・Kさんの家族的背景

  地方都市のちょっとした名家(戦前の地主階級)に長男として生まれました。父親は製造業で技術者、母親は専業主婦 共に団塊の世代です。自分自身も第2次ベビーブーム世代あたります。





 ・Kさんの家族背景

父は出版業、母は専業主婦、姉の4人家族です。都心に住み、典型的な中流家庭で何不自由なく育てられました。

・Kさんの小学校時代

 小学2年ぐらいからファミコンをしていた記憶があります。アニメはレイアースなど見ていたのを覚えています。特に虐められた事もなく、勉強も平均的でした。ただメガネで少し丸っこかったのです。友達もいましたし特に何かあった事もなかったです。スポーツはサッカーをしていました。



 ・Kさんの中学校時代

 地元の公立校に進学した。中学に入ると急激に背が伸びたので、それに従い痩せ型になった。女の子とも普通に接していました。ゲームはやっていましたがドラクエ等であり、特にゲームをやる事で蔑まれたりはありませんでしたし劣等感も生まれませんでした。中二になるかならないかの時にラジオを聴き始め、たまたま最初に聞いたのが文化放送だったため深夜のアニラジも結果的に聞き始めました。またちょうどエヴァンゲリオンが流行った時期であり、普段はオタク趣味に興味がないであろう連中も流行に乗り、中、上位カーストの連中の間でエヴァは普通に会話に出ていました。現在だと絶対アニメ等見ないヤンキー達と一緒に映画を見に行ったの事はすごく記憶に残っています。アニメイトなどにも中二ぐらいに行き始めまし、同人誌を初めて見たのもその頃だったと思います。当時はエロ漫画を結構みんな見ていたので、同人誌そのものに引く事もなく、また同人誌イコールエロ本だと思って読んでいました。エヴァが一般人を巻き込みヒットしたため、アニメを見ているだけではやばいと感じたり、馬鹿にされる事はなかったです。それが今日オタクを取り巻く状況との大きな違いかなと感じます。また中三ぐらいからファッションに目覚め丸井等で買っていました。アニラジは卒業と同時に聞かなくなりました。またこの頃からニキビがひどくなりコンプレックスが生まれました。




 ・Dさんの高校時代〜浪人時代

  [高校時代]
 平均的な公立高校に進学しました。オタ趣味は興味が無くなり、たまにゲームをするぐらい。バイトをし、楽しく過ごした。女の子と関わりも多くありましたが肌のコンプレックスがあったため最後まではいけなかった(肌以外のコンプレックスはありませんでしたが)。勉強してなかったため当然浪人になりました。

 [浪人時代]
 高校まではギャルゲーを嫌悪していましたが、kanonを借りたのをきっかけにはまりました。airやメモオフ、イベントにも行き、ときメモ3に徹夜で並んだり、秋葉原に行ったのはいい思い出です。女性と関わりが少なかったのでその代わりにギャルゲーをやっていたのだと思う。





 シロクマ注:

 同人誌=エロ本!この図式に憤慨するそこのオタクさん、あなたは多分、年寄りです。
 それはおいといて。

 ここまでご覧頂ければ分かる通り、このKさんにはいわゆる「コミュニケーションスキル/スペック」上の決定的な問題がありませんでした。中学校以降、ニキビによって顔面に関する劣等感が出現しているものの、“最後までいけなかった”ことがあくまで問題になる水準の話であってクラスの男女と根本的にコミュニケーションが出来なかったというわけではありません。また、いじめられた事が祟ってオタク趣味に走ったわけでもなければ、オタク趣味に走ったことが祟って侮蔑されたわけでもありません。スクールカースト最底辺を彷徨っていたというわけではなく、クラスに十分適応出来ていた、けれどもアニメブームに乗ってオタク界隈に触れた、ということでしょうか

 コミュニケーションや対人関係に関する苦手意識という観点において、Kさんの感覚は“失われた十年世代”の脱オタ症例報告の皆さんとはかけ離れています。また「オタク趣味にしがみついていなければやってられない」というある種の強迫性・呪縛性もみられないのです。アニラジやエロゲーといったコンテンツに対峙するスタンスにも、それが現れています。おそらくKさんにとって、アニラジやエロゲーは“無ければ生きていけないほど切実なモノ”でも“アイデンティティを一点賭けしなければならないもの”でもなかった、ということです。

 この屈託の無さは、Kさんに限らず、比較的若い世代の最近の脱オタ症例報告とも合致する傾向ですし、ネット上で最近みかけることが多くなった、若くて屈託の無いオタク趣味愛好家の傾向とも合致します。古い世代の「おたく」や「オタク」のなかには、これはオタではない、などと言い始める人もいるやもしれません。しかし、Kさんのような事例――おそらくは、1995年以降の時代からポツポツ出現した若い世代にありそうな事例――ももっとクローズアップされても良いのではないでしょうか。


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 ※本報告は、Kさんのご厚意により、掲載させて頂きました。今後、Kさんの御意向によっては、予告なく変更・削除される場合があります。ご了承下さい。