高性能な家を目指すには

「高性能な家が欲しい」。漠然としていますね。でも実際に「出来るだけ性能の高い家が欲しい」と考えている施主さんは多いと思います。ビルダーもその点は心得たもので、個々の部材のスペック(性能)を殊更強調することで、性能が高い家が建てられるという宣伝文句も目に付きます。そして施主さんは、個々の部材の性能にばかり詳しくなってしまいがちです。また有名な「いい家が欲しい」という本(注:私は読んでいません)に代表されるように、高性能な家を工法からアピールする人達も居ます。

個々の部材のスペック(性能)
我が家の仕様は布基礎(防湿コンクリート付)、通し柱・隅柱のみ4寸で残りは3.5寸、木材は集成材で、樹種は土台・大引が米ヒバの「アラスカイエローシダー」、梁と柱は「スプルース」、通し柱のみ「ダフリカカラマツ」、断熱材はポリスチレンフォーム1種Bを使っています。

同じ集成材でも檜を使うハウスメーカーもありますし、総4寸やそれ以上の太さの柱を売りにしている所もあります。また、同じ発泡材系断熱材でもウレタンボードや現場発泡ウレタン、ネオマフォーム(フェノールフォーム)、ポリスチレンフォーム3種B等いろいろな種類があります。例えばポリスチレンフォーム3種Bはポリスチレンフォーム1種Bと比較すると熱伝導率が2/3、同じ厚さならその面での断熱性は1.5倍という事になります。

高性能な部材と高性能な家は違う
家を建てるに当たって、個々の部材の性能はもちろん大変重要です。我が家の部材の仕様は最高の性能のものばかりではありません。では、最高の性能の部材だけを集めて作れば凄く良い性能の家が建てられるのでしょうか? それは違います。個々の部材の性能だけでは家の性能は決まらないのです。

例えば断熱性に関しては、富士ハウスでは商品選択時にグレードとして、どの地区のどの等級の断熱性能を取るかを選択することになります(特に指定しなければ住んでいる地区の標準性能になりますが・・・)。選択したグレードによって価格は変わりますし、そのグレードに合わせた断熱設計がされることになります。また、耐震性は富士ハウスなら基本的にどの商品でも最高等級が狙えるのですが、実際には間取りによって難易度が変わってきます。
(※参考⇒住宅性能表示の謎我が家の住宅性能表示一覧

耐震性・断熱性は選択した仕様を満たすような全体の設計によって決まってくるものなので、個々の部材の性能だけでは何とも言えません。どんなに高性能で分厚い断熱材を使っても、サッシやドアが断熱性の低いものでは次世代省エネ等級はもらえませんし、どんなに太い柱を使っても、耐力壁がバランス良く十分に取れなければ、耐震性は低くなるでしょう。

何となく、基礎は今時ベタが普通だろう、柱は太い方がいいだろう、といった漠然とした考えで行くと、本質が見えなくなりかねません。

優れた工法と高性能な家も違う
ここまで読まれた方はもうお気付きでしょうが、どんなに工法が優れていても、部材・設計・施工が駄目であれば性能は良くなりません。

特殊な工法を採用すれば、その工法の得意とする性能は相対的に高く出来るかもしれませんが、最終的な家の性能は、部材の性能・設計性能・施工精度、等のトータルバランスで決まるものです。これは木造住宅のみならず、軽量鉄骨でも重量鉄骨でもRC造でも同じです。

何よりも、全ての面で高性能な工法というのは存在しないと言っても過言では無いでしょう。どんな工法にもメリット・デメリットがあります。

では、高性能な家を目指すにはどうすれば良いのでしょうか?
私が考えるに、「高性能な家を建てたい」と思うのであれば、まず、家に対して自分が望んでいる「どのような(高)性能の家か」という性能・仕様を明確にしてみることが必要です。その上で、その性能・仕様を満たす為に、というアプローチを行うことによって、工法やそれぞれの部材に必要なものが見えてくるのだと言えるのかもしれません。

我が家は結果的に、自慢できる「ここはずば抜けて高性能」と言える箇所は無い家なのですが、全てにおいてバランスの取れた良い家になったと思っています。仕様決め・工法選択・そしてビルダーの選択は大変ですが、ここを勉強して頑張ればそれだけ付随して見えてくるものが多い世界でもあります。今現在、家を建てようと計画している施主候補の方々には、分からないこと・知らないことだらけだと思いますので、いろいろと大変だと思います。でも、是非、家造りを楽しんでみて下さい。

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