第3章 暗闇と光明のはざまで

初期型X1/9。スマートですね。もちろん、ウチのではありません。
5/1 そろそろ作業に疲れてきたのか、朝、起きるのがカッタルイ。それともあまりの前途多難さに、体が拒否反応しているのだろうか?外は五月晴れであるが、すさんだ私の心はどんよりしていて、爪にたまった油汚れをほじくるばかりであった。
やっとのことで起き抜け、今日も近所のビーバートザンへ行く。まずは懸案のバッテリーを替えるべく、リサーチ活動を続けていた結果、GW特価でサイズの合うバッテリーが、普段より安く買えることをすでに掴んでいたのだ。
なぜかアレだけ小さい車のくせに、バッテリーだけは80D26Rなんちゅう、馬鹿でかい奴を積んでいる。普段はこのバッテリー、¥15,800もする。それがGW特価の¥9,800である。しかし、即決しないのが私の貧乏心、もしかしたらさらに安くなるかも、と思っていたが、そんなことも無いので、思い切って買ってしまった。早速持ち帰って付け替えてみると,おぉっ!なんと力強いセルの回転。
ついでに、オイルも4リッター¥2,180のトヨタ純正が、なんと¥980である。X1/9のような原始エンジンには、最新の化学合成油などを入れない方が良いし、これはお買得である。当然お持ち帰りにし、オイルの交換ついでに、先日から気になっていたオイル漏れをチエックする。ふむ。どうやら、エンジンブロックに付いている、機械式燃料ポンプの付け根がおかしいな。コレはガスケット交換で治るでしょう。でも、それ以前にポンプ取り付け部のボルトが、ユルユルなのにはまいった。ちなみにポンプは電磁ポンプに変更されているので、機械式ポンプは無くても問題ないのだ。
午後、いよいよ足をばらす。まずは重傷の左後足。構造はFF車の足周りと基本は一緒で、前後が逆なだけなので、ばらす自体は慣れたものだ。
それにしても、果たしてベアリングのうち換えだけを快くやってくれるショップがあるかどうかが不安だ。ブレーキキャリパ外して、ストラットのボルト抜いて、タイロッドを抜かなきゃ。・・・あー、割りピン折れちゃったあ。しょうがないので、無理矢理ボルトを抜く。げっ!キングピン側は
ボルトとナットがおろし金で擦られたようになっている・・。 こういう場合は、まずディスクグラインダで修正した方が良い。
やっとのことでドライブシャフト抜いて、・・・ん?なんだかC型のゴムが落ちてきた。
これは、もしかするとオイルシールではないか? でもシールならO型だし、コレ、今切れたような断面でもないし・・。
最後に、ナックルを外す。でも、やっぱりそうだ。オイルシールが切れて、 そのまんまだったので、ベアリングに異物が入ってしまったに違いない。外したナックルのハブをまわしてみる。ベアリングが、消化不良を起こした腹のように、ゴロゴロと悲鳴を上げている。
うーむ、終わってるなぁ。ベアリング破損の原因は、この破損したシールだ。しかし、シールの新品は手配していない。しょうがないので、あとでシリコンシーラントでつなげてみよう。こんなことも、イタ車でならではのリペアである。でも要は、異物が入らなきゃいいのだ。
いよいよ、ベアリングの打ち換えをしてくれるショップを捜す。 しかし、GW休みや、こんな作業だけやってくれるところは全然無い。冷たい工場の対応に、いいかげん嫌になってきた。べつに壊した部品の後始末を頼んでいるんじゃないのになぁ。こんな対応しているショップは、こっちから願い下げじゃ。
気晴らしに、なにげにエキマニと、パイプのフランジ接合部を見ると、随分すすけている。そういや、排気漏れもいろんなところから発生しているしなあ。ナットの増締めしようっと。。。ありゃ、ボルトが緩んでいる。こりゃ排気漏れするよなぁ。明日、エンジンかけたらきっと静かだろうな。
ベアリングは、相変わらず打ち換えだけやってくれそうな工場が無い。結局、偶然同僚が発掘した、神東自動車に泣き付き、快く引き受けてくれる事になった。助かったあ!明日の朝、交換の予約しておいてもらう。安心して右後足もばらして、今日は終わり。
ちなみに足回りをバラしたX1/9は、家の前の道路に鎮座している。仕方ないので、”故障中”を貼っておいた。ほんとに故障なんだから、しょうがないだろ。
5/2 早速、梶ヶ谷の神東自動車へ。専務の千葉さんが、快く作業を受け入れてくださった。きっと、こういうショップはあとあとも頼れるだろう。小一時間で、作業は無事終了。やはり、油圧プレスの威力は絶大だ。うちも導入を真剣に考えた方がよさそうだ。
午後、ベアリングを打ち換えたハブを組めば、オッケー。まあ、切れているシールは、次回、ベイレスにパーツを発注するとき、一緒に買って交換しましょう。 それまでは応急処置。さあ試乗だ。排気音、静かです。走行音、滑らかです。クラッチ、前よりはソフトにつながります。ブレーキ、前より効きます。 いやあ、X1/9って、ホントはそんなに乗り難くなかったんですね。
ちなみに効きの悪いリアブレーキは、社外品のホイールを履かせるために、ブレーキローターの固定ボルトが外された状態だったので、ほとんど聞いていなかったことが発覚。
ついでに、明日の天気が悪そうなので、LLCと、ブレーキフルードも交換。しかーし、ここでいくつか問題点がまたしても吐露されてしまった。まずは冷却水、実はだいぶ減っていた。水漏れは見当たらないので、もしかしたらヘッドガスケットがリークしているかも。#4プラグが白っぽかったから、ここが怪しい。ひとまず、冷却水を満タンにして、様子を見よう。念のため、リヤトランクにペットボトルの水を入れておくことにしよう。暫く水温計とリザーバタンクには要注意だ。ただでさえ、イタ車はオーバーヒートし易いらしいしね。
さてブレーキ。こちらは、リザーバタンクの上面に亀裂が入っている。まあ、応急処置しておきましょ。でも、こちらは保安部品なので、早めに要交換。エアぬきするも、なぜだかリヤライン、エアが抜けきらない。ブリーダバルブが、二次空気を吸ってるのかな・・?またあとで、エア抜きしてみましょう。
ひとまず、そんな状態でしばし試乗。まあなんとか実用は大丈夫そうだ。やっと作業が報われはじめたようだ。それにしても、いじればいじるほど、問題が発覚。ホントによく、盛岡からノートラブルで帰ってきたなー。呑気にもそんな気分だが、深刻なほど問題は多いのだ。
5/3 今日は雨。そうだ、ワイパーブレードがいかれてる。ブレードの形状を見ると、PIAAの物と同じようだ。さっそく、ビーバートザンでテキトーな物を購入。いざ付け替えたら、運転席側のフレームがもげている。うーむ、仕方ない。針金で縛り付け、シリコンシーラントでごまかす。まあ、それでもちゃんと機能するのでよしとした。
X1/9とて、ゴキゲンなCDくらい聞きたくなったなぁ。急遽、思い立って手持ちのCDラジオを付けた。但しコレは、年代もののため、チューナーユニットが別体で、コイツの置き場所が無い。結局、センターコンソールの裏側に無理矢理押し込んで見ないフリ。同僚には、”万一空調の吹き出しの切り替えレバーが動かないときは、チューナーユニットが引っかかっています。コンソールの裏側に手を入れ、ユニットを手前に引き寄せてください。”そんなムチャクチャなことを伝えておく。それにしても、ノーマルの配線は、スピーカーの位相が逆位相だったり、お粗末な改造をされているもんだ。

