(5)葉緑体とミトコンドリアの観察

 高等植物の細胞内の葉緑体ミトコンドリアは、どうして細胞内に存在するのであろうか?未分化の原始的な細胞の中で、葉緑体とミトコンドリアが分化して、出来てきたと考える生物学者が、かつ ては圧倒的に多かった。これに反し、マサチューセッツ大学教授のリン・ マーガリス博士(Dr. Lynn Margulis)は、きわめて独創的な、真核細胞に光合成能を持つ原核細胞(光合成細菌)と、 酸素呼吸能を持つ原核細胞(好気的バクテリア細胞)が共生した結果、葉緑体とミトコンドリアを持つ細胞が誕生したとの細胞内共生説を唱えたのである。
 ぼくは、かなり以前、東京・新宿の紀伊國屋書店の洋書部で、リン・マーガリス博士の書かれた"Five Kingdoms"という本を見付け、面白そうなので購入して、これを教材化しようと、博士に手紙を送り、 教えを乞うた。助手の方から、ニューヨークにあるWards'社という教材会社 を紹介され、そのカタログが送られてきた。そのカタログに、 Five Kingdoms Color Slide Setsがあったので、これを購入して、勤務校で教材化を試みると同時に、1990年に、 韓国のソウル大学で開かれた、第13回アジア生物学教育協議会隔年会議(The 13th Biennial Conference of AABE: Asian Association for Biology Education)で紹介した。
 2005年2月早々、科学技術政策研究所(NISTEP)の主催で、品川のコクヨホール で開かれた国際コロキアム『サイエンス コミュニケーションのひろがり―縫い目のない文化(シームレス・カルチャー)を実現するためにー』に リン・マーガリス博士が出席される旨、リン・マーガリス博士のお宅に寄宿している日本人学生の金井園子さんからメールで 連絡があった。とうとう念願が叶って、現在、科学史上に偉大な足跡を残しつつ、そして、ダーウィンを さらに上回るであろう偉大な科学者のリン・マーガリス博士にお会いすることが出来た。これは、僕にとってまことに光栄であり、 この上ない喜びであった。(写真は、品川コクヨホールでのリン・マーガリス博士、金井園子さんとご一緒の記念写真。)

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