(4)光の強さと光合成量

 植物の葉に太陽の光が当たると、葉の細胞内の葉緑体で、二酸化炭素を吸収して、葉の中にデンプン の生成と酸素の発生が見られる光合成が起こる。光が植物の葉に当たると、葉緑体の中に含まれるクロ ロフィル(葉緑素)に吸収され、クロロフィルが活性化(励起)される。そのエネルギーが、水を分解して 酸素を発生させ、さらに電子伝達系などで運ばれて、大気中から吸収した二酸化炭素を還元してデンプ ンを作りだすのである。すなわち、太陽から降り注ぐ光のエネルギーが、光合成の働きによって、植物 体内のデンプンの化学エネルギーとして貯えられるのである。
 太陽から降り注ぐ光のエネルギーとは、一体何であろうか?20 世紀に入って、光は、あるときは「波」、 また、あるときは、「粒子」として振舞うということがわかってきた。しかし、「波」と「粒子」とは, 本来両立しない物理的概念である。この謎は、「量子力学」が完成されるにおよんで、ようやく解決を見た。 光量子説に従えば、振動数νの光は粒子的性質を持ち、1個の粒子(光子)はhνのエネルギー の塊(光量子)であるとしている。ただし、hはプランクの定数で、h=6.6×10−27 erg・s(gcm2s-1) で示され、また、光(緑色)の振動数は、ν=5.80×1014 s-1で示される。だから、振動数の多い、則ち、 波長の短い紫色の光の方が、振動数の少ない、則ち、波長の長い赤色の光よりも多くのエネルギーを持っ ていることが理解出来よう。
 植物の葉にあたる太陽の光のひとつを取って考えても、何だか訳の解らない量子力学とやらを持ち出さ ないと解決しないのである。これを知った時、『おれは馬鹿だなあ。さっぱり解らない。』と思う方も多 いのではなかろうか。僕なんかも、ノーベル文学賞受賞作家 大江健三郎氏のご子息の作曲 家大江光氏の足元にも及 ばないなあと、日夜、溜息と共に慨嘆している次第である。
気泡計算法
 試験管に水を一杯にして、水槽の中に逆さに入れ、下から、水草の一つ、オオカナダモの茎を切り口を 上にして差し込み、スタンド、クリップで試験管を固定し、電気スタンドを使って葉に光をあてる。やが て、茎の切り口から小さな気泡が沢山出てくる。時間が経つと、逆さにした試験管の盲管部に気体が 貯まる。この気体が、光合成の結果、発生した酸素であると言われているが、分析してみると、その多く は窒素ガスであるとの説もある。何はともあれ、光の強さを変えると、発生する気泡の量も変化するので、 横軸に光の強さ、縦軸に単位時間に発生する気泡の量を取ると、 光ー光合成曲線 と呼ばれるグラフが得られる。これは、大学入試問題に大変に良く出題されるので、高校生はしっかり勉 強しておくのが良いだろう。

【リンク】
東京大学・園池公毅先生:光合成の森
森田保久先生「水草ペットボトルを使った光合成実験」
東北大学・彦坂幸毅先生:光合成の生理生態学講座

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