売られている。5個で950円。やや高いが、お足を止めた俺に対し店のおばさんは「ばら売りもしますよ」とのこと。ひとつ(190円)買ってその場で食べる。一口サイズのため物足りないが、ツルンとした感じで、味は良い。ひとつ100円切る値段なら買うんだけどね。
 また少し歩くと酒蔵があり、日本酒の試飲を勧められた。「伏水(ふしみ)」(伏見の水という意味だろう)。かなり辛口でそして恐らく純米酒で、味も良い。が、今日帰るのならまだしも、明日もあるので試飲だけにとどめる。だた、味見するだけでは悪いので、一緒に売られていた「八ツ橋餅」(450円)を買った。これは、三角形をしたおなじみの「八ツ橋」と違い、さいころ型に切られた、甘めの餅。

 その斜め向かいに京都名物「にしん蕎麦」の店があった。まだ時間は5時半で、夕飯には早いのだが、「独りで入ってもよさそうな大衆食堂といった感じの店で、しかも値段も手頃。しばらく店の前を行ったり来たりして迷った末、「宿に荷物を置いた後、どうせ、紅葉のライトアップを観に出かけるんだから、もし小腹がすいても、おそらく出ているだろう屋台か何かで何か買えばいいだろう」と結論づけ、店に入る。
 店には、地元の学校で部活の指導をしてきたらしい親父と、ほかにも近所の住人といった感じの人がカウンターに座っていた。場所柄、観光客も来るだろうが、基本的に地元民相手の店らしい。にしん蕎麦(750円)を頼む。麺はスーパーで袋に入って売られている、コシのないフツーの生めん。透き通った汁の中に、身欠き鰊が一匹入っていて、すごくダシが出ている。鰊、タレにでも漬け込んであるのだろうか?目に見える鰊以外にもダシは使われているみたいで、麺は平凡だがダシは旨かった。

謎の石像。嵯峨野にて(以下全て) 観賞用の道。歩けません(笑)。嵯峨野にて


 歩いて20分程で今夜の宿に着く。荷物を置き、ロビーにある観光パンフレットに目を通した結果、嵯峨野の夜間ライトアップに出かけることにしようと決め、手ぶらで京都駅に向かう。徒歩13分とのことだったが、7、8分で着いた。JRで15分くらい。列車は運良く快速にあたった。着いたら7時ちょっと過ぎ。都会の歩行者天国のごとくの人出だった。大半はカップルで、そのほかは数人のグループ。俺みたいな独り者は少なくて、肩身が狭いくらいだった。

行灯が置かれた小道 紅葉と竹


 思いのほかたくさんの店や小料理屋が軒を並べていて、しかも今が稼ぎ時とばかりにすべて営業していた。試食もあった。和菓子店では柏餅の試食があった。わずか1cm大の餅の上に、ご丁寧にも小さく切った柏の葉が乗っていて、ちゃんと柏餅の形をしている。甘味と塩味の塩梅が絶妙なバランスだったが、土産品を買うのは後回しと思い、何も買わなかった。
 だが、京都駅周辺と違い、山間部の嵯峨野は気温が明らかに低い。小腹を満たす目的と、体を温める目的とあわせて屋台で「コロッケ」をひとつ買った。

渡月橋 その背後の山のライトアップ


 有名な「渡月橋」のライトアップと、有名ではない禅寺の庭園を見た後、半分屋台みたいな店で、京都名物「だしたこ」(ダシ汁で食べる蛸焼き)を食べた。500円。出てくるまでに意外に時間がかかって体が冷えた。
 もらったパンフレットで竹林ライトアップを観に行く予定が、途中の遊歩道がライトアップ時間終了ということで閉鎖になってしまい、仕方なく渡月橋を渡った対岸に行くことにした。対岸は、ライトアップ初日イベントということで先程までいくつかのイベントが開かれていたらしく、一石樽に入った振舞い酒をいただいた。プラスチックカップにたっぷり(半合くらい)注いだものを手渡してくれた。残念ながら醸造アルコールが大量に添加された感じの味で、俺好みの酒ではなかったが、でも嬉しかった。

竹林 庭に置かれた謎の球体 話題の店の姉妹店



 人の波に乗って歩いていたら、阪急嵯峨野駅に着いてしまった。この駅から出ている列車は、京都駅を経由しないで大阪方面に直行してしまうので、JR嵯峨野駅に戻るため、人波に逆らうようにして元来た道を戻る。途中、「八ツ橋ソフト」なるソフトクリームが売られていた(300円)ため購入。味は「ああ、八ツ橋の味かな?とわかるかわからないくらいのソフトな風味。
 夜9時半京都駅着。 結局、現地には2時間くらい滞在していたことになる。遊歩道全部回れなかったなと心残りに感じた。京都駅では、明日の昼飯を予定しているイタリアンバイキングの店を場所を確認しておいた。明日は荷物を持って歩くわけだから、荷物のない今のうちにというわけ。
 夜10時近くに宿到着。ちょっとシャワーを浴びて着替えて、ロビーで新聞など読んで、早目に寝た。(11時)


だしたこ。実は球形ではなく、お椀を伏せたような形 阪急嵯峨野駅

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