第10弾お絵描きワークショップ
「街並みをさわる──見えている街と体験しているまち──」
 


参加者の感想
── むかひらまゆみ ──

まず最初のオリエンテーションで、京大構内地図の立体コピーが配られました。この地図に興味を持って一心に触り、いろいろ質問されている方がおられました。
まずここから、「街並みをさわる」という今回のテーマを実感されているのかなと印象的でした。

さて、外に出て被写体探しの散策です。私がご一緒した方は、常からご主人のサポートでカメラを使い慣れておられる方。でも自分で撮った写真を見ることは出来ないので、今回のワークショップには大きな期待を持っておられる様子。
まず何よりも驚いたのは、歩く速度の早さ!
私達サポーターは息を切らして付いていくといった有様でした。

何枚も写真を撮って戻ると、時計台の前で京大スタッフの方々が待機して、メディアを回収されていました。
部屋に戻って、先ほど渡した写真データが立体コピーに出来上がるのを待つことしばし。京大スタッフ達は大汗流しながら走り回っておられますが、なかなかうまく行かない様子。時代の最先端、将来の日本の頭脳を担う人達が、体力勝負で息切らせておられるのは、気の毒というか、ちょっと笑ってしまうというか・・・。
片方では、自分の写真の立体コピーをまだかまだかと待っておられる人達。

やっとのことで出来上がってきた立体コピーは、私にとって、「立体と平面」、「見ることと触ること」の違いを痛感させるものでした。
見える者は、ただ見ているだけではなく、自分の見たいものだけを取捨選択して見ているのだと実感しました。遠くにあるもの、近くにあるもの、主体となるもの、背景のもの、それらはすべて立体コピーという単一な平面に散在し、その中から、いつものように自分の見たいものを取捨選択することは容易ではありません。
ましてや、目を閉じてそれを触った時、私の鈍感な指先は、ほとんど何も捉えることは出来ませんでした。
けれど、見えない人たちの指先は鋭敏で、それなりに何かを掴んでおられたようでしたが、満足感という点では、イマイチ物足りない様子でした。
でも、見える人と見えない人が、同じ席で同じ体験をし、話し合えるというのは、とても貴重な経験だったと思います。

京大塩瀬研究室の研究が進んで、近い将来、見えない人も、自分の撮った写真を立体コピーで楽しめる日が来たら素晴らしいと期待しています。

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