第11回鑑賞ツアー 上野憲男展「時のうつろい」感想
何必館にて



山川秀樹さんからのメールより抜粋
(前略)
確かに、上野さんの作品は、言葉で鑑賞するのが難しいタイプのものではありましたが、
いっしょに回った人の言葉などから、ぼくなりにその世界を多少感じ取ることができたように思います。
ぼくなりに感じたイメージを記しますと、作家自身にとっての核・あるいはベース(上野さんの作品で言えば、 グレーやブルーに塗られたキャンバスということになるのでしょうか。)のようなものがきちんとあって、 その核・あるいはベースの上に、色や形や文字で、独自の世界がバランスよく描かれている、その世界には 四角形も多いのだが、決して角ばったとか尖ったという印象はない、といったところでしょうか。
ブルーやグレーの上には、様々なものが描かれているのですが、様々な世界は多すぎず、少なすぎずあるのでしょうか。
ただ、作品の迫力やメリハリ、緩急といったものを、自分なりに理解するにはいたりませんでした。
ぼくは、文書や音楽に関しては、バランスが良く、洗練されたものを好みます。
そして、そのバランスや洗練の中に、その文書や音楽なりの、迫力やメリハリや緩急といったものが、 明確に存在しているのか、否かというのが、その作品を好きになるための、重要なファクターの一つであるように 思います。
ワークショップなどで何かを作るとよく分かりますが、ぼくは手先がかなり不器用です。
それだけではなく、生き方に関しても、保守的で、石橋をたたいてもわたらないような面があるかと思えば、 不器用で、良くも悪くも頑固だったりパンキッシュだったりします。
また、とても穏やかなものを求めるかと思えば、とてもラディカルなものを求めたりもします。 破壊的・攻撃的・反体制的なものといったほうが分かりやすいでしょうか。
そんな、アンバランスな部分というか、両義性のようなものを常に抱えた、自分自身であるが故に、 バランスの良い洗練されたものや、技術的にも卓越したものに憧れを抱くのかもしれません。
音楽でいうと、パンクロックは生理的に苦手で、良質なフュージョンが好きといえば、分かりやすいかもしれませんね。(後略)


第11回鑑賞ツアー「上野憲男展」活動報告を参考にしてください。

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