木造軸組メーカー比較

近藤建設, ミサワホーム, 開成コーポレーション, 住友林業, 積水ハウス(シャーウッド), 一条工務店, 富士ハウス, 西武開発(直系建築会社 リリーフ101)

近藤建設
木造軸組工法だが、新木造工法というのをやっている。これは外壁下地に構造パネル(耐力壁商品名「ダイライト」)を貼って補強をして面で支えて剛性UP。その分筋かいは省略。なぜなら、パネルを貼ってしまえばそれだけでその面の剛性が十分に上がるから。構造計算上も壁倍率は、30×90mm材の片筋かいで1.5、両筋かいで3.0であるのに対して構造パネルを貼るとそれだけで2.5になってしまうので。両面貼れば5.0。そういう面が沢山あるから問題無い事になる。 軸組工法と2×4の良いとこ取り、と言えば聞こえは良いが、2×4と同じ強度上の制約を受けてしまう事になる。悪いとこ取りになってしまわないかがちょっと気になるところ・・・。

実は筋かいは無い方が断熱材(ロックウールかグラスウールか忘れましたが、袋に入っているフワフワな奴でした)をぎっしり壁体内に詰め込めて断熱と気密性の上では有利だとか。従来は筋かいがある壁は断熱材の無い部分が出来てそこが他より極端に断熱性が低いものだから、結露しやすくなってしまう問題があったらしい。

木材は構造用集成材を使用。2階の床下にゴムシートのようなものを貼って防音を強くしているらしい。とりあえず木槌で床の切断模型を叩かせるのがお約束。

薦められなかったが、従来工法の選択肢もあるらしい。

ミサワホーム
木質パネル接着工法。予め工場で断熱材を入れて両側から挟み込んで接着したパネルを壁面に使う。両側からはさんでいるからダブルで丈夫(壁倍率5.0)。もちろん筋かいは要らないという寸法。2×4と同じでモノコック構造ということになる。2×4と同じ制約を受ける事になるので、軸組工法の持つ自由度は少し下がるかな。

基礎は布基礎立ち上がり幅150mm高さ550mm(うち地上部430mm)ベース厚150mm (30kN仕様の場合)基礎パッキン通気を採用。

開成コーポレーション
ここは2×4と木造軸組工法の両方をやっているらしい。基礎幅180mmは聞いた中では最大。広ければ良いってものでは無いだろうが、気になる基礎ではある。でも高さは特に印象に残っていない。ウェブのページにも高さはうたってないのでこっちは並なんでしょう。 土台にヒノキ特一等材、その外、ヒノキ4寸角(約12cm)通し柱を使う等、ムク材を使っていて材料にも奢った感じ。筋かい付きで更に厚さ9mmの構造用合板を貼っている。 断熱材はロックウール。基礎パッキンを採用。縦胴縁で壁体内通気もばっちり取っている。

ムク材使用なのと、従来型断熱材が気になるが後は良い感じ。営業さんが凄く良ければここに決めても悪くないかもしれないところ。

住友林業
木造軸組の王者。
お値段も王者なのか、自己資金の乏しい人はあまり相手にしてくれない感じ。基礎幅160mm。なかなかのものです。基礎パッキンを使っている。
なんと総ヒノキの集成材。集成材でも接着剤を黒っぽく見える樹脂系と透明にみえる水性のを使い分けているらしい。樹脂系の方が強いので梁とか通し柱等の主要構造材にそっちを使うとか。断熱材はグラスウール。一時期ロックウールに切り替えたが、ロックウールは大判が無いので、壁内に詰めた時に隙間が出来やすいのでやめたらしい。
きづれパネルという独自の格子パネルで補強。その代わりに筋かい無し。とにかくきっちり断熱材を詰め込んで高気密にしているとのこと。その為に筋かいは邪魔で、構造上問題無いので付けない。内側にも構造用合板を貼るので壁倍率5.0を確保している。マルチバランス工法というらしい。きづれパネルのおかげで壁体内通気も確保されるということらしい。

結構な感じなんだけど、いかんせん営業さんがろくに説明もしないのでパス。

積水ハウス(シャーウッド)
積水ハウスは鉄骨系が本業(?)のような印象もあるが、木造もシャーウッドブランドでやっている。 基礎幅160mm。基本は布基礎。基礎パッキン使用。土台は主にヒバ系。他はホワイトウッド系の集成材を使う。筋かい付きで構造用パネルを片側に貼る構法。
構法的には他社の後追いかもしれないが、木組みはやっぱり素晴らしい。頑丈そう。断熱材はロックウール。エアキャップの親玉だかタマゴパックだかみたいなものを構造用合板との間に挟んで構造用合板よりも内側の通気を確保している。しかし、元々ふわふわな断熱材の袋を挟むだけなので、わざわざ通気を確保する意味があるかどうかは不明。湿気を吸収した断熱材のずり落ち防止の意味が大きいのかも。
構造用合板の外側は縦胴縁で壁体内通気を確保。

一条工務店
集成材とムク材を選択できるようにしているという情報を聞いていたのだが、実際にはもう集成材は使わないそうで、集成材の問題点をかなり指摘していた。
ムク材は材料を取る場所(心材か辺材か/樹齢/乾燥度等)で通信簿の成績で言うと1〜5までどれにでもなってしまう。一方集成材は平均して4が出るのが特徴。ただしそれは集成材を作ってすぐの事で、経年でずっとそれを保てるとは限らない。例えば接着剤が見た目に黒っぽく見えるレゾルシノール樹脂ならば多少は強いが、今は透明に見える見た目がきれいなイソシアネート系の接着剤を使った集成材が多い。これは接着力が弱くて剥がれやすい。剥がれてしまうと集成材は強度が全く無くなってしまう。少なくとも土台とか梁とかには集成材は使うべきではありません。と言って剥がれてしまった集成材を見せてくれた。これはおそらく問題となったベルカ工業か土屋集成材工業の物なのだろうが、実際に剥がれたのを見るとちょっと引く。また、ヒノキやヒバはシロアリが食べないと言うが、辺材は柔らかいのでそれでも食べてしまう。ここでは加圧注入処理で防蟻対策している。自社を強く勧めるつもりは無いと言っている割には他社との比較話が多い。そして一条工務店で使っているのは成績いくつのムク材なのかは言及せず・・・。集成材とムク材の特性の差の勉強にはなりました。
従来どおりの筋かいを付ける工法と、I-HEAD構法という、構造用合板と断熱材EPS特号でパネル構造を作り、筋かいを無くした高気密高断熱な工法の2種類。その他に免震住宅もある。
基礎幅165mm。布基礎、配筋1重ベタ基礎、配筋2重べた基礎、のいずれかを地盤調査の結果から決めるらしい。実際には地盤に合わせてしっかり地盤改良をすれば、その上の基礎の種類はそんなに変えなくて良い筈なのだけど・・・。地盤調査を必ず4個所やると断言して、1個所しかやらないところもある、と言って信頼を得ようとしていたが、地盤調査は4隅と中央の5個所が望ましい(実際我が家は5個所やりました)ので説明としては外してます。
基礎パッキン通風法は、胴縁の下の雨よけ板が邪魔でそんなに通風は良くないですよ、と。これまた他方式の批判ながら、とりあえずこれは少し納得。と言う訳で従来どおりの通風孔での床下換気。基礎パッキンが無いので基礎と土台の間は防湿シートを貼る。縦胴縁で壁体内通気を十分に確保。

注)EPS=ビーズ法ポリスチレンフォーム=発泡ポリスチレン(Expanded Poly-Styrene)=ポリエスチレン・・・いろいろ呼び名があるらしくてややこしいです。
発泡(Expanded)スチレン=エスチレン、だそうです。

富士ハウス
全面的に集成材を使用。直営工場によるプレカットで注文した通りに個別にカットしてきっちり組みます。大工も下請け工務店では無く直営の所の人だそうです。構造用合板に発泡ポリスチレンフォームを工場で接着。ポリスチレンフォームは筋かいや金具を避ける様に予め当たりを削っておいて、現地で筋かい付きの軸組壁に合板を貼る。これによって片筋かいで壁倍率4.5を確保。プレカットポリスチレンフォームのおかげで筋かいがあっても隙間無く断熱材を入れられる。
部屋と部屋の間の壁にも断熱材を入れて部屋毎の断熱と防音効果が得られる。床下天井上にも貼るのでモノコック構造が得られる。CAPS構法という名前が付けられている。ポリスチレンフォーム断熱材+構造用合板で筋かい付きを可能にしているのは特筆点。営業の人から構造用合板を両面に貼るのは通気性で問題が出る可能性があるのでは?とのコメントがありました。

土台にはシロアリが食べ難いベイヒバの集成材を使用。その他はホワイトウッドの集成材。3階建て以外は3寸半(約10.5cm)角が基本だが、隅柱には4寸角を使う。集成材の接着剤はJIS規格準拠で梁と土台と通し柱はレゾルシノール樹脂を使用。落とし込み根太と言って、根太を梁に落とし込んでいるので地震に強い。

基礎は基本的に布基礎で、2階建てでは幅135mm(3階建ては150mm)。立ち上がりは58cm。立ち上がりが高いので通風孔を配筋にかからない高さに設置可能で基礎の剛性が高い。数字だけ見ていると立ち上がり以外は並(と言うか必要十分の下の方)ですが・・・。
基礎パッキンは使わない。基礎と土台の間は防湿シートを貼っている。胴縁は基本は縦。横胴縁の時は隙間を空けて壁体内通気を確保している。もともとここをビュービュー風が流れるものでは無いので、構造用合板と胴縁の間に防湿シートも貼っており、空気がこもらなければ問題無いという判断らしい。

西武開発(直系建築会社 リリーフ101)
いろいろな都合もあって(^^;;)、建て売り(or 建築条件付)系のメーカーもチェックしました。

鉄筋入りコンクリートのベタ基礎で、幅120mm。高さ600mm。基礎パッキン工法で床下換気機能付。主要木材は乾燥材と修正材を使用。特に限定は無いということらしい。構造用合板9.5mmを貼っている。縦胴縁で壁体内通気を確保(外部通気工法)。断熱材は主にグラスウール。

※但し必ずしも上記構法の建築とは限らないのが要注意。(分譲地毎に請負い工務店が異なる為)

・・・やっぱり建て売り系はどんな家が建つか事前に判断するのは難しいようでした。建売り住宅では柱は3寸角(約9cm)のものもあるらしい。

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