技術について
数千年前に起こった大災ののち、いくつかの大きな戦乱を経たこの世界には、大きく分けて三つの技術が存在する。
・物理的な手法による技術(武器や生活用品、近代レベルの機械技術)
・魔力を利用した技術(一般に魔法と呼ばれるもの)
・人の技術と魔法を合わせた技術(魔法科学)魔法
大災後にその存在が認識されるようになった人間以外の種族が持つ技法が人間の手によって体系化された。
人間外の種族にしてみれば、生まれた時から自然に使用できる技法であるため、よほどの大魔導士でない限り、研究などにして、形に残すことはなかった。地水火風の四大精霊と契約を結び、精神世界を操る精霊魔術(エイル・マグス)
地水火風の力は、単体で使用したり混合で使用したりと用途は様々だが、物理的範疇を越えることはできない。
しかし、精神の力だけは別格で、精神系の力や様々な感情から物理的な力をも生み出すことが可能。ただし、かなりの力量を必要とする。光の精霊と契約を結ぶ光魔術(カージ・マグス)
光の力を源とする魔術。
指向性を持つ光線としての光撃や光の持つ属性、調和、厳正、裁き、慈悲に干渉して力を発揮。肉体的な回復や霊魂を天に導く浄化の力がある闇の精霊と契約を結ぶ闇魔術(ベア・マグス)
闇の力を源とする魔術。
破壊エネルギーや闇の属性、絶望、恐怖、安息、眠り、慈愛に干渉して力を発揮する。
凶悪な使い道の他に、精神的な回復、休息を促す力を持つ。すべての基本は、精霊との契約にあり、呪文の詠唱と両手、あるいは全身を使った印を示し、精霊界とのチャンネルを開くことによって、力を引き出す。
契約
精霊たちとの契約は、すなわち精霊界との契約である。
精霊界とは、場所や別の次元ではなく、それ自体が大きな力を持った精霊であり、いうなれば、その属である精霊たちが還る本体である。
契約を結んだ魔法使いたちは、精霊界という巨大な精霊から、力を引き出しているのであり、精霊界から精霊を呼び出す『召喚』という技法は、召喚士の器に見合うだけの精霊力を精霊界から切り分けているのである。
同属の精霊を複数喚び出した場合、その性格に様々なパターンがあるのは、高位精霊としてのその存在が知られている神霊、巫女、精霊王の持つ性格の多側面が反映しているためである。呪文
魔法を使う際、精霊界にその意志を伝えるもの。形式が存在し、原則として1.喚びかける精霊の形容
2.術者の身の証
3.どういう力を引き出したいのか
4.鍵となる言葉(精霊言語)の順に唱えることになっている。
精霊から零れ落ちた精霊たちは、魔力が尽きると物質界において鉱物と化す。
それは、物質界の影響を受けるためであり、上位の精霊になるほど肉の器に近い仮身の姿になる。
また、仮身ではなく物質界で器を得ることで、物質化の影響を回避することもできるが、波長の一致する器を見つけることは非常に困難である。
召喚の高等技術の中には、波長を調整した器に召喚した精霊を宿らせ、固有の名を付けることによって、使役させるものがある。
器の作成には、ゴーレム精製技法や精霊固有の波長を知覚する才能が必須である。
さらに、『名付け』という行為は、そのものの存在根源を縛り付けるという行為に等しく、力量の無いものは、それだけで、大半の魔力を消費してしまう恐れがある。魔法科学
人が生み出した技術と魔法を組み合わせた新分野。
その範疇は、日用雑貨から、兵器まで様々である。
一般的には、魔術がその力を構築し、その効力を発現するまでに起こる魔力の流れを図式化したもの―魔導回路を組み込んだ物であり、中でも、魔法を利用した兵器―魔導兵器の進歩は目覚しく、武具の強化、冷気、炎、雷撃などを打ち出す魔導砲、ロボット工学に魔導回路を組み込んだ機動兵器などが多大な成果を上げている。
これとは別に、魔導具、神器というものがあり、すべての魔導回路は、これらをモデルとしている。世界各地にいまだ眠る超古代の遺跡から出土することが多く、魔法科学の進歩は、魔導具、神器の発掘と構造解析にかかっている。魔導具
その名が示すとおり『魔』を導く道具。魔力をコントロールすることを目的として作られていて、使用者の持つ魔力をその武器の用途に合った形で発揮させる。高度なものになると、常人が持つ魔力では発動どころか、手にすることすらできない。神器
神などと呼ばれるような高次生物が創り出した物。それ自体が巨大な魔力を持っているため、使用には、『魔』に対して、深い理解と特殊な知覚を持たねばならない。また、高次生物自体がその姿を変え、あるいは変えさせられた物もあり、他の神器と比べ物にならないくらいの『力』を秘めるが、自ら持ち主を選ぶ物がほとんどである。