
まじないの事典
目録を一覧表の形にして見ました。当時の人々の悩みが反映されています。
外道の書! 高祖父は、なぜ こんな怪しげなまじないの手引書など買たのか?
書名は剥落のため、内容から「萬家調法呪詛傳授嚢」と推定します。
アラが散見される
発行の年と干支が1年ずれている・安政四年は丙辰ではない
また目録に掲げながら本文がないもの2項目
以下に解読文を載せます。
しかし解読文をこに公表できないものがあります。
呪術と薬が一緒に扱われています。当時はそれらが区別されなかった。
呪文を書いてそれを飲み込めというのはまだいいが、
妙薬とうたって処方に朱砂などの調合を掲げたものがあります。
これをまともと受け取って用いる人があったら
罪がこっちに回ってくるでしょう。危険です。
そんなわけで『薬』の項目から掲載を外したものがあります。また
呪符の多くは一見文字のような模様が使われています。
それを此処に掲げるには図化の必要からデータが大きくなり、
見あう効果が期待できないので棚上げにします。
例えば梵字が3箇所ありますが、
これも他の奇怪な文字?と組まされているので、同様です。
濁点が始から付いていたものと、明らかに後に書き込んだものがあり、
またそのどちらとも判別し難いものがあるので、すべてそのまま写しました。
006 一切の口舌をよける符 007 一切さいなんをはらふ符 008 家の内へ万の鳥の入たるニ 009 家ニ狐入てあるニ立よ
春はきのえね、きのとのうし 夏はひのえうし、ひのとのう 秋はかのえさる、かのとのうし 冬はみつのえね、みつのとのうし
此の四字をかきて井のそこの中に立べし次に唐竹をさかさまにして井戸の中にたてうづむにしたかひ次第次第にぬきあぐるなり又次に
此符を一間下に立て埋(うづむ)なり
右のことくにしてうつめは大吉なり 惣じて井戸のほとりに桃の木うゑることあし
病たへず又うずみたる井戸のほとりにうゑてもあし(013)
衣服に血付きたるを落事
何にても衣裳ニ血付たらば其当座に生姜をうすくへぎ上におけば血少ものこらず生姜にうつりとれるなり(014)
いそぎ物、たつまじない
哥二首
「つの国のあしきえひすの
衣裁(ころもたち)て時をも日をも
きらわざりけり
「からくにのあられえびすの
きぬなれば時をも日をも
きらわざりけり(015)
いりこくしあわび水につけずと其まゝにやわらくる事
白砂糖を茶匙に一すくひ入て煮たつればはやくにゆるなり秘伝(016)
衣服に油付たるを落事
滑石と天花粉此二種を粉にいたし油のうへにおくべしもし一度にておちぬときは右の粉を五六度取かへ付べし油の気めいよにさりのくなり(017)
同 法
油のかゝりたるには大根おろしたるを油のつきたる所にもみ付おき熱湯にて洗おとすべし(018)
衣服に渋の付たるを抜法
白砂糖をもみつけてあらふべし(019)
黐(とりもち)の付たるには
89鰌(どじやう)のぬめりニて洗べし(020)
衣服に墨の付たるには
かたのりをすり付あくもみあらへはすみやかにおちるなり(022)
いぼをぬく事
いほの大小によりて筆のぢくに紙をまき長さ一寸ほどにしてその紙のこぐちに火をつくればいぼのねきはよりしわよりて夜の間にぬくるなり(023)
狗狐(いぬきつね)あやしきわざわいのある時の符
かち慈救呪大威徳の呪に 注 かち=加持
て押べし此二色の真言を
となへて門におすべし
(024)
痘(はしか)ましないの事
むかしよりやくそくなれば
もはしかも病とは
しらず神かきのうち
もがみ川ながれて清き
水なればあくたは
しつむぬしはさかへる
右札々かきて戸にはるべし(028)
歯の痛を治する妙薬
枯白盤(めうばん)露蜂房(はちのす)おのおのとう分ニして水にてせんじふくみ冷れば吐、いく度もすれば治る(029)
歯根うごき痛には
塩湯すいぶんあつくしてたびたびふくみそゝぐべし(030)
鼻きかざる妙薬
石菖・皀莢(せきしやう・さうげう)と等分にしてはなをふさくべし(031)
同ざくろには
おもとのはを酒にてむし、あぶり粉にしてのますべし
又枇杷の葉と山杷子と二味粉にして呑てもよし(032)
歯はへざるには
男ねづみのせほねを粉にてすり ぬればすなはち生する事甚妙なり(035)
羽蟻出ざるましなゑ
「はありとは山の
くちにすむむしの
さとへいつればおのがひがこと」
かやうにさかさまニかきてありの出る木ニはりおくべし(036)
疱瘡はやる時の呪
枇杷の葉六ツ半に折て此内一ツをすて、扨小豆十粒程大豆十粒ほど右三色を煎じのまして其後ひわの葉にて頂より摩るなり
文に曰
でんによでんでんでんでんといふてたより右へかけるまねすべしさて次に
越前國猪尾之峠之(ゑちぜんのくにゐおのとうげの)
茶屋之孫赤子(ちややのまこしゃくし)
此符を守りにすべし(037)
腫物口開たき時の呪
哥ニ
あさ日さす夕日かかやく
からゆむき
よそ人ちらさで
ここでかうさん
右三へんよみてその次に念仏四十八へんとなふべし
又次に此符をしもつのうへにかくべし
(符省略)
右のごとくすれば程なく口あくること妙也枇杷の木の東へさしたる枝の葉のきつなき(注、傷無き)をとりて其人の 年の数にきり大なごんの小豆黒豆大小をとしの数入 天目に水一はいを火 を清め七分め程ニせんじ枇杷のはを切目そろへてそれにてせんじたる汁を 其ものにぬる也 そののち浴湯(ぎやうずい)をいたさせけるは朝用ひ 女子は夕方に用 △まゆ三度両方の頬三度鼻のさき三度次ニ両方の手の内三度つゝ次に臍 を三度これはよくよくぬらずなり次に両方の足のひら三度つゝ但し 痘(ほうさう)出たる時に又せんじ用るなり もし死躰と見ゆるならば右のびは大豆小豆の道具の中へ茶筅のほを三ツ入 せんし用る也三時の内ならば生きかへる又大事におもはば梨実をきざみ 水につけて臍をぬらす いく度もそろそろぬるなり 時に唱ふる文の事 (口+庵、オン)雪女傳々々々々 ととなへてぬるなり次に符守の事 ――――― |(奇怪文字|慈眼視衆生福聚海 |9コ省略)|無量是故應頂禮 ――――― これを頸にかけさすべし 哥ニ むかしよりやくそくなれば いもはしかをやむとも 死なじ 神かきの内 三へんとなへてよし(039)
はな血のましない
哥
あつさのみやの
こがくれに いろ
あるむすめとまり
さりけり
三べんとなへてそのまゝにとまる事妙なり
儀方 此二字を書て門戸に逆さまにはりおくべし
(042)
はぎりのましない
はきりする人のつねに寐たる所の下の土をとりこまかにふるひ其人のね入たる時かの土を口にいれべし(043)
同ましない
米を一つかみひだりの手ににぎり雪隠の内へはいりその米を右のてにうつしくらふべし(044)
蝿の来らぬましない
十二月大かんのせつ前後に苦楝子(くれんし)を水にてよくせんし其汁をつほに入とろにて口を能ふうじおき夏布木綿のるいをよくあらい右の汁にひたしかはかし何しなにても蝿をあつまらせましき物に打かけ置ば其ほとりへはいちかづけず(ママ)(045)
蜂にさゝれたるを治す
地上に何にても丙丁火(ひのへひのとのひ)と三字をかき口の内ニてもねんする事七へんその土をとりさゝれたる所へすりぬるべし(046)
はな血を止る妙薬
はな血いかようのくすりにても止らざる時唐の川(クサカンムリ+弓)(せんきゅう)のずいぶん古きをさいまつして鼻の穴へ入れば立処ニ止る事妙なり(047)
はな血滝のごとく出るに
しゅろほうきの毛さきを切出る方のかたへさしこめば止ること神のことし左右ともならば両方へさし込べし(052)
にきびほくろをぬく伝
続随子といふ薬種の草の茎の汁にてあらへば奇妙にぬくるなり(053)
にら髪を直す薬
蕪菁子の油を頭にぬれば常の髪となる
(056)
俄に咽喉腫痛水も通らずものいひかたきニは
上酢を口中にふくみとつくりとのみくたすへし、又うがひする時は痰よたれをはき出していゆるなり、酢なき時は冷水をふくみうがひをするもよし、又大根のしぼり汁をしづしづ のみ下してよし(057)
卒(にわか)にものいふ事ならず声の出ざるには
大根のしぼり汁、生姜のしほり汁をまぜふくすべし(058)
ほう丁類さびざる法
ほう丁かみそりとも汗の手又は塩気の手にてつかゑばさびるものなり椿の油にてぬくひおくべし(059)
蛇食たるましない
哥
あふ坂やしつみか峠の
かきわらひ其むかし
のめゝす参なりける
哥
明蔵主(みやうさうす)いふともことを
わするゝなかはたつ
女(むすめ)氏(うし)はすかはら
茶 といふ字を一ツ書て門はしらにさかさまにはりおけばへひ虻家内へ来る事なし
(061)
幣加持切やうの事
并
万の事祓切秘事
惣じて幣は七五三に切へし
幣たつるこゝもたか
まがはらなれは祓
すつるやあらふるの磯
幣こしらへて此哥をよむへし、これを幣加持といふ也
小刀を手にもちて左ニ記所の七首の哥をよむへし
「手にとりて三刀は何と
いふやらん文殊の
つくる不動くりから
「此串はたかまが原に
おり串を神代の
おかにあひにけるかな
「紙とりて神門たてゝ
祓して蛇になりて
そ神やすむらん
「三ツ五ツ七ツの節に
神たちて障(さわり)の神は
はやくしりぞけ
「尾をまきてひれふす
形(すがた)おそろしや姿を
みれば不動くりから
「きねんして高間が
原で祓するいまよし
後は残る所なる
「年をえて身を妨る
荒御前さか木する
そおりなすなよ
右七首の哥をよみおわりて幣をもつてはらふべし
頓病にのまする符
(063)
ときやくにのむ符 ときゃく=吐却 (吐く病)
蘭急如律令
此符のます時は心経一つきによむべし病人よみてもよし(065)
とく虫にさゝれたるには
胡椒の粉をそくいにてまぜ付べし又さといもをすり付てもよし(066)
毒にあたりたるを解(けす)
諸のどくにあたりたるは急に藍の葉をつきてしぼり汁を多く用ゆべし生あいなき時はあいそめの紺を洗て其汁を用ゆ、とかく多ぶんに用ゆるがよし、又薬どくには甘草一匁黒まめ二匁せんじふくすべし、又諸魚のどくにあたりたるはするめを水にてせんじ其汁をふくすべし又かもうりの汁よし又しその葉又は黒豆せんしふくすべし、又蛸のとくにあたりたるはふのりゆにひたしふくすべし、又ふぐのとくにあたりたるはするめの汁ふくすべしあぶりて喰ふてもよし又青砥のとぎ水を多くのみてよし(069)
血どめの妙薬
金瘡血多く出るには早くとうしんを其まゝきず口大小に合せしかとをしつけきれにてまき置べし(071)
茶染のるいをおとす事
ちやそめ何いろにても酒にてよく煮たつれば落る也(072)
乳をのまするましない
我は地伝 此文字を心にくわんねんして
哥ニ
山は三ツ石は九ツこれ
やこの鬼の栖(すみ)ぬる
岩やなりける
又
おもいきやあさ日に
はるゝ腫物はねもはも
かれて跡はたへぬる(073)
乳風のまじない
鯉 此字をはれたるところに一字書墨ニてぬるなり(079)
ちゞみ髪をのばす薬
麻の葉と桑の葉等分にせんし常日あらふべし(082)
痢病煩はぬ呪
八つ手の葉厠につり置へしうつらぬ事妙なり又実を食してもよし(083)
盗人の足の跡に立ル
(084)
同跡に立れば顕る符
(085)
盗人用心のましない
そねか
とつ犬しみん
中たつ
これを表の方うしの方へむかひ書まねをしてねる也、ぬす人はいりても物をとらずにいる也、またはるすの間へきたり候へば其ぬす人其所に立すくみなりいるなりふしぎの呪文奇妙なり(086)
ぬり物道ぐすゝけ取やう
すゝけあらふてもおちざるにはもち米のわら灰汁を布きれにひたしあらへばよくおちるなり、其あとかわきたる時油にてよくふけばあたらしくなる事妙なり(087)
るいれきを治する法
田にし、かいとも黒やきにして白しぼりのあふらにてまぜ、はりてよし又きわだうどん粉のりにてまぜはりてよし

088 女男に無縁の守 此守ふだんくびにかくべし 089 女の男を嫌によき符 090 男女の中離時の符 091 男の手を離んと思女符 092 女男をのかれんと思のむ符 093 男女とも妨ある符 094 おもふ事かなふ符 此符をまくらの下ニおくべし

095 男胸の病にのむ符 096 女の同のむ符 097 同はらの病にのむ符 098 男の同呑符 099 男女にあふ符 100 女血とまらざる符 101 同後の物下すに呑む符 102 男のおこり病の符 103 女 同(110)
おこりをおとすまじない
くものおこりをはらふ
秋風有明ひませふ
なりてかけもなし
右盃の中へ字かやう見へぬやうにかくへし早朝の水にて字を洗いのむべし尤も朝日にむかひのむべし惣じて御符の呑やう此ごとくにしてもちゆる也(111)
同 まじない
発句 霜おちて松の葉かろきあした哉
服 雲のおこりをはらふ松風
第三 月かけはひませになりてかけもなし
右の三句符にしたためておこりのあさ早天に水にてのますべし(112)
男の衣服たつまじなひ
天福海来地福圓満
一切諸願皆令満足
先此文を三べんとなへて次ニ
哥
あさ日たつあひしの宮の
おしへにてうわきたから
を今ぞたちぬふ(113)
女の衣服たつまじない
ちはやふる神のをしへを
われぞする此やと
ばかり富ぞふりぬる
あさひめのおしへはじめし
から衣たつたびことに
よろこびぞます
右ものたつ日は吉日をゑらみたつべし諸事祈祷になるべし遠国(をんごく)へたび立の時の符
此符帯の中へぬいこみていたすべし千里万里の山川をこへゆくともわざわひすこしもなし(117)
黄疸を治する法
玉子かはとも黒やきにしてすに入まぜてあたゝめ用ゆ又田にしをせんじ用ゆ又あをひの葉をせんじ用ゆるもよし又蜆汁を食用に毎日多く食ふべし日を追てよし(118)
わらじくひには
黄柏の粉を油にてねり、つけてよし又そのままにふりかけるもよし(121)
竈の神まつる日の事
きのへねさるいぬ、きのとのうし、つちのへとらむま、つちのとうひつじとりゐ、かのへたつむま
右の日火をきよめかまどの神をまつれば悪鬼さつて荒神其家にやうごあり(125)
面(かほ)黒くまだら成を治す
桃の花 冬瓜のさねを粉にして蜜にてねりぬるべし(127)
膈の妙薬
野蒜の根を土用の中に取、干(かわか)し末にして用ゆべし又塩鰯の頭をよくあらひ水にてせんじ少しつゝ用ひてよし(128)
駕(かご)によわぬ法
駕に乗時に硫黄の付木壱枚下に敷べしよわぬ也(129)
蚊の多くわかぬまじない
五月五日[儀方]此二字を朱にて札に書粽(ちまき)を糊にして文字をさかさまにはるべしその座敷は蚊多く入ことなし(130)
髪の赤きを治す法
桐の木をせんじあらふへし漸に黒くなること妙なり又黒胡麻を食もよし(131)
雷神(かみなり)よけの符守
大雷神 雲雷鼓掣電
南無太政威徳天神如律令
大鬼神 降雹ジュ大雨
ジュは「樹」のキヘンをサンズイに変えた文字(132)
門出の時呪のうた
きしひこそたつかみ
きはにこくのねの
とこには春をまつそ
こひしき(133)
喰犬(かみいぬ)をふせぐましない
われは虎いかになくとも
いぬは犬ししのはがみ
をおそれさらめや
此哥を三べんとなふべし、次にこれをよむべし
いぬゐねうしとらと大指より五ツのゆびをにきるなり(134)
夜なきする子の呪
五倍子を粉にして唾にてときのべ臍に付てよし又明かなる鏡を小児の枕元にかけてよし(135)
吉夢(よきゆめ)を見たる時の文
南無福徳幸頂弥功徳王菩薩
右の文三べんとなふべし(136)
夜臥して起たきときに目の覚るまじない
哥
人丸やまことあかしの
うらならばわれにも
見せよ人丸が塚
此哥をつつしみて三へんよむべし(138)
万(ヨロズ)の虫るい耳に入たるときのましない
半夏を粉(こ)にして油にてこき、みみのなかへいれてよし
又葱のけもよし(140)
たむしのなをるまじない
大黄を三十三にへいで切目に小刀のさきにて虫といふ字をかきてその大黄にてむしのくふ所をさするなり
扨(さて)さすりながらこの哥よむべし
三日月をしねとのろふは
田むしなりころして
たべよ十五夜の月(141)
田虫を木にうつす法
たむしの大きさのまわりをわらしべにて寸をとりそのしべのわなをせんだんの木にあて付そのわなのめぐりを小刀のさきにて丸くすちめをつけ中に又小刀のさきにて十文字に引目つくる、さてあとを見かへることなかれこと也奇妙になをる(144)
脱肛の妙薬
蛤貝をせんじ其汁にてあらひてよし又田螺(たにし)の黒焼を粉にして胡麻の油にてねり付るもよし(145)
胎内の子男女を知る算法
九十七と置て一年子なれは十二と入二年の子なれば十五と入次に母の年の数を入て、さて其内を百五とはらひ捨て其残半なれば男調なれば女としるべし(146)
そげ身に立たるをぬく法
瞿麦(注、クバク、なでしこ)を粉にして水にてのめばぬけ出る又かみくだきぬりてもよし又法松のみどりをすりつけてもよし
△矢の根或は釘はりの立たるは螻蛄(けら)をそく飯にすりませ付て妙にぬけるなり又瞿麦の粉を呑もよし
訴訟の時勝利を得る守
月またがりのれい符
なにを願う符なのでしょうか?
(151)
梅雨(つゆ)の中(うち)にかびたる物をあらひおとす法
梅の葉をせんじ其湯のさめざるうちにあらひおとすべし妙也(152)
辻うらきく法
辻うらを聞たきとき四ツ辻へ出て左の哥を三へん唱へ三人めの人の云事を聞て思ひ合て占ふなり但し三人めといへども物言ぬ人をよけ物言人の三人めをうらなふなり
哥ニ
もゝつじやよつじがうら
のいのち辻うらまさ
しられつぢうらの神(153) 頭痛の治る妙薬
あをむきにねて大根のしぼりしるを鼻へそそぐべし又(図省略)(ヤマイダレ+亜)門といふ首の付きはへ灸をすべし(156)
鼠にかまれたるを治法
猫の毛の灰をぬるか又は麝香をぬりてもよし(157)
鼠あつめる法
螯(かに)を煙に焼は鼠集出る事甚だ妙なり(158)
猫の病を治する法
烏薬一味を粉にして水にてのますべし(159)
癰(ねぶと)の妙薬
牛蒡の葉を付けてよし又山椒を粉にして竈の下の土をすり細にして酢にてときぬりてよし(160)
年中雨降時節をかんがへやう
正月朔日二日の雨は七月 水(みづ)
同 三日の雨は 五月 ヽ
同 四日の〃 四月 ヽ
同 五日の〃 三月 ヽ
同 六日の〃 二月 ヽ
同七月八日の〃 三月 ヽ
同 九日の〃 十一月 ヽ
同 十日の〃 九月 ヽ
同十一日の〃 十月 ヽ(164)
長病気止(とゝむ)る符
怪しい呪い! 治す でなくて 止どむる とは?
(165)
鍋釜の鉄気を去法
鍋釜ともに其口に一火灸すればかなけさること奇妙の法なり(166)
茄子一年貯ふ伝
茄子の取立をいくつにても砂一斗に塩四升入これにて漬おくへし、いつまても色かはらす入用程ツゝ塩出しをしてつかふべし漬やうは砂を一へんおきて茄子をおくせんぐりに漬へし(168)
老人虚人婦人産後結するに用る方
麻の実をかゆに煮て用ひてよし(169)
雷気(らいき)にうたれ気絶したるに妙方
酢を鼻へ吹入べし又温酒を呑ますもよし(171)
虫喰歯に妙法
虫喰ばいたみたへがたきは古茄子を灰に焼て其いたむはにぬれは速になをる也又焼酎にて口をすすぐもよし又杉脂・檜脂を丸じ虫の穴に入てよし又石灰をこそげ取、細に粉にし蜜ニて梧桐子の大きさニ丸じ火にてよく焼て又蜜ニて潤しむしばの穴の中へ入べし立処にしるしあり(172)
虫喰歯ましない
我歯何枚ありとかぞへ(図省略)図のことく其数ほど書そのいたむはに釘にて打ちつくるなり いたみ止て其釘をぬくべし(173)
蜈蚣(むかで)のさしたるによき法
指にて地乾たる所に王の字をかき其まん中の土を取さゝれたる所へ付くべし
馬のわつらいによき符
(175)
馬(むま)にふまれ高きところよりおちたるによき法
大黄・当帰・桃仁三味をせんじのますべし(176)
馬、舟にのらさるを乗わたすまじない
左の哥を三べん馬の左のみみへ口をそへてよみ入るなり
天ぢくの流沙川(りうさかは)なる
わたしふね こまもろ
ともにのりの道かな
馬の腹の病によき符
此符を草にそへてのましむべし(179)
虫はらのましない
秋すぎてふゆのはしめは
十月に霜かれ
たけは火の子もなし
秋風は冬のはしめに
たつものを木草も
かくむしもしつまる
此二首をよめばふしきニ直る(181)
うるしまけのまじない
蜀椒(しんせう・こせう)をすりこだきて鼻のあなにぬれば何うるしにてもまけざる也
また鰹節を粉にしてふるひ、ごまの油にてとき付けてよし(183)
土竜(うころもち)をのぞく法
うごろもちのもちたる所へ左にしるす通りに小き木に書て建置(たておく)べし、ふたび来る事なし
[源三位頼政領分]
三太良コイヨ
三太良コイヨ
三太良コイヨ紙の尺(たけ)三寸はば二寸五歩にして右の符三ッ折にたゝみ中紙むすびてうせ人の常に行たるせついんの丑寅の角のやね二枚めにさしはさみ置なり
(186)
咽喉(のど)魚の骨立たる呪
天目に水を入左の図并此文字を指にて水の上に三度書其水を呑ますへしぬける事うたがひなし
九龍八音神護身 (188)
同魚の骨立たる呪
鵜の咽々と三べんとなへてさするべし(190)
蚤をさる法
蚤を辟(さく)にはふとんの下に苦参をしくべしことことくさる、又芸香の葉を畳の下に置けば蚤生ずる事なし、又小児の肌衣に当薬をせんじ染れば蚤しらみを去妙なり
野狐付きたる時の符
右の符を書、不動尊の真言にてかぢすべし
額にも此符を書べし(195)
唇さくるに妙方
黄蓮の粉 生地黄の汁にてときぬるべし(196)
口舌たゞれたるニ妙方
めうがの根をすりつぶし酢にてつけべし又ふしのこを付るもよし(197)
口くさきを治す方
川キュウ草かんむりに弓(せんきう)をきざみ服すべし奇妙に去なり(199)
火事(くわじ)近辺にある時火よけのまじなない
焼亡は柿の本まで
きたれどもあか人
なればそこで人丸
此哥を表の戸のうらにはるべし
訳者注 柿本人麻呂・山部赤人の名を借りたもの
サササ
サササ
サササ何木
急如律令
(202)
首くゝり又川になかれ水をのみ死たるを生(いかす)方
胸と頭あたたならは薬にていかすべきなり半夏の粉又はざうけの粉鼻の穴へ吹入べし たゞし
首くくりたるものゝ なは、俄にとけば死する也心得べし肉桂をばせんじ少しつゝ口の内へ入てよし(206)
黒癜(くろなまづ)風いやす妙法
青くるみ横にわりその切口にてする事七日すべし、いゆるなり(207)
踏打(くしき)の妙法
温純粉(うとんこ)を焼酎にてねり付てよし又膠をとき付るもよし又鮒とじやうをすり付けるもよし(209)
湯火傷(やけと)の妙薬
生(き)ぶしを墨にすりて付べしたちまちひりつき止む又山のいもをおろし付るもよし又石膏滑石等分玉子白味右三味ねり合ぬるべし立処にいたみをさる又しぶをぬるもよし又うにをぬるもよし(212)
槍長刀柄虫入ぬ呪(やりなぎなたゑ、むしいらぬまじない)
うなぎの皮はかげほしにして白木の柄にすり付ける也(213)
家固四方に張符
東方寶柱菩薩乃至入地大會東方南方法方菩薩乃至入地大會西方北方虚空性菩薩乃至入地大會北方六方亦復如是乃至無量音樂中央護舎曳切徳乃至般若波羅蜜門戸守護符
右の文(もん)は仁王経の文にして尤経心渇仰して家の北の方より押始て次第に四方へ押なり
(221)
待人来るまじない
わかせこが来べきよいなり
さゝがねのくもの
ふるまひかねてしるしも
此哥を三へんとなへ一心に玉津嶋明神をねんずべし(225)
まゆけぬけたるに妙薬
半夏をすりてぬれば奇妙にはへるなり(226)
まむしへひにさゝれさるまじない
かのこまたらのむし
あらば山たつひめに
かくとかたらん
みぎの哥を書きて懐中して野山へ行べし(227)
同 法
雄黄と蒜(ゆわうとにんにく)とすりまぜ丸し野山へ行べし、まむしおそるるなり もしさゝれたるならば此くすりをぬるなり又にんにく敷灸をすべし又ほうき木といふ草をしぼりてすり付るもよし(228)
松の木枯を生す法
松かれんとせば川キュウ草かんむりに弓をせんじ根にそゝくへし(229)
毛虫のさしたるニ妙方
へびのぬけからをせんじあらふべし(230)
けじけじのさしたるに妙方
美(よき)酒を酔ほどのむへし奇妙に治するなり(231)
煙にむせさる法
顔を水にてひつたりとぬらすべし むせる事なし(232)
下戸を上戸にする方
小豆花(あつきのはな)と葉を一ツにして陰ぼしにする事百日にて細末にし一さしづゝ服すべし、いか程大酒しても酔ことなし何にても人と約速(ママ)せし砌、此守を懐中すれば約速(ママ)ちかはぬなり
(236)
船によわぬ法
半夏を湯せんにし臍へ入、紙にて上をはりおくべし、ふねによふ事なし又梅ぼしを含するもよし(245)
こぶらかへりのましない
木瓜(ぼけ)にてこぶらの処を撫(なで)さするべし木瓜なき時は木瓜々々々々と三へんとなへてそのこふらの所をなでさするべし(246)
喉痺の薬
刀豆(なたまめ)を黒やきにして末にくだき管にて吹入て妙なり又昆布を焼て食するもよし又蜜柑のたねを黒焼にして用ゆるもよし(247)
口中いたみを止る方
生茄子の皮を黒焼し砂糖蜜にてよくねり合せ含むべししばらくの内いたみ止るなり 但し生茄子なきときは茄帯を用ひてよし(248)
声出ざるに呑方
蝉蛻(せんたい)を粉にして水ニてのむべし松のあまはだをよき酒にひたし其酒をよふほどのむべし
(258)
恋人を夢に見る呪
夜着の裏表をかへし着てひだりまへに合わし扨左の哥を三べんとなへ、寝入へし
いとせめてこいしき
ときはぬば玉のよるの
衣をかへしてぞねる
除除
除除
急如律令
此符をはり置時は祥来るなり
(262)
油むしを去る方
青蓬(あをよもぎ)の茎葉とも竃(かまど)の間におくときは油虫たゆる事妙なり(263)
凍足(あかきれ)の妙薬
五月五日早朝苦菜(にがな)の搾汁をもみ出しあかぎれてきる処へ付おけはきれる事なし(264)
壁つちを粉にして付てよし又法、きうりを切其切口にてあせぼをすりてよし(266)
あらひ粉の方
ぶんどう五合冬瓜種三合臼にてひきふるひ用ゆ肌をこまかにしにきびそばかすたむしできず
観世音菩薩 此符を酒の中へ入るなり
(267)
油紙、傘ニ文字を書法
生松葉手一束を五口計に切、一夜水にひたし其水を墨にすりて書べし、墨はぢく事なし
又おはぐろ少し墨にすりまぜかくもよし(269)
油皿の中へ虫の付きたる呪
金西金舎
此四字をかきあんどにはり付おくなり
土器(かわらけ)の上にあやめを一筋置てよし(271)
あし豆のましない
けつかうけつかうと此文三べんとなへて小刀のさきにてつくまねを三度すべしわらじくひのまめも右の通りすべし(272)
あしき夢を見たる時呪
哥ニ よる見つる今夜(こよい)の
夢はあしからじたかえる
戸間(とま)の下にねぬれば
右の哥三べんとなふべし
又 おく山に根なしかつらに
見つる夢ことなし草
に見ゆるなりける
又 大はゝや三狩の哥に
立鹿もちかひをすれ
ばゆるされにけり(273)
小豆早く煮やう事
あつき煮たる器のふたの上に火打石とかねとをのせ置べし(274)
藍の色をおとす伝
水に石灰を入煮たつれは本の地になるなり
(276)
蟻耳に入たる時の呪
灯心を油にひたし耳へ入れは出るべし、又杏仁を耳のなかへ少し入てよし(277)
新しき釜かなけ出ぬまじない
六字の名号を釜のそこに書べしかなけいでず(278)
酒の酔をさます法
桜の木の皮を黒焼にし糊をもつて丸じ置、酔て苦しむ時これを三粒ほど呑べしたちまちさむるなり(279)
酒の口開く時の秘事
哥ニ
神も知る神もあま
ねくきこしめすみもすそ
川のきよきみづさけ
又
神もしる萬の神も
きこしめすみもすそ
川のきよきあまさけ
又
神もしる神ももらさず
きこしめすみもすそ
川の天のきく 酒
いつれも三べんつゝ慎みよむべし(280)
山椒にむせたるを治す方
山椒にむせなば酢を呑べし、又舌に塩をぬるもよし、又灰をすこし口中に入るべし立処に治るなり(281)
同貯漬おく法
白水に塩を合しつけこめは年をへてもあぢそんせす(285)
灸の癒ざるを治す法
鶏卵をつぶし黄なる所を付べしいゆるなり(287)
金瘡いやし薬方
水仙の根を擂りて付くべし いゆる事妙なり(288)
金の色を能する法
きざみたばこの中へ入置ば色よくなる、金箔などはたばこにてくすべてよし又金はくのすゝおとすにはたはこのしんを水にてひたし其水にてあらふべし(289)
着物に墨付きたるをおとすでん
哥
まかなくになにをたね
とてうき草のなみの
うねうねあひしげるらん
此哥を三べんよみてあらふへし(291)
狐あつむる法
正月元日同二日両日の三宝の仏供をはじめににぎりたるをば百目かげぼしにして香に焼加持程にあつまるなり
此守りを病者の首にかけさすべしもし又病者きらふならば居間の上につりておくべし
次に
此符を病者のひたいに数珠にてかく真似すべし
次に
此梵字を前腰足のうらにかくべし
次に
此れ表の戸に押べし
次に
此れを裏の戸に押すべし(293)
嫌な客を一限にする呪
哥ニ
むすぶ手のしつかににごる
山の井の おりても人には
わかれぬるかな
又
岩はしのよるのちきりも
たへぬべし あへるわびしき
うつりきの神
此二首を書、客にさとられぬやう枕の下にそっとしきてねさすべし其客しせんと来ぬやうになるべし(294)
指腫いたむニ妙薬
鮒のほしたるを細末にし白さとう少し入れそく飯糊にまぜ付べし 又むくろじを黒焼にしはいとりもちニてねり合指へまくべし(295)
硫黄の毒に妙法
つつらふちをせんし用ゆべし妙なり(296)
目いほのまじない
わらしべにて三度くゝるまねをしながら左の哥を三度よむべしたちまちになをるなり
なをるなり
となりのむかたは何を
しやるこちは目いぼと
くゝります(299)
柚のさね黒焼きにして少し舌の上に置へし其まゝ出るなり(305)
蚯蚓に小便し陰腫たるに用る方
常につかひ用ゆる火吹竹をもつて小便の出る穴をふくべし(307)
同虫の中へ入たるニ妙方
其虫の入たる耳へ胡麻の油を入べし豆粒の程の虫入たるも同じ又生のにらの汁を酢と合して耳の中へ一粒入るへし虫たちまちに飛出るなり(310)
吃逆(しやくり)を止る方
しやくり出て三五日も止すば諸薬しるしなくば良姜を一味せんじてなりとも又嚼(かみ)てなりとも呑べし妙に止るなり、かろきは喉を通らざるうちに止る事奇妙也(311)
同止る方
頭の亜門の穴を大指(おやゆび)にてつよくおし一方の手にて額の中を押へし 両方共強く押ば忽止る也 亜門とは(図省略)此ところの門なり(312)
凍瘡(しもやけ)の妙薬
蕪(かぶら)を丸なりにてやき手にて二ツにわり其霜ばれの所へすり付べしいく度も斯すれば自然にうせて直る事妙也(314)
白き衣類のあか落す方
大根の煮汁にてあらふべし又菖蒲を粉にして水ニ入あらふべし(315)
生(しやう)ある物見へさるを知(しる)法
何にても生ある物見へざる時より三ツめの時の方へゆくなりおさまる所は九ツめとしるべし、たとへは子の時より三ツめらば寅の方へ行べし子の時より申の時まで九ツめなり![]()
商売に利を得符
右の符認(したため)其上に此梵字□□裏に又□此梵字を書へし同 守
あきないするうちにかけよ
同 符
(323)
白くぼの妙方
もゝのかはをせんじのむべし、又汁をぬるもよし(324)
十字の秘術
天 大名高家大官人の御前にでるとき左の手の内に此文字をかくべし
龍 海川橋を渡る時此字をかきて持なり
虎 野山深山へゆかんと思ふ時此字をもつべきなり
王 弓箭兵軍陳山賊夜行の時書持へきなり
命 人の方にて心あやふき菓酒飲毒薬恐と思時書也
勝 公事さた市町売買勝負の時書もつべし
■ やく病の家に行んとおもふ時書もつべし
水 案内しらざる家又は大酒にあわんと思ふ時此字を書べし
十字とうたっているが八字しか無い、■は口偏に皿ト人(325)
湿熱うけざるましない
胡椒七粒山椒七粒小豆七粒右三味紅絹の袋ニ入二布のひもに付置べし 『二布』「ふたぬ」または「ふたの」と読み腰巻のこと(327)
嘔吐(ゑづき)を止る方
枇杷葉を毛をさりせんじのむべし(328)
胞衣(ゑな)下らざるに妙薬
節分に門へさしたる柊といわしの頭とせんじ呑すべしさつそく下るなり(330)
ひぜんおい出し薬
鼠の黒焼を粉にして白湯にて用ゆべしみなおひ出して再おこることなり(ママ)実良薬なり(333)
病人の生死を知る事
面黄色にして目のあかきはよし 面黒く目白きもよし 面あかく目白きは死す 又目黒きも死す 病人左りの手をつかひ左りの方へつねにかへるはかならす死すと知るべし(335)
ひんひけ黒くする方 さうけう ぢわう せうがの汁にて付あぶり、粉にして歯にぬれば黒くなるなり(338)
餅咽につまりたるニ
急に酒をあたため其人の鼻の穴へふき込むべし(339)
餅かびざる法
桶のはだへ酒をぬり後もちを入よくふたをして納おくへし如此すればいつまでもたくはへらるゝなり(340)
木綿に書画をかくに墨つきよき方
別の木綿を熱湯にしぼり其木綿の上にしき板をしばらく上に置べし(342)
物忘せぬまじない
五月五日夜いまだ明さる時東にむかふたる桃の枝をとり三寸に切衣服のゑりにぬひ入て置べし
ものわすれせず
諸の化生の類来る道を切る符
死霊おんりやう其ほかあやしきもの来ることあらば此符を札にしたゝめ其来る道に立る也(348)
小児(せうに)あくちを治す方
貝母(ばいも)の粉を蜜にてときぬるべし(354)
厠虫(せんちむし)あがらさる呪
あら玉の卯月八日も吉日よ
神さけむしを
せんばいにす流
此哥紙に書、せんちの柱の下へさかさまにはり置べしむしのぼる事なし(355)
小児銭をのみ出ざるを出すの法
とくさを粉にして呑ましてよし