(4)盲斑の検出

視覚は、物体から発した光(可視光線)のエネルギーが、眼の網膜に存在する視細胞(感覚細胞)に吸収 される事で生じる。
(1)透明人間は存在するか?
透明人間は、はたして存在するのであろうか?人間に当たった可視光線が、ガラスを光が透過するよ うに、透明人間を、全て透過してしまう場合はたしかに透明人間であろう。しかし、この場合、透明 人間自体、何も見る事が出来ない。なぜならば、透明人間の眼が、ものを見るためには、目に入った 光エネルギーを、網膜で吸収しければならないからである。もし、透明人間の網膜が光を吸収すると、 その部分はエネルギーの低い状態となり、すなわち、その周囲に比べて、暗く見えるはずである。そ うなると、ものを見ている透明人間の眼が、外部からは暗い部分として見えてしまい、透明人間では なくなる。そうだから、透明人間が、もし、存在するとすると、透明人間は、何も見えない盲目とい うことになってしまう。
また、カメレオンと同じように、体表を周囲と同じ色や模様にしてしまうと、身体の存在が解らなく なる。これは、別のタイプの透明人間といって良いかも知れない。背景を赤色にすると、体色は赤色 となり、背景を青色にすると体色は青色になる。背景を柄物にすると、体色も柄物になるだろう。し かしながら、これも斜め上から光を当てると、反対側の斜め下に影が出来、存在が解ってしまう。
以上の観点からすると、透明人間は、あくまでも空想の所産であって、科学的には、存在すること が不可能であろうと、思われる。
(2)忍者のように消えられるか?
網膜上を視神経が貫通している場所(盲斑)には、視細胞(感覚細胞)が無いので、ここに写った像は、 脳に伝わらず、視覚を生じない。これを、上手に使うと、簡単なマジックが出来る。
黒板の前に立って、黒板の左側に、チョークで、+印を描き、生徒に、左目を手で押さえて、右目だ けでこの+印を見るように指示する。そして、「僕が右の方へ歩いていくので、どの辺りで僕が消え るか、良く見なさい。」と指示し、右の方向へゆっくりと歩いていく。「先生が消えて、見えなくな った。」と、生徒が騒ぎ出す場所が盲斑の位置である。実験後、盲斑の検出の原理を、黒板に図解し て、説明すると、生徒の理解が大変に良いようだ。
(3)なぜ、うしろに眼がないのか?
頭のうしろや、指先に眼があったら、さぞかし便利であろうと思われるが、そうでもないのである。 2つの目で見た像が、脳の中で一緒になって、一つの立体的な像となって知覚されている。両眼の 他に、頭のうしろ側にも眼があると、脳の中で、どのような像が合成されるであろうか?身体の前 後の眼を通して得られた像が、脳の視覚野の中で合成されてしまうと、前後の区別が付かなくなっ てしまうのではなかろうか。指の先に眼がある場合も同じことであろう。ヒトの両眼視は、2つの 眼で、同じ場所を見ているところに特徴があるようだ。その結果、遠近感や立体視が出来るのであ ろう。
魚類の眼は、頭の両側に離れて付いていて、左右の眼が、それぞれ別の場所を見ていることになる のだが、その眼は視野が大きい魚眼レンズであるから、両眼を組み合わせると、それこそ周囲 360度の全ての範囲が見渡せるようになっているようである。

【リンク】 見えない盲点を「見る」

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