上田 敏

訳詩集『海潮音』より (新潮文庫版より:昭和24年11月28日発行,昭和43年2月15日20刷改版)

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燕の歌     ガブリエレ・ダンヌンチオ
声曲      同
真昼      ルコント・ドゥ・リイル
大饑餓     同
       同
珊瑚礁     ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ
       同
出征      同
       シュリ・プリュドン
信天翁     シャルル・ボドレエル
薄暮の曲    同
破鐘      同
人と海     同
       同
譬喩      ポオル・ヴェルレエヌ
よくみるゆめ  同
落葉      同
良心      ヴィクトル・ユウゴオ
礼拝      フランソア・コペエ
わすれなぐさ  ウィルヘルム・アレント
山のあなた   カアル・ブッセ
       パウル・バルシュ
       オイゲン・クロアサン
わかれ     ヘリベルタ・フォン・ポシンゲル
水無月     テオドル・ストルム
花のをとめ   ハインリッヒ・ハイネ
瞻望      ロバアト・ブラウニング
出現      同
岩陰に     同
| 春の朝     ロバアト・ブラウニング
| 至上善     同
| 花くらべ    ウィリアム・シェイクスピヤ
| 花の教     クリスティナ・ロセッティ
| 小曲      ダンテ・ゲブリエル・ロセッティ
| 恋の玉座    同
| 春の貢     同
| 心も空に    ダンテ・アリギエリ
| 鷺の歌     エミイル・ヴェルハアレン
| 法の夕     同
| 水かひば    同
| 畏怖      同
| 火宅      同
| 時鐘      同
| 黄昏      ジォルジュ・ロオデンバッハ
| 銘文      アンリ・ドゥ・レニエ
| 愛の教     同
| 花冠      同
| 延びあくびせよ フランシス・ヴィエレ・グリフィン
| 伴奏      アルベエル・サマン
|        ジァン・モレアス
| 嗟嘆      ステファンヌ・マラルメ
| 白楊      テオドル・オオバネル
| 故国      同
| 海のあなたの  同
| 解悟      アルトゥロ・グラアフ
| 篠懸      ガブリエレ・ダンヌンチオ
| 海光      同


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ひとりごと
 『海潮音』は、高校時代からの愛読書です。何が好きか、といわれるとちょっと返事に困る部分もありますが、多分、翻訳詩でありながら、日本語って、こんなに美しい言葉だったんだな、と感じさせてくれるところにひかれるのだと思います。それから、原詩や原作者がどこかに行ってしまって、すでに〈上田敏の詩〉になっているところにも。
 だいたいにおいて、翻訳されたものの本当のニュアンスは、やはり原文を見てみないことにはわからないことが多いので、私はあまり翻訳詩は好きではないのですが、『海潮音』に関して言えば、この詩はこのままでいい、と思えてしまうところがすごいところだと思います。読んでいるうちにすんなり頭に入ってしまいますし。だいたいにおいて、ブラウニングの「春の朝(あした)」など、『海潮音』の訳以外は思い浮かびません。(ちなみに、原詩はこんな感じです)  やっぱり、日本人は、七五調や五七調には逆らえないんでしょうか。あ、私が逆らえないだけか。


上田 敏(うえだ びん)について
  • 詩人、英文学者、評論家、詩人。東京の築地生れ、東大英文科卒東大在学中に『帝国文学』創刊に参加、誌上で海外文学を紹介し、以後は『文芸論集』など、評論集、訳文集を次々に刊行。『明星』でも活躍した。
  • 1905年刊行の訳詩集「海潮音」は日本象徴詩運動の先駆をなした。他に「海潮音」「詞華集」「みをつくし」などの。(1874〜1916)


『海潮音』について
  • 訳詩集。上田 敏訳。1905年(明治38)に本郷書院より刊行される。フランスの高踏派、象徴主義の詩を中心に、英、独、伊、プロバンスなどのヨーロッパの詩人29人の作品57編を収める。
  • 日本の象徴詩の先駆。序文に象徴詩論を収めて日本象徴詩運動に理論的根拠を与え,詩壇に大きな影響を与えた。また、ベルレーヌの「落葉」、ブッセの「山のあなた」、ブラウニングの「春の朝(あした)」など名訳が多い。

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