【97年2月18日(火)】

Cellular Phoneと自動車保険料率 -State Farmの対応-
(Journal of Commerce 97.2.14)


REF:BF970214
【自動車電話により事故率4倍(Canadaの調査)(New York Times 97.2.13)】

2月14日のトロント大学教授の論文(「自動車事故使用により自動車事故率は4倍程度に増加する」との結論)を受け、米国最大の自動車保険会社 State Farm 社は、将来、自動車電話所有者に対して surcharge(割増保険料)を徴収する可能性があることを示唆している。

現在、State Farm の契約者データには、自動車電話所有の有無はないので、申込書(application)に所有の有無を記入する覧を新設し、将来それを使用することを検討している。

しかし、State Farm の spokesman Dave Hurst は、「単に申込書にデータを収集する欄を設けることはできるが、問題は、人々がどこまで正直に書いてくれるかどうかだ。」と述べている。

【NEW ENGLAND Journal of Medicine へ(論文の要旨有り)】

−−−コメント−−−

どこの国でも同じだが、
・保険料算定要素
・申込書への告知
・免責(告知義務違反)
の関係は重要だ。
(自動車保険で、『特別危険保険料率の適用を受けた経験』に関して告知義務を課しておき、後日、事故が発生したとき等に虚偽が発覚した場合に告知義務違反で始期に遡及して免責とするのと同じだ。(ほとんど適用例はないと思うが、理屈は抑えておく必要がある。))

保険の申込書記載事項にしてデータを収集し、料率算定に用いることは簡単でも、それを各契約者に適用するという部分で難点が生ずる。ここを如何に克服するかを考えておかないとデータの価値はない。

なお、米国では、生保の料率は喫煙者と非喫煙者で分かれている。どうやって調べるのかと思ったら、血液検査をするそうだ。しかし、禁煙してから6ヶ月程度は反応が出てしまうとのことだ。

そうだ!!。自動車電話に関しては、「電波が車内に入らないように電磁シールドした車は(自動車電話が使えないものとして)逆に料率を割り引く。」などというのはどうだろう?(75%冗談)

それはそうと、先週、ISO の元 Chairmanと昼食をする機会があった。
彼の話のポイントは、
・State Farm は ISO のデータに依存しないで料率を決めている。このために、同社は保険料率算出項目以外にも申込書記載データなどから様々なデータを収集している。
・日本でも、料率算出団体への加入義務がなくなるため、自社のデータの充実とそれを用いたアンダーライティングを真剣に考える時期だ。
・日米保険協議の後、日本の損保にとって最も脅威となるのは、自動車保険における外社(AIG等)の Direct Writing だろう。
・自賠責は業界にとって極めて大きなマーケットだ。民営化のメリットは大きい。
・料率を複数持ち、機動的に契約者に対応するために、deviation vehicle (同一経営の別会社。別の料率認可を持つ。米国では一般的。)を検討すべき。

というものだった。全く同感だ。


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